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【法人経営者・個人事業主向け】社会保険料を安くする方法は?削減スキームを紹介
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公開:
2026.03.12
更新:
2026.03.12
法人経営者や個人事業主は、社会保険料が資金繰りに直結する一方で、手取り最適化の論点が税金側に偏りがちです。社会保険料は標準報酬月額で負担が動き、定時決定では毎年4〜6月の報酬平均が同年9月から翌年8月まで影響します。報酬設計や法人化の選択は、削減効果だけでなく将来給付とのバランス確認が欠かせません。
社会保険料の基本知識
社会保険料を減らすには、まず「何に対していくら課されているか」を正確に把握することが出発点になります。仕組みを知らないまま動くと、削減効果が出ないだけでなく、将来の給付に思わぬ影響が出ることもあるので注意が必要です。
社会保険料とは何か
社会保険料とは、公的な保障制度を維持するために、国民や事業主が毎月負担するお金のことです。主に以下の5種類で構成されています。公的な保障制度を維持するために、個人と事業主が負担する保険料の総称です。
| 種類 | 加入対象 | 主な給付内容 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 会社員・法人役員 | 医療費の自己負担軽減、傷病手当金など |
| 厚生年金保険 | 会社員・法人役員 | 老齢・障害・遺族年金 |
| 介護保険 | 40歳以上 | 要介護時の介護サービス費用の補助 |
| 雇用保険 | 主に会社員 | 失業給付・育児休業給付など |
| 労災保険 | すべての労働者 | 業務上のけが・病気への補償 |
労使合計でみると、社会保険料の合計が給与の約30%にのぼるケースも珍しくありません。たとえば月給40万円の会社員であれば、本人負担と会社負担を合わせた社会保険料は月12万円前後に達することもあります。
なお、本記事で主に扱うのは、標準報酬月額(+標準賞与額)を基礎に保険料が決まる「健康保険(40歳以上は介護保険料を含む)」「厚生年金保険」です。
標準報酬月額の仕組み
社会保険料の計算において核心となるのが、「標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)」という概念です。
毎月の給与をそのまま計算の基礎にするのではなく、一定の幅(等級)に区切って保険料を算出する仕組みになっています。現在、健康保険は1等級(5万8,000円)から50等級(139万円)まで、厚生年金は1等級(8万8,000円)から32等級(65万円)まで設定されています。
標準報酬月額は、毎年4〜6月に支払われた報酬の平均額をもとに決定され、原則として同年の9月から翌年8月まで適用されます。このプロセスを「定時決定(算定基礎届)」と呼びます。
つまり、4〜6月の報酬水準が年間の保険料を左右するということです。この3か月間の収入が高ければ等級が上がり、保険料も増える構造になっています。
社会保険料の計算方法に関しては、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
法人経営者が社会保険料を節約する方法
法人経営者は役員報酬の設計を自分で決められる立場にあります。その分、社会保険料の見直し余地も大きく、複数の手法を組み合わせることで合法的に負担を抑えられます。
役員報酬の配分を最適化する
役員報酬の総額を変えずに、その「受け取り方の構成」を変えるだけで標準報酬月額を下げられる場合があります。
月額と賞与の比率を見直す
標準報酬月額は毎月の定期報酬をベースに算定されます。そのため、年間の報酬総額が同じでも、月額を低く設定し、賞与の割合を増やすことで等級を下げることが可能です。
ただし、賞与(標準賞与額)にも社会保険料はかかります。単純に賞与へ移行すれば節約になるわけではなく、次の上限額との組み合わせが重要になります。
賞与上限額を活用する考え方
社会保険料の賞与への課税には上限が設けられています。健康保険は年間累計573万円、厚生年金は1回あたり150万円を超える部分には保険料がかかりません。
この上限を活用するには、賞与の支払い方法を「事前確定届出給与」として税務署へ届け出る必要があります。届出期限は原則として株主総会決議から1か月以内、または事業年度開始から4か月以内の早い方です。期限を守らないと損金算入が認められないため、税理士との事前確認が欠かせません。
非課税手当・福利厚生に切り替える
報酬の一部を「社会保険料の算定対象外」となる給付に置き換える方法です。現金給与を減らすかわりに、実質的な経済的価値を会社から受け取る形にします。
役員社宅制度の活用方法
