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量子コンピュータ銘柄の特徴は?

量子コンピュータ銘柄の特徴は?米国や日本の注目企業や投資信託・ETFの選び方を徹底解説

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執筆者:

公開:

2025.09.29

更新:

2025.09.29

株式

量子コンピュータは、金融や製薬、素材開発など幅広い分野で「社会を変える可能性」と「高い不確実性」を併せ持つ技術です。市場では将来期待を織り込んだ株価変動が激しく、企業ごとの技術力や資金調達の持続性を見極める力が求められます。本記事では専業企業から大手テック、周辺を支える「つるはし」企業までを体系的に整理し、技術ロードマップや財務健全性の評価軸を具体的に紹介します。GoogleやIBMが2029年までの計画を示し、2030年前後の実用化が見込まれる今こそ、投資判断の土台を築く好機です

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、量子コンピュータ関連銘柄を専業・大手プラットフォーム・つるはし・ソフト企業の4類型に整理し、それぞれの投資リスクと期待値を体系的に理解できます。さらに、PSRや資金繰りなど財務面の確認ポイント、技術ロードマップや商業化の進展度合いといったKPIの活用方法を学べます。IonQの事例や2029年までの開発計画を踏まえ、ETFやNISAによる分散投資の考え方も整理され、ニュースや話題性に左右されず、冷静な判断軸を持てるようになります。

目次

そもそも量子コンピュータ銘柄とは?投資対象となる4つの企業タイプ

1. 専業ハードベンダー:量子コンピュータ本体を開発する、ハイリスク・ハイリターンな企業

2. 大手プラットフォーム企業:クラウドサービスとして量子計算を提供する巨大IT企業

3. 周辺ハード企業:開発に不可欠な部品を供給し、業績が安定している「つるはし」的企業

4. ソフトウェア・最適化・SI企業:量子計算を実用的な課題解決に応用する技術支援企業

企業タイプ別のビジネスモデルと稼ぎ方を解説

1. 専業ハード開発企業:将来性に賭ける研究開発が中心

2. 大手プラットフォーム企業:巨大な本業を基盤に先行投資

3. 周辺ハード(つるはし)企業:安定した既存事業で市場を支える

4. ソフト・SI企業:顧客の課題解決を支援する技術パートナー

いつ実用化する?|技術ロードマップから見る投資タイミング

1.量子アニーリング方式:最適化問題に特化し、先行して実用化が進む

2.量子ゲート方式:あらゆる計算を可能にするが、技術課題が残る汎用型

ブレークスルーに期待しつつ長期テーマとして扱うフェーズ

日本企業の量子コンピュータ関連銘柄の全体像と特徴

1. 中核を担う総合電機・通信企業

2. 安定性が魅力の「つるはし」関連企業

3. 実用化を拓くソフトウェア・SI企業

米国株・海外:アメリカの量子コンピュータ銘柄として注目される企業

米国株の買い方と投資対象となる3つの企業カテゴリ

代表的な専業銘柄「IonQ」の将来性を多角的に分析

大手・サプライヤー銘柄の評価方法と注意点

本命・注目銘柄の探し方|リストに頼らず自分で見抜く3つの視点

3つの重要指標(KPI)で企業の将来性を見極める

赤字成長株の価値を測る「バリュエーション」の考え方

個別株は怖い?ETF・投資信託・NISAで始める分散投資

量子コンピュータ関連ETFの選び方|構成銘柄・コストの比較ポイント

テーマ型投資信託の始め方|NISA枠を使った積立投資のメリット

どんなニュースで株価が動く?値動きの癖と情報収集のコツ

急騰・急落は当たり前|高いボラティリティ(株価変動)との付き合い方

「新しい関連会社は買い?」IPO・スピンアウト銘柄の評価ポイント

量子コンピュータ株でテンバガー(10倍株)は狙える?期待と現実

「米国株 テンバガー候補」の煽り情報に注意!鵜呑みにしないための心得

メディアの「株価10倍」見出しを冷静に受け止める方法

そもそも量子コンピュータ銘柄とは?投資対象となる4つの企業タイプ

量子コンピュータ関連銘柄とは、その技術開発や応用に関わる企業の株式を指します。投資対象は、コンピュータ本体を開発する専業企業だけでなく、周辺機器やソフトウェア企業まで多岐にわたります。ここでは、投資を考える上で知っておくべき4つの企業タイプとその特徴を解説します。

1. 専業ハードベンダー:量子コンピュータ本体を開発する、ハイリスク・ハイリターンな企業

量子コンピュータ本体(ハードウェア)の開発を専門とする企業です。創業から日が浅いスタートアップが多く、採用する技術方式も様々です。事業が研究開発フェーズにあるため株価の変動は大きいですが、技術が実用化すれば大きな成長が期待できます。米国のIonQやRigetti Computing、カナダのD-Waveなどが代表例です。

