
楽天・プラスシリーズとは?楽天証券でポイント還元される全6種の投信を徹底解説|新NISAでの買い方も紹介
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公開:
2025.10.09
更新:
2025.10.09
2023年に登場した「楽天・プラスシリーズ」は、業界最安水準の信託報酬を掲げ、多くの投資家から注目を集めています。しかし、信託報酬の低さだけでファンドを選ぶと、運用開始後の「隠れコスト」や、ご自身の投資スタイルとのミスマッチを見落とす可能性があります。特に、運用実績が豊富な競合ファンドとの違いを正しく理解することが重要です。
この記事では、楽天・プラスシリーズの全ラインナップの強みと、ポイント還元を含めた総合的なコスト、そして新NISAでの具体的な活用戦略までを徹底解説します。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むと、楽天・プラスシリーズが「あなたにとって本当に最適な選択肢か」を、自信をもって判断できるようになります。信託報酬が年0.0561%といった表面的な数字だけでなく、ポイント還元を含めた「総合実質コスト」で競合ファンドと比較できるようになるためです。
さらに、新NISAの枠を最大限に活かすポートフォリオの組み方や、避けるべきファンドの組み合わせまで具体的にわかります。数ある選択肢の中から、あなたの資産形成の軸となる一本を迷わず選べるようになるでしょう。
目次
楽天・プラスシリーズの3つの強み|低コスト・指数連動・ポイント還元
強み2:楽天ポイント還元で実質コストがさらに下がる「続けやすさ」
旧シリーズ(楽天・インデックス・ファンド)との違いは?コストと運用方法を比較
楽天・プラスシリーズはどんな人におすすめ?楽天証券ユーザーの最適解
全世界株式(オールカントリー):1本で世界中に分散投資したい人向け
米国株式(S&P500):米国の成長性に集中投資したい人向け
先進国株式(除く日本):日本株を避けつつグローバルに投資したい人向け
日本株式(日経225):使い慣れた指数で円建て資産を増やしたい人向け
テーマ型(NASDAQ-100/半導体SOX):より高い成長性を狙うサテライト投資に
楽天・プラスシリーズの買い方|楽天証券での積立設定まで3ステップで解説
STEP2:「どれを買うか」目的別の判断手順とポートフォリオの考え方
STEP3:新NISA枠を使い切る積立術|ボーナス設定・増額の活用法
つみたて投資枠の鉄板設定:「全世界株式」か「S&P500」1本でコツコツ継続
成長投資枠でリターンを上乗せ:NASDAQ-100などを組み合わせるサテライト活用術
信託報酬だけじゃない!「総合実質コスト」で楽天・プラスシリーズを正しく評価
「隠れコスト」はどこで見る?運用報告書から実質コストを読み解く方法
楽天証券のポイント還元は本当にお得?他社比較と賢い貯め方・使い方
視点1:「指数とのズレ」は許容範囲?トラッキングエラーの原因と見極め方
視点2:円安はプラス?配当はどこへ?為替と再投資がリターンに与える影響
楽天・プラス vs eMAXIS Slim:どっちを選ぶべきか
楽天・プラスシリーズの3つの強み|低コスト・指数連動・ポイント還元
楽天投信投資顧問が2023年10月に設定したインデックスファンドシリーズです。「低コスト・指数連動・続けやすさ」をコンセプトに、業界最安水準の信託報酬を追求します。さらに楽天ポイントでの還元もあり、特に楽天証券で長期の資産形成を目指す投資家にとって魅力的な選択肢です。
強み1:業界最安水準をめざす信託報酬と安定した指数連動
信託報酬は競合ファンドよりわずかに低く設定され、他社が引き下げた際には追随して業界最低水準を維持する方針が示されています。例えば、人気のeMAXIS Slimシリーズと比較すると、楽天・プラス・オールカントリーは年0.0561%(eMAXIS Slimは年0.05775%)、楽天・プラス・S&P500は年0.077%(eMAXIS Slimは年0.094%程度)と、楽天・プラスが低い水準です。また、指数への連動性も高く、運用開始後のリターンは競合ファンドと遜色ない成果を挙げています。
強み2:楽天ポイント還元で実質コストがさらに下がる「続けやすさ」