会社が物件を借り上げ、役員に転貸する「役員社宅」制度を使うと、賃料相当額の一部を報酬から切り離せます。役員が会社に支払う賃料(自己負担分)は、国税庁の通達に基づいて計算する「賃料相当額」の基準があり、これを下回ると経済的利益として課税されるルールです。
報酬減額と社宅利用を組み合わせると、全体の標準報酬月額が下がり、健康保険・厚生年金保険料を削減できる可能性があります。
出張旅費規程で日当を活用する
出張日当は、社内規程に基づいて支払う限り、原則として社会保険料の対象外です。また所得税も非課税となります。
活用するには「出張旅費規程」の整備が必須で、役員・従業員ともに合理的な金額設定であることが前提です。同業他社の水準を参考にしつつ、過大な日当は税務調査で否認リスクがあるため注意が必要です。
慶弔金・食事補助の活用
慶弔見舞金(結婚・出産・弔慰など)は、一般に社会通念上相当な範囲で支給され、かつ恒常的な賃金の性格を持たない限り、税務上も社会保険上も「報酬(給与)」に該当しない扱いです。
ただし、支給ルールが固定化して実質的に賃金の一部とみなされると、報酬扱いとなるリスクがあるため、規程と運用を整備しておきましょう。
非課税となる食事補助は、従業員が食事価額の50%以上を負担し、企業負担額が月額3,500円(税抜)以下の場合に該当します。この要件を満たせば、所得税・住民税の課税対象外となり、社会保険料(健康保険・厚生年金)の標準報酬月額算定からも除外されます。
選択制DCを導入・活用する
選択制DC(選択制確定拠出年金)とは、従業員や役員が給与の一部を「受け取るか・年金掛金として拠出するか」を選択できる制度です。掛金として拠出した分は給与として扱われないため、標準報酬月額が下がり、社会保険料の削減につながります。
経営者自身が役員として加入するには、まず会社として制度を導入する必要があります。導入後、役員も従業員と同様に掛金を拠出することで、標準報酬月額を引き下げられる仕組みです。
掛金の上限は、他の企業年金がない場合で月5万5,000円です(2027年1月より6万2,000円に引き上げ予定)。仮に月5万円を掛金に振り替えると、標準報酬月額が1〜2等級下がるケースもあり、年間で数万円単位の削減効果が見込まれます。
従業員の入退社日を月末にしない
社会保険料は「資格を喪失した月の前月分まで」発生する仕組みです。退社日が月末(例:3月31日)の場合、資格喪失日は翌日の4月1日となり、3月分の保険料が発生します。
一方、退社日を月末より1日前(例:3月30日)にすると、資格喪失日は3月31日となり、2月分までの負担で済みます。
入社日も同様で、月初に設定すれば初月から保険料が発生します。雇用条件上の柔軟性がある場合は、双方で合意のうえ検討する余地があるでしょう。
役員退職金を活用する
退職金は、給与として毎月積み上げるよりも社会保険料がかからない形で報酬を受け取れる手段のひとつです。退職所得は「(退職金−退職所得控除)÷2」が課税対象となるため、税負担も現金給与より低くなるケースが一般的です。
在任中の月額役員報酬を低めに設計し、その分を退職金として受け取る設計にすることで、標準報酬月額を長期的に抑えつつ、最終的な手取りを確保する戦略がとれます。ただし、退職金の損金算入には「功績倍率法」などの合理的な算定根拠が必要で、過大な退職金は税務署から否認されるリスクがあります。
加入する健康保険組合を見直す
健康保険料率は、加入する保険者によって異なります。協会けんぽ(全国健康保険協会)の料率は都道府県ごとに異なり、2024年度の全国平均は約10%です。一方、業界団体が運営する「健康保険組合(健保組合)」は独自の料率を設定しており、協会けんぽより低い場合もあります。
| 保険者 | 料率の特徴 | 加入要件 |
|---|---|---|
| 協会けんぽ | 都道府県別・全国平均約10% | 法人に勤める会社員・役員 |
| 健康保険組合 | 業種・組合により異なる(7〜9%台も) | 業種・規模などの加入要件あり |
自社が加入できる健保組合があるかどうかは、業界団体や社会保険労務士に確認するのが確実です。切り替えには一定の手続きと審査が必要ですが、料率差が1〜2%あれば年間の保険料削減額はまとまった金額になります。
個人事業主が社会保険料を節約する方法
個人事業主が加入する国民健康保険料は、前年の所得をもとに算定されます。所得をコントロールする手段と、法人格を活用した仕組みを組み合わせることが、削減の基本的な考え方です。
マイクロ法人を活用する
マイクロ法人とは、個人事業主が副業的・並行的に設立する小規模な法人のことです。この法人から自分自身に低額の役員報酬を設定して支払うことで、国民健康保険から協会けんぽ(法人の健康保険)へ切り替えることができます。
