ファングプラスはおすすめしないと言われましたがなぜでしょうか?
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2025/07/31 08:17
男性
30代
最近、米国株に興味を持ち、FANG+(ファングプラス)に投資してみようかと考えていました。しかし知人から「やめたほうがいい」と言われました。成長性がある有名企業が多く含まれていて魅力的に見えるのですが、なぜおすすめしないと言われることがあるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ファングプラス(NYSE FANG+™ Index)は、米国の有力テック企業10社に等しく投資できる指数で、成長期待の高い企業が集まっている点が魅力です。
しかし一方で、初心者にとっては注意すべきリスクが多いため、「おすすめしない」と言われることがあります。以下に、その理由を分かりやすくご説明します。
まず、構成銘柄がわずか10社に限定されており、そのすべてがテクノロジーやインターネット関連の企業です。NVIDIA、Apple、Microsoft などいずれも注目度の高い企業ですが、同じセクターに偏っているため、1社の株価下落や業界全体への悪材料が指数全体に大きく影響するという「銘柄集中・セクター偏重リスク」があります。これは、幅広い業種に分散されたインデックスファンドとは異なる性質です。
また、これらの企業は将来の成長を織り込んで高い株価水準(高PER)で取引されており、金利上昇局面ではその期待値が下がる分、株価が大きく下落するリスクがあります。実際に過去の金利急騰局面では、FANG+はS&P500よりも大きな値下がりを経験しています。
さらに、構成銘柄が少なく、成長株中心であることから、値動きが非常に激しい傾向にあります。毎日の価格の振れ幅も大きく、短期間で資産が大きく増減する可能性があるため、精神的に不安定になりやすく、初心者にはハードルが高い投資対象となります。
加えて、巨大テック企業は政府の規制強化の対象にもなりやすいという側面があります。反トラスト法やAI規制、データ保護などの問題が浮上すれば、業績や事業戦略が見直される可能性があり、その影響で株価が大きく変動するおそれがあります。
また、日本からドル建てで投資する場合には「為替リスク」もあります。円高になると、たとえ米ドル建てで株価が上昇していても、日本円で見たときのリターンは目減りする可能性があります。為替ヘッジをすればリスクは抑えられますが、その分コストがかかるというデメリットもあります。
ファングプラスに連動する金融商品(ETNやレバレッジ型ETFなど)は、価格の変動が複雑で、初心者が理解しにくい仕組みを含むこともあります。特にレバレッジ商品は短期取引向けに設計されているため、長期保有では想定と異なる結果になることもあるため、購入前に十分な理解が必要です。
最後に、ファングプラスは分散投資という観点から見ると、ポートフォリオの中心(コア)ではなく補助的な位置づけ(サテライト)で使うのが適切とされています。全体の資産配分の中で5〜10%程度に抑えるのが一般的です。これにより、指数の強みを活かしつつ、リスクをコントロールすることができます。
以上のように、ファングプラスは魅力的な成長企業に投資できる一方で、リスクや注意点が多いため、特に投資初心者には慎重な対応が求められます。投資を始める前に、自分のリスク許容度や資産配分、運用目的をよく見直し、場合によっては少額から段階的に投資するなど、リスクを分散させる工夫が大切です。
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FANG+指数
FANG+指数とは、米国を代表する大型ハイテク・グロース企業10社で構成される株価指数で、Meta(旧Facebook)、Apple、Amazon、Netflix、Alphabet(Google)に加えて、Microsoft、Tesla、NVIDIA、Snowflake、Advanced Micro Devices(AMD)が含まれます。これらの銘柄は、AIやクラウド、Eコマースなどの分野で世界経済のデジタル化をけん引しており、高い成長性と注目度を誇ります。 本指数は時価総額ではなく**等ウェイト(各社同比率)**で構成されており、個別銘柄の値動きが指数全体にダイレクトに反映されやすいのが特徴です。そのため、NVIDIAやTeslaといったボラティリティの高い銘柄が市場全体に与える影響をリアルタイムで捉える指標としても活用されています。 また、FANG+指数は定期的に構成銘柄の見直しが行われており、時代の変化や産業構造の進化に応じて、成長力の高い新興企業が組み入れられる可能性があります。たとえば、過去にはTwitterやAlibabaなども構成銘柄に含まれていた時期がありました。こうした見直しは、指数の成長性や先進性を保つための重要な仕組みであり、投資家にとっても今後の組入れ銘柄の変化が注目ポイントとなります。 投資信託やETFを通じてFANG+指数に連動する商品も複数存在しており、特定のセクターに集中投資しながらハイリスク・ハイリターンを狙う投資戦略の一環として活用されています。
セクター集中リスク
セクター集中リスクとは、株式や投資信託などで特定の業種(セクター)に偏って投資している場合、そのセクター全体に悪影響が生じることで、資産全体が大きく値下がりする可能性があるというリスクのことを指します。たとえば、IT企業ばかりに投資していると、テクノロジー業界の不調がそのままポートフォリオ全体の損失につながります。 セクターごとに景気の影響や法規制の変化を受ける度合いが異なるため、特定の業種に資金が集中している状態は、リスク分散が効いていない状態といえます。このリスクを回避するためには、複数のセクターにバランスよく投資する「分散投資」が重要とされます。特に投資初心者にとっては、セクターの偏りに注意することで、より安定した資産運用が可能になります。
PER(株価収益率)
PER(株価収益率)は、企業の株価がその企業の利益と比較して割安か割高かを判断するための指標です。計算方法は「株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)」で求められ、数値が低いほど利益に対して株価が割安であることを示します。ただし、業界ごとの平均PERが異なるため、他の企業や市場全体と比較して判断することが重要です。PERが高い場合は将来の成長期待が大きいと解釈されることもありますが、過大評価されている可能性もあるため注意が必要です。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
レバレッジ型ETF
レバレッジ型ETFとは、ある株価指数や資産の値動きに対して、2倍や3倍といった倍率で連動するように設計された上場投資信託(ETF)のことです。たとえば、対象指数が1%上昇したときに2%上昇する「2倍型ETF」や、逆に下落時に2倍下がる「インバース型レバレッジETF」などが該当します。このような商品は、短期的な値動きを狙って大きなリターンを得たい投資家に向いており、日々の値動きに連動するよう設計されているため、長期保有には向かない場合が多いです。 注意点として、レバレッジ型ETFは日々の変動に対して倍率で連動するように調整されており、数日間にわたって保有すると複利効果やボラティリティの影響で、想定通りのパフォーマンスにならないことがあります。したがって、デイトレードや短期の相場判断に基づく運用に適している一方、初心者にはリスク管理が難しい側面もあります。投資前には仕組みやリスク特性を十分に理解することが大切です。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。