本シリーズは楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」の対象です。ファンドの保有残高に応じて毎月楽天ポイントが還元されるため、実質的なコストをさらに引き下げることができます。この投資を続けやすい仕組みが「プラス」という名称の由来であり、長期的な資産形成をサポートします。例えば、全世界株式では年0.017%、S&P500では年0.028%のポイントが還元され、再投資に利用することも可能です。
旧シリーズ(楽天・インデックス・ファンド)との違いは?コストと運用方法を比較
同じ楽天投信投資顧問の「楽天インデックスシリーズ(楽天・VTIなど)」とは、設計思想が異なります。旧シリーズは実績ある海外ETFを主要投資対象とするファンド・オブ・ファンズの構造で、信託報酬は年0.1〜0.2%台でした。
一方、楽天・プラスシリーズは国内投信として指数連動を目指す運用方法をとり、信託報酬を業界最安水準まで引き下げています。また、楽天証券の専売商品であり、ポイント還元の対象となる点も大きな違いです。
つまり、旧シリーズが手堅い低コスト路線だったのに対し、楽天・プラスはより一層の低コスト化と、楽天グループのサービス連携による継続しやすさを強化したシリーズと言えます。
楽天・プラスシリーズはどんな人におすすめ?楽天証券ユーザーの最適解
楽天・プラスシリーズは、低コストを重視して長期の資産形成をしたい投資家、特に楽天証券をメインに利用し、楽天ポイントも活用したい方に最適です。信託報酬の低さに加え、ポイント還元が継続のモチベーションにつながります。
一方で、運用実績の長さを重視するなら、5年以上の実績を持つeMAXIS Slimシリーズなども有力な選択肢です。楽天・プラスは2023年末に設定された新しいファンドのため、実績面ではまだ発展途上です。結論として、本シリーズはコストを最優先し、楽天のサービスを活用したいユーザーに最適な一方、運用実績や安心感を重視する投資家、他社証券がメインの投資家は慎重な検討が必要です。
楽天・プラスシリーズのラインナップ一覧とファンドの選び方
楽天・プラスシリーズは、投資の目的に合わせて選べる全6本のインデックスファンドで構成されています。資産形成の土台となる全世界株式や米国株式から、ポートフォリオのアクセントになるテーマ型まで、多様な選択肢が揃っています。各ファンドの概要と選び方のポイントを解説します。
全世界株式(オールカントリー):1本で世界中に分散投資したい人向け
商品名 | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
---|---|---|---|---|
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド | 0.0561% | ○(つみたて枠/成長枠) | コア | 世界の大型・中型株に広く分散。一本で地域配分をお任せにでき、長期積立の“土台”に最適。 |
全世界の株式に投資する、長期積立の基本となるファンドです。MSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)に連動し、先進国から新興国まで約47カ国の大型・中型株を広くカバーします。地域別の構成比率は米国が約6割で、残りを日本や欧州、新興国が占めます。
信託報酬は年0.0561%、ポイント還元は年0.017%と魅力的で、新NISAのつみたて・成長両方の投資枠で購入可能です。なお、本ファンドはコストを抑えるため投資対象を大型・中型株に絞っており、小型株は含まれません。しかし、これ1本で十分にグローバルな分散投資が実現できます。
米国株式(S&P500):米国の成長性に集中投資したい人向け
商品名 | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
---|---|---|---|---|
楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド | 0.077% | ○(つみたて枠/成長枠) | コア | 米国大型株500社に連動。コスト最安級+楽天証券のポイント還元で“実質負担”を圧縮しやすい。 |
米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動する成果を目指すファンドです。アップルやマイクロソフトなど、米国の主要大型株500社にまとめて投資できます。信託報酬は年0.077%と業界最低水準で、例えばeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬(年0.094%程度)も下回ります。ポイント還元(年0.028%)と合わせ、実質的なコスト負担を抑えやすいのが特徴です。