2. 大手プラットフォーム企業:クラウドサービスとして量子計算を提供する巨大IT企業

自社のクラウド基盤を通じて量子コンピュータへのアクセスを提供したり、大規模な研究プロジェクトを主導したりする巨大IT企業です。IBM、Google(Alphabet)、マイクロソフト、アマゾンなどが含まれます。量子分野以外に巨大な本業を持つため、量子技術は将来の成長に向けた投資という位置づけになります。

3. 周辺ハード企業:開発に不可欠な部品を供給し、業績が安定している「つるはし」的企業

量子コンピュータの開発や運用に不可欠な周辺機器、部品、材料などを提供する企業群です。「つるはし銘柄」とも呼ばれます。超低温冷却装置、高精度計測器、光学部品などを手掛けており、量子分野以外にも顧客基盤があるため、業績が比較的安定している点が特徴です。例えば、浜松ホトニクス(6965)やアンリツ(6754)、住友重機械工業(6312)などが挙げられます。

4. ソフトウェア・最適化・SI企業:量子計算を実用的な課題解決に応用する技術支援企業

量子アルゴリズムを開発したり、量子計算を物流や金融といった実社会の課題解決に応用したりするのを支援する企業です。NTTデータや日立製作所のような大手SIerから、QunaSysのような専門スタートアップまで様々です。実証実験で終わらずに本格導入に至るか、そして単発のプロジェクト収入から安定した継続課金モデルへ移行できるかが、企業の成長を見極める上で重要です。

企業タイプ別のビジネスモデルと稼ぎ方を解説

量子コンピュータ関連企業は、その事業内容によって収益源や成長ステージが大きく異なります。ここでは企業タイプ別に、何で収益を上げているのか、投資家としてどこに注目すべきかを解説します。ビジネスモデルの違いを理解することが、適切な銘柄選びの第一歩です。

1. 専業ハード開発企業:将来性に賭ける研究開発が中心

各社で採用する技術方式は様々ですが、製品がまだ研究開発の段階にあるという点は共通しています。主な収入源は、政府からの研究助成金や提携先からの開発受託費、クラウド経由での実験的な利用料であり、まだ本格的な製品販売による収益はありません。

将来の事業化に向けた投資フェーズであり、研究開発費がかさむため赤字経営が一般的です。そのため株価は、実際の業績よりも将来性への期待によって大きく変動する傾向があります。

2. 大手プラットフォーム企業:巨大な本業を基盤に先行投資

自社での研究開発と、クラウドサービスを通じた技術提供を両輪で進めています。例えば、IBMは自社開発した量子コンピュータをクラウド公開し、開発者コミュニティを育成しています。

直接的な収益はまだ限定的ですが、将来の技術標準を握るためのエコシステム構築や、ブランドの技術力を示す狙いがあります。収益の大部分は他の事業で成り立っており、量子部門は先行投資としての側面が強いのが実情です。

投資家にとっては、安定した本業に支えられながら、将来の量子技術という成長オプションを持つ企業と言えます。

3. 周辺ハード(つるはし)企業:安定した既存事業で市場を支える

現状、量子関連事業が売上全体に占める割合はごく僅かです。しかし、世界中で量子研究が活発化するにつれて、研究機関向けの試験装置や量子チップ用の製造装置など、関連する需要は着実に拡大しています。

これらの企業の最大の強みは、たとえ量子コンピュータのブームが一時的に停滞しても、既存事業で安定的に収益を上げられる点です。そのため、株価が短期的に急騰するような爆発力は限定的ですが、安定成長に将来の量子という付加価値を期待する中長期投資に適しています。

4. ソフト・SI企業:顧客の課題解決を支援する技術パートナー

現段階では、顧客企業の課題に合わせて個別に解決策を提案する、コンサルティング型のビジネスが中心です。例えば、製造業や金融業の顧客が量子計算を試す際には、問題設定からアルゴリズム開発、結果の解析まで一貫して支援します。そのため収益はプロジェクト単位の都度課金が中心です。

ただし一部では、クラウド上で利用できる開発ツールや最適化サービスを月額課金で提供する動きも出ています。投資の際には、こうした受託開発から自社プロダクトによる継続的な収益へ転換できるかどうかが重要な判断材料となるでしょう。

いつ実用化する?|技術ロードマップから見る投資タイミング

「量子コンピュータへの投資は早すぎないか?」という疑問は多くの投資家が抱くものです。ここでは主要な技術方式の違いと、実用化に向けた開発ロードマップを解説します。いつ、どのような形で実用化が進むのかを理解することが、適切な投資タイミングを計る上で重要になります。

1.量子アニーリング方式:最適化問題に特化し、先行して実用化が進む

組合せ最適化問題の解決に特化した計算方式です。無数の選択肢から最も効率的な答えを探し出す問題において、従来のコンピュータをはるかに超える速度を発揮する可能性を秘めています。カナダのD-Wave Systems社が商用機を開発し、金融ポートフォリオの最適化や生産スケジュールの策定など、一部の分野で既に活用が始まっています。ただし、あらゆる計算ができるわけではなく、あくまで特定の問題に特化しているため応用範囲は限られます。

