新NISAの非課税枠は売却後すぐ復活しますか?
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2024/05/30 11:56
男性
40代
旧NISAでは一度投資をすると、非課税枠が復活しなかったため、保有し続けるか利確して非課税枠を諦めるかの2択でした。しかし、新NISAでは、非課税枠が再利用できると聞きました。非課税枠の再利用とはどんな仕組みですか?投資信託などを売却したらすぐ枠が戻って新たに資産を購入できるようになるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
旧NISAでは、一度投資商品を購入すると、その分の非課税枠は使い切り扱いになり、売却しても枠が戻ることはありませんでした。つまり、「そのまま保有を続けるか」「利確して非課税枠を手放すか」という二択でした。
一方、新NISAでは、売却後に非課税枠が再利用できる仕組みが導入されています。成長投資枠・つみたて投資枠のいずれも、商品を売却すると購入時の金額(簿価)と同額の非課税枠が、翌年の1月1日に自動で復活します。
たとえば、2024年3月に成長投資枠で投資信託を120万円分購入し、同年5月に売却した場合、この120万円分の枠は2025年から再び使えるようになるということです。復活額は購入額ベースのため、売却時の損益には左右されません(簿価残高方式)。
ここで注意したいのが、「年間の投資上限」は変わらない点です。たとえ前年に売却して非課税枠が復活していても、翌年に使える金額は成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円までに限られます。復活した枠が、これに上乗せされて増えるわけではありません。
この非課税枠の再利用メリットが真に効いてくるのは、生涯投資枠(成長投資枠1,200万円・つみたて投資枠600万円)の残高が少なくなってきた頃です。年間上限いっぱいに投資しても、枠が足りなくなるのは最短で5年後以降。焦らず、自分のペースで活用していくことが大切です。
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NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
非課税枠
非課税枠とは、税金が課されない金額の上限を指し、様々な税制に適用される制度。 例えば相続税では基礎控除額として「3,000万円+600万円×法定相続人数」が非課税枠となる。贈与税では年間110万円までの贈与が非課税。また、NISA(少額投資非課税制度)では年間の投資上限額に対する運用益が非課税となる。 このような非課税枠は、税負担の軽減や特定の政策目的(資産形成促進など)のために設定されており、納税者にとって税金対策の重要な要素となっている。
成長投資枠
新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。
簿価
簿価(帳簿価額)とは、資産を取得した時点で会計帳簿に記録した価額、あるいは取得後に減価償却や評価替えを行った後の帳簿上の残存価額を指します。株式や債券の取得原価、不動産や設備の償却後残高など、資産の「会計上の基準点」となる数値であり、企業の財務諸表では貸借対照表(B/S)の資産項目に表示されます。 簿価は取得原価主義を前提とするため、市場価格(時価)とは乖離する場合があります。たとえば100万円で購入した上場株式の帳簿価額がそのまま100万円で残っていても、現在の市場価格が150万円なら50万円の含み益、70万円なら30万円の含み損が生じている計算です。この差は売却して初めて実現損益として確定しますが、運用状況の把握や税務計算の前提として簿価を基準にすることが多い点は押さえておきましょう。 実務上、簿価が変動する代表例は二つあります。一つ目は減価償却で、建物や設備など耐用年数のある固定資産は会計期間ごとに計画的に簿価を減らします。二つ目は簿価切り下げ(評価損)で、時価の大幅下落などによって資産価値の回復が見込めないと判断されると、簿価を減額処理するケースがあります。いずれの場合も、財務指標や利益計算に影響を与えるため、投資家は簿価と時価の双方を意識して企業の財務健全性や投資パフォーマンスを評価する必要があります。 個人投資の観点では、簿価は「取得原価=税務上のコスト」と同義となることが多く、売却益に対する課税額を計算する際のベースになります。長期保有資産ほど時価との乖離が大きくなりやすいことから、簿価と時価の差を定期的に確認し、含み益・含み損の管理やリバランス、損益通算などの税務戦略に生かすと効果的です。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。