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終身年金とは?年金を増やし老後の不安に備える方法を解説

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終身年金とは?年金を増やし老後の不安に備える方法を解説

終身年金とは?年金を増やし老後の不安に備える方法を解説

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執筆者:

公開:

2026.03.12

更新:

2026.03.12

基礎知識

公的年金は老後の土台ですが、生活費や医療・介護費、物価上昇を考えると「このままでは資金が尽きるのでは」と不安になる人も少なくありません。終身年金は長生きリスクへの備えになりますが、仕組みを誤解するとコストや流動性の面で期待とズレが生じます。この記事では、家計の不足額を起点に、終身年金の仕組みとメリット/デメリット、公的年金や取り崩し運用など他手段との比較軸、必要額と準備時期の考え方までを具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

終身年金が「長生きしても収入が途切れない仕組み」である一方、インフレ耐性や途中換金など弱点もあることを体系的に理解できます。さらに、公的年金・iDeCo・個人年金保険・運用の取り崩しといった選択肢を同じ比較軸で整理でき、自分の家計の不足額から「終身で埋めるべき範囲」と「他で備える範囲」を判断できるようになります。結果として、いくら・いつから準備すべきかの見通しを持って行動に移せます。

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目次

「老後の不安」は資産が尽きること

老後不安の中心は「資金が尽きる不安(長生きリスク)」

公的年金があっても不安が残る理由

終身年金とは何か

終身年金と確定年金・有期年金の違い

公的年金+上乗せの終身収入という捉え方

終身年金を用意するメリットは?長生きリスク対策としての価値

長生きしても「収入が続く」ことの意味

最低生活費の「土台」を固定化し、運用の自由度を残せる

終身年金を用意する7つの方法と選び方

国民年金:未納防止と加入期間の確認が土台

厚生年金:加入期間と報酬水準がカギ

企業年金(DB/DC):終身型か有期型かを点検する

国民年金基金・付加年金:自営業の終身上乗せ

iDeCo:税制優遇で老後資金を積み立て、年金受取で長期収入にする

個人年金保険:終身化の仕組みと確認ポイント

高配当株投資で「配当収入」を生活資金の一部に組み込む

必要な準備金額とタイミング|不足額から逆算する実務ステップ

不足額を見える化する(支出−見込年金=月不足)

公的年金以外の終身年金で埋める金額を決める

受取開始時期を決める

突発費(医療・介護・住まい)は別枠で確保する

できるだけ長く働き「公的年金の繰下げ」で終身年金の土台を厚くする

繰下げ受給の威力|1ヶ月遅らせるごとに0.7%、最大84%増額

損益分岐点はいつ?何歳まで生きれば得か?

働きながら繰下げる|65〜70歳の収入をどう作るか

繰下げ+民間の終身年金の組み合わせ戦略

「老後の不安」は資産が尽きること

老後の生活に不安を感じている人は、8割を超えています。生命保険文化センターの最新調査によれば、83.2%もの人が老後生活に「不安感あり」と回答しました。

では、何に不安を感じているのでしょうか。不安の中身を分解すると、大きく3つに集約できます。

主な老後の不安

  1. 資金が尽きる不安(長生きリスク):何歳まで生きるかわからないため、準備した資金で足りるのか判断できない
  2. 物価上昇による目減り:インフレが続けば、資産の実質的な購買力が下がる
  3. 医療・介護の突発費用:予測しづらい高額な出費が、計画的に積み立てた資金を一気に圧迫する

これら3つの不安のうち「資金が尽きる不安」に焦点を当て、終身年金という選択肢を軸に安心できる老後設計の考え方を整理していきます。

老後不安の中心は「資金が尽きる不安(長生きリスク)」

老後不安の本質は、「自分があと何年生きるかわからない」という点にあります。これを「長生きリスク」と呼びます。

2024年の日本人の平均寿命は、男性81.09歳、女性87.13歳です。しかし、これはあくまで平均値にすぎません。実際には、65歳時点での平均余命は男性で19.47年、女性で24.38年もあります。

