米国債投資をした場合の税金支払いについて詳しく教えてください
米国債投資をした場合の税金支払いについて詳しく教えてください
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2025/09/22 09:25
男性
30代
米国債に投資した場合の税金について詳しく知りたいです。利子には米国と日本で二重に課税されるのでしょうか?手続きなども教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
米国債に投資した場合、非居住者(日本の投資家)に支払われる利子は、米国では「ポートフォリオ利子免税」という特別な制度により課税されません。そのため、基本的に米国側での源泉徴収はなく、日本で20.315%の課税が行われます。
直接米国債を保有する場合、利子や償還差益は「利子所得」、売却益は「公社債等の譲渡所得」として扱われます。特定口座(源泉あり)を利用すれば申告不要ですが、他の口座との損益通算や各種控除を活用する際には確定申告が必要です。
一方、米国籍の債券ETFを購入すると事情が異なります。ETFの分配金は形式上「配当」として扱われるため、米国で通常10%源泉徴収され、日本でも20.315%課税されます。見かけ上は二重課税ですが、日本での確定申告により外国税額控除を使えば一部を取り戻せます。さらにETFの売却益は「上場株式等の譲渡所得」に分類され、株式や投資信託と損益通算や3年間の損失繰越が可能です。
NISAを利用すれば日本での課税はゼロになりますが、米国での源泉徴収(通常10%)は残ります。完全に無税にはならない点に注意が必要です。また、外貨での取引は日本では円換算で課税され、利子や分配金は受取日の為替レート、売却益は取得時と売却時のレートで計算します。
まとめると、
- 米国債(直接保有):米国非課税(免税制度による)+日本20.315%課税
- 米国籍債券ETF:米国10%+日本20.315%(外国税額控除で調整可能)
という整理になります。
投資の仕方や口座区分で税負担は大きく変わります。特に「直接米国債かETFか」「特定口座かNISAか」で結果が異なるため、ご自身に合った最適な方法を確認することが重要です。詳しい検討には、ぜひ投資のコンシェルジュの無料相談をご活用ください。専門家が個別のケースに合わせてわかりやすくアドバイスいたします。
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ポートフォリオ利子免税
ポートフォリオ利子免税とは、アメリカ合衆国において、外国人投資家がアメリカ企業や政府などから受け取る一定の利子収入に対して、アメリカ国内での課税が免除される制度のことをいいます。 具体的には、外国人が米国の企業債や国債などの有価証券を購入し、それによって得られる利子が対象になります。この制度は、米国市場への資金流入を促す目的で設けられており、一定の条件を満たした「ポートフォリオ利子」であれば、通常かかる30%の源泉徴収税が免除されます。 ただし、利子の受け取りに関して、投資家が米国の内国法人や関連会社でないことなど、厳格な条件が定められています。投資家にとっては、税負担が軽くなるため、米国債券市場への投資を後押しするメリットがあります。
源泉徴収
源泉徴収とは、給与や報酬、利子、配当などの支払いを受ける人に代わって、支払者があらかじめ所得税を差し引き、税務署に納付する制度です。特に給与所得者の場合、会社が毎月の給与から所得税を控除し、年末調整で過不足を精算します。 この制度の目的は、税金の徴収を確実に行い、納税者の負担を軽減することです。例えば、会社員は確定申告を行わずに納税が完了するケースが多くなります。ただし、個人事業主や一定の副収入がある人は、源泉徴収された金額を基に確定申告が必要になることがあります。 また、配当金や利子の源泉徴収税率は原則20.315%(所得税15.315%+住民税5%)ですが、金融商品によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
利子所得
利子所得とは、銀行預金や債券などから得られる利息収入を指す所得区分の一つです。たとえば、定期預金の利息、国債や社債の利払い、公社債投資信託の収益分配金などが該当します。 日本では、国内で得た利子所得には原則として20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかり、金融機関があらかじめ差し引く「源泉分離課税」の方式が採られています。このため、通常は確定申告の必要がなく、利息は「手取り」で口座に入金されます。 一方、海外の銀行預金や外国債券の利息などは、国内で源泉徴収されない場合が多く、原則として「申告分離課税」により確定申告が必要となります。また、外国で課税された場合には、外国税額控除などを通じて二重課税の調整が可能です。 非課税制度としては、以下のような選択肢があります。 NISA(少額投資非課税制度):NISA口座内で保有する対象債券や債券ETF、公社債投資信託から得られる利子や分配金は非課税となります(ただし対象商品は限定されます)。 マル優(少額貯蓄非課税制度):障害者や高齢者等に限定されますが、預貯金の利子を元本350万円まで非課税にできる制度もあります。 なお、利子所得は元本の価格変動リスクが小さく、定期的なキャッシュフローを生む点で安定収入源となりますが、一方で損益通算や損失繰越ができない、インフレに弱いといったデメリットもあります。 利子所得はシンプルな金融収益でありながら、課税方式や制度の選択によって手取り額に大きな差が出る場合もあるため、正確な知識を持つことが資産運用において重要です。
キャピタルゲイン(売却益/譲渡所得)
キャピタルゲインとは、株式や不動産、投資信託などの資産を購入した価格よりも高く売却したことによって得られる利益のことです。一般的な経済用語としては「売却益」と呼ばれ、資産運用における収益のひとつとして広く使われています。日本の税法においては、このキャピタルゲインは「譲渡所得」として分類され、確定申告などで所得として扱われます。つまり、経済的な意味ではキャピタルゲインと譲渡所得は同様の概念を指しますが、前者が広義の利益、後者が課税対象としての所得という違いがあります。投資の成果を判断したり、税金を計算したりするうえで、両者の使われ方を正しく理解することが大切です。
外国税額控除
外国税額控除とは、日本に住んでいる個人や法人が、海外で所得を得てその国で税金を支払った場合に、同じ所得に対して日本でも課税される「二重課税」を避けるために、日本で支払う税金からその分を差し引くことができる制度のことをいいます。たとえば、外国株式の配当金を受け取った際に、外国で源泉徴収された税金がある場合、その金額を一定の計算に基づいて日本の所得税や法人税から控除することができます。この制度を利用することで、国際的な投資やビジネスを行う際の税負担を適正に調整できるようになります。ただし、控除できる金額には上限があり、正確な申告と証明書類の提出が必要です。資産運用や海外取引を行ううえで、知っておきたい重要な税務上の仕組みです。
損益通算
投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。