国民健康保険料は所得が上がるほど青天井に近い形で増えていきますが、協会けんぽの保険料は標準報酬月額の等級に基づいて計算されます。そのため、法人からの役員報酬を低く設定することで、社会保険料を大幅に抑えられるケースがあります。
たとえば、役員報酬を月8万円程度に設定すると、標準報酬月額は最低等級付近になり、健康保険料と厚生年金保険料の合計(労使折半)を月2〜3万円台に抑えることも可能です。
ただし、法人の維持には登記費用・税理士費用・法人住民税の均等割(年最低7万円程度)などのコストが伴います。節約額とコストを比較したうえで判断することが重要です。
また、個人事業と法人の業務内容が明確に分かれていることが前提で、実態のない分離は税務リスクになります。
iDeCoや小規模企業共済などで所得割の算定基礎を下げる
iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済は、掛金が全額所得控除となるため、所得税・住民税の負担を下げやすい制度です。個人事業主のiDeCo掛金上限は月6万8,000円(年81万6,000円)、小規模企業共済は月最大7万円(年84万円)まで積み立てられます。
小規模企業共済も同様に掛金が全額所得控除となり、月最大7万円(年間84万円)まで積み立てられます。廃業・退職時に退職金的に受け取れるうえ、節税効果も高いため、個人事業主にとって優先度の高い制度のひとつです。
ただし、国民健康保険料(国保)の所得割が下がるかどうかは自治体の算定方式次第です。国保は「旧ただし書き所得(総所得金額等-基礎控除)」などを基礎に計算する自治体も多く、この方式ではiDeCoや小規模企業共済のような所得控除が国保料に反映されないケースがあります。
国保料まで含めて最適化したい場合は、まずあなたの自治体の算定式(所得割の基礎)を確認し、国保料の試算をしてから実行可否を判断するのが安全です。
青色申告特別控除を活用する
青色申告を選択し、複式簿記による記帳と貸借対照表・損益計算書の添付を行うことで、最大65万円の特別控除が受けられます。この控除は課税所得を直接引き下げるため、所得税・住民税の節税と同時に、翌年の国民健康保険料の所得割にも好影響があります。
また、生計を一にする家族を「青色事業専従者」として届け出ることで、支払った給与を全額必要経費にできます。家族への所得分散によって本人の所得が下がり、国保料の削減につながります。ただし、専従者として認められるには「専ら事業に従事している」実態が必要で、扶養控除との併用はできません。配偶者側の国保・社会保険への影響も含めて、トータルで試算することが大切です。
社会保険料の節約前に確認すべき注意点
社会保険料の削減は合法的な手段ですが、保険料を下げることは将来の給付額にも影響します。短期的な節約だけに目を向けず、長期的なリスクも必ず確認しておきましょう。
将来の年金額が減るリスク
厚生年金の受給額は、標準報酬月額と加入期間をもとに計算されます。報酬比例部分の計算式に標準報酬月額が直接組み込まれているため、現役時代に標準報酬月額を下げると、その分だけ将来受け取れる年金額も少なくなります。
たとえば、月額報酬を10万円下げた状態で20年間加入し続けた場合、年金受給額は年間数万円単位で変わることがあります。現役時代の節約効果と、老後の給付減少を天秤にかけた試算が欠かせません。
日本年金機構の「ねんきんネット」では、報酬水準を変えた場合の年金見込み額を試算できます。削減策を実行する前に、必ず将来シミュレーションを確認しておきましょう。
傷病手当金・出産手当金が減るリスク
傷病手当金は、病気やけがで働けない期間に支給される給付で、支給額は「標準報酬月額の3分の2相当」が基準です。標準報酬月額を下げれば、その分だけ受け取れる金額も少なくなります。
同様に、産前産後に支給される出産手当金も標準報酬月額に連動しています。特に健康リスクが高い方や、近い将来に出産を予定している方は、給付が減った場合の生活への影響を事前に計算しておくことが重要です。
社会保険は「保険」である以上、保険料を下げることはリスクへの備えを薄くすることでもあります。削減幅とセーフティネットのバランスを意識しながら、無理のない範囲で見直しを進めることが賢明です。
この記事のまとめ
法人経営者・個人事業主の社会保険料対策は、標準報酬月額がいつ・何で決まるかを押さえたうえで、報酬の設計と制度の使い分けを行うことが要点です。役員報酬の設計、賞与上限の理解、非課税手当の活用、マイクロ法人化やiDeCo等の所得控除を比較し、削減効果と将来給付への影響を同じ土俵で確認しましょう。実行前に社労士・税理士へ試算を依頼すると、想定外のリスクを避けやすくなります。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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