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確定拠出年金の元本保証(元本確保)型は意味ある?活用できる場面と年齢別の正しい組み入れ方

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確定拠出年金の元本保証(元本確保)型は意味ある?活用できる場面と年齢別の正しい組み入れ方

確定拠出年金の元本保証(元本確保)型は意味ある?活用できる場面と年齢別の正しい組み入れ方

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執筆者:

公開:

2026.03.12

更新:

2026.03.12

資産管理

確定拠出年金(iDeCo/企業型DC)の運用商品で「元本保証型(定期預金・保険)」を選ぶべきか迷う人は多いはずです。安全に見える一方で、低金利による機会損失やインフレ、手数料負けで実質的に目減りする可能性があります。さらに受取時の税制(退職所得控除の10年ルール等)も手取りに影響します。この記事では、元本保証型の種類と特徴、向く人・向かない人、年齢別の組み入れ方と配分変更/スイッチングまで整理します。

サクッとわかる!簡単要約

元本保証型が「意味ない」と言われる理由を、定期預金型と保険型の違い、金利・コスト・インフレ・非課税メリットの観点で体系的に理解できます。さらに、残り運用期間や年齢に応じて「どの程度入れるべきか/入れないべきか」を判断する基準を持てます。読了後は、配分変更とスイッチングを使い分けながら、自分の状況に合う運用設計と受取戦略を具体的に組み立てられるようになります。

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目次

元本保証型は「意味ない」は本当か?

よくある誤解:「とりあえず安全」という選び方の落とし穴

元本保証でも避けられない2つのリスク:インフレと機会損失

「元本が守られる」=「将来の手取りが保証される」ではない

保険会社型と銀行型(定期預金型)の違い

保険会社型(積立保険・年金保険型)の特徴

銀行型(定期預金型)の特徴

確定拠出年金における元本保証型とは

最低でも1つは元本確保型商品がある

代表的な元本確保型商品の一覧

確定拠出年金制度における元本確保型の位置づけと役割

元本保証型のメリット

元本割れゼロ:掛金が必ず戻る安心感がある

相場に左右されない「確定した未来」が見えやすい

暴落時も動じない・売らずに済む心理的安定効果を得られる

元本保証型のデメリット

金利がほぼゼロ:増えない運用は手数料に負けることがある

インフレに負ける:購買力が目減りするリスク

長期で見た機会損失:複利効果を捨てているコスト

元本保証型を使わない方が合理的な人

20〜40代:複利効果を最大化できる長期運用層

退職後の生活資金に他の手段がある人

「相場が怖い」ならターゲットイヤーファンドという選択肢がある

元本保証型が合理的な選択になるケース

受取まで5年以内:価格回復期間が見込めない層

相場の下落で売ってしまう「行動リスク」が高い人

元本保証型への移行には「スイッチング」が必要:操作の流れと注意点

年齢別モデル配分例:何割を元本保証型に回すべきか

30代モデル:元本保証型0〜10%、リスク資産中心の設計

40代モデル:状況によって10〜20%を目安に段階的に調整

50代モデル:受取時期を見据えたスイッチングの進め方

元本保証型は「意味ない」は本当か?

確定拠出年金制度(以下、DC)において「元本保証型は意味ない」という意見を目にすることがあります。しかし、これは正確ではありません。問題は「選ぶかどうか」ではなく、「なぜ選ぶか」と「どう使うか」にあります。

よくある誤解:「とりあえず安全」という選び方の落とし穴

元本保証型を選ぶ理由として多いのが、「とにかく損したくない」という感覚的な判断です。

しかし、確定拠出年金の運用は数十年にわたります。その期間中に「何もしない」という選択は、大きなリスクを伴います。

元本保証型の定期預金の金利は、現在ほぼ0.2〜0.5%程度です。この水準では、積み立てても資産はほとんど増えません。「損をしない選択」が、長期では「増やす機会を失う選択」になり得るのです。

元本保証でも避けられない2つのリスク:インフレと機会損失

元本保証型には、見落とされがちな2つのリスクがあります。

リスク内容
インフレリスク物価上昇により、元本は守られても「お金の価値」が目減りする
機会損失リスク資産で得られたかもしれない運用益を受け取れない損失
元本保証型のリスク

