目論見書にあるベンチマークの役割とファンド選びへの活用方法を教えて下さい
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2025/06/20 10:38
男性
40代
投資信託の目論見書には「○○指数に連動」や「○○指数を参考」といった記述があり、これがベンチマークだと説明されています。しかし実際に何を示し、インデックス型とアクティブ型でどのように読み取ればよいのか疑問です。選定時に確認すべき乖離やコストの数字はどこを見ればよいのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ベンチマークとはファンド成績を測る物差しとなる市場指数です。指数が前提とする投資対象や地域、セクター構成、為替ヘッジの有無を知れば、そのファンドが狙う値動きとリスク水準が見えてきます。
インデックス型は指数と同じ値動きを低コストで再現するのが使命ですから、目論見書ではトラッキングディファレンス(指数との乖離)と信託報酬を必ず確認しましょう。乖離が年率0.5%以内で、信託報酬がカテゴリ平均より低ければ再現性は概ね良好です。
一方、アクティブ型は複数年にわたりベンチマークを上回る超過リターンを追求します。3年・5年の年率リターンやシャープレシオが指数超えか、総経費率がリターンを削っていないかを運用報告書等で点検してください。
なお、指数には「配当込み/除く」「為替ヘッジあり/なし」など複数の算出条件があります。条件が異なる指数と比較すると評価が歪むため、目論見書の脚注で採用指数の定義を確認し、自身の期待するリスク・リターンと整合しているか確かめることが、ファンド選定の失敗を防ぐ鍵です。また、数値を年率ベースで比較すると複利影響を把握しやすく、長期運用では小さな差でも大きな成果差につながります。
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目論見書(プロスペクタス)
目論見書(プロスペクタス)とは、株式や債券などの金融商品を発行する際に、その内容やリスク、資金の使い道などを詳しく説明するための書類のことをいいます。これは、投資家が商品について正しく理解し、投資判断を行うための重要な資料です。目論見書には、発行体の財務情報、事業内容、募集する金額、利回りや償還期間などが記載されており、金融商品取引法に基づいて作成されます。投資初心者にとっては、少し専門的で読みづらく感じるかもしれませんが、購入する前にリスクや条件を確認するためにとても大切な情報源となります。
ベンチマーク
ベンチマークとは、特定の目標や標準として用いる指標のことを指し、ビジネス、金融、技術など様々な分野で利用されます。この指標を用いて、パフォーマンスの測定や戦略の効果を評価し、改善点を見つけることができます。特に投資分野においては、ベンチマークはポートフォリオのパフォーマンスを評価するための基準点として活用され、特定の市場指数や同業他社の成績などが用いられます。 たとえば、投資ファンドの管理者は、自身のファンドのパフォーマンスをS&P 500やナスダックなどの市場指数と比較して評価することが多いです。この比較によって、ファンドの戦略が市場全体と比べてどの程度効果的であるか、またはリスクが適切に管理されているかを判断します。 ベンチマークは、透明性と目標設定を促進し、継続的な改善を目指すための重要なツールです。しかし、ベンチマークを選定する際には、その適切性や関連性を慎重に評価する必要があります。適切でないベンチマークを選ぶと、誤った方向性を示すことがあり、結果的にパフォーマンスの誤解を招くことになるためです。したがって、目標とする成果と密接に関連する、かつ実現可能なベンチマークを設定することが極めて重要です。
アクティブファンド
アクティブファンドとは、運用のプロであるファンドマネージャーが、市場の平均を上回るリターンを目指して積極的に銘柄を選んで運用するタイプの投資信託のことです。 具体的には、独自の分析や調査にもとづいて、将来性があると見込まれる企業や、割安と判断される株式などに投資を行います。こうした運用には高度な専門知識と時間が必要となるため、同じ投資信託でも市場平均への連動を目指す「パッシブファンド」より運用コスト(信託報酬など)が高めになる傾向があります。しかし、その分大きなリターンを狙える可能性もある点が魅力です。 ただし、アクティブファンドだからといって必ずしも市場平均を上回るとは限らないことに注意が必要です。投資判断がうまくいかなかった場合は、損失が出たり、パッシブファンドに劣る成績となったりすることもあります。 投資初心者の方は、ファンドマネージャーの運用実績やファンドの方針、運用コストなどをよく調べたうえで、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。購入前に「過去の運用成績」や「運用レポート」を確認し、アクティブファンドの特徴を理解してから投資を始めましょう。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
シャープレシオ
金融商品の運用成績を測るための指標のひとつで、単純なリターンではなく、そのリターンを得るためにどのくらいのリスクを取っているかを計測したもの。 月次リターンのバラつきを示す標準偏差をリスク尺度として、負担したリスク1単位あたりの収益効率性をみるための指標。 数値の大きい方が効率よく運用されていることを示す。 ポートフォリオのリターン、標準偏差、無リスク資産の収益率で計算、具体的に以下の計算式で求められる。 (ファンドの平均リターン-安全資産利子率)÷標準偏差
トラッキングディファレンス
トラッキングディファレンスは、インデックスファンドやETFが追随するベンチマーク指数と比べて、一定期間(多くは1年)の実際の騰落率にどれだけ差が生じたかを示す値です。たとえば指数が+10%のときファンドが+9.5%であればディファレンスは−0.5%となり、この差には信託報酬などのコスト、配当再投資のタイミング、売買時の価格ずれ、現金保有比率の違いなどが影響します。数値が小さいほど指数を忠実に再現できていることを意味し、長期運用ではこのわずかな差が複利的に効いてくるため、インデックス投資家にとって重要な比較指標となります。