株の売買はどのような仕組みで行われているの分かりやすく教えてください
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2025/09/11 08:55
女性
30代
株の売買がどのように仕組みとして成り立っているのかを知りたいです。証券会社を通じて売買しているのはわかるのですが、実際には誰と誰がどのように取引をしているのか、株価はどのように決まるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
株の売買は、投資家、証券会社、証券取引所、そして清算や保管を担う機関が連携して行われています。投資家は証券会社の口座を通じて注文を出し、証券会社がその注文を取引所に届けます。取引が成立すると、清算機関が売り手と買い手の間に入り、代金と株式の受け渡しを安全に処理します。株式の保管や名義の管理は電子的に行われる仕組みです。
注文方法には大きく分けて二つあります。ひとつは「成行注文」で、そのときの市場価格で素早く取引を成立させる方法です。もうひとつは「指値注文」で、あらかじめ希望する価格を指定し、その値段に達したときに売買が成立する方法です。注文時には株数や有効期限なども指定します。
取引所には「板」と呼ばれる仕組みがあり、買いたい注文と売りたい注文が価格ごとに並んでいます。取引は「価格の有利なものが優先」「同じ価格なら早いものが優先」というルールで自動的にマッチングされます。取引開始直後と終了時は「板寄せ方式」、取引時間中は「連続売買」によって価格が決まります。
株価は需給のバランスによって動きます。買いたい人が増えれば株価は上がり、売りたい人が増えれば株価は下がります。需給を左右する要因には、企業の業績や決算、経済ニュース、為替や金利の動きなどがあります。流動性が高い銘柄は価格が安定しやすく、取引量の少ない銘柄は少しの注文でも大きく動きやすい特徴があります。
取引が成立した後は、清算機関が株式と代金を交換します。通常は約定から数営業日後に受渡しが行われ、投資家の口座に反映されます。このとき売買手数料や、利益が出ていれば税金もあわせて処理されます。
取引を公平に保つための仕組みも整っています。急激な価格変動を抑える「値幅制限」や、相場が過熱したときに取引を一時停止する「サーキットブレーカー」などです。さらに、企業の情報開示ルールや不公正取引を防ぐ規制もあり、投資家が安心して売買できる環境が整備されています。
例えば、あなたが「A社株を1,000円で100株買いたい」と指値注文を出した場合、同じ条件の売り注文が出てきた時点で取引が成立します。もし市場価格が1,000円を超えたままなら取引は成立せず、注文は期限まで残ります。
取引の相手は特定の個人や会社ではなく、取引所に集まった注文の中からシステムが自動で選びます。清算機関が間に入るため、相手の信用不安を気にする必要はありません。株を買えば基本的に株主になりますが、配当や株主優待を受け取るには「権利確定日」に間に合う必要があります。
株の売買には「現物取引」と「信用取引」があります。現物取引は自分のお金で株を買って保有する基本的な方法です。信用取引は証券会社からお金や株を借りて取引するため、利益を大きくできる一方でリスクも高くなります。初心者はまず現物取引から始めるのが安心です。
まとめると、株の売買は、投資家が証券会社を通じて注文を出し、取引所の仕組みで自動的にマッチングされ、清算機関が受け渡しを確実に行う流れで成り立っています。価格は市場の需給によって常に変動しているため、この仕組みを理解したうえで少しずつ取引に慣れていくことが大切です。
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証券取引所
証券取引所とは、株式や債券、ETF(上場投資信託)などの金融商品を投資家同士が売買するための公的な市場(マーケット)のことです。ここでは、誰でも同じルール・条件のもとで売買が行われるため、価格の透明性や取引の公正性が確保されているのが大きな特徴です。 日本では東京証券取引所(東証)が代表的な存在で、ニューヨーク証券取引所やロンドン証券取引所など、世界各地にも重要な取引所があります。証券取引所に上場している企業の株式は、一定の基準をクリアした企業のみで構成されており、投資家にとっては「安心して取引できる場所」として機能しています。 初心者の方には、「株などを“みんなが集まってルールに沿って売買する場所”」とイメージするとわかりやすいでしょう。証券取引所は、資金を必要とする企業と、投資で利益を得たい人々をつなぐ、現代経済の基盤とも言える存在です。
成行注文
成行注文とは、価格を指定せずにその時点での市場価格で売買を行う注文方法のことです。注文を出すと、すぐに取引が成立しやすいという特徴があります。そのため、株価が大きく動いているときや、すぐに売りたい・買いたいというときに使われます。 ただし、価格を指定しないため、想定よりも高く買ってしまったり、安く売ってしまったりすることもあり、注意が必要です。スピード重視の取引には向いていますが、価格をコントロールしたいときには他の注文方法の方が適しています。
指値注文
指値注文とは、自分が売買したい価格をあらかじめ指定して出す注文方法のことをいいます。たとえば「この株を1,000円になったら買いたい」や「1,200円以上になったら売りたい」といったように、自分が希望する価格を指定して注文します。 指定した価格に達しない限り売買は成立しないため、思い通りの価格で取引できる一方で、注文が成立しないまま終わる可能性もあります。投資家が損失を抑えたり、利益をしっかり確保したりするために、計画的に使われる注文方法です。特に相場が急変したときに冷静に売買するための手段として、初心者にも役立つ仕組みです。
板情報
板情報とは、株式や為替などの金融商品において、現在出されている買い注文(ビッド)と売り注文(アスク)の価格や数量が一覧で表示される情報のことをいいます。この情報は取引所や証券会社の取引ツールなどでリアルタイムに確認でき、売買の需要と供給のバランスや、どの価格帯で取引が活発になっているかを把握するのに役立ちます。 たとえば、ある株に対して「1,000円で500株買いたい」という注文があれば、それが買い注文の板に表示されます。一方で「1,005円で300株売りたい」といった売り注文も売り板として表示されます。板情報を読み解くことで、売買のタイミングや価格の動き、相場の勢いなどを判断するヒントが得られます。特に短期売買を行うデイトレーダーなどにとっては、重要な判断材料の一つとなっています。
信用取引
信用取引とは、証券会社からお金や株式を借りて行う株の売買のことをいいます。通常の取引では、自分の持っているお金の範囲内でしか株を買えませんが、信用取引を使うと、証券会社に一定の担保(保証金)を差し入れることで、元手の数倍までの取引が可能になります。 これにより、うまくいけば短期間で大きな利益を得ることができますが、その反面、損失も同じように拡大する可能性があるため、リスクも高くなります。信用取引では、株を「買う」だけでなく、持っていない株を「売る(空売り)」こともできるため、相場が下がる局面でも利益を狙うことが可能です。初心者にとっては魅力的に映るかもしれませんが、資金管理や相場の見通しに自信がない段階では慎重に扱うべき上級者向けの取引手法です。