一つ目はインフレリスクです。例えば、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、いわゆるコアCPI)では、2026年1月は前年同月比で+2.0%となっています。

仮に毎年2%の物価上昇が続いた場合、10年後には現在の100万円の購買力が約82万円相当まで目減りする計算になります。元本は守られていても、「お金の価値」は確実に下がっていきます。

二つ目は機会損失です。これは、リスク資産を運用していれば得られたかもしれない利益を、元本保証型を選んだことで受け取れなかった損失を指します。DC制度内の運用益は非課税のため、この差は長期になるほど大きく開きます。

「元本が守られる」=「将来の手取りが保証される」ではない

元本保証型を選ぶ人の多くは、「受け取る金額が決まっているから安心」と考えています。しかし、受け取り時の税制が変わると、手取り額は想定を下回ることがあります。

2025年度の税制改正により、iDeCoの一時金を受け取った後に会社の退職金を受け取る際の退職所得控除の適用ルールが、従来の「5年ルール」から「10年ルール」に変更されました。

たとえば、60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を受け取るプランは、改正後だと退職所得控除が減額され、税負担が増える可能性があります。

元本保証型で積み上げた資産であっても、受け取り方次第で手取りが変わります。「元本が守られる=将来の手取りが保証される」ではないことを、まず理解しておく必要があります。

なお、退職金や企業年金に対する税金に関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。

保険会社型と銀行型(定期預金型)の違い

元本確保型商品には、保険会社が提供する積立保険・年金保険型と、銀行が提供する定期預金型の2種類があります。

比較項目保険会社型銀行型(定期預金型)
提供機関生命保険会社銀行・信用金庫など
利率の決まり方予定利率(一定期間固定)固定金利(預入期間中)
セーフティネット生命保険契約者保護機構(責任準備金の90%)預金保険制度(元本1,000万円まで)
中途解約のリスクMVA適用により元本割れの可能性あり金利変更の場合あり
利回りの水準定期預金よりやや高い傾向低金利環境下では低水準
保険型と定期預金型の比較表

どちらも元本割れのリスクを抑えられる点は共通していますが、仕組みや特性には明確な違いがあります。自分の運用方針に合った商品を選ぶために、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

保険会社型(積立保険・年金保険型)の特徴

保険会社型は、生命保険会社が提供する商品で、契約時に設定された予定利率にもとづいて資産が積み立てられます。予定利率は一定期間ごとに見直されるものの、適用期間中は固定されるため、運用結果が安定しやすい点が特徴です。

また、生命保険契約者保護機構による保護の仕組みがあるため、万が一保険会社が破綻した場合でも、責任準備金の90%が保護されます。ただし、中途解約や商品の切り替えを行うと、市場価格調整(MVA)が適用され、元本を下回る可能性がある点には注意が必要です。

銀行型(定期預金型)の特徴

銀行型は、銀行や信用金庫などが提供する確定拠出年金専用の定期預金です。預入期間中は固定金利が適用され、満期時には元本と利息が確実に受け取れます。

また、預金保険制度の対象となるため、1金融機関あたり元本1,000万円とその利息までが保護されます。一方で、現在の低金利環境下では利率が非常に低く、実質的な資産増加はほとんど期待できません。商品の切り替え時も、満期前に解約する場合は利率が変わる点に留意が必要です。

確定拠出年金における元本保証型とは

確定拠出年金(DC)で選べる運用商品は、大きく「元本確保型」と「元本変動型」の2種類に分かれます。元本確保型とは何か、DC制度の中でどう位置づけられているかを整理します。

最低でも1つは元本確保型商品がある

DC制度には、加入者が選べる運用商品の中に「必ず1つ以上の元本確保型商品を含めなければならない」というルールがあります。これは、確定拠出年金法の省令によって定められたものです。

つまり、どの金融機関・企業型DCプランを利用していても、元本確保型商品がラインナップにゼロということはありません。

このルールが設けられている背景には、「老後資金の制度である以上、元本を守る選択肢を必ず提供する」という制度設計の考え方があります。

ただし、「選べる」ことと「選ぶべき」かどうかは別の話です。元本確保型が必ずラインナップに存在するのは、あくまで「最低限の安全網として用意されている」という位置づけです。それを積極的に活用するかどうかは、自分の年齢・運用期間・資産全体のバランスを踏まえて判断する必要があります。

