在職老齢年金の支給停止基準額は、なぜ見直しがされるのですか?
在職老齢年金の支給停止基準額は、なぜ見直しがされるのですか?
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2025/09/16 08:44
男性
60代
2026年4月に、在職老齢年金の支給停止基準額が見直されるニュースを見ました。なぜこの支給停止基準額が見直されているのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
支給停止基準額の見直しは、高齢者が長く働き続けることを促す政策の一環です。在職老齢年金は、給与と老齢厚生年金の合計額が一定水準を超えると年金が一部停止される仕組みになっています。
しかし、この基準が厳しすぎると、働いた分だけ年金が減ってしまうため「働き損」と感じる人が増え、就労意欲を削ぐ要因となっていました。
在職老齢年金の支給停止基準額が見直される主な理由は、高齢者雇用促進の必要性、社会保障制度の持続可能性、経済情勢の変化、制度の簡素化・公平性の確保の4つに集約されます。
少子高齢化により労働力不足が深刻化する中、高齢者の就労意欲を阻害しないよう、働きながらでも年金を受け取りやすくする必要があります。従来の低い基準額では、働くことで年金が減額されるため就労を控える「年金の崖」問題が発生していました。この問題を解決するため、基準額の引き上げが行われました。
高齢者が長く働き続けることで、社会保険料の納付期間が延び、年金財政の安定化につながります。また、税収増加による財政健全化効果も期待されます。働く高齢者が増えることは、年金制度全体の支え手を増やすことにもつながります。
また、賃金水準の上昇や物価変動に合わせて、実質的な制度効果を維持するためには、年金制度の定期的な見直しが必要です。経済状況が変化する中で、基準額が据え置かれれば制度の実効性が薄れてしまうため、適切なタイミングでの調整が重要となります。
そのため政府は制度の見直しを進め、2025年度には支給停止調整額を51万円へ、2026年度には62万円へと段階的に引き上げる予定です。これにより、より多くの高齢者が減額されずに年金を受け取れるようになり、就業と年金の両立がしやすくなります。
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支給停止基準額
支給停止基準額とは、年金を受け取りながら働いて収入を得ている人の給与などが一定額を超えた場合に、公的年金の一部または全部の支給が停止される基準となる金額のことを指します。これは「在職老齢年金」という仕組みの中で定められており、高齢者が年金と給与を同時に受け取るときに調整が行われるものです。基準額を超える収入がある場合、年金の支給額が減額または停止されますが、収入が減れば再び受け取れるようになります。 制度の目的は、高齢者の就労意欲を尊重しつつ、公平に年金財政を維持することにあります。投資初心者にとっては、「働きながら年金をもらうとき、収入が多すぎると年金が一時的に減らされる仕組み」と理解するとわかりやすいでしょう。
在職老齢年金
在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)とは、年金を受け取りながら働く人の年金額を、賃金とのバランスをとるために一時的に減額または支給停止する制度です。高齢期の就労を促進しつつ、年金財政の公平性を保つことを目的としています。 対象となるのは、老齢厚生年金の受給権があり、厚生年金保険の適用事業所で報酬を受け取っている人です。具体的には、60歳以上で老齢厚生年金を受け取っている人が勤務を続けている場合に適用されます。70歳を超えると厚生年金保険料の支払い義務はなくなりますが、報酬を得ている限り、この在職老齢年金の支給停止の仕組みは引き続き適用されます。 支給停止の判定は、年金(月額)と給与・賞与の合計額が一定の基準を超えるかどうかで行われます。年金の支給額を算定する際に用いられる「基本月額」と、給与や賞与から算出される「総報酬月額相当額」を合計し、基準額(支給停止調整開始額)を上回る場合、超過分の2分の1が年金から差し引かれます。たとえば、年金10万円、給与50万円で合計60万円の場合、基準額51万円を9万円超えるため、その半分の4.5万円が支給停止となり、受け取れる年金は5.5万円になります。 基準額は制度改正により段階的に引き上げられています。2024年度までは47万円でしたが、2025年度(令和7年度)からは51万円に引き上げられました。さらに、2026年4月(令和8年4月)からは62万円に引き上げられる予定です。これにより、高齢になっても働き続ける人がより多くの年金を受け取れるようになります。 在職老齢年金には、60〜64歳を対象とする「低在老」と、65歳以上を対象とする「高在老」があります。60〜64歳の場合の基準額は28万円と低く設定されていますが、65歳以上は51万円(現行)と緩やかです。なお、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けている場合などは、年金額が追加で調整されることもあります。 在職老齢年金は「働く高齢者の所得と年金の調整」という考え方に基づく仕組みであり、年金制度の公平性と持続可能性を保ちながら、就労意欲を支える制度として位置づけられています。今後も高齢者の就労促進と制度の簡素化を目的とした見直しが進む見通しです。
老齢厚生年金
老齢厚生年金とは、会社員や公務員などが厚生年金保険に加入していた期間に応じて、原則65歳から受け取ることができる公的年金です。この年金は、基礎年金である「老齢基礎年金」に上乗せされる形で支給され、収入に比例して金額が決まる仕組みになっています。つまり、働いていたときの給与が高く、加入期間が長いほど受け取れる年金額も多くなります。また、一定の要件を満たせば、配偶者などに加算される「加給年金」も含まれることがあります。老後の生活をより安定させるための重要な柱となる年金です。






