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厚生年金の44年特例とはなんですか?デメリットもあると聞きましたので合わせて教えて下さい

厚生年金の44年特例とはなんですか?デメリットもあると聞きましたので合わせて教えて下さい

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2025/10/08 09:05


男性

60代

question

厚生年金の「44年特例」について詳しく知りたいです。長く働いた人ほど年金額が増える制度と聞きましたが、どのような条件で適用されるのか、通常の厚生年金と何が違うのかを理解したいです。また、デメリットがあるという話も耳にしたので、損をしないために注意すべき点もあわせて教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

厚生年金の「44年特例」は、長く働いた人が受けられる特別支給の老齢厚生年金の優遇制度です。具体的には、厚生年金の加入期間が44年以上(528か月以上)あり、退職して被保険者でなくなった人が対象となります。この条件を満たすと、通常より早く「定額部分」と呼ばれる年金を上乗せして受け取ることができます。つまり、65歳を待たずに年金の一部を前倒しで受け取れる制度です。

この特例の目的は、長期間保険料を納めた人の生活を支えることです。本来、60〜64歳の間に受け取れる特別支給の老齢厚生年金は「報酬比例部分」だけですが、44年特例に該当すると、この期間にも「定額部分」が加算され、受取額が増えます。ただし、これはあくまで前倒しであり、65歳以降の年金額が増えるわけではありません。

対象となるのは、男性では1961年4月1日まで、女性では1966年4月1日までの生まれの方です。制度は段階的に廃止されており、男性では2025年度、女性では2030年度を目安に終了します。そのため、今後利用できる人は限られています。

この特例の大きなメリットは、退職から65歳までの収入を補える点です。定年後の空白期間に安定した収入を確保できるため、生活の支えになります。また、申請手続きも基本的には事業所の退職届と連動して行われるため、特別な手続きは不要です。

一方で、デメリットもあります。まず、65歳以降の年金額は増えません。前倒しで受け取るだけなので、将来的な年金の総額が増えるわけではない点に注意が必要です。また、雇用保険の失業給付を受け取る場合は、特別支給の年金と同時に受け取ることができません。この期間は年金が全額停止され、再開までに数か月かかることもあります。さらに、再雇用などで厚生年金に再加入した場合も、特例による加算分は停止されます。

制度上の注意点としては、加入期間のカウント方法が厳格なことが挙げられます。制度をまたいだ通算はできず、月の途中で退職した場合、その月は加入月数に含まれません。44年を満たすためには、退職日を月末に設定するなど、細かい調整が必要になります。

まとめると、44年特例は長期加入者にとってメリットの大きい制度ですが、「65歳以降の年金が増えない」「失業給付や再就職との関係で支給停止になる」などの落とし穴があります。損をしないためには、退職時期や失業給付の受け方を慎重に設計し、年金事務所でシミュレーションを行うことが重要です。

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