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被相続人の債務の弁済をすると、単純承認したものとみなされますか?

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2025/09/08 09:09

相続
相続

男性

60代

question

相続について勉強しているのですが、被相続人が残した借金などの債務を相続人が弁済すると、自動的に単純承認とみなされると聞きました。本当に返済するだけで相続放棄ができなくなるのか、それとも一定の条件や例外があるのか知りたいです。初心者にもわかりやすく教えていただけますか。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

相続においては、相続人が被相続人の財産をどのように扱うかによって「単純承認」とみなされるかどうかが変わります。

民法921条では、特定の行為を行った場合に法的に単純承認と扱われると定められており、その中には「相続財産の全部または一部を処分した場合」が含まれます。債務の弁済もこの処分行為にあたるのが原則です。

実際、過去に被相続人の債務を「相続財産から」弁済する行為が、処分行為に該当すると判断された判例があります。

一方で、受取人を相続人とする被相続人の死亡保険金を受け取った相続人が、「生命保険金から」弁済する行為は、処分行為に該当しないと判断された判例があります。

他にも、「葬儀費用を立て替えて支払った場合」や「強制的に差し押さえを受けて支払った場合」などは、必ずしも単純承認とされるとは限りません。裁判例においても、相続放棄の効力を認めたケースがあります。

単純承認したと扱われると、仮に負債が財産を上回っていたとしても相続放棄や限定承認ができなくなり、すべての債務を相続人が背負うことになります。

そのため、債務の全体像がわからない段階では、軽率に返済を行うべきではありません。まずは家庭裁判所で相続放棄や限定承認の手続きをするかどうかを検討し、専門家に相談することが大切です。

特に相続放棄は原則として3か月以内に行う必要があるため、弁済に動く前に財産と負債を確認することがリスクを避ける上で重要です。

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単純承認

単純承認とは、相続が発生した際に、被相続人(亡くなった方)の財産をそのまま全て受け継ぐと決める手続きのことをいいます。この場合、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もすべて引き継ぐことになります。単純承認は特別な手続きをしなくても、相続人が財産を使ったり処分したりすると自動的に成立することが多いため、慎重な判断が必要です。 たとえば、被相続人に多額の借金があった場合、それも自分が返済する責任を負うことになりますので、相続を受ける前には、財産の内容をよく調べることが大切です。

相続財産

相続財産とは、被相続人(亡くなった方)が死亡時点で保有していた財産のうち、法律上相続の対象となるものを指します。 具体的には、現金や預貯金、不動産、株式、車、貴金属などのプラスの財産だけでなく、借金やローン、保証債務といったマイナスの財産も含まれます。 相続人は、これらの財産すべてを一括して引き継ぐ「単純承認」だけでなく、財産の範囲内で債務を引き継ぐ「限定承認」や、相続自体を放棄する「相続放棄」などの選択も可能です。 なお、生命保険金や死亡退職金など、一定の財産は「相続財産」に含まれず、相続税の計算上も特別な扱いになることがあります。 相続財産を正しく把握することは、遺産分割協議や相続税申告を円滑に進めるうえで、最初の重要なステップとなります。

限定承認

限定承認とは、相続人が引き継ぐ財産について、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産(借金など)を支払うことを条件に、相続を受ける方法のことです。つまり、相続によって得られる資産が借金を上回っている場合にはその差額を受け取ることができますが、もし借金が多くても、自分の財産を使ってまで返済する必要はありません。 この方法を使えば、相続することで損をするリスクを減らすことができます。ただし、限定承認を行うには、相続の開始を知ってから原則として3か月以内に、他の相続人全員と一緒に家庭裁判所に申立てをする必要があるため、手続きがやや複雑です。

熟慮期間

熟慮期間とは、相続人が相続を「する」「しない」を決めるために与えられている法的な猶予期間のことです。具体的には、相続が開始されたことを知った日から3か月以内に、相続するかどうかを決めて家庭裁判所に申し出る必要があります。 この3か月の間に、亡くなった方の財産や借金の状況を確認し、自分にとって相続が得か損かを見極めることが求められます。もし期間内に何も手続きをしなければ、法律上は「相続する」と判断され、自動的にすべての財産と負債を引き継ぐことになります。資産運用の観点からは、負の遺産を回避するための重要な判断期間であり、財産の内容を冷静に分析する時間でもあります。

相続放棄

相続放棄とは、亡くなった人の財産を一切受け取らないという意思を家庭裁判所に申し立てて、正式に相続人の立場を放棄する手続きのことです。相続には、プラスの財産(預貯金や不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金や未払い金など)も含まれるため、全体を見て相続すると損になると判断した場合に選ばれることがあります。 相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかったものとみなされるため、借金の返済義務も一切負わなくて済みます。ただし、相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があり、その期限を過ぎると原則として相続を受け入れたとみなされてしまいます。したがって、放棄を検討する場合は早めの判断と手続きが重要です。

法定単純承認

法定単純承認とは、相続人が亡くなった人(被相続人)の財産を全て受け継ぐ意思を明示的に示さなくても、自動的に単純承認したと見なされる制度のことです。 たとえば、相続人が被相続人の財産の一部を勝手に使ってしまったり、相続放棄や限定承認をしないまま一定期間(原則として3か月)を過ぎたりすると、この法定単純承認が成立します。この制度が適用されると、プラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産もすべて引き継ぐことになります。 したがって、相続の判断を曖昧にしていると、知らない間に借金まで相続するリスクがあるため、注意が必要です。

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