さらに注目すべきは、90歳まで生存する割合が男性25.8%、女性50.2%という事実です。女性の2人に1人は90歳まで生きる計算になります。

もし80歳で資金が底をつく前提で計画を立てていたら、90歳まで生きた場合に10年分の生活費が不足します。かといって100歳まで生きる前提で準備すると、必要以上に節約した老後生活を送ることになるかもしれません。

公的年金があっても不安が残る理由

公的年金は終身で受け取れる重要な土台です。しかし、それだけでは不安が残る理由があります。

生活水準の個人差

総務省の家計調査によれば、65歳以上の夫婦(2人とも65歳以上・無職世帯)の平均消費支出は月約25.1万円とされています。一方、年金受給額は人によって大きく異なるため、この支出を年金だけで賄えるとは限りません。

住居費の差

持ち家か賃貸か、住宅ローンが残っているか、修繕費がどれくらいかかるかで、月々の負担は数万円単位で変わります。賃貸の場合、終身にわたって家賃負担が続くため、年金だけでは足りないケースが多いでしょう。

医療・介護費の個人差

健康状態によって必要な費用は大きく変動します。介護が必要になれば、月数万円から十数万円の追加負担が発生することもあります。

生命保険文化センターの「2025(令和7)年度生活保障に関する調査《速報版》」では、老後に対する不安の具体的な内容として「公的年金だけでは不十分」と答えた人が79.8%に達しました。公的年金は確かに土台ですが、個々の生活スタイルや状況に合わせて、上乗せの備えが必要になるわけです。

終身年金とは何か

終身年金とは、生きている限り一生涯にわたって年金を受け取り続けられる仕組みです。年金の受取期間に上限がないため、何歳まで生きても収入が途切れません。

公的年金である国民年金や厚生年金も、実は終身年金の代表例です。65歳から受給を開始すれば、その後90歳になっても100歳になっても、生存している限り毎月年金が支払われ続けます。

終身年金と確定年金・有期年金の違い

年金の受け取り方には、主に3つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解することで、自分に合った選択ができるようになります。

年金タイプ受取期間途中で亡くなった場合
終身年金一生涯保証期間内なら遺族が受け取り可能(保証期間付の場合)
確定年金10年・15年など一定期間残りの期間分を遺族が受け取り
有期年金一定期間かつ生存中打ち切り(保証期間付を除く)

終身年金は、被保険者が生存している限り一生涯受け取れる年金です。長生きすればするほど受取総額が増える一方、早期に亡くなると払い込んだ保険料に対して受取額が少なくなる可能性があります。

確定年金は、10年・15年といった一定期間だけ受け取れる年金です。被保険者の生死にかかわらず、設定した期間中は必ず年金が支払われます。受取期間中に亡くなっても、残りの期間分は遺族が受け取れるため、元本割れのリスクが低い点が特徴です。

有期年金は、一定期間かつ被保険者が生存している期間のみ受け取れる年金です。確定年金と似ていますが、途中で亡くなると年金が打ち切られる点が異なります。

長生きリスクへの備えを重視するなら終身年金、確実性を重視するなら確定年金という選び方が基本となるでしょう。

  1. ただし、有期年金が切れてから「今後の年金が足りない」となっても、そこから年金を増やすのは現実的ではありません。そのため、できるだけ終身年金を増やすのは、心理的な安心にもつながるのです。

公的年金+上乗せの終身収入という捉え方

老後の収入設計を考える際は、公的年金を「土台」、終身年金を「不足を埋める上乗せ」として位置づけるとわかりやすくなります。

公的年金(国民年金・厚生年金)は、すでに多くの人が加入している終身年金です。この公的年金だけで老後の生活費を賄えるかどうかは、受給額と支出のバランスで決まります。しかし、前述のとおり公的年金だけでは不十分と感じる人が約8割にのぼるのが現実です。

