FRBのFOMC(連邦公開市場委員会)の開催日程はいつで、声明発表は日本時間の何時に行われますか?
回答受付中
0
2025/10/01 11:01
男性
40代
FRBが開催するFOMCの政策金利発表は、金融市場に大きな影響を与えるとよく耳にしますが、実際に「いつ・何時」に行われるのかを理解できていません。米国時間と日本時間の時差もあり、リアルタイムで情報を追うための具体的なスケジュール感を教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
FRBのFOMC(連邦公開市場委員会)は、米国の金融政策を決める場として、例年あらかじめ公表された年8回の定例会合が中心です。声明は会合2日目の午後2時(米東部時間)に発表され、日本時間では翌午前3時(夏時間)または午前4時(冬時間)にあたります。その30分後には議長記者会見が行われ、金融市場が大きく反応する局面となります。
2025年8月に「notation vote(書面決議)」が一度設定されましたが、これは技術的・事務的な案件を処理するための特例的な仕組みで、通常の政策発表イベントではありませんでした。こうしたnotation voteは過去にもまれに見られますが、頻繁に行われるものではなく、投資家が毎回意識する必要はほとんどありません。基本的には年8回の定例会合を押さえておけば十分です。なお、2026年についてはnotation voteは予定されておらず、すべて通常の会合として開催される見込みです。
FOMC開催予定(2025年10月以降〜2026年)
年 | 月 | 日程 | 声明発表(米国時間) | 声明発表(日本時間) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2025 | 10月 | 28–29日 | 10/29 午後2時 | 10/30 午前3時 | 夏時間終了直前 |
2025 | 12月 | 9–10日 | 12/10 午後2時 | 12/11 午前4時 | 冬時間 |
2026 | 1月 | 27–28日 | 1/28 午後2時 | 1/29 午前4時 | 冬時間 |
2026 | 3月 | 17–18日 | 3/18 午後2時 | 3/19 午前3時 | 夏時間開始後 |
2026 | 4月 | 28–29日 | 4/29 午後2時 | 4/30 午前3時 | 夏時間 |
2026 | 6月 | 16–17日 | 6/17 午後2時 | 6/18 午前3時 | 夏時間 |
2026 | 7月 | 28–29日 | 7/29 午後2時 | 7/30 午前3時 | 夏時間 |
2026 | 9月 | 15–16日 | 9/16 午後2時 | 9/17 午前3時 | 夏時間 |
2026 | 10月 | 27–28日 | 10/28 午後2時 | 10/29 午前3時 | 夏時間終了前 |
2026 | 12月 | 8–9日 | 12/9 午後2時 | 12/10 午前4時 | 冬時間 |
投資家が注目すべきはあくまで年8回の定例会合です。特に3月・6月・9月・12月は経済見通し(SEP)が併せて公表されるため、相場変動リスクが高まる点を念頭に置いておくと安心です。
関連記事
関連する専門用語
FRB(Federal Reserve Board/米連邦準備制度理事会)
FRB(Federal Reserve Board、米連邦準備制度理事会)は、米国の中央銀行制度であるFRS(Federal Reserve System)の中核をなす組織である。FRSは、ワシントンD.C.にあるFRB(理事会)と、全米に分布する12の地区連邦準備銀行(連銀)から構成される。 FRBの主な役割は、金融政策を通じて米国経済の安定を図ることであり、その目的として「最大雇用(Maximum Employment)」と「物価の安定(Stable Prices)」という2つの目標(デュアルマンデート)を掲げている。これらの目標を達成することで、米国経済の持続的な成長を促す。 FRBは、日本の日本銀行に相当する機関であり、政府から独立した中央銀行として運営されている。ただし、完全に独立しているわけではなく、議会に対して定期的に金融政策の報告を行うなど、説明責任を負っている。
FOMC(Federal Open Market Committee/連邦公開市場委員会)