2.量子ゲート方式:あらゆる計算を可能にするが、技術課題が残る汎用型

理論上は、現在私たちが使っているコンピュータのように、あらゆる計算に対応できる汎用型です。GoogleやIBMなどがこの方式の研究開発をリードしています。最大の課題は、計算エラーへの対処です。量子ビットは外部のわずかなノイズにも弱く、計算中にエラーが発生しやすいため、それを検出し訂正する「量子誤り訂正」という仕組みが不可欠とされています。現在のマシンはまだ誤り訂正機能が不十分で、NISQ(ノイズの多い中規模量子コンピュータ)と呼ばれます。NISQはクラウドで利用可能ですが、ノイズの影響で常に正確な計算結果を得るのが難しいのが現状です。

ブレークスルーに期待しつつ長期テーマとして扱うフェーズ

真の実用化は、誤り訂正機能を備えた大規模なマシン、いわゆるFTQC(誤り耐性型量子コンピュータ)の登場によって達成されると考えられています。世界中のトップ企業や研究機関がその実現を競っており、GoogleやIBMは2029年までの開発計画を公表しています。計画通りに進めば、2030年前後には実用的なマシンが登場する可能性があります。

では、投資家は今どう考えればよいのでしょうか。現在はまだFTQCに至る手前のNISQ世代であり、各社は量子ビットの数を増やし、品質を高めることに注力している段階です。投資家としては、まず現在のNISQマシンで特定分野の実用化が進むことを期待しつつ、長期的な視点で技術のブレークスルーを待つ、というスタンスが現実的です。今すぐの投資が早すぎるわけではありませんが、本格的な普及には5年から10年以上かかると見込み、長期テーマとして捉えるのがよいでしょう。

日本企業の量子コンピュータ関連銘柄の全体像と特徴

日本の量子コンピュータ関連市場は、大手企業と研究機関が連携するエコシステムが特徴です。その構造は、研究開発を主導する「中核企業」と、実用化を支える「周辺企業」という2つの柱で成り立っています。投資家は、この構造を理解することで、多様なリスク・リターンの銘柄群から自分に合った投資先を見つけやすくなります。

1. 中核を担う総合電機・通信企業

日本の量子技術開発は、NTTや富士通といった総合電機・通信分野の大手企業が牽引しています。NISAなどを通じて個人投資家にも馴染み深い銘柄ですが、事業全体に占める量子分野の割合はまだ小さく、長期的な視点での評価が求められます。

NTT:独自の「光」技術で世界をリード

通信インフラ大手ですが、研究開発部門では世界最先端の光量子コンピュータ開発を進めています。光方式は大規模化や常温動作の可能性を秘めており、自社の光通信技術を活かせる点が強みです。現在はまだ先行投資の段階ですが、将来「量子インターネット」のような構想が実現すれば、グループ全体の競争力を大きく向上させる可能性があります。

富士通:「アニーラ」と「国産機」開発の両輪

国内IT企業としてはいち早く量子計算に取り組みました。専用計算機「デジタルアニーラ」の商用化で先行する一方、理化学研究所と共同で世界最大級の国産超電導量子コンピュータ開発も進めるなど、多角的なアプローチが特徴です。量子分野への積極投資が評価されていますが、企業規模が大きいため、投資の際は本業であるDXサービスなどの成長性と合わせて判断することが重要です。

NEC・日立製作所など:本業とのシナジーを追求

NEC(6701)や日立製作所(6501)も、量子暗号や量子コンピュータの研究に参画しています。これらの企業も、株価は本業である5G関連事業やITサービス、社会インフラ事業などの動向に大きく影響されます。量子技術は、既存事業とのシナジーを生み出す将来への投資として位置付けられています。

2. 安定性が魅力の「つるはし」関連企業

量子コンピュータの研究開発を支える部品や装置を提供する企業群で、日本には世界的なシェアを持つ企業も存在します。量子分野以外にも安定した事業基盤を持つため、比較的リスクを抑えて関連市場の成長を取り込みたい投資家に向いています。

計測・試験装置:開発に不可欠な高精度測定機器

量子ビットの精密な動作確認には、高精度の計測器が不可欠です。半導体テスター世界大手のアドバンテスト(6857)などが、この分野で技術応用を進めています。本業の市場動向に業績は左右されますが、量子研究の拡大が新たな需要を生む可能性があります。

光学機器・センサー:光技術を支えるキーデバイス

光子(光の粒)を利用する量子技術には、精密なレーザーやセンサーが求められます。光センサー技術で世界トップクラスの浜松ホトニクス(6965)などの製品が、多くの研究開発現場で利用されています。半導体や医療といった他分野での需要も強く、安定した事業基盤を持っています。

クライオ技術:超電導に必須の極低温環境を提供

超電導方式の量子コンピュータには、絶対零度に近い極低温環境を作り出す冷却機が必須です。この専門分野では、住友重機械工業(6312)などが強みを持ちます。ニッチな市場ですが競合が限られるため、世界的に見ても有望なポジションを築いています。