そこで、民間の終身年金や国民年金基金、iDeCoといった制度を活用して、公的年金に上乗せする形で終身収入を増やす発想が重要になります。

項目公的年金(国民年金・厚生年金)民間の終身年金(個人年金保険など)
加入義務強制加入任意加入
受給開始年齢原則65歳(繰上げ・繰下げ可能)商品により選択可能(60歳・65歳など)
保険料収入に応じて決定固定額または選択可能
インフレ対応物価スライド制度あり基本的になし(固定額)
破綻リスク国が運営(実質的に低い)保険会社の経営状況に依存

重要なのは、公的年金を最大限活用したうえで、不足分を民間の仕組みで補うという考え方です。後述しますが、公的年金の繰下げ受給を活用すれば、終身で受け取れる年金額を最大84%増やせる可能性もあります。

まずは公的年金でどれだけ受け取れるかを把握し、そのうえで民間の終身年金やその他の備えを組み合わせましょう。この順序で考えることが、効率的な老後設計につながります。

終身年金を用意するメリットは?長生きリスク対策としての価値

終身年金のメリットは、いつまで生きても収入が途切れないという安心感です。しかし、その価値は単なる心理的な安心だけにとどまりません。家計設計の観点から見ると、終身年金には「資金枯渇リスクの平準化」という重要な機能があります。

貯蓄を取り崩して生活する場合、残高が減っていく不安と常に向き合わなければなりません。一方、終身年金があれば、最低限の生活費は確保されるため、残りの資産を柔軟に活用できるようになります。

長生きしても「収入が続く」ことの意味

多くの方にとって効果的な長生きリスク対策は、受け取れる「終身年金」の額を増やすことです。

貯蓄だけで老後を過ごす場合と、終身年金がある場合では、精神的な負担が大きく異なります。その違いを具体的に見ていきましょう。

取り崩し運用の不確実性を理解するために、例を挙げてみます。65歳で退職し、2,000万円の貯蓄があるとしましょう。公的年金が月15万円、生活費が月25万円必要なら、月10万円の不足が生じます。

不足分を貯蓄で補う場合

不足分を貯蓄で補う場合、年間120万円ずつ減っていくため、計算上は約17年後の82歳で資金が底をつきます。しかし、前述のとおり女性の平均寿命は87歳を超えており、90歳まで生きる確率も50%以上あります。

もし90歳まで生きた場合、82歳以降の8年分、約960万円が不足します。「お金が足りなくなったらどうしよう」という不安を抱えながら、節約を強いられる生活になるかもしれません。

不足分を終身年金で補う場合

一方、月5万円の終身年金を追加で確保していた場合はどうでしょうか。月の不足額は10万円から5万円に減り、年間の取り崩し額は60万円になります。2,000万円の貯蓄は約33年持つ計算になり、98歳まで対応できます。

重要なのは、金額だけではなく「枯渇しない安心感」です。「支出<終身年金」の状況を実現できれば、経済的な安心は大きいはずです。

最低生活費の「土台」を固定化し、運用の自由度を残せる

終身年金の活用で特に有効なのが、「土台と上乗せ」の役割分担という考え方です。これは家計設計の柔軟性を高める重要な発想です。

土台部分には、変動しない安定収入を配置します。具体的には公的年金と終身年金です。これらで食費、光熱費、住居費、通信費といった固定的な生活費を賄います。

総務省の家計調査(2024年)によれば、65歳以上の夫婦(2人とも65歳以上・無職世帯)の消費支出は月約25.1万円です。内訳を見ると、食料、光熱・水道、交通・通信、保健医療といった項目で月約15万円程度は必ず発生します。

