年金をもらいながら働いて給与もある場合確定申告しないとどうなりますか?
年金をもらいながら働いて給与もある場合確定申告しないとどうなりますか?
回答受付中
0
2025/10/07 09:09
男性
60代
定年退職後も再雇用などで働きながら年金を受け取る予定ですが、このような場合に確定申告は必要なでしょうか?それとも年末調整で済むのでしょうか。仮に確定申告をしなかった場合にどのような不利益があるのか知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
年金を受け取りながら働いて給与もある場合、多くの人は確定申告が必要になります。特に、勤務先が2か所以上ある、年末調整されていない給与がある、または給与以外の所得(年金など)が20万円を超える場合は申告が必要です。給与収入が2,000万円を超える場合や、医療費控除・ふるさと納税の控除など年末調整で処理できない控除を受けたい場合も、確定申告を行う必要があります。
一方で、主たる勤務先で年末調整が済み、年金など給与以外の所得が20万円以下の場合は、所得税の確定申告を省略できることがあります。ただし、住民税にはこの20万円ルールが適用されないため、市区町村への住民税申告が必要となる場合があります。
確定申告をしないと、不足税額が生じた場合に無申告加算税や延滞税が課されることがあります。悪質と判断されると重加算税の対象にもなります。また、控除を申告しないことで本来受けられるはずの還付金を逃す可能性もあります。医療費控除や寄附金控除などは、申告をしなければ適用されず、税金を多く払いすぎることになるため注意が必要です。
さらに、申告の有無は翌年の住民税や国民健康保険料の金額にも影響します。年金と給与を合わせた正しい所得が報告されないと、税金や保険料の計算がずれてしまうことがあります。
申告の際は、給与と年金の源泉徴収票を準備し、生命保険料控除証明書や寄附金受領証などの控除証明書も揃えておきましょう。e-Taxを使えば簡単に提出でき、還付がある場合は早めの申告でスムーズに受け取れます。
年金と給与を合わせて所得を整理することで、正確な税額計算と控除の最適化が可能になります。たとえ20万円ルールに該当して申告を省略できる場合でも、住民税や控除の面から見て申告した方が有利なことが多いため、基本的には確定申告を行うのが安心です。
関連記事
関連する専門用語
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
年末調整
年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税の額を、年末に雇用主が計算し直して精算する手続きのことです。通常、毎月の給与からあらかじめ見込みで所得税が源泉徴収されていますが、年末に実際の収入や各種控除(配偶者控除、扶養控除、保険料控除など)を反映させて正確な税額を算出し、過不足を調整します。 税金を払いすぎていた場合には還付され、足りなかった場合は追加で徴収されることがあります。年末調整によって、多くの給与所得者は確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっており、手間の軽減と課税の公平性を両立させる重要な制度です。ただし、自営業者や副業収入がある人、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人などは、年末調整だけでは対応できず、別途確定申告が必要になります。
住民税
住民税は、居住地の自治体(市区町村および都道府県)に納める地方税で、地域の行政サービスを賄うために使われます。住民税は「所得割」と「均等割」の2つで構成されます。 所得割は、前年の所得に基づき一律の税率(多くの場合10%)で計算されます。一方、均等割は所得に関わらず一律の金額(全国基準では年額5,000円程度)を納める部分です。 住民税は、所得税のような累進課税ではなく比例課税が基本で、納税額は所得や扶養状況などにより異なります。また、住民税は原則として前年の所得に基づき計算されるため、納税は翌年度に行われます。これにより、地域社会の運営を支える重要な財源となっています。
無申告加算税
無申告加算税とは、税務上の義務があるにもかかわらず、期限までに確定申告をしなかった場合に課されるペナルティの税金です。例えば、所得税や法人税などを申告せずに放置していた場合、税務署からの指摘によって税額が決定されると、その税金に加えて無申告加算税が上乗せされることになります。 この加算税の目的は、申告制度の公平性を保つことと、期限内に正しく申告することを促すためです。通常の税率は原則15%ですが、期限後に自主的に申告を行っていた場合など一定の条件を満たすと10%に軽減されることがあります。反対に、悪質な場合はより重い加算税が課されることもあるため、申告の遅れには十分注意が必要です。
延滞税
延滞税は、所得税や住民税などの国税を法定納期限までに納めなかった場合に、自動的に課される「利息」に相当する追加負担です。 未納期間の日数に応じて年率がかかり、納期限の翌日から2か月までは原則として特例基準割合+1%、それ以降は+7.3%(いずれも年度ごとに見直し)と段階的に高くなるため、放置すると負担が膨らみやすい点が特徴です。 修正申告や期限後申告で不足税額が判明した場合も、その納期限からさかのぼって延滞税が計算されるため、投資取引の計上漏れなどに気付いたら早めに対応することが節税につながります。
20万円ルール
20万円ルールとは、給与所得者が副業や投資などで得た所得が年間で20万円以下の場合には、確定申告をしなくてもよいとされる税務上の取り扱いのことを指します。 これは、会社員などが本業の給与所得以外に小さな副収入を得るケースが増えていることを踏まえ、少額の所得について申告義務を免除する仕組みです。ただし、住民税の申告は必要になる場合があり、また医療費控除など他の理由で確定申告を行う場合には、この副収入も合わせて申告しなければなりません。投資初心者にとっては、「副業や投資の利益が少額なら確定申告が不要になる特例」と理解するとわかりやすいでしょう。