材料・電子部品:将来の量産化を担う「隠れ関連株」

量子チップに使われる特殊な材料や、それを制御する電子部品なども将来的に需要が拡大する領域です。信越化学(4063)や村田製作所(6981)といった大手企業が関連技術を有しています。現状で株価が量子テーマで動くことは稀ですが、「隠れ関連株」として注目する価値があります。

3. 実用化を拓くソフトウェア・SI企業

開発された量子コンピュータを、製造・金融・物流といった現場の課題解決に繋げるのがソフトウェア・SI企業です。実証実験から本格導入へとビジネスが進化する最前線であり、具体的な成功事例の登場が企業の成長を左右します。

現在の収益モデルは、顧客ごとの課題解決を支援するプロジェクト単位の受託開発が中心です。しかし、今後はクラウド上で提供する月額課金制のソフトウェアなど、安定した収益モデルへ転換できるかが成長の鍵となります。投資家にとっては、企業の公開情報が限られる点が難しさですが、大手企業との協業といったニュースが将来性を見極める手掛かりになります。

米国株・海外:アメリカの量子コンピュータ銘柄として注目される企業

海外に目を向けると、量子コンピュータ関連の投資対象は日本以上に多彩です。特に米国市場では、専業スタートアップから巨大テック企業までがエコシステムを形成しており、個人投資家も直接参加できます。ここでは米国株を中心に、どのような企業に投資可能か、その特徴と選び方を解説します。

米国株の買い方と投資対象となる3つの企業カテゴリ

日本の個人投資家でも、主要なネット証券で口座を開設すれば米国株に投資できます。米国の関連銘柄は主に3つのカテゴリに大別でき、それぞれリスク・リターン特性が異なります。自身の投資スタイルに合わせてどのカテゴリに注目するかを考えましょう。

まず、米国株の購入は、米ドルへの為替交換後、ティッカーシンボルと呼ばれる銘柄ごとの記号で注文します。取引は日本時間の夜間になるため、指値注文などを活用するとよいでしょう。また、株価の変動に加えて為替の変動リスクがある点も認識しておく必要があります。

投資対象となる企業カテゴリは以下の通りです。

1.量子コンピュータ専業メーカー

開発に特化した企業で、IonQやRigetti Computingなどが代表例です。事業の成否が技術開発の進捗に直結するため、株価の変動は非常に大きいですが、成功すれば高いリターンが期待できます。技術方式も企業ごとに異なるため、個々の優位性を見極める必要があります。

2.プラットフォーム提供・クラウド連携企業

GoogleやIBM、マイクロソフトといった巨大テック企業です。自社で研究開発を行うほか、クラウドサービスとして量子コンピュータへのアクセスを提供します。基本的に安定成長株であり、量子事業は将来の付加価値と捉えるのが適切です。

3.サプライヤ・関連テクノロジー企業

開発に必要な計測器や部品などを供給する企業群です。Keysight Technologiesなどが含まれます。量子技術の発展がそのまま自社の受注増につながるかが評価のポイントとなります。

代表的な専業銘柄「IonQ」の将来性を多角的に分析

米国市場で特に注目度の高い専業メーカーがIonQ(イオンキュー)です。「将来性はあるのか?」という投資家の疑問に答えるため、同社の技術的な強み、ビジネスモデルの進捗、そして財務上の課題という3つの側面から、その実力を分析します。

IonQは、レーザーでイオンを捕捉して量子ビットに用いる「イオントラップ方式」を採用しており、業界でもトップクラスの計算精度を誇ります。ビジネスモデルは、自社開発したコンピュータをAmazon AWSなどのクラウド経由で提供し、利用料を得る形です。現代自動車やエアバスといった大手企業との共同研究も進めており、商用化で一歩リードしていると言えるでしょう。

実際に、2024年の予約受注額見込みは前年から大幅な成長を計画しており、米政府機関との契約も増えています。一方で、技術面では競合他社もビット数の拡大を進めており、IonQが今後も優位性を保てるかが注目されます。また、事業が先行投資段階のため、将来的な追加の資金調達による株式価値の希薄化リスクも考慮に入れる必要があります。

総じてIonQは、将来の業界リーダーとなる有力候補の一社と目されています。株価の変動は大きいものの、技術開発や大型契約といった節目となるニュースを確認しながら、長期的な視点で少額ずつ投資を検討するのがよいでしょう。

大手・サプライヤー銘柄の評価方法と注意点

専業メーカー以外にも、巨大プラットフォーマーや周辺技術を支えるサプライヤーも有望な投資先です。ただし、これらの企業は量子事業が全体の一部に過ぎません。本業の成長性とのバランスを見ながら、長期的な視点で評価することが重要になります。

プラットフォーム企業の評価においては、量子分野だけを理由に投資するのは合理的ではありません。むしろ、AIやクラウドといった本業の魅力に加えて、将来の成長オプションとして量子技術を持つ点を評価すべきです。短期的に量子分野の成果が株価を大きく動かすことは稀ですが、実用化が進めば大きな収益源となる可能性があります。