この必須の部分を終身収入で確保できれば、残りの資産は以下のような目的に柔軟に使えるようになります。

上乗せ部分の活用例

  1. 趣味や旅行などの「ゆとり支出」
  2. 医療・介護の突発費用への備え
  3. 子や孫への援助、贈与
  4. 運用による資産の成長

特に注目すべきは、運用の自由度が残せる点です。土台が安定していれば、残りの資産を株式や投資信託で運用する際も、長期的な視点を保てます。

例えば、公的年金15万円+終身年金5万円+貯蓄の取り崩し5万円=月25万円で生活する設計にしたとします。この場合、貯蓄2,000万円のうち1,500万円は運用に回し、500万円を予備的な現金として残すといった柔軟な配分が可能になります。

終身年金を用意する7つの方法と選び方

終身収入を作るルートは、一つだけではありません。公的年金から民間の個人年金保険、さらには運用による配当収入まで、複数の選択肢があります。

大切なのは、それぞれの特徴と向き不向きを理解したうえで、自分の状況に合わせて組み合わせることです。

国民年金:未納防止と加入期間の確認が土台

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金です。終身年金の土台中の土台といえます。

2026年度の満額(40年間納付した場合)は、年額約84.7万円、月額70,608円です。これは終身で受け取れるため、長生きすればするほど総受取額は増えていきます。

最も重要なのは未納を防ぐことです。保険料の納付期間が40年(480か月)に満たないと、受給額が減額されます。例えば納付期間が30年なら、満額の75%しか受け取れません。

厚生年金:加入期間と報酬水準がカギ

厚生年金は、会社員や公務員が加入する2階建て部分の年金です。国民年金に上乗せされる形で支給されるため、受給額は国民年金のみの人より大きくなります。

厚生労働省のデータ(2024年度)によれば、老齢厚生年金の平均受給月額は150,289円(老齢基礎年金を含む)です。ただし、この金額は個人差が非常に大きい点に注意が必要です。

厚生年金も終身で受け取れるうえ、国民年金と同様にインフレ対応の仕組みがあります。会社員や公務員の場合、この厚生年金が老後収入の大きな柱になるため、受給見込額の把握は必須です。

なお、年金の受給額は働き方によって異なります。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。

企業年金(DB/DC):終身型か有期型かを点検する

企業年金は、会社が従業員のために用意する私的年金です。主に「確定給付企業年金(DB)」と「企業型確定拠出年金(DC)」の2種類があります。

重要なのは、受け取り方が終身型か有期型かを確認することです。企業年金の多くは10年や15年といった確定年金(有期型)として設計されています。この場合、受取期間が終われば収入が途切れるため、終身の備えにはなりません。

一部の企業年金では終身年金を選択できるケースもありますが、確定年金より受給額が少なくなる傾向があります。自社の企業年金制度を確認し、終身収入として機能するのか、それとも期間限定の上乗せと考えるべきかを判断しましょう。

なお、企業年金の仕組みは以下の記事でも解説しています。

国民年金基金・付加年金:自営業の終身上乗せ

国民年金基金は、自営業者やフリーランスなど国民年金第1号被保険者が加入できる制度です。厚生年金がない自営業者にとって、終身年金を上乗せできる貴重な選択肢といえます。

国民年金基金は加入時の年齢と性別によって掛金額が決まり、若いうちに加入するほど掛金は割安になります。また、受給額も契約時に確定するため、将来の見通しが立てやすい点がメリットです。

付加年金は、より少額で始められる選択肢です。月400円の付加保険料を納めると、「200円×納付月数」が毎年の年金に上乗せされます。例えば20年(240か月)納付すれば、年額4.8万円が終身で上乗せされます。

