遺族年金を受け取っている場合、介護保険料はいくらになりますか?
遺族年金を受け取っている場合、介護保険料はいくらになりますか?
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2025/10/22 09:04
男性
60代
夫が亡くなってから遺族年金を受け取っていますが、この年金にも介護保険料がかかると聞きました。実際にどのくらいの金額が引かれるのか、所得や年齢によって違いがあるのかがよく分かりません。介護保険料の計算方法や、遺族年金の受給者がどのように負担するのかを教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
遺族年金を受け取っている場合でも、介護保険料の算定には直接影響しません。なぜなら、遺族年金は「非課税年金」に分類されるため、65歳以上の第1号被保険者の保険料を決める際に用いる「課税年金収入額」には含まれないからです。
したがって、遺族年金しか収入がない人や、他の課税所得が少ない人は、住民税が非課税となり、介護保険料の段階が低く設定されることが一般的です。
介護保険料は、市区町村ごとに定められた「基準額」に所得状況に応じた係数を掛けて計算されます。この所得区分は、世帯の住民税の課税状況、本人の合計所得金額、課税対象となる年金収入をもとに判定されますが、遺族年金はこのうちどれにも含まれません。
そのため、同じ年金生活者でも、老齢年金を受け取っている人に比べ、遺族年金のみの人は介護保険料が軽くなる傾向にあります。
また、介護保険料の納付方法にも注意が必要です。年金支給額が一定額(通常1万5千円以上)ある場合は、年金から天引きされる「特別徴収」となり、少額や新規対象者などは「普通徴収」として口座振替や納付書払いになります。
一方で、40歳から64歳までの第2号被保険者(会社員や公務員など)の介護保険料は、加入している健康保険の給与や賞与額に基づいて計算されます。この場合も遺族年金は考慮されず、給与・賞与額のみで決まります。
なお、介護保険料とは別に、介護施設利用時の「補足給付」や「負担限度額認定」などでは、遺族年金を含む非課税年金も収入として扱われることがあります。このため、保険料には影響しなくても、施設利用料や助成の対象判定には関係する場合がある点に注意が必要です。
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特別徴収とは、主に所得税や住民税などを、会社や事業主が従業員の給与から天引きし、代わりに自治体や税務署へ納める仕組みのことです。従業員が自分で税金を計算して納める「普通徴収」とは異なり、給与支払いの際に自動的に差し引かれるため、納税の手間が省けるというメリットがあります。 特に住民税では、毎年6月から翌年5月までの12か月間、毎月の給与から一定額が引かれて納付されます。会社員や公務員のほとんどはこの特別徴収の仕組みによって住民税を支払っています。なお、年末調整もこの仕組みの一部として行われ、1年間の所得と控除を反映して税額が調整されます。
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普通徴収とは、住民税などの税金を自分で納付書を使って支払う方法のことです。主に自営業の方や、退職後に年金だけで生活している方などが対象になります。会社に勤めている場合は、給料から自動的に差し引かれる「特別徴収」という方法が使われますが、普通徴収では市区町村から送られてくる納付書に基づいて、本人が金融機関やコンビニなどで期日までに支払う必要があります。支払いは年4回に分かれていることが多く、自分で管理する必要があるため、納期限を忘れないように注意が必要です。
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第1号被保険者とは、日本の公的年金制度において、20歳以上60歳未満の自営業者や農業従事者、フリーランス、無職の人などが該当する国民年金の加入者区分のひとつです。会社員や公務員などのように厚生年金に加入していない人が対象で、自分で国民年金保険料を納める義務があります。 保険料は定額で、収入にかかわらず同じ金額が設定されていますが、経済的に困難な場合には免除制度や納付猶予制度を利用できることがあります。将来の年金受給の基礎となる制度であり、自分でしっかりと手続きや納付を行う必要があります。公的年金制度の中でも、自主的な加入と負担が特徴の区分です。