サプライヤー企業の評価では、量子以外の事業と、テーマとしての量子の相関関係を考えることが重要です。本業の堅調さを見た上で、量子分野での「隠れたキープレイヤー」としての価値を評価することになります。

結論として、これらの銘柄への投資は、テーマ性よりも企業本来の価値を評価するアプローチが求められます。量子技術の成功を長期的な付加価値として期待する、というバランス感覚が重要です。

本命・注目銘柄の探し方|リストに頼らず自分で見抜く3つの視点

「本命はどの銘柄か」という問いに対し、この記事では特定のリストではなく「自分で見極めるための考え方」を提示します。将来有望な企業を判断するには、技術・商業・財務という3つの観点が不可欠です。この評価方法を身につけることで、根拠のある銘柄選びが可能になります。

3つの重要指標(KPI)で企業の将来性を見極める

企業の有望性を客観的に評価するため、3つの側面に注目します。それぞれに対応する重要業績指標(KPI)があり、これらを総合的にチェックすることで、企業の強みと弱みを多角的に把握することができます。

1.技術KPI:技術的な優位性と実現性

その企業の技術が業界内でどれだけ優れているか、そして実現可能性は高いかを見極めます。注目すべき指標は、量子ビット数やエラー率、そして論文などで示される画期的な研究成果です。開発チームの質や、保有する特許なども技術力を示す重要な要素です。ただし、その優れた技術が将来的に大規模化や商用化につながるものか、という視点も忘れてはなりません。

2.商業KPI:ビジネスとして成立しているか

優れた技術も、ビジネスとして収益に結びつかなければ企業価値は高まりません。ここでは、受注残高や提携企業数、そして政府機関からの研究契約の獲得実績などが重要な判断材料となります。特に、安定的収益を示すARR(年次経常収益)の有無は、その技術が実用的な価値を持つことの証明になります。

3.財務KPI:事業を継続できる資金力

最後に、事業を継続するための財務基盤を確認します。研究開発型の企業にとって、資金の枯渇は事業の失敗を意味します。手元の現預金残高と、毎月の資金消費額から、あと何年分の活動資金があるかを確認しましょう。また、将来の増資による株式価値の希薄化リスクも考慮に入れる必要があります。

これら3つのKPIを総合的に評価することが重要です。各社に強みと弱みがあるため、自分が技術の革新性を重視するのか、あるいは着実な商業化を重視するのか、投資の軸を定めた上で判断しましょう。

赤字成長株の価値を測る「バリュエーション」の考え方

多くの関連企業が赤字であるため、PERなどの従来の株価指標は役に立ちません。ここでは、将来の成長性を評価する際に用いられる売上高を基準とした指標や、資金調達に伴うリスクをどのように株価評価に織り込むべきかを解説します。

PSR(株価売上高比率)などの指標は一つの目安になります。PSRが高いこと自体が問題なのではなく、その高い評価を正当化できるだけの将来の成長性が見込めるかどうかが重要です。また、手元資金の多さを考慮したEV/Salesという指標を用いることで、企業の財務的な安全性を評価に加えることもできます。

さらに、将来の増資による株式数の増加(希薄化)もあらかじめ想定し、現在の株価を評価する必要があります。結局のところ、新興企業の価値評価は、発表されたロードマップの実現可能性という「ストーリー」の評価に大きく依存します。その達成確度を継続的に見極めることが、投資の成否を分けるでしょう。

個別株は怖い?ETF・投資信託・NISAで始める分散投資

個別銘柄への投資はリスクが高いと感じる方でも、ETFや投資信託を活用すれば、量子コンピュータという成長テーマに分散投資が可能です。NISA枠も利用しやすく、長期的な資産形成の選択肢となります。ここでは、具体的な金融商品の選び方と注意点を解説します。

テーマ型投資信託については以下記事で、テーマ型投資信託と個別株投資の違いは以下Q&Aでも説明しています。

量子コンピュータ関連ETFの選び方|構成銘柄・コストの比較ポイント

量子コンピュータ分野に特化したETF(上場投資信託)はまだ数が限られますが、テーマ全体に手軽に投資できる魅力的な選択肢です。ここでは代表的なETFを紹介しつつ、投資する際に必ず確認すべき構成銘柄、コスト、流動性という3つのポイントを解説します。

まず、どのような銘柄に投資しているかを確認しましょう。代表的な「Defiance Quantum ETF (QTUM)」は、専業企業だけでなくGoogleやNVIDIAといった大手も含むため、「量子+AI」という広いテーマをカバーしています。自分が専業企業に集中投資したいのか、関連企業全体に網羅的に投資したいのか、目的に合ったETFを選ぶことが大切です。

次に、長期的なリターンに影響するコストを比較します。ETFには信託報酬(経費率)がかかるほか、海外ETFの場合は売買手数料や為替手数料も発生します。NISA口座を利用すれば利益は非課税になりますが、各種手数料はかかるため、事前に確認しておきましょう。