厚生年金がないフリーランスや個人事業主の方にとって、国民年金基金や付加年金は有効活用できる制度です。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。

iDeCo:税制優遇で老後資金を積み立て、年金受取で長期収入にする

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出・運用し、60歳以降に受け取る私的年金制度です。20歳以上65歳未満(2027年以降は70歳未満に拡大予定)の公的年金加入者なら、原則誰でも加入できます。

iDeCoには、以下のように3段階の税制優遇があります。

  1. 拠出時:掛金全額が所得控除の対象
  2. 運用時:運用益が非課税
  3. 受取時:退職所得控除または公的年金等控除が適用

年金受取を選ぶ場合、受給期間は5年・10年・15年・20年から選べる金融機関が大半です。ただし、終身年金を選択できる金融機関もあるため、条件を確認しておきましょう。

iDeCoの仕組みや加入するメリットに関しては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

個人年金保険:終身化の仕組みと確認ポイント

個人年金保険は、民間の生命保険会社が提供する私的年金です。定期的に保険料を払い込み、一定年齢から年金を受け取る仕組みです。

終身年金を選ぶ場合、多くは「保証期間付終身年金」として提供されます。例えば「10年保証期間付終身年金」なら、受取開始から10年以内に亡くなっても、残りの期間分は遺族が受け取れます。

健康状態に自信があり、家族の長寿傾向が強い場合は終身年金が有利ですが、そうでなければ確定年金の方が無難かもしれません。契約前に複数のシミュレーションを確認し、自分の状況に合っているかを慎重に判断しましょう。

個人年金保険の受取方法やメリットなどは、こちらの記事でも解説しています。

高配当株投資で「配当収入」を生活資金の一部に組み込む

高配当株投資は、株式から得られる配当金を定期的な収入源として活用する方法です。厳密には「終身年金」ではありませんが、適切に設計すれば長期的な収入源として機能します。

例えば、配当利回り4%の株式を1,000万円分保有すれば、年間約40万円(税引前)の配当収入が得られる計算です。これを月割りにすれば、月約3.3万円の上乗せ収入になります。

  1. ただし、配当は減配・無配のリスクがあります。企業の業績が悪化すれば、配当が減らされたり、支払われなくなったりする可能性があるのです。また、株価自体も変動するため、元本割れのリスクも存在する点には注意が必要です。

高配当株投資のメリットや銘柄の選定方法などは、こちらの記事でも解説しています。あわせて参考にしてみてください。

必要な準備金額とタイミング|不足額から逆算する実務ステップ

「終身年金が大切なのはわかったけど、実際にいくら準備すればいいの?」これが多くの人が抱く疑問です。

答えは一律ではありません。必要な金額は、あなたの生活水準、受け取れる公的年金額、家族構成によって大きく変わります。しかし、計算の手順は誰でも同じです。

不足額を見える化する(支出−見込年金=月不足)

老後資金計画の第一歩は、月々の不足額を明確にすることです。以下の3ステップで計算できます。

ステップ1:老後の月々の支出を見積もる

総務省の家計調査(2024年)によれば、65歳以上の平均支出は以下のとおりです:

  • 夫婦世帯:月約28.7万円(消費支出約25.1万円+非消費支出約3.6万円)
  • 単身世帯:月約16.2万円(消費支出約14.9万円+非消費支出約1.3万円)

ただし、これはあくまで平均です。持ち家か賃貸か、趣味にどれくらい使いたいかで大きく変わります。現在の支出を基準に、老後は何が減り、何が増えるかを考えましょう。

ステップ2:受け取れる公的年金を確認する

ねんきん定期便やねんきんネットで、65歳時点の受給見込額を確認します。夫婦(2人とも65歳以上・無職世帯)世帯なら、両方の年金額を合算してください。

厚生労働省のデータ(2024年度)では、厚生年金と国民年金の平均受給額は以下のとおりでした。

  • 厚生年金受給者の平均:月150,289円(老齢基礎年金含む)
  • 国民年金のみの場合:月56,476円(満額)

最終的には、ねんきん定期便やねんきんネットなどを活用し、あなたが受け取れる年金額を確認してみてください。

ステップ3:月々の不足額を計算する

月々の不足額 は「予想支出 − 公的年金受給額」で計算します。具体的な事例で考えてみましょう。

項目ケース1会社員夫婦ケース2自営業夫婦
年金の種類夫:厚生年金
妻:国民年金
夫:国民年金
妻:国民年金
予想支出(月)25万円25万円
夫の年金(月)15万円6.8万円
妻の年金(月)6.5万円6.8万円
合計収入(月)21.5万円13.6万円
月不足額3.5万円11.4万円
年間不足額42万円136.8万円※

