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株の信用取引はやめとけと言われる理由とは?手数料や追証・現物取引との違いを解説

株の信用取引はやめとけと言われる理由とは?手数料や追証・現物取引との違いを解説

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公開:

2025.08.18

更新:

2025.08.18

信用取引は、現物取引では得られないレバレッジ効果や空売りによる下落相場での利益獲得など、資金効率を高める魅力的な手段です。しかしその裏には、追証や強制決済、逆日歩や配当落調整金など、初心者が見落としやすいコストや制度上のリスクが潜んでいます。特に維持率の低下や二階建て取引は、短期間で大きな損失を招く危険があります。本記事では、信用取引の仕組みから買建・売建の流れ、制度信用と一般信用の違い、コスト構造やリスク管理の要点、活用事例や失敗回避のヒントまでを体系的に整理し、安全かつ効果的な活用のための判断軸を提供します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、信用取引の基本構造と魅力、そして見落としやすいリスクまでを一気に理解できます。レバレッジ効果や空売り、回転売買など資金効率を高める手法の活用方法を解説するとともに、買方金利・貸株料・逆日歩・配当落調整金などのコスト、追証や強制決済、維持率低下や二階建て取引の危険性など、損失を拡大させる要因を整理。制度信用と一般信用の違いや使い分け、買建・売建の流れ、現引き・現渡しなどの決済手段、さらに信用残や倍率、貸借銘柄などの指標の読み解き方も紹介します。基礎から応用まで体系的に学び、実務的な判断力を磨けます。

目次

信用取引とは?現物取引との3つの違いを解説

1.レバレッジ:自己資金の約3倍まで取引可能

2.空売り:株価が下がる局面でも利益を狙える

3.回転売買:1日に何度も同じ銘柄を売買できる

信用取引の仕組み|「買い」と「売り(空売り)」の基本フロー

信用買い(買建):資金を借りて株を買い、値上がり益を狙う

信用売り(空売り):株を借りて売り、値下がり益を狙う

「制度信用」と「一般信用」どっちを選ぶ?特徴とルールの違いを比較

制度信用:コストが安く短期売買向きだが、返済期限と逆日歩リスクがある

一般信用:返済期限の柔軟性が高いが、金利は高めで空売り銘柄が限られる

制度信用と一般信用の使い分け方

信用取引のコストは4種類:手数料以外にかかる費用とは?

1.買方金利と貸株料

2.品貸料(逆日歩)

3.配当落調整金

4.売買手数料

信用取引のリスク管理と3つの回避策

1.「追証」の発生条件と、安全な保証金維持率の目安

2.「強制決済」のリスクと、損切りルールの重要性

3.「二階建て」投資を避け、急落時の損失拡大を防ぐ

信用取引の具体的な使い方3選

活用術1 短期売買(デイトレード):少ない資金で効率的に利益を狙う

活用術2 つなぎ売り(ヘッジ):保有株の値下がりリスクに備える

活用術3 優待クロス取引:株価変動リスクを抑えて株主優待を取得する

信用残・倍率から相場の過熱感を見抜く4つのポイント

ポイント1:信用残(買い残・売り残)から将来の売買圧力を読み解く

ポイント2:信用倍率が「1倍割れ」は株価上昇のサイン?見方の注意点

ポイント3:「日々公表銘柄」に指定されたら過熱のサイン!取引は慎重に

ポイント4:貸借銘柄:制度信用で空売りできる銘柄の区分

よくある失敗事例:初心者が陥りがちな3つの罠と回避法

失敗1:フルレバレッジで取引し、わずかな値下がりで追証になる

失敗2:損失を取り返そうと「ナンピン買い」で傷口を広げる

失敗3:「逆日歩」などのコストを見落とし、想定外の損失を出す

信用取引とは?現物取引との3つの違いを解説

信用取引とは、手元の資金や株式を担保にして、証券会社から資金や株を借りて行う取引です。この「レバレッジ(てこ)」の仕組みを利用することで、現物取引にはない3つの大きなメリットが生まれます。

そもそもの株式投資について入門的な内容は以下の記事で解説しています。

1.レバレッジ:自己資金の約3倍まで取引可能

信用取引では、自己資金の約3倍を上限に取引ができます。これにより、少ない元手で大きな利益を狙える一方、損失のリスクも同様に大きくなるため、現物取引以上に慎重なリスク管理が求められます。

