特定口座で株や投資信託を購入する場合にデメリットはなにかありますか?
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2025/09/02 08:27
女性
30代
株式や投資信託を購入する際に、証券会社で特定口座を選ぶと税金の計算や確定申告が不要になると聞きました。便利な反面、何か見落としがちなデメリットもあるのではないかと不安です。特定口座になにかデメリットはないでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
特定口座は、投資初心者にとって確定申告の手間を軽減できる便利な制度ですが、いくつかのデメリットもあります。
まず、「源泉徴収あり」を選んだ場合、利益が出るとその時点で自動的に税金が差し引かれます。そのため、他の投資で損失が出ていても、同じ年の中では自動的に損益通算ができません。結果として税金を払いすぎてしまう可能性があり、還付を受けたい場合には結局確定申告が必要になります。
次に、複数の証券会社で特定口座を持っている場合、それぞれの口座で税金計算が完結してしまいます。証券会社をまたいだ損益通算は自動では行われないため、投資全体の収支を最適に扱うには、自分で把握し、必要に応じて確定申告を行わなければなりません。
さらに、特定口座は国内株式や国内投資信託などが対象ですが、外国株式や一部の金融商品は対象外です。海外ETFや外国株を中心に投資している場合は一般口座を併用する必要があり、その分手続きが煩雑になることもあります。
このように特定口座は利便性が高い反面、損益通算や繰越控除の扱い、複数口座を利用する場合の調整、対象商品の制限などに注意が必要です。利用する際には、自分の投資スタイルに照らして確定申告の要否や他口座との兼ね合いを理解しておくことが重要です。
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関連する専門用語
特定口座
特定口座とは、投資家の税金計算を簡便にするための口座形式です。証券会社が運用益や損益を自動計算し、年間取引報告書を発行します。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、「源泉徴収あり」を選択すれば、税金が取引時点で自動的に納付されます。これにより、確定申告が不要になるため、多くの投資家に利用されています。ただし、損益通算や損失の繰越控除を行う場合は確定申告が必要です。
源泉徴収
源泉徴収とは、給与や報酬、利子、配当などの支払いを受ける人に代わって、支払者があらかじめ所得税を差し引き、税務署に納付する制度です。特に給与所得者の場合、会社が毎月の給与から所得税を控除し、年末調整で過不足を精算します。 この制度の目的は、税金の徴収を確実に行い、納税者の負担を軽減することです。例えば、会社員は確定申告を行わずに納税が完了するケースが多くなります。ただし、個人事業主や一定の副収入がある人は、源泉徴収された金額を基に確定申告が必要になることがあります。 また、配当金や利子の源泉徴収税率は原則20.315%(所得税15.315%+住民税5%)ですが、金融商品によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
損益通算
投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
繰越控除
繰越控除とは、特定の損失や控除額を翌年度以降に持ち越し、将来の所得から控除できる税制上の仕組みを指す。代表的なものとして、青色申告の純損失の繰越控除があり、一定期間内に発生した損失を翌年以降の利益から差し引くことができる。これにより、赤字企業でも将来の黒字化に伴い税負担を軽減できるメリットがある。ただし、適用には一定の要件があり、期限内に申告する必要がある。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。