この不足額が、貯蓄の取り崩しや終身年金で埋めるべき金額です。ケース2のように、自営業者は不足額が大きくなりやすい傾向があります。

公的年金以外の終身年金で埋める金額を決める

不足額が明確になったら、次は「そのうち何割を終身年金で埋めるか」を決めます。不足分を公的年金以外の終身年金で埋められれば、理論上は資産寿命が尽きることはありません。

なお、年金の種類はさまざまです。以下の記事やQ&Aも参考にしながら、あなたに合った制度を活用しましょう。

受取開始時期を決める

公的年金は、60歳から75歳までの間で受け取る時期を決められます。また、企業年金やiDeCoの受取開始年齢は、60歳、65歳、70歳などから選べるケースが一般的です。受取開始時期を決める際のポイントは、以下のとおりです。

開始年齢おすすめのケース
60歳開始早期退職を予定している
公的年金受給までの生活費が不足する
健康状態に不安がある
65歳開始65歳まで働く予定がある
公的年金と同時に受け取りたい
標準的な老後設計を希望する
70歳開始70歳まで働く意欲がある
受給額を最大化したい(繰下げ効果)
健康で長生きする自信がある

公的年金の本質はリスクに備える「保険」であることを考えると、可能な範囲で繰下げ受給を検討するとよいでしょ。増額された年金は一生涯続くため、長生きリスクに備えるうえで効果的な手段です。

突発費(医療・介護・住まい)は別枠で確保する

終身年金は月々の生活費を賄うための仕組みです。しかし、老後には生活費以外の突発的な大きな支出も発生します。これらは終身年金では対応しきれないため、別枠で備える必要があります。

具体的には、医療費や介護費、持ち家のリフォーム・修繕費用などが挙げられます。これらの突発費用に対応するための方法は、以下のとおりです。

方法1:現金・預貯金で確保

最低でも生活費の1〜2年分、できれば300万〜500万円程度は流動性の高い預貯金として確保しておきましょう。これが緊急予備資金になります。

医療保険・介護保険の活用に関しては、保険料負担と保障内容のバランスを慎重に検討してください。過度な保険加入は、老後資金の準備を圧迫します。

生活防衛資金の考え方については、以下の記事も参考にしてみてください。

方法2:運用資産の一部を残す

NISAやiDeCoで積み立てた運用資産の一部を、突発費用の備えとして位置づけます。必要時に取り崩せる柔軟性を持たせるため、すべてを終身年金に投入しないことが重要です。

推奨される資産配分のイメージ

用途金額備考
緊急予備資金(現金)300万円いつでも引き出せる預貯金
終身収入の原資1,200万円国民年金基金・個人年金保険等
運用資産(柔軟)1,200万円NISA・iDeCo等。取り崩しも可能
突発費用の備え300万円医療・介護・住まいの予備費

この配分なら、土台は固めつつ、突発的な支出にも対応できます。あわせて、老後資金の準備で退職前に考えておくべきことも把握しておきましょう。

できるだけ長く働き「公的年金の繰下げ」で終身年金の土台を厚くする

民間の終身年金を準備することも大切ですが、最も確実で効果的な終身収入の増やし方があります。それは、公的年金の繰下げ受給です。

繰下げ受給とは、年金の受給開始を65歳より遅らせることで、年金額を一生涯にわたって増額する制度です。民間の終身年金と違い、追加の保険料は一切不要で、ただ受給開始を遅らせるだけで年金が増えます。

この戦略を最大限活かすには、「できるだけ長く働く」ことが鍵になります。このセクションでは、働き続けることと繰下げ受給を組み合わせた、終身収入を最大化する実践的な戦略を解説します。

