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退職金運用で初心者がしやすいミスにはどのようなものがありますか?

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2025/08/02 08:50


男性

60代

question

退職金の運用を考えているのですが、まとまった資金を初めて扱うため、どのような点に注意すればいいのか不安です。特に、資産運用に慣れていない初心者がよくやりがちな失敗や見落としがあれば、事前に知っておきたいと思っています。よくあるミスやその背景について教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

退職金はまとまった資金であるため、資産運用に不慣れな方ほど思わぬ失敗をしやすくなります。まず代表的なミスとして、高い利回りを求めてリスクの大きい商品に偏ってしまうケースが挙げられます。たとえば、株式やレバレッジ型の投資信託などは値動きが激しく、元本割れのリスクが高まります。退職金は老後の生活費の柱となる資金であるため、リスクをとりすぎず、債券や現金なども組み合わせた分散投資が重要です。

次に注意すべきは、税制優遇制度の見落としです。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAなどを活用することで、運用益の非課税や所得控除といったメリットを得られます。しかし、それぞれの制度には加入条件や上限額、手続きのタイミングなど複雑なルールがあります。これらを十分に理解せずに課税口座で運用を始めてしまうと、不要な税金を支払うことになりかねません。退職前後の時期に、制度の活用シミュレーションを行っておくことが有効です。

また、投資のタイミングにも注意が必要です。退職金を一度にまとめて投資してしまうと、運用開始直後に相場が下落した場合のダメージが大きくなります。そのため、資金を6か月から1年程度に分けて段階的に投資していく「時間分散(ドル・コスト平均法)」の考え方を取り入れることで、リスクを軽減することができます。

さらに、手数料の高い複雑な商品を選んでしまうことも初心者の落とし穴です。特に、変額保険や仕組債のような商品は、表面上の利回りが魅力的に見えても、途中解約の制約や評価額の不透明さといったリスクが伴います。パンフレットや契約書に記載された「早期解約控除」や「販売手数料」「市場価格調整」といった項目を必ず確認し、費用対効果をしっかり比較しましょう。

最後に、相談先の選び方も重要なポイントです。証券会社や銀行の営業担当者は販売手数料を得る仕組みのため、リスクの高い商品を勧められることもあります。中立的な立場で助言をくれる独立系アドバイザーや、公的な相談窓口を利用することで、客観的な視点からのアドバイスを受けられる可能性が高まります。自身のリスク許容度を踏まえた運用方針書(IPS)を作成するのも効果的です。

このように、「①リスクの取り過ぎ」「②税制優遇の活用不足」「③一括投資のタイミングミス」「④手数料の高い商品の誤選択」「⑤不適切な相談先の利用」といった点を避けることが、退職金運用での失敗を防ぐために重要です。以上を意識しながら、慎重かつ計画的に運用を進めましょう。

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分散投資

分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。

独立系アドバイザー(IFA)

IFAとは、Independent Financial Advisorの略で、日本語では「独立系フィナンシャルアドバイザー」と呼ばれる資産運用の専門家を指す。内閣総理大臣より金融商品仲介業の登録を受け、1つ以上の証券会社と業務委託契約を締結し、投資家に対して資産運用のアドバイス業務や金融商品の仲介を行う。

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