最後に、流動性(取引のしやすさ)も重要です。テーマ特化型のETFは取引量が少ない場合があるため、注意が必要です。QTUMは近年注目度が高まり流動性も改善していますが、それでも主要な指数に連動するETFに比べれば限定的です。頻繁な売買は避け、長期保有を前提に投資するのがよいでしょう。

テーマ型投資信託を選ぶ際のポイントは以下Q&Aでも説明しています。

テーマ型投資信託の始め方|NISA枠を使った積立投資のメリット

ETF以外に、投資信託を通じて関連企業に投資する方法もあります。直接的なテーマ投信は少ないですが、AI関連ファンドなどに含まれる場合があります。少額からの積立投資やNISA枠との相性が良く、コツコツ長期で資産を育てたい方に適した手法です。

投資信託の利点は、毎月一定額を自動で積み立てられる点です。これにより購入タイミングが分散され、価格変動リスクを抑える効果が期待できます。また、NISAの非課税メリットを最大限に活かすには、短期売買を避け、5年以上の長期的な視点で運用することが大切です。

ファンドを選ぶ際は、まず販売手数料が無料(ノーロード)のものを選びましょう。さらに、長期的なリターンに影響する信託報酬も必ず確認し、なるべく低コストのファンドを選ぶことが重要です。また、海外資産に投資するファンドには為替変動リスクを抑える「為替ヘッジあり」の選択肢もありますが、ヘッジコストがかかる点には留意が必要です。

ETFと投資信託のどちらを選ぶかは、ご自身の投資スタイルによります。低コストで効率的な運用を重視するならETF、手間をかけずに円建てでコツコツ積み立てたいなら投資信託が向いているでしょう。

テーマ型投資信託のメリットについては以下Q&Aでも説明しています。

どんなニュースで株価が動く?値動きの癖と情報収集のコツ

量子コンピュータ関連株は、業績よりも将来への期待で株価が動くため、ニュースへの反応が非常に敏感です。「どんな情報で株価が動くのか」を理解すれば、冷静な投資判断に繋がります。ここでは、株価変動の傾向や、新規参入企業を評価する際のポイントを解説します。

急騰・急落は当たり前|高いボラティリティ(株価変動)との付き合い方

専業の小型株を中心に、この分野の銘柄は株価の変動率(ボラティリティ)が極めて高いのが特徴です。急騰・急落を繰り返す値動きにどう向き合うべきか、感情に流されないための具体的な投資手法やメンタルの保ち方、注意すべき市場環境について解説します。

まず、株価が大きく動く背景には、まだ市場が小さく、特定のニュースに投資資金が集中しやすいという要因があります。こうした銘柄を保有する場合、日々の値動きに一喜一憂しない精神的な強さが求められます。ニュースで急騰した後の値動きなど、短期的な視点ではなく、大局的な流れに注目しましょう。

特に注意したいのが注文方法です。取引量が少ない銘柄で安易に成行注文を出すと、想定外の価格で約定するリスクがあります。事前に納得できる価格で指値注文を徹底することが重要です。

また、関連株はAIブームのような市場全体のテーマや、金利動向にも影響を受けやすいです。特に金利上昇局面では、将来の利益に期待が集まるハイテク株は売られやすくなるため注意が必要です。結論として、高い変動率と付き合うには、急騰時に一部利益を確定したり、下落時に冷静に保有を続けるなど、事前に決めたルール通りに行動することが有効です。

「新しい関連会社は買い?」IPO・スピンアウト銘柄の評価ポイント

この分野では、大学発ベンチャーや大手企業からのスピンアウトなど、新しい企業の参入が活発です。「新規上場は買いなのか?」という疑問に対し、話題性だけで判断するのではなく、その企業の真の実力を見抜くための具体的な評価ポイントを解説します。

新規参入企業を評価する際は、これまで解説した技術・商業・財務のKPIがそのまま役立ちます。例えば、投資家向け資料を読み解き、ロードマップの具体性や収支計画の現実味を吟味しましょう。特に大手企業からのスピンアウトの場合、親会社との関係性が重要です。継続的な支援が期待できるか、あるいは完全に独立して資金調達を行う必要があるのかで、安定性が大きく変わります。

加えて、中核となる研究者や技術者の経歴、そして特許などの知的財産が誰に帰属するかも重要なチェックポイントです。要するに、新しい企業に対しては「具体的に何が優れているのか」を客観的に評価する姿勢が大切です。情報が少ないうちは無理に投資せず、実績が出てくるまで待つのも賢明な戦略と言えるでしょう。

量子コンピュータ株でテンバガー(10倍株)は狙える?期待と現実

量子コンピュータは「テンバガー(10倍株)」候補として話題に上ることがあります。大きな夢がある一方、安易な期待は禁物です。ここでは、個人投資家が過度な期待に踊らされることなく、テンバガーという言葉と冷静に向き合うための具体的な考え方と注意点を解説します。