2.空売り:株価が下がる局面でも利益を狙える

現物取引ではできない「空売り」ができる点も、信用取引の大きな特徴です。空売りとは、保有していない株を証券会社から借りて売り、株価が下がった後に買い戻して差額を利益とする手法で、下落局面でも収益機会が生まれます。

3.回転売買:1日に何度も同じ銘柄を売買できる

信用取引は、同じ資金を使って1日に何度も同じ銘柄を売買する「回転売買」が可能です。そのため、短期的な値動きを狙うデイトレードで頻繁に活用されます。ただし、取引には金利や貸株料といったコストがかかる点には注意が必要です。

信用取引の仕組み|「買い」と「売り(空売り)」の基本フロー

信用取引には、将来の値上がりを期待する「信用買い」と、将来の値下がりを予測する「信用売り(空売り)」の2つの取引方法があります。それぞれの取引の流れと決済方法を解説します。

信用買い(買建):資金を借りて株を買い、値上がり益を狙う

証券会社から資金を借りて株式を購入する取引です。手元の保証金を担保に、証券会社が買付代金を立て替えてくれます。

例えば、保証金30万円で100万円の株式を買うことができます(保証金維持率30%の場合)。

信用買いしたポジションは、以下のいずれかの方法で決済します。

  • 反対売買(転売):購入した株式を市場で売却し、その代金で借りた資金を返済します。
  • 現引き:借りていた資金を自己資金で返済し、株式を現物として受け取ります。

信用売り(空売り):株を借りて売り、値下がり益を狙う

証券会社から株を借りて市場で売却する取引で、「空売り」とも呼ばれます。手元にない株を先に売り、株価が下がった後に買い戻すことで利益を狙います。

例えば、株価1,000円の株を100株借りて売却し(10万円の売却代金)、後で株価が800円に下がった時に買い戻して返却すれば、差額の2万円が利益になります。

信用売りしたポジションは、以下のいずれかの方法で決済します。

  • 反対売買(買い戻し):売却した同数の株式を市場で買い戻し、借りていた株を返却します。
  • 現渡し:既に保有している同じ銘柄の現物株式を差し出して、借りていた株の返済に充てます。

「制度信用」と「一般信用」どっちを選ぶ?特徴とルールの違いを比較

信用取引には、取引所のルールに基づく「制度信用」と、証券会社が独自にルールを決める「一般信用」の2種類があり、注文時にどちらかを選択します。両者の主な違いを見ていきましょう。

制度信用:コストが安く短期売買向きだが、返済期限と逆日歩リスクがある

取引所が定めた共通のルールで取引されます。

  • 対象銘柄:取引所が選定した「制度信用銘柄」に限られます。
  • 返済期限:最長6ヶ月です。
  • 金利・コスト:金利や貸株料は市場で統一されており、比較的低コストです。
  • 注意点:空売りが集中すると「逆日歩」という追加コストが発生することがあります。

一般信用:返済期限の柔軟性が高いが、金利は高めで空売り銘柄が限られる

投資家と証券会社との間の個別契約に基づいて取引されます。

  • 対象銘柄:証券会社が独自に定めており、制度信用の対象外銘柄も含まれます。
  • 返済期限:証券会社ごとに異なり、「無期限」のプランもあります。
  • 金利・コスト:金利や貸株料は証券会社ごとに設定され、制度信用より高めの傾向があります。
  • 注意点:証券会社によっては空売りができない場合があります。

制度信用と一般信用の使い分け方

一度建てたポジションを、後からもう一方の信用取引に変更することはできません。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の投資スタイルに合わせて使い分けることが重要です。

  • 制度信用が向いているケース:取引コストを抑えたい短期売買
  • 一般信用が向いているケース:長期で保有したい、または制度信用の対象外銘柄を取引したい場合

信用取引のコストは4種類:手数料以外にかかる費用とは?

信用取引では、現物取引にはない特有のコストに注意が必要です。売買手数料のほかに、ポジションの建て方(買いか売りか)や保有期間に応じて、主に以下の費用が発生します。

1.買方金利と貸株料

ポジションを保有している間、日割りで発生し続ける基本的なコストです。

  • 買方金利:信用買いで資金を借りる際に支払う金利です。
  • 貸株料:信用売り(空売り)で株を借りる際に支払うレンタル料です。

2.品貸料(逆日歩)

特定の銘柄に空売りが集中し、市場で貸し出す株が不足した際に発生する、売り方負担の追加コストです。制度信用取引で発生し、この逆日歩がつくと空売りのコストが大きく上昇する可能性があります。

