emaxis slimはおすすめしないと言われましたがなぜでしょうか?
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2025/09/12 09:02
女性
40代
投資信託を検討する中で、低コストで人気のあるeMAXIS Slimシリーズを調べていたところ、一部では「おすすめしない」という意見も見かけました。なぜそのように言われるのか理由がよく分からないため、注意すべき点があれば教えていただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
eMAXIS Slimは「シリーズ名」であり、S&P500・全世界(オールカントリー)・先進国・新興国など、さまざまな投資信託のシリーズ商品です。そのため「おすすめしない」と言われる場合は、シリーズ全体の問題というよりも、投資する人の目的と商品の特徴が合わないことが理由であることが多いです。
まず注意すべきは、投資対象とのズレです。全世界株式ファンドといっても実際には先進国の比率が高く、新興国は少なめです。またS&P500ファンドは米国に集中しているため、米ドルの為替リスクを大きく抱えることになります。もし日本株をある程度持ちたい、あるいは通貨分散を重視したいと考える人にとっては不向きに感じられるでしょう。
次に、為替ヘッジの有無も重要です。ヘッジをしない場合は円高になると基準価額が下がりやすく、ヘッジをする場合はコストがかかるため、長期的なリターンを抑える要因となります。自分の収入や生活の通貨に合っていない選び方をすると、思わぬ損失や不満につながる可能性があります。
さらに、コスト面も単純ではありません。信託報酬の低さは魅力ですが、それ以外にも売買にかかる手数料や監査費用、配当にかかる税金などを含めた「実質コスト」があります。運用報告書を確認し、指数との乖離(トラッキング差)がどの程度あるかを比較することが大切です。
また、純資産の規模や資金の流れもチェックが必要です。資産規模が大きく安定しているファンドは運用効率がよく安心感がありますが、規模が小さいファンドでは繰上償還のリスクが残ります。こうした点も「おすすめしない」と言われる背景になっています。
加えて、eMAXIS Slimはすべてインデックスに連動するパッシブ運用の商品です。そのため、市場平均を上回る成果を目指して銘柄を積極的に選びたい、アクティブな投資に挑戦したいという人には向いていません。自分が「市場全体に乗るのか」「独自の銘柄選択でリターンを狙いたいのか」を明確にして選ぶことが重要です。
税制面では、新NISA口座で積立投資をする場合には適していますが、課税口座で乗り換えを行うと、利益に対して税金がかかります。投資信託を変更する際には、税金コストも含めて検討する必要があります。
まとめると、eMAXIS Slimは低コストで広く使われている優れた商品ですが、自分の投資目的やリスク許容度と合っていないと「おすすめしない」と感じられる場合があります。投資を始めるときには、まず自分の資産配分(株式と債券、日本と海外、為替ヘッジの有無)を決め、そのうえでファンドを比較することが重要です。
迷った場合は、全世界株式に幅広く分散投資するのか、それとも米国株に集中するのかを決めてから、為替ヘッジをするかどうかを判断すると、失敗を避けやすくなるでしょう。
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eMAXIS Slim 国内株式
eMAXIS Slim 国内株式とは、三菱UFJアセットマネジメントが提供する「eMAXIS Slim」シリーズの中で、日本国内の株式に投資するインデックスファンドのことをいいます。このファンドは、TOPIXや日経平均株価など、日本株の代表的な株価指数に連動する運用を目指しており、日本市場全体の動きに合わせて資産が増減する仕組みになっています。「Slim」という名前の通り、業界最低水準の運用コストを目指しているのが特徴で、信託報酬が非常に低く、長期投資に向いています。初心者でも日本株全体に手軽に分散投資できるため、NISAやiDeCoなどの制度を活用した資産形成にもよく利用されています。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
為替リスク
為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
トラッキングディファレンス
トラッキングディファレンスは、インデックスファンドやETFが追随するベンチマーク指数と比べて、一定期間(多くは1年)の実際の騰落率にどれだけ差が生じたかを示す値です。たとえば指数が+10%のときファンドが+9.5%であればディファレンスは−0.5%となり、この差には信託報酬などのコスト、配当再投資のタイミング、売買時の価格ずれ、現金保有比率の違いなどが影響します。数値が小さいほど指数を忠実に再現できていることを意味し、長期運用ではこのわずかな差が複利的に効いてくるため、インデックス投資家にとって重要な比較指標となります。