退職金は受け取り方で税額が変わると聞きました。節税する方法はありますか?
退職金は受け取り方で税額が変わると聞きました。節税する方法はありますか?
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2024/07/22 18:28
男性
60代
最近、55歳で早期退職をするか、65歳で定年退職をするか考えはじめ、それに伴ってライフプランも検討し始めました。企業型DCと退職金が資金計画において大きなウェイトを占めています。退職金は受け取り方によって、税額や手取り額が変わるという話を聞きました。極力節税し、手取り額を大きくしたいと考えています。よい方法はありますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
退職金の手取りを最大化する鍵は、退職所得控除をいかに無駄なく使うかです。退職金には「5年ルール」、確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)には「19年ルール」があり、重複期間分の控除が調整される点に注意してください。
55歳で早期退職する場合
たとえば23歳入社・勤続32年なら退職所得控除は 800万円+70万円×12年=1,640万円です。課税対象額は「退職金−1,640万円」を2で割った金額となり、控除枠内なら税負担は発生しません。55歳時点では企業型DCを直接受け取れないため、60歳以降にiDeCoとして受給しますが、一時金で受け取ると19年ルールにより控除が減る恐れがあります。
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60歳から分割年金で受給する
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75歳以降に一時金で受給して19年ルールを外す
などを比較検討しましょう。
65歳で定年退職する場合
勤続42年なら退職所得控除は2,340万円です。企業型DCを60歳で一時金受給すると、その時点(勤続37年相当)の控除1,990万円を使えます。そのうえで退職金を5年以上空けて(5年ルール)65歳で受け取れば、双方で控除を満額活用でき、税負担を大幅に抑えられる可能性が高まります。
最適な受取方法は退職金額やDC残高、年金・社会保険料負担、ライフプランによって変わります。退職所得控除のシミュレーションとキャッシュフローを照らし合わせ、具体的な数値で専門家にご相談されることを強くおすすめします。
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退職金
退職金とは、長年勤務した従業員が退職する際に企業から支給される一時金のことです。その金額は、勤務年数や役職、企業の規模や方針などによって決まり、退職後の生活を支える目的で支給されます。また、従業員にとっては将来への安心感を得るための制度であり、企業にとっては長年の貢献に対する感謝の意を示すとともに、円滑な人事の移行を促す役割も果たします。 退職金は、通常の給与とは異なり、特別な支払いとして扱われるため、税金の計算方法も異なります。一定の条件を満たすと税優遇措置が適用され、受け取る金額に対する税負担が軽減されることがあります。そのため、退職金を受け取る際には、税制や受け取り方法について事前に確認しておくことが大切です。 退職金の制度や金額の決め方は、企業の就業規則や雇用契約によって定められています。また、一括で受け取る方法と分割して受け取る方法があり、運用方法によっては老後の資産形成にも活用できます。退職金をどのように管理・運用するかは、将来の生活設計に大きく影響するため、計画的に活用することが重要です。
退職所得控除
退職所得控除とは、退職金を受け取る際に税金を軽くしてくれる制度です。長く働いた人ほど、退職金のうち税金がかからない金額が大きくなり、結果として納める税金が少なくなります。この制度は、長年の勤続に対する国からの優遇措置として設けられています。 控除額は勤続年数によって決まり、たとえば勤続年数が20年以下の場合は1年あたり40万円、20年を超える部分については1年あたり70万円が控除されます。最低でも80万円は控除される仕組みです。たとえば、30年間勤めた場合、最初の20年で800万円(20年×40万円)、残りの10年で700万円(10年×70万円)、合計で1,500万円が控除されます。この金額以下の退職金であれば、原則として税金がかかりません。 さらに、退職所得控除を差し引いた後の金額についても、全額が課税対象になるわけではありません。実際には、その半分の金額が所得とみなされて、そこに所得税や住民税がかかるため、税負担がさらに抑えられる仕組みになっています。 ただし、この退職所得控除の制度は、将来的に変更される可能性もあります。税制は社会情勢や政策の方向性に応じて見直されることがあるため、現在の内容が今後も続くとは限りません。退職金の受け取り方や老後の資産設計を考える際には、最新の制度を確認することが大切です。
企業型確定拠出年金 (企業型DC)
「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。