「米国株 テンバガー候補」の煽り情報に注意!鵜呑みにしないための心得

SNSやネット記事で「テンバガー候補」として紹介される銘柄には注意が必要です。その多くは単なる高リスク銘柄の紹介に過ぎません。ここでは、そうした情報に惑わされず、企業の真の実力とリスクを自分自身で見極めるための具体的な検証方法を解説します。

まず、話題になっている時点で、既に将来への期待が株価に織り込まれていると考えるべきです。一つの有効な判断基準は、株価が10倍になった場合の時価総額を計算してみることです。その企業がそれだけの価値を生み出せるか、現実的な事業規模を想像してみましょう。

また、株価が10倍になる可能性がある銘柄は、逆に10分の1になるリスクも常に内包しています。投資する際は、失っても問題ない範囲の少額に留めるべきです。結論として、テンバガーという言葉に過度に期待するのは避けましょう。革命的技術であっても、大きな成長には時間がかかります。目先の流行よりも、企業の価値が本質的にどう変化しているかに注目することが大切です。

メディアの「株価10倍」見出しを冷静に受け止める方法

経済誌などで「株価10倍も夢じゃない」といった見出しを見かけることがあります。しかし、特に時価総額の大きい企業の場合、その実現性を数字で冷静に捉え直すことが重要です。ここでは、刺激的な見出しとの距離感を保ち、過度な期待を避けるための心構えを解説します。

こうした刺激的な見出しとは、一歩引いて付き合う姿勢が求められます。例えば、数兆円規模の企業が10倍になれば、日本を代表する企業を超える時価総額になります。単一事業だけでそこまで到達するのがいかに難しいか、冷静に考える必要があります。

「株価10倍」という言葉は、あくまで投資の夢を語るキャッチコピー程度に捉えるのが健全です。話題になってから高値で飛びつき、その後の調整で損失を抱えるというのが、よくある失敗パターンです。

過度な期待を防ぐには、数字で現実を捉え直す習慣が有効です。過去の他のテーマ株の事例を教訓とし、成功する企業はごく一部であるという事実を念頭に置きましょう。常に冷静な視点を持ち、データに基づいて判断する姿勢が、長期的な成功につながります。

この記事のまとめ

量子コンピュータ関連株は、魅力的な将来性と大きなリスクが表裏一体です。まずは専業、大手プラットフォーム、つるはし、ソフトといった4つの類型を理解し、技術開発の進捗や商業化の兆し、財務基盤の強さを総合的に見極めることが重要です。個別株はボラティリティが高いため、指値や分散を意識しながら段階的に投資することが求められます。ETFやNISAを組み合わせればリスクを抑えつつ成長機会を取り込めます。判断に迷う場面では専門家に相談し、不確実性を冷静に整理して進めましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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テーマ型投資信託とは?テーマの関連企業に分散投資するアクティブファンドの仕組みを徹底解説

2025.09.24

難易度:

ポートフォリオ運用アクティブファンド投資信託・ETF

関連する専門用語

テーマ型投資信託

テーマ型投資信託は、特定のテーマやトレンドに基づいて構築されたポートフォリオを持つ投資ファンドです。これらのファンドは、技術革新、人口動態の変化、環境保護、健康増進など、特定のテーマに焦点を当てた投資を行います。投資対象は、そのテーマに直接関連する企業や業界に限られることが多く、市場全体の動向よりも、選ばれたテーマが持つ成長ポテンシャルを追求します。 テーマ型投資信託は、投資家にとって魅力的な成長セクターへの露出を提供することで、特定の経済的、社会的トレンドから利益を得る機会を提供します。これにより、従来の市場指数に依存することなく、よりダイナミックな投資戦略を展開することが可能になります。ただし、これらのファンドは、特定のテーマに依存することから、そのテーマが市場からの支持を失うとリスクが高まる可能性もあります。そのため、テーマ型投資信託に投資する際には、テーマの選定理由や将来性をよく理解し、リスク管理を徹底することが重要です。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

投資信託

投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

PER(株価収益率)

PER(株価収益率)は、企業の株価がその企業の利益と比較して割安か割高かを判断するための指標です。計算方法は「株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)」で求められ、数値が低いほど利益に対して株価が割安であることを示します。ただし、業界ごとの平均PERが異なるため、他の企業や市場全体と比較して判断することが重要です。PERが高い場合は将来の成長期待が大きいと解釈されることもありますが、過大評価されている可能性もあるため注意が必要です。

PBR(株価純資産倍率)

PBR(株価純資産倍率)とは、企業の株価が1株当たり純資産の何倍で取引されているかを示す指標です。計算式は「株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)」で求められます。PBRが1倍未満の場合、理論上は会社の解散価値よりも株価が低いとされ、割安と判断されることがあります。

PSR(株価売上高倍率)