新NISAの両投資枠に対応しており、米国の成長を重視した資産形成の有力候補となります。ただし、テクノロジー企業の比率が高く、全世界株式型より値動きが大きくなる傾向がある点は理解しておきましょう。
先進国株式(除く日本):日本株を避けつつグローバルに投資したい人向け
商品名 | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
---|---|---|---|---|
楽天・プラス・先進国株式(除く日本)インデックス・ファンド | 0.088% | ○(つみたて枠/成長枠) | サブコア | 日本を除く先進国に広く分散。日本株を別枠で持ちたい人の「海外コア」として使いやすい。 |
日本を除く先進国の株式市場に投資するファンドです。MSCIコクサイ指数に連動し、米国・欧州など約22カ国の株式を投資対象とします。構成比率は米国が約7割を占め、S&P500を中核としながら欧州などにも分散した形です。日本株は自身で別に選びたい、あるいはポートフォリオに含めたくない場合に活用できます。
例えば、本ファンドと日経225ファンドを組み合わせることで、日本と海外の比率を自由に調整可能です。新興国は含まれませんが、先進国中心の安定成長を狙うファンドとして扱いやすいでしょう。
日本株式(日経225):使い慣れた指数で円建て資産を増やしたい人向け
商品名 | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
---|---|---|---|---|
楽天・プラス・日経225インデックス・ファンド | 0.132% | ○(つみたて枠/成長枠) | サブコア | 日経平均(配当込み)に連動。円建て比率を意識したい人の国内株パートに。保有ポイント還元が比較的高め。 |
日本の代表的な株価指数である日経平均株価(日経225)に連動するファンドです。トヨタ自動車やソニーグループなど、国内の主要企業225銘柄に分散投資できます。信託報酬は年0.132%と国内株式ファンドとして低水準で、ポイント還元率は年0.053%とシリーズ中で最も高く設定されています。
外国株を中心に投資している人が、円建て資産の比率を高めたい場合などに適しています。なお、日経平均は一部の銘柄の値動きに影響されやすい特徴がありますが、日本の株式市場への長期投資手段として有力な選択肢です。
テーマ型(NASDAQ-100/半導体SOX):より高い成長性を狙うサテライト投資に
商品名 | 信託報酬(目安) | NISA対応 | 位置づけ | 特徴 |
---|---|---|---|---|
楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド | 0.198% | ○(成長枠のみ) | サテライト | 米国ハイテク中心の成長株群に集中。高成長と高ボラを理解のうえ、全体の一部に上乗せする使い方が基本。 |
楽天・プラス・SOXインデックス・ファンド | 0.176% | ○(成長枠のみ) | サテライト | 米国半導体セクターに特化。テーマ性が強く値動き大。コア資産に対する“スパイス”として少額での採用が妥当。 |
楽天・プラスシリーズには、特定の成長分野に集中投資するテーマ型のファンドが2本あります。どちらも新NISAでは成長投資枠でのみ購入可能です。
「楽天・プラス・NASDAQ-100」は、米国のハイテク株を中心に構成されるNASDAQ-100指数に連動します。金融を除く時価総額上位100社が対象で、世界的なIT企業が多く含まれます。高いリターンが期待できる一方、値動きの変動も大きいため、ポートフォリオの一部に組み入れて全体の収益向上を狙う「サテライト運用」に適しています。
「楽天・プラス・SOX」は、米国の半導体関連の主要約30銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)に連動します。AIや自動運転など、先端技術に不可欠な半導体セクターに特化して投資します。NASDAQ-100以上に集中度が高く、より積極的なリターンを狙う場合の選択肢となりますが、相応のリスクも伴います。
楽天・プラスシリーズの買い方|楽天証券での積立設定まで3ステップで解説