繰下げ受給の威力|1ヶ月遅らせるごとに0.7%、最大84%増額

公的年金は、原則として65歳から受給開始できますが、66歳以降に遅らせることで年金額が増額されます。これが繰下げ受給です。増額率は一度確定すると、一生涯変わりません。

受給開始年齢増額率65歳時の年金が月15万円の場合
65歳(通常)0%月15万円
66歳+8.4%月16.3万円
67歳+16.8%月17.5万円
70歳+42.0%月21.3万円
75歳+84.0%月27.6万円
主な繰下げ年齢と増額率

例えば、65歳時点で月15万円の年金を、70歳まで繰り下げると、月21.3万円に増額されます。月6.3万円、年間では75.6万円もの差が生まれるのです。しかもこの増額は一生涯続きます。

追加の保険料なしで、ここまで終身収入を増やせる制度は他にありません。公的年金の繰下げ受給は、国が保証する最強の終身年金強化策といえます。

損益分岐点はいつ?何歳まで生きれば得か?

「繰下げ受給は何歳まで生きれば得なのか?」これは誰もが気になる疑問です。

65歳で受給開始した場合と、繰下げ受給した場合の累計受給額が等しくなる年齢のことです。この年齢を超えて生きれば、繰下げ受給の方が総額で得になります。

繰下げ開始年齢損益分岐点65歳時点の平均余命との比較
70歳82歳男性:84.5歳/女性:89.4歳まで生きる見込み
75歳87歳男性:84.5歳/女性:89.4歳まで生きる見込み
主な繰下げ年齢の損益分岐点

つまり、70歳まで繰り下げた場合、82歳まで生きれば元が取れます。65歳の平均余命は男性で約19.5年(84.5歳)、女性で約24.4年(89.4歳)ですから、統計的には繰下げ受給の方が有利といえます。

働きながら繰下げる|65〜70歳の収入をどう作るか

繰下げ受給の最大のハードルは、「繰下げ期間中の生活費をどう賄うか」です。この問題を解決する最も現実的な方法が、65歳以降も働き続けることです。

  1. 繰下げ期間中の生活費を稼げる:年金を受け取らなくても生活できる
  2. 貯蓄を取り崩さずに済む:老後資金を温存できる
  3. 厚生年金に加入し続ければ、年金額自体も増える:70歳まで働けば、年金額の算定基礎が増える
  4. 健康維持・社会参加にもつながる:働くことで心身の健康を保てる

繰下げ+民間の終身年金の組み合わせ戦略

公的年金の繰下げと民間の終身年金を組み合わせることも、有効な選択肢です。

期間収入源戦略のポイント
65〜70歳給与収入(メイン)
民間の終身年金(月3万〜5万円程度)
公的年金:繰下げ待機
• 給与収入で主な生活費を賄う
• 民間の終身年金で補完
• 公的年金を繰下げて増額を狙う
70歳以降公的年金(42%増額)
民間の終身年金(継続)
• 増額された公的年金を受給開始
• 民間の終身年金と合わせて手厚い終身収入を確保
• 長期的に安定した老後生活
組み合わせ戦略の考え方

民間の終身年金を検討する前に、まず公的年金の繰下げ受給を視野に入れましょう。追加の保険料なしで、終身収入を最大84%も増やせるのは、公的年金だけです。

そして、繰下げ受給を成功させる鍵は、65歳以降も働き続けることです。フルタイムでもパートタイムでも、自分に合った形で収入を確保しながら、年金を繰り下げる戦略が、最も確実で効果的な老後設計といえます。

繰下げ受給についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

この記事のまとめ

この記事では、老後不安の中心である「資金が尽きる不安」を家計の不足額として捉え直し、終身年金の仕組み、メリット/デメリット、他の備え(公的年金、iDeCo、保険、取り崩し運用)との比較軸を整理しました。次は、①老後の想定支出と見込年金を並べて月の不足額を把握し、②不足のうち終身収入で固める範囲と流動資産で備える範囲を決めましょう。不安が残る場合は、投資のコンシェルジュの関連FAQや無料相談で前提条件を確認すると、判断が早まります。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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終身年金