代表的な元本確保型商品の一覧

元本確保型商品とは、投資したお金の元本が確保されるという意味合いがあり、銀行の定期預金や保険(生命保険の年金保険、損害保険の傷害保険)などが該当します。

具体的な商品を挙げると、以下のとおりです。

商品提供会社商品名商品種別保証期間
日本生命保険ニッセイ利率保証年金(5年保証)利率保証型生命保険5年
日本生命保険ニッセイ利率保証年金(5年・元本保証タイプ/日々設定)(愛称:みらいの希望)利率保証型生命保険5年
日本生命保険ニッセイ利率保証年金(10年保証プラス/日々設定)利率保証型生命保険10年
日本生命保険ニッセイ利率保証年金(10年保証)利率保証型生命保険10年
日本生命保険ニッセイ利率保証年金(20年保証プラス/日々設定)利率保証型生命保険20年
第一生命保険第一のつみたて年金(5年)利率保証型生命保険5年
第一生命保険第一のつみたて年金(10年)利率保証型生命保険10年
住友生命保険スミセイDC年金10年NEO利率保証型生命保険10年
住友生命保険スミセイの積立年金(利率保証型/5年)利率保証型生命保険5年
住友生命保険スミセイのスーパー積立年金(10年)利率保証型生命保険10年
住友生命保険スミセイDCたのしみ年金5年利率保証型生命保険5年
住友生命保険スミセイDCたのしみ年金10年利率保証型生命保険10年
明治安田生命保険明治安田利率保証年金(5年)利率保証型生命保険5年
明治安田生命保険明治安田利率保証年金(10年)利率保証型生命保険10年
富国生命保険フコクDC積立年金(5年)利率保証型生命保険5年
富国生命保険フコクDC積立年金(10年)利率保証型生命保険10年
大同生命保険大同の積立年金 5年利率保証型利率保証型生命保険5年
大同生命保険大同の積立年金 10年利率保証型利率保証型生命保険10年
東京海上日動火災保険東京海上日動のねんきん博士5年利率保証型積立傷害保険5年
東京海上日動火災保険東京海上日動のねんきん博士10年利率保証型積立傷害保険10年
損害保険ジャパン損保ジャパン・確定拠出年金用積立傷害保険・10年利率保証型積立傷害保険10年
損害保険ジャパン損保ジャパン・確定拠出年金用積立傷害保険・5年利率保証型積立傷害保険5年
損害保険ジャパン確定拠出年金傷害保険(損保ジャパンDC証券)利率保証型積立傷害保険5年
三井住友海上火災保険三井住友海上・積立傷害保険(5年)利率保証型積立傷害保険5年
三井住友海上火災保険三井住友海上・積立傷害保険(10年・無配当)利率保証型積立傷害保険10年
あいおいニッセイ同和損害保険あいおいニッセイ同和確定拠出年金用傷害保険(5年)利率保証型積立傷害保険5年
代表的な元本確保型商品の一覧

確定拠出年金制度における元本確保型の位置づけと役割

確定拠出年金制度における元本確保型の役割は、「リスクを取れない場面での資産の防衛」です。

ただし確定拠出年金には「原則60歳まで引き出せない」という制約があります。途中で運用商品を変更(スイッチング)する場合、定期預金を満期前に解約すると利率が普通預金並みに下がるケースがあります。

また、保険型は解約控除と呼ばれる手数料が差し引かれることもあるため、注意が必要です。

元本保証型のメリット

元本保証型には、数字には表れにくいメリットがあります。デメリットばかりが強調されがちですが、使い方次第では合理的な選択肢になります。正しく理解したうえで活用することが大切です。

元本割れゼロ:掛金が必ず戻る安心感がある

元本保証型のメリットは、積み立てた掛金が必ず戻るという点です。

iDeCoや企業型DCは、原則60歳まで資産を引き出せません。その間に相場が大きく下落しても、元本確保型であれば評価額が掛金を下回ることはありません。

これは、老後資金の「最低ライン」を確保したい人にとって、大きな意味を持ちます。たとえば、「絶対に減らせない生活防衛資金」をDC内に確保しておきたい場合、元本保証型はその役割を果たします。