楽天・プラスシリーズは楽天証券の専用商品です。そのため購入には楽天証券の口座が必須となります。ここでは、口座開設からファンドを選んで積立設定を完了するまでの具体的な手順を3つのステップに分けて解説します。初心者の方でも迷わず始められるよう、ポイントを分かりやすくまとめました。
STEP1:ファンドの検索と購入画面への進み方
新NISA口座で積立投資を始める場合、大まかな流れは以下の通りです。
- 口座開設:楽天証券の公式サイトから総合証券口座と新NISA口座の開設を申し込みます。手続きはオンラインで完結できます。
- 入金・決済方法の設定:投資資金を証券口座へ入金します。楽天銀行との連携サービス「マネーブリッジ」を利用すると自動入出金ができて便利です。また、積立には楽天カード決済も利用できます。
- ファンドの選択:楽天証券のサイトにログイン後、「投資信託」メニューから購入したい楽天・プラスシリーズのファンドを検索し、商品ページに進みます。
- 購入・積立設定:注文画面で「つみたて投資枠」または「成長投資枠」を選び、購入方法(積立買付)、積立金額、引落方法などを設定します。内容を確認して注文を確定すれば設定は完了し、指定日に自動で買付が行われます。
楽天カード決済で積み立てる場合、カードの種類に応じて0.5%〜1.0%のポイント還元が受けられます(月10万円まで)。
STEP2:「どれを買うか」目的別の判断手順とポートフォリオの考え方
6つのファンドの中からどれを選ぶか迷う場合、まずは資産形成の「コア(中核)」となるファンドを決めるのが基本です。長期的な資産形成には、広く分散されたインデックスファンドが適しています。
最も有力な候補は「楽天・プラス・オールカントリー株式」です。これ1本で全世界の株式に分散投資できるため、初心者でも安心して始められます。次点で人気なのが「楽天・プラス・S&P500」で、米国の成長性を重視する投資家に選ばれています。
もし特定の意図があるなら、ファンドの組み合わせも有効です。例えば、「先進国株式」と「日経225」を組み合わせれば、日本と海外の比率を自分で調整できます。
大事なのは、同じような指数に連動するファンドを複数買わないことです。例えば、楽天・プラス・オールカントリーと他社の全世界株式ファンドを同時に買っても分散効果は高まらず、管理が複雑になるだけです。投資対象が重ならないように組み合わせるのがポイントです。
STEP3:新NISA枠を使い切る積立術|ボーナス設定・増額の活用法
積立投資では、年間投資額の最適化も重要です。新NISAのつみたて投資枠(年間120万円)を使い切りたい場合、毎月10万円の積立が必要ですが、難しい場合は「ボーナス設定」が役立ちます。
楽天証券のボーナス設定では、年に2回まで指定した月の積立額を増やすことができます。例えば、毎月の積立額を5万円にし、ボーナスが出る6月と12月にそれぞれ30万円を増額設定すれば、年間合計120万円の枠を使い切ることが可能です。年の途中から積立を始めた場合など、非課税枠を有効活用したい時に便利な機能です。
ただし、このボーナス設定は楽天カード決済や楽天キャッシュ決済では利用できず、証券口座からの引落でのみ可能です。また、毎日積立を選択している場合も対象外となります。無理のない範囲で積立を継続しつつ、余裕資金ができた時に活用するのが良いでしょう。
NISAの非課税枠の復活ルールについては以下Q&Aでも説明しています。
新NISAで楽天・プラスシリーズを最大限に活用する運用戦略
2024年に始まった新NISAは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能です。楽天・プラスシリーズをこの制度で最大限活用するため、それぞれの枠に適した基本的な使い方(王道)と、応用的な使い方(組み合わせ)の両面から具体的な戦略を考えてみましょう。
つみたて投資枠の鉄板設定:「全世界株式」か「S&P500」1本でコツコツ継続
つみたて投資枠は、金融庁が定めた長期・積立・分散投資に適した商品のみが対象で、年間120万円まで非課税で投資できます。楽天・プラスシリーズでは、全世界株式、先進国株式、S&P500、日経225の4本がこの対象です。
この枠での王道パターンは、全世界株式(オールカントリー)か、米国株式(S&P500)のどちらか1本を毎月コツコツ積み立てる方法です。特に初心者は複数のファンドを組み合わせるより、1本に絞る方が管理しやすく長続きします。つみたて投資枠の基本戦略は、ブレない軸となるファンドを決めて着実に積み立てることです。