FOMC(Federal Open Market Committee、連邦公開市場委員会)は、米国の金融政策を決定する最高意思決定機関です。米連邦準備制度(FRB)が、インフレ抑制・雇用最大化・経済安定化を目的に、政策金利(FF金利)の調整や金融市場の流動性管理を行います。 FOMCは年8回開催され、米国の景気・物価動向・雇用状況を評価し、政策金利の変更や量的緩和・量的引き締めなどの金融政策を決定します。会合後には声明が発表され、議長の記者会見が行われます。 FOMCの決定は、米国経済だけでなく、世界の金融市場にも大きな影響を与えます。市場予想と異なる決定が出た場合、株式市場・債券市場・為替市場が大きく変動することがあります。一般的に、利上げが発表されると株価は下落し、ドル高が進行し、債券価格は下落します(利回りは上昇)。反対に、利下げが発表されると株価は上昇し、ドル安が進行し、債券価格は上昇します(利回りは低下)。 日本では「日銀金融政策決定会合」がFOMCに相当しますが、決定プロセスには違いがあります。FOMCはFRB理事7名と地方連銀総裁5名の計12名による投票で政策を決定し、金融政策の透明性が高いのが特徴です。
政策金利
政策金利とは、中央銀行が民間の金融機関に資金を貸し出す際の基準となる金利のことで、金融政策の中核をなすツールです。 中央銀行はこの金利を操作することで、経済全体の金利水準や通貨の流れを調整し、景気や物価の安定を図ります。たとえば、景気が冷え込んでいるときには政策金利を引き下げて(利下げ)お金を借りやすくし、消費や投資を促進します。逆に、インフレが進みすぎているときには政策金利を引き上げて(利上げ)需要を抑え、物価の上昇をコントロールしようとします。 政策金利の変更は、住宅ローンや企業の融資金利、預金金利など、私たちの生活に関わる金利にも波及します。また、株式市場・債券市場・為替市場にも大きな影響を与えるため、投資家にとっては極めて重要な経済指標です。 たとえば、中央銀行が予想以上に利上げを行った場合は、株式市場が下落し、通貨が上昇する可能性があります。逆に利下げが行われれば、株高・通貨安につながることが一般的です。 各国の中央銀行(例:日本銀行、FRB、ECBなど)は、定期的に会合を開き、経済情勢や物価の動向を見ながら政策金利を調整しています。
サマータイム
サマータイムとは、夏の期間に時計を通常より1時間進めることで、日照時間を有効活用する制度です。欧米を中心に採用されており、照明などのエネルギー消費を抑えたり、人々の生活リズムを自然光に合わせたりする目的で運用されています。 資産運用の観点では、日本の投資家が米国や欧州などの市場で取引を行う際、サマータイムの有無によって取引時間が変動する点に注意が必要です。ニューヨーク市場やロンドン市場はサマータイムを採用しており、日本時間との時差が通常期より1時間短くなります。これを理解せずに発注すると、取引開始や終了のタイミングを誤るリスクがあります。 以下に、主要市場の取引時間を日本時間換算でまとめます。 | 市場 | 標準時間(冬時間) | サマータイム期間 | サマータイム適用時 | | --- | --- | --- | --- | | ニューヨーク証券取引所(NYSE)・NASDAQ | 23:30~翌6:00 | 3月第2日曜~11月第1日曜 | 22:30~翌5:00 | | ロンドン証券取引所(LSE) | 17:00~翌1:30 | 3月最終日曜~10月最終日曜 | 16:00~翌0:30 | | ドイツ(フランクフルト証券取引所) | 16:00~翌0:30 | 3月最終日曜~10月最終日曜 | 15:00~23:30 | | シカゴ・マーカンタイル取引所(CME、先物・オプション中心) | 0:00~翌23:00(一部商品で変動あり) | 3月第2日曜~11月第1日曜 | 23:00~翌22:00 | サマータイムの期間は国や地域によって異なるため、投資家は「いつ切り替わるか」を事前に把握しておくことが重要です。米国は3月第2日曜日から11月第1日曜日まで、欧州は3月最終日曜日から10月最終日曜日までが一般的です。 このように、サマータイムは生活制度であると同時に、資産運用の実務に直結する要素です。海外市場を取引する日本の投資家にとって、取引時間の把握は基本中の基本といえます。
書面決議
書面決議とは、会議を開かずに文書のやり取りによって決議を行う方法を指します。主に取締役会や委員会などで用いられる仕組みです。全員が集まる必要がないため、迅速かつ効率的に意思決定を進められる一方で、議論を深める機会が減るというデメリットもあります。 資産運用の世界では、投資信託の運営会社や金融機関の内部で重要事項を決める際に書面決議が活用されることがあります。投資家にとっては直接かかわる場面は少ないものの、金融機関の運営やガバナンスの仕組みを理解するうえで知っておくと役立つ用語です。