リスク資産と組み合わせて一部だけ元本保証型にする、という使い方は現実的かつ合理的な戦略です。

相場に左右されない「確定した未来」が見えやすい

投資信託などの元本変動型商品は、日々価格が変動します。残高が増えたり減ったりするなかで、将来いくら受け取れるかを正確に見通すことは、専門家でも難しいことです。

一方、元本保証型は金利こそ低いものの、積み立てた掛金と利息の合計がおおよそ把握できます。「老後にいくら手元に残るか」を大まかにでも見通したい人にとって、この「確定感」は心理的な支えになります。

とくに退職まで5〜10年を切った年齢層では、残高の変動リスクより「確実に積み上げること」を優先する場面が出てきます。資産全体の一部を元本保証型に移しておくことで、受取時期に向けた見通しが立てやすくなります。

暴落時も動じない・売らずに済む心理的安定効果を得られる

投資において「長期保有が大切」とわかっていても、相場が大きく下落したときに感情的な売却をしてしまう人は少なくありません。これを行動経済学では「損失回避バイアス」と呼びます。

人は利益を得る喜びより、損失を受ける痛みを約2倍強く感じるとされており、下落局面での狼狽売りはこの心理が引き起こします。

元本保証型はその性質上、相場の暴落があっても残高への影響がありません。そのため、リスク資産と組み合わせて「DC全体の一部を元本保証型にしておく」という設計は、暴落時の精神的な緩衝材として機能します。

元本保証型のデメリット

元本保証型には明確なデメリットが3つあります。これらを正しく理解したうえで、それでも選ぶのかどうかを判断することが、後悔しない商品選びにつながります。

金利がほぼゼロ:増えない運用は手数料に負けることがある

元本保証型を選ぶと、利息がほとんど得られません。それどころか、iDeCoの場合は手数料を加入者が負担するため、得られる利息よりも手数料が上回るケースがあります(企業型DCでは加入者に手数料は発生しない)。

タイミング手数料の種類支払先金額
加入時・移換時加入・移換時手数料国民年金基金連合会2,829円(初回のみ)
毎月収納手数料国民年金基金連合会105円/月
毎月資産管理手数料事務委託先信託銀行66円/月
給付時給付手数料事務委託先信託銀行440円/回
還付時還付手数料事務委託先信託銀行1,488円/回
共通で発生する手数料

元本保証型のみで運用すると、手数料が利息を上回り、実質的に元本を少しずつ削り続ける状況になりかねません。

iDeCoで元本確保型を選択するデメリットに関しては、こちらのQ&Aも参考にしてみてください。

インフレに負ける:購買力が目減りするリスク

「元本が守られている」ことと「お金の価値が守られている」ことは、別の話です。

物価が上昇すると、同じ金額で買えるものが減ります。これがインフレリスク(物価上昇による資産の実質的な目減り)です。

2.0%の物価上昇が10年続いた場合、現在の100万円の実質的な価値は約82万円相当まで下がる計算です。元本保証型の金利程度であれば、物価上昇にはほぼ追いつけません。

確定拠出年金は60歳まで引き出せない制度であるため、積立期間中にインフレが進んでも商品を途中で売ることができません。長期でインフレが続く局面においては、元本保証型は「守っているようで、じわじわ目減りしていく」リスクをはらんでいます。

長期で見た機会損失:複利効果を捨てているコスト

元本保証型のデメリットの中で、大きな損失が機会損失です。

機会損失とは、元本保証型を選んだことで得られなかった「リスク資産を運用していれば得られたかもしれない利益」のことを指します。

確定拠出年金制度を通じて得られる運用益は非課税です。通常の投資では利益の20.315%が課税されますが、確定拠出年金では非課税のまま再投資されます。この「複利×非課税」の組み合わせは、長期になるほど資産の差を大きく広げます。

元本保証型を選ぶことは「リスクをゼロにする選択」ではなく、「複利の恩恵を手放す選択」でもあります。長期運用を前提とするDCにおいて、このコストを認識したうえで判断することが重要です。

元本保証型を使わない方が合理的な人

元本保証型が「悪い選択」なのではありません。問題は、自分の状況に合っていない使い方をすることです。以下に当てはまる人は、元本保証型に頼らない運用を検討する価値があります。