S&P500と全世界株式(オルカン)の選び方については以下Q&Aでも説明しています。
成長投資枠でリターンを上乗せ:NASDAQ-100などを組み合わせるサテライト活用術
年間240万円まで投資できる成長投資枠は、つみたて投資枠よりも対象商品が広く、より柔軟な使い方ができます。つみたて投資枠でのコア(中核)の積立に加えて、成長投資枠でポートフォリオに厚みを持たせるアプローチは、主に2通り考えられます。
1.同一ファンドへの上乗せ投資
つみたて投資枠で積み立てているファンドと同じものを、成長投資枠でも追加購入する方法です。例えば、つみたて投資枠で「オールカントリー」を積み立てつつ、余裕資金ができた時に成長投資枠で同じファンドを一括購入します。これにより、気に入ったファンドへの投資額を増やし、資産形成を加速させることができます。
2.サテライトファンドの併用
コア資産とは別に、より高いリターンを狙うファンドを組み合わせる方法です。例えば、つみたて投資枠の「オールカントリー」をコアとし、成長投資枠で「NASDAQ-100」や「SOX」のようなテーマ型ファンドを少額購入します。これはポートフォリオの「スパイス」となり、全体の収益向上を期待できます。目安として、サテライト部分の比率は資産全体の10〜20%程度に抑えるのが一般的です。
このように成長投資枠は、資産形成を加速させるための応用的な使い方ができる枠です。大切なのは、ポートフォリオ全体のバランスを考えること。投資対象が重複しすぎないように注意し、ご自身の目的に合った組み合わせを心がけましょう。
信託報酬だけじゃない!「総合実質コスト」で楽天・プラスシリーズを正しく評価
低コストが魅力の楽天・プラスシリーズですが、ファンド選びでは表面的な信託報酬だけでなく、隠れコストやポイント還元まで含めた「総合実質コスト」で判断することが重要です。ここでは、真のコスト負担を見極め、他社ファンドと比較するための具体的な方法を解説します。
「隠れコスト」はどこで見る?運用報告書から実質コストを読み解く方法
実質コストとは、信託報酬に加えて、ファンドの売買手数料や監査費用といった「隠れコスト」を合計した、投資家が実際に負担する総費用のことです。この隠れコストは、年に一度公表される運用報告書で初めて明らかになります。
2024年に開示された楽天・プラスシリーズの最初の運用報告書では、ファンドによって実質コストの状況が異なりました。例えば、「楽天・プラス・オールカントリー」の初年度の実質コストは年0.1571%で、競合の「eMAXIS Slim全世界株式」(年0.094%)を上回りました。これは、運用開始直後で純資産が少なかったことなどが影響したと考えられます。
一方で、「楽天・プラス・S&P500」の実質コストは年0.094%と、競合の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(年0.097%)よりわずかに低く抑えられました。隠れコストは純資産の増加などで変動するため、2年目以降の推移も注視するとよいでしょう。
楽天証券のポイント還元は本当にお得?他社比較と賢い貯め方・使い方
楽天・プラスシリーズ特有のポイント還元は、実質的なコストをさらに引き下げる重要な要素です。楽天証券で対象ファンドを保有すると、残高に応じて年率0.017〜0.053%の楽天ポイントが毎月自動で付与されます。このポイントでファンドを買い増せば、複利効果も期待できます。
このポイント還元を考慮すると、ファンドの優位性評価は変わります。先ほどの例で、実質コストが年0.094%だった「楽天・プラス・S&P500」は、ポイント還元(年0.028%)を差し引くと、総合的なコスト負担は年0.066%相当まで下がります。
また、楽天カード決済で積み立てる場合、カードの種類に応じて0.5%〜1.0%のポイントが別途付与されるため、さらに有利になります。SBI証券など他社にも投信保有ポイント制度はありますが、楽天・プラスシリーズのような個別の高還元プログラムは珍しく、大きなアドバンテージと言えます。
基準価額はなぜ動く?成果を正しく評価する3つの視点
投資を始めた後、日々の基準価額の変動に一喜一憂しないために、成果を正しく評価する視点を持つことが大切です。ここでは、インデックスファンドの値動きの背景にある「指数との連動性」「為替」「配当」という3つの重要なポイントを解説し、長期的な視点で成果を判断する方法を考えます。
