産前産後休業を取得した場合、健康保険料や年金保険料は免除されますか?
産前産後休業を取得した場合、健康保険料や年金保険料は免除されますか?
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2025/09/19 09:02
女性
30代
産前産後休業を取得した場合、給与が支給されない期間があると聞きましたが、その際に健康保険料や厚生年金保険料はどうなるのか気になります。免除される制度があるのか、それとも後でまとめて支払う必要があるのか、仕組みを教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
産前産後休業を取得した場合、会社員や公務員など健康保険・厚生年金に加入している人は、休業中の保険料が免除されます。本人負担と会社負担の両方が対象で、免除期間中も被保険者資格は維持され、将来の年金額も通常どおり計算されます。つまり、不利益はありません。
免除の対象期間は「休業開始月から、終了日の翌日の属する月の前月まで」です。終了日が月末であれば、その月まで免除となります。手続きは会社が年金機構に届け出る形で行います。
在職扱いのまま免除制度が適用されるため、配偶者の扶養に入る必要はありません。健康保険の給付も通常どおり受けられます。
一方、自営業やフリーランスなど国民年金・国民健康保険に加入している人は、別の仕組みが用意されています。国民年金は出産予定月の前月から4か月分(多胎の場合は6か月分)が免除となり、将来の年金額も納付済みと同じ扱いになります。国民健康保険は2024年から産前産後期間にあたる数か月分の保険料が軽減される制度が始まりました。
なお、産休中に免除された保険料を後からまとめて支払う必要はありません。免除期間は年金制度上「納付したもの」とみなされるため、将来の年金が減る心配もありません。大切なのは、会社員の場合は勤務先に、国民健康保険・国民年金の場合は市区町村に、それぞれ必要な届出を必ず行うことです。
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国民健康保険とは、自営業者やフリーランス、退職して会社の健康保険を脱退した人、年金生活者などが加入する公的医療保険制度です。日本ではすべての国民が何らかの健康保険に加入する「国民皆保険制度」が採用されており、会社員や公務員が加入する「被用者保険」に対して、それ以外の人が加入するのがこの国民健康保険です。 市区町村が運営主体となっており、加入・脱退の手続きや保険料の納付、医療費の給付などは、住民票のある自治体で行います。保険料は前年の所得や世帯の構成に応じて決まり、原則として医療機関では医療費の3割を自己負担すれば診療を受けられます。病気やけが、出産などの際に医療費の支援を受けるための基本的な仕組みであり、フリーランスや非正規労働者にとっては重要な生活保障となる制度です。
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