20〜40代:複利効果を最大化できる長期運用層

20〜40代の人が元本保証型を中心に選ぶことは、DCが持つメリットをを自ら手放すことになりかねません。

そのメリットとは「時間」です。DCの運用益は非課税で再投資されます。この「複利×非課税」の効果は、運用期間が長ければ長いほど大きくなります。

20〜40代の人は、相場が下落しても受取まで十分な時間があります。長期投資では、一時的な下落も時間をかけて回復する可能性が高く、元本保証型のように「機会を捨てて安全を買う」必要性は低いと言えます。

退職後の生活資金に他の手段がある人

老後の収入源がiDeCoだけではない人も、元本保証型への依存度を下げる合理的な理由があります。

具体的には、会社から退職一時金や確定給付型企業年金(DB)を受け取れる人、または公的年金の受給額が比較的多い人が該当します。これらの資金は基本的に「元本保証」に近い性質を持っています。

つまり、すでに老後の「守り」がある程度確保されている人がDCまで元本保証型にすると、資産全体が守り一色になります。本来は「攻めの枠」として活用できるDCを、守りのために使っていることになりかねません。

資産全体のバランスで考えたとき、退職金やDB・公的年金で守りが効いているなら、DCはリスク資産で「増やす役割」を担わせる設計が合理的です。

「相場が怖い」ならターゲットイヤーファンドという選択肢がある

「元本保証型に頼りたくないが、自分で資産配分を管理するのは難しい」という人には、ターゲットイヤーファンド(ライフサイクルファンドとも呼ばれます)が有効な代替手段になります。

ターゲットイヤーファンドは、あらかじめ目標となる年(ターゲットイヤー)を定め、その期日に向かって運用会社が適切な資産配分で運用する投資信託です。運用期間が長い初めのうちはリスクを取って株式に比重を置き、年数の経過とともに債券への配分を段階的に増やしていく仕組みです。

自分でスイッチングや配分変更をしなくても、年齢に応じてリスクが自動的に調整されます。「ほったらかしでもリスクを下げていける」という点で、元本保証型の代わりに機能する選択肢です。

ただし、ターゲットイヤーファンドは通常のインデックスファンドに比べて信託報酬(運用コスト)がやや高めになるケースがあります。コストと利便性のトレードオフを理解したうえで選ぶことが重要です。

元本保証型が合理的な選択になるケース

ここまでデメリットを中心に解説してきましたが、元本保証型が明確に合理的な選択になる場面があります。「誰にでも向かない」ではなく、「誰に・いつ向くか」を正確に理解することが重要です。

受取まで5年以内:価格回復期間が見込めない層

リスク資産の強みは、下落してもいつか回復する可能性があることです。しかしその「いつか」に、十分な時間が残されていない場合は話が変わります。

たとえば、受取開始まで5年以内の人は、元本保証型への移行を真剣に検討すべきタイミングです。

受取直前に大きな下落が起きると、回復を待つ時間が限られます。実際にリーマンショックのような局面では、株式市場が大きく下落し、下落前の水準に戻るまで数年単位の時間を要した例があります。受取までの残り年数が短いほど、価格回復を前提にした運用は難しくなる点に注意が必要です。

特に受け取りできる年齢に近づいてきた場合、スイッチングで利益を確保しておけば、受取前に大きな値下がりがあっても資産が減ることを回避できます。

長年の積立で資産が育っているほど、「守りへのシフト」の重要性は増します。受取5年前を一つの目安に、元本保証型の比率を段階的に引き上げていくことは合理的な戦略です。

相場の下落で売ってしまう「行動リスク」が高い人

自分のリスク許容度(どこまでの損失に耐えられるか)を客観的に把握できている人は多くありません。「暴落しても売らない」と思っていた人が、実際に資産が30%下落したときに感情的な売却をしてしまうケースは頻繁に起きます。

行動リスクとは、知識や理性ではなく感情によって誤った投資判断をしてしまうリスクのことです。これは「意志の問題」ではなく、人間の認知構造に根ざしたものです。

DC制度は原則として引き出せないため、「売ってしまう」という最悪の行動は起きにくい仕組みになっています。しかし配分変更やスイッチングによって、下落時に元本保証型へ逃げてしまうケースは実際に起きています。その後に相場が回復しても、元本保証型のままでは恩恵を受けられません。