視点1:「指数とのズレ」は許容範囲?トラッキングエラーの原因と見極め方
インデックスファンドの運用成績は、目標とする指数(ベンチマーク)の動きとどれだけ連動しているかを示す「トラッキングエラー」で評価します。ファンドは信託報酬などの経費がかかるため、その分だけ指数のリターンをわずかに下回るのが通常です。優れたファンドは、このコスト要因以外のズレが小さいものを指します。
楽天・プラスシリーズは、この指数への連動性が極めて高いことが確認されています。例えば、過去の運用実績では、S&P500やオールカントリーのファンドが、競合するeMAXIS Slimシリーズとほぼ同じリターンを記録しており、指数に忠実な運用がなされています。
ただし、ニュースで報じられる株価指数とファンドのリターンを比べる際は注意が必要です。例えば、日経平均株価のニュースは通常、配当を含まない数値ですが、ファンドは配当を内部で再投資しているため、その分リターンが高くなります。必ず「配当込み」の指数と比較する習慣をつけましょう。
パッシブ運用のトラッキングエラーについては以下Q&Aでも説明しています。
視点2:円安はプラス?配当はどこへ?為替と再投資がリターンに与える影響
海外資産に投資するファンドでは、為替レートの変動も基準価額に影響します。楽天・プラスシリーズの海外株式ファンドは為替ヘッジを行わないため、円安になれば基準価額は上昇し、円高になれば下落する要因となります。リターンを評価する際は、投資対象の株価の動きだけでなく、為替の動きも合わせたトータルで判断する必要があります。
また、楽天・プラスシリーズは投資で得られた配当を分配せず、すべてファンド内で自動的に再投資する方針をとっています。これにより、投資家は手間をかけることなく配当を元本に組み入れ、複利効果を最大限に享受できます。特にNISA口座では、分配金を受け取るとその再投資に非課税枠を消費してしまうため、こうした分配金を出さないファンドの方が効率的な運用につながります。
分配金再投資型と受け取り型の違いについては以下Q&Aでも説明しています。
楽天・プラス vs eMAXIS Slim:どっちを選ぶべきか
楽天・プラスシリーズを選ぶ際には、他の代表的な低コストファンドシリーズとの比較が欠かせません。ここでは、最大のライバルである「eMAXIS Slim」や、ETFの代表格である「NEXT FUNDS」などとの違いを明確にし、ご自身の投資スタイルに合ったファンドの選び方を解説します。
- eMAXIS Slimシリーズ:日本のインデックスファンドで圧倒的なシェアと実績を誇ります。業界最低水準のコストを追求する方針で、投資家からの信頼も厚いシリーズです。
- NEXT FUNDS:野村アセットマネジメントが提供するETF(上場投資信託)のブランドです。株式のようにリアルタイムで売買できるのが特徴です。
- iシェアーズ:世界最大の資産運用会社ブラックロックが展開するブランドです。ETFが中心ですが、低コストな投資信託も提供しています。
eMAXIS Slimについては以下記事で詳しく解説しています。
コスト差が僅かなら何で選ぶ?ポイント還元と「続けやすさ」が最終的な決め手
ベンチマーク | 楽天・プラス(投信) | 信託報酬 | 楽天ポイント(保有・年率) | eMAXIS Slim(投信) | 信託報酬 |
---|---|---|---|---|---|
全世界株式(MSCI ACWI・配当込み/円換算) | 楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド | 0.0561% | 0.017% | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0.05775% |
米国株式(S&P500・配当込み/円換算) | 楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド | 0.077% | 0.028% | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0814%以内 |
先進国株式(日本除く・MSCI KOKUSAI・配当込み/円換算) | 楽天・プラス・先進国株式(除く日本)インデックス・ファンド | 0.088% | 0.033% | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(除く日本) | 0.09889% |
