特別支給の老齢厚生年金に、支給の最低額はありますか?
特別支給の老齢厚生年金に、支給の最低額はありますか?
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2025/12/12 10:22
男性
60代
特別支給の老齢厚生年金には、実際に受け取れる年金額に下限(最低保障額)があるのか気になっています。報酬比例部分だけの人や定額部分が付く人で金額が大きく違うと聞きましたが、受給額が極端に少なくなるケースがあるのか知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
特別支給の老齢厚生年金には、障害年金のような「最低保障額」は設けられていません。仕組み上、報酬比例部分は加入期間と標準報酬に応じてそのまま計算されるため、極端に低い金額になるケースも実際に起こり得ます。
まず、受給額が小さくなる典型例は「厚生年金の加入期間が短い」「標準報酬が低い」場合です。例えば短期間だけ厚生年金に加入していた人や、パート勤務で標準報酬月額が低かった人は、報酬比例部分の年金額が数千円〜数万円レベルにとどまる可能性があります。
また、昭和36年4月2日以降生まれの方は特別支給に「定額部分」が付かないため、報酬比例部分だけとなり特に金額が小さくなりやすい点も注意が必要です。
さらに、60〜64歳で働きながら受給する場合は、在職老齢年金の調整により支給額が一部または全額停止となり、受給権があっても実際の振込がゼロになるケースもあります。ただしこれは「最低保障がない」こととは別の仕組みです。
自分の受給額がどの程度かは、ねんきん定期便・ねんきんネット・年金事務所での試算で確認できます。加入期間・報酬・生年月日により大きく変わるため、早めの確認が安心につながります。
「自分の場合の想定額を知りたい」「60代の家計設計をどう組めばよいか不安」という方は、投資のコンシェルジュの無料相談で、年金見込み額と老後資金計画をまとめて整理できますのでお気軽にご利用ください。
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