iDeCoは年末調整の際にいくらくらいもどってくるのでしょうか?
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2025/09/17 10:19
男性
50代
iDeCoの積立を行っています。年末調整のときに「掛金全額が所得控除になる」と聞きましたが、実際にどれくらい税金が戻ってくるのかが分かりません。具体的にどのような計算式で控除額が決まり、一般的にいくらくらい戻ってくるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
iDeCoの掛金は、すべてが「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。そのため、実際にどれくらい税金が軽減されるかは、あなたの年収や所得税率によって変わってきます。基本的な目安としては「掛金 × 所得税率 × 1.021(復興特別所得税分を含む)」が年末調整で戻ってくる額です。さらに、翌年度の住民税が「掛金 × 10%」軽減されます。両方を合わせた合計が、iDeCoによる節税効果となります。
例えば、所得税率10%の人が毎月1.2万円(年間14.4万円)を拠出した場合、年末調整では約14,702円が戻り、翌年の住民税が14,400円減額されます。合計でおよそ29,102円の節税効果となり、実質的に手取りが増えることになります。所得税率が高い人ほど、この効果はさらに大きくなります。
年末調整で精算されるのは所得税と復興特別所得税の部分だけです。住民税の軽減は翌年度から反映され、多くの場合6月以降の給与明細で月割の減額が確認できます。なお、年末調整に間に合わなかった場合や年の途中で退職した場合は、確定申告を行えば控除を受けられます。
実際に自分で計算する場合は、まずその年の掛金合計額を出し、次に自分の課税所得に対応する所得税率を確認します。その数字を上記の式に当てはめることで、おおよその節税額を試算することができます。特に税率が高い層ほど効果が大きいことを覚えておくと良いでしょう。
ただし、注意点もいくつかあります。まず、iDeCoの掛金証明書を必ず年末調整時に提出することが必要です。途中加入の場合は、年内に実際に引き落とされた金額のみが対象になります。また、iDeCoを利用すると課税所得が下がるため、ふるさと納税の上限額も下がる点には気をつける必要があります。
さらに、非課税世帯や低所得層では、そもそも所得税や住民税が課されていないため、控除のメリットは小さくなります。逆に高所得層では節税効果が大きい一方、将来の受け取り時に退職所得や年金として課税される点も理解しておくことが大切です。
まとめると、iDeCoは年末調整で即座に所得税分が還付され、翌年度には住民税も減額されるため、着実に節税効果を得られる制度です。ただし、効果は人によって異なるため、自分の年収や税率を確認し、ふるさと納税など他の制度との兼ね合いも踏まえて活用すると良いでしょう。
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