日本株式(日経225・トータルリターン) | 楽天・プラス・日経225インデックス・ファンド | 0.132% | 0.053% | eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 0.143%以内 |
楽天・プラスシリーズとeMAXIS Slimシリーズの信託報酬の差はごくわずかです。主な違いは「販売網の広さ」と「運用実績の長さ」であり、この2点ではeMAXIS Slimに分があります。
そのため、どちらを選ぶかの判断軸は「コスト最優先か、実績重視か」になります。表にあげた商品はすべてNISAのつみたて投資枠にも採用されています。
楽天証券のユーザーで、ポイント還元を含めた実質コストを最も重視するなら楽天・プラスが合理的です。一方で、長年の運用実績と純資産規模がもたらす安定感を優先するなら、eMAXIS Slimが有力な選択肢となるでしょう。
また、NEXT FUNDSのようなETFは、投資信託と比べて積立投資の柔軟性に欠けるため、毎月コツコツ積み立てる長期投資では、楽天・プラスのような投資信託の方が使いやすいと言えます。
NEXT FUNDSやiシェーアズなどのETFの特徴については以下記事で詳しく解説しています。
やってはいけない組み合わせは?重複を避け効果を高めるポートフォリオ術
次に、他社シリーズとの組み合わせについてです。原則として、同じ指数に連動するファンドを複数保有することは避けましょう。例えば、楽天・プラスとeMAXIS SlimのS&P500ファンドを両方買っても分散効果は高まらず、管理が煩雑になるだけです。
一方で、楽天・プラスにない資産クラスを他社ファンドで補完する組み合わせは有効です。例えば、楽天・プラスにはない新興国株式ファンドをeMAXIS Slimシリーズから加える、といった活用法が考えられます。
ポートフォリオを組む際は、まず自分の運用方針を決め、それに合った中核ファンドを選び、必要に応じて足りない部分を他のファンドで補う、という手順を踏むのが賢明です。
この記事のまとめ
楽天・プラスシリーズは、信託報酬とポイント還元を合わせた総合的なコストの低さが最大の魅力です。特に楽天証券でコストを最優先するなら、有力な選択肢となるでしょう。一方で、運用実績の短さや初年度の隠れコストも冷静に評価する必要があります。まずはこの記事で得た知識を基に、「自分はコストと実績のどちらを重視するのか」という投資方針を明確にすることが重要です。ご自身の判断軸が定まれば、自信を持って新NISAの中核となるファンドを選び、納得のいく資産形成を始められるはずです。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
実質コスト
実質コストとは、投資信託を1年間保有した場合に投資家が実際に負担する全ての費用を合計し、期中の平均純資産総額で割って割合として示したものです。信託報酬のほかに売買委託手数料や監査費用、保管費用など運用に付随する細かな経費も含まれるため、名目の信託報酬より高くなるのが一般的です。多くの場合、決算後に運用報告書で公表されるため事前に完全な数値を知ることはできませんが、同じカテゴリのファンド同士を費用面で比較する際に最も実態に近い指標として役立ちます。
ベンチマーク
ベンチマークとは、特定の目標や標準として用いる指標のことを指し、ビジネス、金融、技術など様々な分野で利用されます。この指標を用いて、パフォーマンスの測定や戦略の効果を評価し、改善点を見つけることができます。特に投資分野においては、ベンチマークはポートフォリオのパフォーマンスを評価するための基準点として活用され、特定の市場指数や同業他社の成績などが用いられます。 たとえば、投資ファンドの管理者は、自身のファンドのパフォーマンスをS&P 500やナスダックなどの市場指数と比較して評価することが多いです。この比較によって、ファンドの戦略が市場全体と比べてどの程度効果的であるか、またはリスクが適切に管理されているかを判断します。 ベンチマークは、透明性と目標設定を促進し、継続的な改善を目指すための重要なツールです。しかし、ベンチマークを選定する際には、その適切性や関連性を慎重に評価する必要があります。適切でないベンチマークを選ぶと、誤った方向性を示すことがあり、結果的にパフォーマンスの誤解を招くことになるためです。したがって、目標とする成果と密接に関連する、かつ実現可能なベンチマークを設定することが極めて重要です。
