離婚時に財産分与しない方法はありますか?
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2025/09/05 09:02
男性
30代
結婚生活で築いた財産は離婚時に財産分与の対象になると聞きましたが、できれば分与せずに自分の資産を守りたいと考えています。財産分与せずに済ませるための方法や注意点を具体的に教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
離婚時の財産分与は、基本的に「夫婦が婚姻中に協力して築いた財産」を公平に分け合う制度です。そのため、どの財産が対象になるのかを正しく理解することが重要です。
まず、財産分与の対象となるのは「共有財産」です。夫婦の収入から購入した不動産や自動車、預貯金、株式や投資信託などの金融資産、退職金の一部も含まれます。名義が夫婦どちらか一方であっても、婚姻生活の中で形成されたものであれば分与対象になります。
一方で「特有財産」と呼ばれるものは分与の対象外です。結婚前から持っていた貯蓄や不動産、相続や贈与によって得た財産などがこれにあたります。したがって、結婚前に貯めた資金や親からの相続財産は、原則として分与の対象になりません。ただし、その財産を婚姻中に共有財産と混ぜて使ってしまうと、特有財産として認められにくくなる場合があるので注意が必要です。
財産分与を避けたい場合には、財産の管理を明確に分けることが有効です。結婚前の資産や相続財産を専用の口座で管理し、共有財産と混在させないことが大切です。また、結婚前に「夫婦財産契約」を公正証書で定めておく方法もあります。ただし、日本ではまだ一般的ではなく、結婚後に契約を変更することは難しい点に留意してください。
最終的には、相手との協議や家庭裁判所での判断によって財産分与の範囲が決まります。そのため、事前に証拠を残すことや専門家に相談して準備することが不可欠です。財産分与を完全に避けることは難しいですが、「特有財産として明確に主張できる状態を保つ」ことが、実質的に分与をしないための最も現実的な方法といえます。
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特有財産
特有財産とは、夫婦の一方が個人的に所有している財産のことで、婚姻関係にあっても共有財産とは区別されるものを指します。具体的には、結婚前から所有していた資産や、婚姻中であっても相続や贈与によって得た財産などが特有財産にあたります。 たとえば、独身時代に購入した不動産や、親から相続した預金、贈与された車などは、結婚後もその人だけの財産として扱われ、原則として配偶者との共有にはなりません。離婚や相続の場面では、財産分与の対象にはならず、本人に帰属する財産として取り扱われます。 ただし、特有財産であっても、婚姻後にその資産をもとに新たな投資や改築などを行った場合には、共有財産との境界が不明確になることもあるため、資産の管理と記録が重要です。ライフプランや相続対策を考える上でも、特有財産を明確にしておくことが、将来的なトラブルを避けるポイントになります。
財産分与
財産分与とは、離婚に際して夫婦が結婚生活中に築いた共有財産を公平に分け合う手続きのことです。たとえば、現金、預貯金、不動産、自動車、退職金、年金分割などが対象となり、名義が夫婦どちらか一方になっている財産であっても、原則として共同で形成されたものであれば分与の対象となります。 財産分与には、単なる「清算的分与」だけでなく、離婚後の生活保障を目的とした「扶養的分与」、不貞行為などに対する「慰謝的分与」も含まれる場合があります。分与の方法は、当事者の話し合い(協議)によって決められますが、合意できない場合は家庭裁判所に調停や審判を申し立てることも可能です。財産分与は、離婚後の経済的安定や公正な清算のために重要な役割を果たす制度です。
共有財産
共有財産とは、複数の人が共同で所有している財産のことを指し、主に夫婦や相続人、共同出資者などが関わるケースで使われる法律上の概念です。婚姻関係においては、結婚後に夫婦が協力して築いた財産は、特別な契約がない限り「夫婦の共有財産」として扱われます。 たとえば、共働きで購入した住宅、結婚後に貯めた預貯金、夫婦の一方の名義で購入したが共同生活の中で築いた資産などは、共有財産とみなされることがあります。これに対して、結婚前から保有していた個人の資産や、相続・贈与によって取得した財産は「特有財産」として区別されます。 離婚や相続の場面では、この共有財産の分割が重要な争点になることがあり、法的・金銭的な取り扱いについて明確に整理しておくことが求められます。資産運用の観点でも、将来的な財産の分割リスクや所有構造を意識して管理することが大切です。
相続財産
相続財産とは、被相続人(亡くなった方)が死亡時点で保有していた財産のうち、法律上相続の対象となるものを指します。 具体的には、現金や預貯金、不動産、株式、車、貴金属などのプラスの財産だけでなく、借金やローン、保証債務といったマイナスの財産も含まれます。 相続人は、これらの財産すべてを一括して引き継ぐ「単純承認」だけでなく、財産の範囲内で債務を引き継ぐ「限定承認」や、相続自体を放棄する「相続放棄」などの選択も可能です。 なお、生命保険金や死亡退職金など、一定の財産は「相続財産」に含まれず、相続税の計算上も特別な扱いになることがあります。 相続財産を正しく把握することは、遺産分割協議や相続税申告を円滑に進めるうえで、最初の重要なステップとなります。
夫婦財産契約
夫婦財産契約とは、結婚をする際に夫婦が将来の財産の持ち方や管理方法をあらかじめ取り決めておく契約のことをいいます。通常、日本の法律では夫婦の財産は婚姻中に築いたものを共有とするのが原則ですが、夫婦財産契約を結ぶことで、たとえば「収入は各自のものとする」や「特定の財産は一方の単独所有とする」といった特約を設けることができます。 この契約は結婚前に公正証書として作成する必要があり、資産形成や将来の相続、万が一の離婚時における財産分けを明確にしておくために役立ちます。初心者の方にとっては少し難しく感じるかもしれませんが、資産を守るための大切な仕組みです。
贈与
贈与とは、ある人が自分の財産を無償で他の人に与えることをいいます。日常的には親から子へ生活費を渡すといった小さなものも含まれますが、資産運用の場面では不動産や現金、株式などまとまった財産の移転が問題となります。 贈与を受けた側には贈与税がかかることがあり、税額は贈与を受けた財産の価値や関係性によって変わります。特に相続の対策として贈与を活用することが多く、生前に財産を移すことで相続税の負担を軽減できる可能性があります。資産を計画的に守るうえで、贈与は大切な手段のひとつです。