特別支給の老齢厚生年金のデメリットはなんですか?
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2025/08/21 09:08
男性
60代
特別支給の老齢厚生年金をもらうと、どんな不利な点や注意点があるのでしょうか?たとえば、働きながら受け取ると減らされることがあるとか、将来の年金額が少なくなる可能性があると聞きました。税金や健康保険料などのお金にも影響があるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
特別支給の老齢厚生年金には、いくつか注意すべきデメリットがあります。まず、60歳代前半で受け取れる制度ですが、働きながら受給すると「在職老齢年金」の仕組みにより、給与と年金の合計が一定額を超えると年金が一部減額されたり支給が止まることがあります。
また、受け取った年金は課税対象の所得になるため、住民税や所得税がかかり、扶養から外れると家族の税負担に影響することもあります。さらに、年金を受給することで国民健康保険料や介護保険料の算定基準に含まれるため、保険料が増える場合があります。
一方、特別支給を受け取っても、65歳以降の「老齢基礎年金」や「老齢厚生年金」が自動的に減るわけではありません。ただし、繰り上げ受給(本来65歳からの年金を早めてもらう制度)と混同しないよう注意が必要です。
なお、この特別支給は昭和36年4月1日以前生まれの人だけが対象で、受給開始年齢は生年月日により段階的に異なります。たとえば昭和28年4月2日〜昭和36年4月1日生まれの方は62歳から64歳での受給開始となり、それ以前の世代は60歳や61歳から受け取り可能です。昭和36年4月2日以降生まれの人には、この制度はなく65歳からの受給が原則です。
まとめると、特別支給の老齢厚生年金は「もらえる年齢になったら必ず得」というわけではなく、働き方や税金・保険料との関係を考えたうえで受け取りを判断することが大切です。
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特別支給の老齢厚生年金
特別支給の老齢厚生年金とは、一定の年齢以上で厚生年金に長く加入していた人が、65歳になる前から受け取ることができる特別な年金制度です。現在の年金制度では、原則として老齢厚生年金の支給開始は65歳からとなっていますが、昭和36年4月1日以前に生まれた方については、60歳から65歳までの間に特別に年金を受け取れる仕組みが設けられています。 これは制度変更の経過措置として設けられたもので、年金制度が65歳支給開始に移行する過程で、不公平が生じないようにするための配慮です。受け取れる金額は、加入期間や報酬額などによって決まり、加給年金や特別加算がつく場合もあります。現在は新たにこの制度の対象になる人はいませんが、過去に対象となった方にとっては大切な収入源となっています。
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在職老齢年金とは、年金を受け取る年齢に達していても、働いて一定以上の収入がある場合に、老齢厚生年金の支給額が調整される制度のことを指します。 具体的には、賃金や年金の合計が一定の基準を超えると、年金の一部が支給停止となる仕組みになっています。 これは、働きながら年金を受け取る人の公平性を保つための制度ですが、収入によっては年金額が減ってしまうため、退職時期や働き方を考える上で重要な要素となります。投資初心者の方にとっても、自分の将来の収入と年金の関係を理解するうえで欠かせない概念です。
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老齢基礎年金とは、日本の公的年金制度の一つで、老後の最低限の生活を支えることを目的とした年金です。一定の加入期間を満たした人が、原則として65歳から受給できます。 受給資格を得るためには、国民年金の保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間(カラ期間)を合計して10年以上の加入期間が必要です。年金額は、20歳から60歳までの40年間(480月)にわたる国民年金の加入期間に応じて決まり、満額受給には480月分の保険料納付が必要です。納付期間が不足すると、その分減額されます。 また、年金額は毎年の物価や賃金水準に応じて見直しされます。繰上げ受給(60~64歳)を選択すると減額され、繰下げ受給(66~75歳)を選択すると増額される仕組みになっています。 老齢基礎年金は、自営業者、フリーランス、会社員、公務員を問わず、日本国内に住むすべての人が加入する仕組みとなっており、老後の基本的な生活を支える重要な制度の一つです。
老齢厚生年金
老齢厚生年金とは、会社員や公務員などが厚生年金保険に加入していた期間に応じて、原則65歳から受け取ることができる公的年金です。この年金は、基礎年金である「老齢基礎年金」に上乗せされる形で支給され、収入に比例して金額が決まる仕組みになっています。つまり、働いていたときの給与が高く、加入期間が長いほど受け取れる年金額も多くなります。また、一定の要件を満たせば、配偶者などに加算される「加給年金」も含まれることがあります。老後の生活をより安定させるための重要な柱となる年金です。
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