トラッキングエラー
トラッキングエラーとは、主にインデックスファンドなどの運用成績が、目標とする指数(たとえば日経平均株価やS&P500など)とどれくらいズレているかを示す指標です。ファンドは基本的に指数に連動するように運用されますが、運用コストや売買のタイミングの違いなどにより、実際の成績が指数と完全に一致することはまれです。 この差が大きいほど、運用が指数とずれていると評価されます。トラッキングエラーが小さいほど、より正確に指数に連動しているとされ、インデックス投資においては重要な確認ポイントとなります。
基準価額
基準価額とは、主に投資信託の商品価格を表すもので、投資信託1口あたりの価値を示しています。毎営業日に一度計算され、投資信託が保有している株式や債券などの資産の時価総額から、運用にかかる費用を差し引いた金額を、発行済みの総口数で割って算出されます。 投資信託の購入や売却の際には、この基準価額が参考になりますので、価格の動きに注目することが大切です。ただし、基準価額は市場価格とは異なり、リアルタイムで変動するわけではないため、翌営業日の価格になることが多い点にもご注意ください。
配当込み指数
配当込み指数とは、株価の値上がりによる利益だけでなく、企業が支払う配当金も再投資したと仮定して算出される株価指数のことを指します。通常の株価指数は株価の変動のみを反映しますが、配当込み指数は配当を受け取って再投資した場合の実際の投資成果により近い動きを示します。そのため、長期投資のパフォーマンスをより正確に比較する際には、配当込み指数を見ることが大切です。特に高配当株が多い市場や銘柄では、配当込み指数と通常の株価指数との間に大きな差が出ることがあります。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
コア資産
コア資産とは、長期的な資産運用の中核を成す安定的な資産のことを指す。主にインデックスファンドや大型株、債券など、リスクが比較的低く、安定したリターンを期待できる資産が含まれる。運用の基本方針として、市場の長期的な成長を享受しながら、大きなリスクを取らずに資産を増やすことを目的とする。ポートフォリオの大部分をこのコア資産で構成し、安定した資産形成を目指す。
サテライト資産
サテライト資産とは、資産運用においてコア資産を補完し、高いリターンを狙うために組み入れる資産のことを指す。具体的には、新興国株式、個別株、テーマ型ファンド、ヘッジファンド、コモディティ、暗号資産など、リスクは高いが成長の可能性がある投資対象が含まれる。サテライト資産は、ポートフォリオの一部に限定して保有し、コア資産の安定性を損なわない範囲で積極的な運用を行うことが推奨されます。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
新NISA
新NISAとは、2024年からスタートした日本の新しい少額投資非課税制度のことで、従来のNISA制度を見直して、より長期的で柔軟な資産形成を支援する目的で導入されました。この制度では、投資で得られた利益(配当や売却益)が一定の条件のもとで非課税になるため、税負担を気にせずに投資ができます。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されており、年間の投資可能額や総額の上限も大幅に引き上げられました。 また、非課税期間が無期限となったことで、より長期的な運用が可能となっています。投資初心者にも利用しやすい仕組みとなっており、老後資金や将来の資産形成の手段として注目されています。
つみたて投資枠
つみたて投資枠とは、2024年から始まった新しいNISA制度の中で、少額から長期的に資産形成を行うことを目的として設けられた非課税投資の枠組みです。 この枠では、一定の条件を満たした投資信託などの商品に対して、年間最大120万円までの投資額が非課税の対象となります。毎月コツコツと積み立てるスタイルの投資に向いており、長期的な資産形成を支援することが狙いです。つみたて投資枠を活用することで、運用益や分配金にかかる税金がかからず、複利の効果を最大限に活かしながら資産を増やしていくことができます。特に投資初心者にとっては、少額から手軽に始められ、長く続けることで将来の資金づくりに役立つ有効な制度です。
成長投資枠
新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。