プライベートエクイティ投資とはどのようなものですか?
プライベートエクイティ投資とはどのようなものですか?
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2025/09/22 09:25
男性
40代
プライベートエクイティ投資について詳しく知りたいです。非上場企業への投資と聞きますが、具体的にどのような仕組みで行われるのか、リスクやリターンはどの程度見込めるのかがよく分かりません。どのような人や場面で活用される投資手法なのか、分かりやすく教えていただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
プライベートエクイティ投資は、非上場企業に資金を投じ、企業価値を高めて数年後の売却益を狙う長期投資です。高いリターンが期待できる一方で、資金が長期間拘束される流動性リスクや、運用者の力量による成果の差が大きい点に注意が必要です。
この投資は主にファンドを通じて行われます。投資家は拠出約束額を決め、運用者から資金の呼び出しに応じます。ファンドの存続期間は一般に10年前後で、評価指標としてIRRやMOICが使われます。
戦略は、成熟企業の買収を通じた収益改善を狙うバイアウト、成長企業への出資を行うグロース、創業期のベンチャー投資、既存ファンド持分の売買を行うセカンダリー、再生を目的とするディストレストなど多様です。いずれも企業の成長や再編を通じて価値を高めることが本質です。
リスクとしては、資金が途中で解約できない非流動性、レバレッジによる金利上昇や景気後退の影響、評価の遅れなどがあります。また、手数料や成功報酬が発生するため、実質的な投資家の取り分を確認することが欠かせません。
個人投資家が参加する方法には、本格的なLP出資のほか、少額化されたファンド・オブ・ファンズやPE関連投資信託などがあります。ただし、費用の多層化や市場価格の変動といった別のリスクも考慮が必要です。
実際に検討する際は、全体資産の中で長期に拘束してよい割合を見極め、地域や戦略を分散させ、複数年にわたって投資することでリスクを和らげます。さらに、運用者の実績や体制、投資プロセスを慎重に確認することが重要です。
まとめると、プライベートエクイティ投資は長期的な企業価値創造に基づき高リターンを狙える資産クラスですが、非流動性とリスクが大きいため、資産配分やリスク許容度を踏まえた上で慎重に検討することが不可欠です。
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