終身年金とは、一度受給が始まると、契約者が生きている限り年金が支給され続けるタイプの年金です。主に民間の年金保険や国民年金基金、企業年金などで採用される形式で、老後の長生きリスクに備えるための仕組みとして重視されています。たとえば、90歳まで生きた場合でも、支給は一生涯続くため、資金が尽きる心配が少なくなります。支給額は契約時に決められており、途中で変更されることは通常ありません。 資産運用の視点からは、定期的な安定収入を確保する手段として終身年金は非常に有効であり、特に退職後の生活費の柱として設計する際に重宝されます。ただし、早期に亡くなった場合は支払った保険料よりも受け取る年金総額が少なくなることもあるため、遺族保障とのバランスも検討が必要です。

確定年金

確定年金とは、あらかじめ決められた一定期間にわたり年金が支給される仕組みで、受取人が期間中に亡くなっても残りの年金が遺族へ支払われる点が特徴です。 生存期間にかかわらず給付が保証されるため、老後資金の計画が立てやすく、遺族の生活資金としても安心感があります。ただし、終身年金のように長生きリスクへの備えは十分ではないため、受取期間を超えて長生きした場合は年金が途切れる可能性があることを理解しておく必要があります。

公的年金

公的年金には「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、高齢者や障害者、遺族が生活を支えるための制度です。この制度は、現役で働く人たちが納めた保険料をもとに、年金受給者に支給する「世代間扶養」の仕組みで成り立っています。 国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。保険料を一定期間(原則10年以上)納めると、65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。また、障害を負った場合や生計を支える人が亡くなった場合には、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができます。 厚生年金は、会社員や公務員が対象の制度で、国民年金に追加で加入する形になります。保険料は給与に応じて決まり、支払った分に応じて将来の年金額も増えます。そのため、厚生年金に加入している人は、国民年金だけの人よりも多くの年金を受け取ることができ、老齢厚生年金のほかに、障害厚生年金や遺族厚生年金もあります。 公的年金の目的は、老後の生活を支えるだけでなく、病気や事故で障害を負った人や、家計を支える人を亡くした遺族を支援することにもあります。財源は、加入者が納める保険料と税金の一部で成り立っており、現役世代が高齢者を支える「賦課方式」を採用しています。しかし、少子高齢化が進むことで、この仕組みを今後も維持していくことが課題となっています。公的年金は、すべての国民が支え合い、老後の安心を確保するための重要な制度です。

繰下げ受給

繰下げ受給とは、本来65歳から支給される公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金など)の受け取り開始を自分の希望で後ろ倒しにする制度です。66歳以降、最大75歳まで1か月単位で繰り下げることができ、遅らせた月数に応じて年金額が恒久的に増えます。 増額率は1か月当たり0.7%で、10年(120か月)繰り下げた場合にはおよそ84%の上乗せとなるため、長生きするほどトータルの受取額が増えやすい仕組みです。ただし、繰下げた期間中は年金を受け取れないため、その間の生活資金や健康状態、就労収入の見通しを踏まえて慎重に検討することが大切です。

インフレ耐性

インフレ耐性とは、物価が上昇して貨幣の購買力が下がる局面でも、実質的な価値が目減りしにくい資産や投資戦略の性質を指します。たとえば、家賃収入を物価に応じて引き上げやすい不動産、価格が原材料コストに連動しやすい資源関連株式、インフレ連動債のように利払いが物価指数と連動する債券などは、インフレ耐性が高いとされます。 こうした資産をポートフォリオに組み込むことで、将来インフレが進んでも実質的な購買力を維持しやすくなり、長期的な資産形成の安定性を高める効果が期待できます。ただし、市況によってはインフレ耐性の高い資産でも短期的に価格変動が大きくなる場合があるため、目的やリスク許容度に応じて適切に分散投資を行うことが大切です。

流動性

流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。

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