ゴーイングコンサーンとはどういうことですか?
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2025/08/06 08:16
男性
40代
「ゴーイングコンサーン」とは、会社が将来にわたって事業を継続していくという前提で財務諸表が作られている、という考え方だと聞きました。でも、これって具体的にどういう意味なのでしょうか?たとえば、赤字の企業でも「ゴーイングコンサーン前提で」決算が組まれることがあるそうですが、それはなぜですか?逆に、その前提が崩れるとどうなるのでしょうか?また、監査報告書で「重要な不確実性」といった記載があるのを見かけたのですが、それはどういう状況を意味するのかも教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
「ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)」とは、企業がこれからも事業を続けていくことを前提に、決算書(財務諸表)が作られているという考え方です。たとえば、「この会社は来年もその先も営業を続ける」という前提があるからこそ、工場の設備を10年かけて費用化(=減価償却)したり、長期の借入金をそのまま残したりできるのです。
では、「赤字」の会社はどうなるのでしょうか?実は、赤字でもすぐにこの前提が崩れるわけではありません。たとえば現金が十分にあったり、銀行や親会社から資金の支援が見込めたりする場合には、「まだ事業は続けられる」と考えられます。そのため、たとえ赤字でも「ゴーイングコンサーン前提」で決算書が作られることはよくあります。
一方で、資金が底をつきそう、借金を返す見通しが立たない、主要な取引先を失ってしまったなど、事業を続けるのが難しそうな状況になった場合には、決算書の中に「継続企業の前提に重要な不確実性がある」といった注意書き(注記)が入ります。これは、「会社はまだ倒産したわけではないけれど、今のままでは将来ちょっと危ないかもしれません」というサインです。
また、そうしたリスクがあるときは、会社の決算書をチェックする「監査法人」も、監査報告書の中で「継続に不安がある」とコメントを加えることがあります。これが書かれているからといって、すぐに倒産というわけではありませんが、投資家や取引先にとっては注意を促す重要な情報です。
さらに深刻なケースでは、「もう今のままでは事業を続けられない」と判断され、決算書の作り方自体を見直す必要が出てきます。たとえば、持っている資産を「すぐに売ったらいくらになるか」で評価したり、借金をすぐに返す想定で再計算したりします。これは「清算前提」の決算と呼ばれます。
まとめると、「ゴーイングコンサーン」は会社が将来も続いていくという大前提で、私たちが目にする通常の決算書はその考えに基づいて作られています。ただし、資金繰りや経営環境が悪化して続けられなくなるリスクが見えてきたときには、注記や監査報告を通じてその不安が投資家に伝えられる仕組みになっています。企業の健全性を読み取るうえで、非常に大切なポイントです。
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ゴーイングコンサーン
ゴーイングコンサーンとは、「企業がこれからも事業を継続していくという前提」のことを意味します。 会計の世界では、企業は将来も倒産せずに事業を続けていくと仮定して財務諸表が作成されます。これがゴーイングコンサーンの考え方です。 たとえば、企業が一時的に赤字であっても、将来的に回復する見込みがあれば、資産や負債の評価を時価ではなく、継続企業としての前提に基づいて行います。しかし、経営状況が著しく悪化して倒産の可能性が高まると、監査法人などから「継続企業の前提に疑義あり」と指摘されることがあり、これは投資家にとって重要なリスク情報となります。
財務諸表(決算資料)
財務諸表とは、企業の経営状況やお金の流れを数字でわかりやすくまとめた報告書のことです。主に「貸借対照表(バランスシート)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュ・フロー計算書(C/F)」の3つが中心となり、それぞれ企業がどれだけの資産や負債を持っているか、どれだけ利益を出しているか、実際にお金がどう動いているかを表します。 これらの書類は、投資家や銀行、経営者が企業の健全性や成長性を判断するための重要な情報源です。初心者の方にとっては、企業を“健康診断”するためのレントゲンのようなものであり、数字を見ることでその会社がしっかり運営されているかを確認することができます。資産運用を考える上では、企業の財務諸表を読み解く力が、投資判断の大きな手助けになります。 決算のタイミングで企業から発表されるため、「決算資料」とも呼ばれます。
減価償却
減価償却とは、固定資産の購入価格をその使用可能年数にわたって経済的に分配する会計処理の方法です。企業が機械や建物、車両などの固定資産を購入した際に、これらの資産は使用することで徐々に価値を失います。減価償却を行うことで、資産のコストをその寿命にわたって費用として計上し、その結果として企業の財務報告が実態に即したものになることを目指します。 減価償却には様々な方法がありますが、一般的なものに直線法、定率法、数字和法があります。直線法はもっとも単純で、資産の耐用年数にわたって均等に費用を計上します。定率法は残存価値を基に毎年一定の割合で費用を計上し、数字和法では耐用年数の初年度に最も多くの費用を計上し、年数が経過するにつれてその額を減らしていきます。 減価償却は税務上も重要で、企業は減価償却費を経費として計上することで課税所得を減少させることができます。このため、適切な減価償却方法の選択と計算は、企業の税負担の管理にも直接関連しています。
監査法人
監査法人とは、複数の公認会計士が共同で設立し、企業などの財務書類について第三者の立場から監査を行う専門機関のことです。上場企業や大規模な金融機関などは、法律により監査法人による外部監査を受けることが義務付けられており、その目的は企業の財務情報が正確かつ適正に作成されているかを確認し、投資家や株主に対して信頼性の高い情報を提供することにあります。 監査法人は、会計基準や監査基準に従って、決算書類や内部統制の状況をチェックし、「適正意見」などの監査報告書を発行します。この報告は企業の信用力に直結し、資金調達や株価、IR活動などにも大きな影響を及ぼします。資産運用や金融の世界では、投資判断の根拠として監査済みの財務諸表が重要視されるため、監査法人の役割は非常に重要です。
監査報告書
監査報告書とは、公認会計士または監査法人が企業の財務諸表について独立した立場から監査を行い、その結果をまとめた公式な文書のことをいいます。これは、企業の財務内容が正しく表示されているかどうかを第三者として検証し、投資家や金融機関、株主などの利害関係者が安心してその企業の情報を利用できるようにするために作成されます。 監査報告書には、「適正意見(問題なし)」「限定付き適正意見」「不適正意見」「意見不表明」などの結論が記載され、企業の信頼性や健全性を判断する重要な材料となります。特に上場企業にとっては、監査報告書が適正意見であることが上場維持や資金調達の前提となるため、極めて重要な位置づけです。初心者にとっては少し専門的に見えるかもしれませんが、「その企業の数字は信用できるかどうか」を判断する基礎情報として、知っておく価値のある書類です。