「自分は下落局面でパニックになりやすい」と自覚している人にとっては、最初から一部を元本保証型に組み入れておく方が、感情的な操作を防ぐうえで合理的な選択になります。

元本保証型への移行には「スイッチング」が必要:操作の流れと注意点

受取時期が近づいて「リスク資産から元本保証型に移したい」と考えた場合、配分変更だけでは不十分です。この点は多くの人が混同するポイントです。

配分変更

配分変更は、「これから積み立てる掛金の振り向け先」を変える操作です。すでに積み上がった資産残高には影響しません。

スイッチング

スイッチングは、「すでに保有している資産残高そのもの」を売却して別の商品を購入する操作です。積み上がった投資信託を元本保証型に移すにはスイッチングが必要になります。

残りの運用期間が10年を切ったら、配分変更に加えてスイッチングによってすでに買い付けた資産の利益確定も検討すべきです。配分変更だけでは、既に買い付けた投資信託が大きく値下がりした場合、取り崩しまでに回復しない可能性があります。

スイッチングは手数料がかからない金融機関がほとんどですが、投資信託によっては信託財産留保額(売却コスト)が発生するケースもあります。また、売却から新しい商品の購入完了まで1〜2週間程度かかるため、急いで動こうとしても即日は反映されません。受取時期を見据えて、余裕を持ったタイミングで計画的に実行することが重要です。

年齢別モデル配分例:何割を元本保証型に回すべきか

「結局、自分はどう配分すればいいのか」という疑問を感じることもあるでしょう。以下の配分例はあくまで目安ですが、考え方の軸として活用してください。

30代モデル:元本保証型0〜10%、リスク資産中心の設計

30代は、DCの運用において有利な条件が揃っている年代です。受取まで30年前後の時間があり、複利と非課税の効果を最大限に活かせます。

この年代の基本方針は「リスク資産中心」です。元本保証型の組み入れ比率は0〜10%を目安とし、残りは国内外の株式インデックスファンドなどに配分するのが合理的です。

モデル配分例は以下のとおりです。

商品カテゴリ配分比率
国内株式インデックス30%
先進国株式インデックス50%
新興国株式インデックス10%
元本保証型(定期預金)10%

元本保証型を10%残している理由は、「暴落時の心理的な緩衝材」としての役割です。全額リスク資産にすると、下落局面で不安が大きくなり感情的な操作につながりやすいためです。「絶対に動じない」という自信がある人は0%でも構いません。

40代モデル:状況によって10〜20%を目安に段階的に調整

40代は、受取まで20年前後の時間が残っており、まだ十分に積極的な運用が可能な年代です。一方で、老後資金の「形」が徐々に見えてくる時期でもあります。

この年代の基本方針は「リスク資産主体を維持しながら、少しずつ守りの意識を持ち始める」です。元本保証型の組み入れ比率は10〜20%を目安にします。

商品カテゴリ配分比率
国内株式インデックス25%
先進国株式インデックス45%
バランス型ファンド15%
元本保証型(定期預金)15%

ただし、退職金やDBが充実している人は元本保証型を10%程度に抑え、老後資金のほとんどをiDeCoに頼る人は20%に近づけるなど、資産全体の状況に応じて調整することが重要です。

また、iDeCoの節税メリットを最大化したいという意識が強い40代は、元本保証型を低めに抑えた方が非課税の運用益が積み上がりやすくなります。

50代モデル:受取時期を見据えたスイッチングの進め方

50代は「増やす運用」から「守る運用」へシフトするフェーズです。受取開始まで10年を切ったら、元本保証型の比率を段階的に引き上げていくことを検討します。

年齢元本保証型の目安比率
50〜54歳20〜30%
55〜57歳30〜50%
58〜59歳50〜70%

一時金で受け取る予定の人は、iDeCoの受取時期と会社の退職金との受取間隔が10年未満になると控除が減額されるリスクがあります。受取方法を「一時金」にするか「年金」にするかによって税負担が変わるため、50代後半は商品の配分だけでなく受取戦略を含めて設計し直すことが重要です。