PSRとは、企業の時価総額を年間売上高で割って求める指標で、株価が売上高に対して割高か割安かを判断するために使われます。特に利益がまだ安定していない成長企業やスタートアップ企業などを評価する際に重視されることが多いです。通常の株価指標であるPER(株価収益率)では利益が基準になりますが、PSRは売上高を基準にしているため、まだ黒字化していない企業でも比較がしやすいという特徴があります。投資初心者にとっては、企業の将来性や市場での期待値を測る参考指標として覚えておくと便利です。

ARR(Annual Recurring Revenue/年間経常収益)

ARRとは、サブスクリプション型やストック型ビジネスにおいて、1年間に繰り返し発生する収益を示す指標です。売上の中でも一時的な契約や単発の取引を除き、継続して入ってくる収益だけを年間ベースに換算して算出します。 例えば、あるサービスを月額課金で提供している場合、月間経常収益(MRR)を12倍することでARRが算出されます。ARRは企業の安定性や将来の成長余地を測るうえで投資家にとって重要な指標であり、特に成長株や新興企業の評価に使われます。資産運用の観点では、ARRが着実に拡大している企業は安定的なキャッシュフローを生みやすく、長期投資先として注目されやすいといえます。

バリュエーション

バリュエーションとは、企業や資産の「価値」を評価することを意味します。株式投資の場面では、その会社がどれくらいの価値を持っているかを数値的に判断するために使われます。たとえば、株価が高すぎるのか安すぎるのかを見極めるためには、その会社のバリュエーションを知ることが重要です。利益や売上、資産の状況などをもとに、その会社の適正な価値を算出し、現在の株価と比べて割安か割高かを判断します。投資の判断材料として非常に大切な考え方です。

IPO(Initial Public Offering/新規公開株式)

IPO(Initial Public Offering/新規公開株式)とは、未上場企業が証券取引所に株式を上場し、一般の投資家に向けて売り出すことを指します。これにより、それまでオーナーやベンチャーキャピタル(VC)など限られた株主のみが保有していた株式が、市場を通じて誰でも売買できるようになります。 企業にとってIPOは、成長資金を調達するだけでなく、知名度や信用力を向上させる手段の一つです。また、創業者やVCが投資を回収(エグジット)する機会にもなり、優秀な人材を確保するためのストックオプション制度の活用が可能になるといったメリットもあります。一方で、上場後は業績や経営方針が市場の厳しい評価を受けるため、ガバナンスの強化や継続的な成長が求められます。 IPOのプロセスは、主幹事証券の選定、証券取引所の審査、目論見書の作成、投資家向けのロードショー、仮条件の設定、公募・売出価格の決定などを経て進められます。公募価格は需要と供給をもとに決定され、上場初日に初値が形成されます。 投資家にとってIPOは、成長企業への投資機会となる一方、初値が公募価格を大きく上回ることもあれば、期待ほど上昇しない場合もあるため、市場の動向をよく見極める必要があります。また、ロックアップ期間(上場後一定期間、大株主が株を売れない規制)が解除された後に売却が増えることで、株価が下落するリスクもあるため注意が必要です。

テンバガー

テンバガーとは、株価が購入時の10倍にまで上昇した銘柄を指す投資用語です。アメリカの著名なファンドマネージャー、ピーター・リンチが著書で使ったことで広まり、野球用語の「ツーベース(two-bagger)」や「ホームラン(four-bagger)」になぞらえて「10倍打(ten-bagger)」と表現されました。 テンバガーとなる銘柄は、しばしば小型株や新興企業など、市場からまだ十分に注目されていない段階で投資された企業が、技術革新や市場拡大によって急成長する中で生まれます。ただし、大型株でも長期的に大きく成長すればテンバガーとなる可能性はあります。 狙って得られる確率は非常に低く、高いリスク許容度と長期目線での投資判断が求められます。それでもテンバガーは、多くの投資家にとって「資産形成の夢」として象徴的な存在であり、成長企業を見極める力を磨くことの重要性を示す概念でもあります。

ボラティリティ

ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。

分散投資

分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。

指値注文

指値注文とは、自分が売買したい価格をあらかじめ指定して出す注文方法のことをいいます。たとえば「この株を1,000円になったら買いたい」や「1,200円以上になったら売りたい」といったように、自分が希望する価格を指定して注文します。 指定した価格に達しない限り売買は成立しないため、思い通りの価格で取引できる一方で、注文が成立しないまま終わる可能性もあります。投資家が損失を抑えたり、利益をしっかり確保したりするために、計画的に使われる注文方法です。特に相場が急変したときに冷静に売買するための手段として、初心者にも役立つ仕組みです。

成行注文

成行注文とは、価格を指定せずにその時点での市場価格で売買を行う注文方法のことです。注文を出すと、すぐに取引が成立しやすいという特徴があります。そのため、株価が大きく動いているときや、すぐに売りたい・買いたいというときに使われます。 ただし、価格を指定しないため、想定よりも高く買ってしまったり、安く売ってしまったりすることもあり、注意が必要です。スピード重視の取引には向いていますが、価格をコントロールしたいときには他の注文方法の方が適しています。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

為替ヘッジ

為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。

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