この記事のまとめ

元本保証型は一律に「意味ない」のではなく、目的と使い方次第で合理性が変わります。この記事では、保険型・定期預金型の仕組み差、低金利による機会損失やインフレ、手数料負けのリスク、そして受取時の税制(退職所得控除の10年ルール等)が手取りに与える影響を整理しました。次に、あなたの受取までの年数と資産全体の守りの量を確認し、必要に応じて配分変更とスイッチングの計画を立てましょう。不安が残る場合は制度や税務の前提を専門家に確認するのも有効です。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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確定拠出年金(DC)は、毎月いくら掛金を拠出するかをあらかじめ決め、その掛金を自分で運用して増やし、将来の受取額が運用成績によって変わる年金制度です。会社が導入する企業型と、自分で加入する個人型(iDeCo)の二つがあり、掛金は所得控除の対象になるため節税効果があります。 運用対象は投資信託や定期預金などから選べ、運用益も非課税で再投資される仕組みです。60歳以降に年金や一時金として受け取れますが、途中で自由に引き出せない点に注意が必要です。老後資金を自ら準備し、運用の成果を自分の年金額として受け取る「自助努力型」の代表的な制度となっています。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

企業型確定拠出年金 (企業型DC)

「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。

元本確保型商品

元本確保型商品とは、あらかじめ定められた条件を満たせば、投資した元本が一定期間後に全額戻ってくることが保証されている金融商品のことを指します。損失が出ないことを前提とした設計であるため、投資初心者やリスクを取りたくない方にとって、安心感のある選択肢となります。代表的なものには、定期預金型の商品や保険型商品(積立保険など)があります。 この元本確保型商品は、特に確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)において頻繁に活用される運用先の一つでもあります。確定拠出年金では、加入者自身が自分の年金資産の運用先を選ぶ必要がありますが、「元本を減らしたくない」という理由から、まずこのタイプの商品を選ぶ方も少なくありません。 ただし注意点もあります。リスクが低い代わりにリターンも限定的で、長期的に見ても資産の大幅な成長は期待しづらいという特徴があります。また、確定拠出年金では途中で解約はできませんが、スイッチング(別の商品への変更)を行った場合、商品によっては元本保証の条件が外れることもあります。そのため、「いつまで保有すれば元本が保証されるのか」といった契約条件を事前に確認することが非常に重要です。 元本確保型商品は、資産形成のスタート地点として有効ですが、ライフステージや資産形成の目的に応じて、成長型商品(株式型投信など)とのバランスも検討していくことが、将来の資産をより安定的に築くためのポイントとなります。

インフレリスク

インフレリスクとは、物価の上昇が投資の実質的な価値や収益を減少させるリスクを指します。インフレが進行すると、通貨の購買力が低下し、同じ金額で以前よりも少ない商品やサービスしか購入できなくなります。このリスクは特に固定収益をもたらす投資、例えば債券や定期預金に顕著に現れます。債券のクーポン支払いや元本返済の実質的価値が、インフレによって目減りするためです。 投資家はインフレリスクを考慮に入れてポートフォリオを構築する必要があります。たとえば、インフレに対抗するために不動産や株式などのリアルアセットに投資する方法があります。これらの資産は、インフレの環境下で価値が上昇する傾向にあるため、インフレリスクから保護する効果が期待できます。また、インフレに連動する形で利息が上昇するインフレ連動債(TIPSなど)に投資することも、インフレリスクを管理する一つの手段です。 インフレリスクは、特に長期投資の計画において重要であり、経済全体の物価水準の変動を考慮に入れながら、資産を適切に配置し、リバランスを行うことが必要です。 さらに、異なる国や地域でのインフレ率の違いにも注意を払い、グローバルな視点からポートフォリオを見直すことも有効です。このように、インフレリスクを適切に理解し、対策を講じることで、投資の目標達成に向けた戦略的な判断が可能となります。

機会損失

機会損失とは、ある選択をしたことによって、別の選択肢で得られたはずの利益を失うことを指します。例えば、低金利の預金に資金を預けている間に、高利回りの投資商品で運用する機会を逃す場合などが該当します。資産運用においては、慎重になりすぎて投資を見送ることで得られたはずのリターンを逃さないよう、適切なリスク管理を行うことが重要です。

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