3.配当落調整金

保有ポジションが企業の配当権利確定日をまたぐ場合に発生する調整金です。

  • 信用買いの場合:配当金に相当する金額を受け取ります。
  • 信用売りの場合:配当金に相当する金額を支払う義務が生じます。

株主優待については、信用取引では原則として権利を得られません。

4.売買手数料

取引の都度発生する手数料です。近年は多くの証券会社で信用取引の売買手数料を無料化する動きが広がっていますが、ご自身の利用する証券会社の料金体系は事前に確認しておきましょう。

信用取引のリスク管理と3つの回避策

信用取引を利用する上で最も重要なのがリスク管理です。レバレッジは利益を増やす可能性がある一方、損失も拡大させ、場合によっては口座残高以上の損失を招く恐れもあります。ここでは、特有のリスクと管理のポイントを解説します。

1.「追証」の発生条件と、安全な保証金維持率の目安

信用取引では、建玉(ポジション)の総額に対する純資産の割合を示す「委託保証金維持率」を、常に一定以上に保つ必要があります。

この維持率が基準値を下回ると「追証(おいしょう)」が発生します。追証とは、指定された期限までに保証金を追加で入金するか、ポジションの一部を決済して維持率を回復させるよう求める警告です。規則上の最低基準は20%ですが、多くの証券会社では30%を基準としています。そのため、常に30%以上を安全な目安として意識することが、追証を回避する基本となります。

2.「強制決済」のリスクと、損切りルールの重要性

追証を期限までに入金できない場合、証券会社は投資家の意思とは関係なく、全てのポジションを強制的に決済します。これを「強制決済(ロスカット)」と呼びます。

この場合、不利な価格で決済されて大きな損失が確定してしまうリスクがあります。こうした事態を防ぐには、追証が発生する前に損失を確定させる「損切り」のルールをあらかじめ決めておくことが極めて重要です。

3.「二階建て」投資を避け、急落時の損失拡大を防ぐ

特に危険な投資手法に「二階建て」があります。これは、現物株を担保にして、さらに同じ銘柄を信用取引で買い増す行為です。

この方法では、株価が下落した際に現物と信用の両方で損失が発生し、ダメージが二重になります。まさに二階建ての家が土台から崩れるように、維持率が急激に悪化するため、急落時の損失拡大を防ぐためには決して行ってはいけない投資手法です。

また、これらの他に金利の変動や、取引所による増担保規制といった制度変更もリスク要因となるため、日頃から市場ニュースに関心を持つことも大切です。

信用取引の具体的な使い方3選

信用取引の具体的な活用場面として、代表的な3つのケースを紹介します。

活用術1 短期売買(デイトレード):少ない資金で効率的に利益を狙う

信用取引は、レバレッジを効かせて少ない値幅でも利益を狙えるため、短期売買と好相性です。

また、現物取引では原則不可能な、同一資金による同日中の反復売買(回転売買)ができる点も大きなメリットです。これにより、デイトレードのように1日で何度も取引チャンスを活かすことが可能になります。

活用術2 つなぎ売り(ヘッジ):保有株の値下がりリスクに備える

保有している株式の一時的な値下がりリスクに備える「ヘッジ(保険つなぎ)」としても活用できます。

例えば、長期保有しているA株の短期的な下落が予想される場合、そのA株を信用取引で空売りします。実際に株価が下落すれば、空売りの利益で現物株の評価損を相殺できるため、資産の目減りを抑えることが可能です。

活用術3 優待クロス取引:株価変動リスクを抑えて株主優待を取得する

株価変動のリスクを抑えながら、株主優待の権利だけを得る「優待クロス取引」という手法にも利用されます。

これは、権利付き最終日に「現物買い」と「信用売り」を同時に同数だけ行う取引です。買いと売りのポジションが互いの値動きを相殺するため、株価の変動を気にすることなく、優待の権利を取得できます。

信用残・倍率から相場の過熱感を見抜く4つのポイント

信用取引関連のデータは、個別銘柄の需給バランスや相場の過熱感を判断するための有効な材料になります。ここでは、代表的な指標の読み解き方を解説します。

ポイント1:信用残(買い残・売り残)から将来の売買圧力を読み解く

信用取引でまだ決済されていないポジションの残高を「信用残」と呼びます。「信用買い残」と「信用売り残」があり、毎週更新されるこの数値から、将来の売買圧力を予測できます。

  • 信用買い残が多い:将来の売り圧力(返済売り)が強い状態。
  • 信用売り残が多い:将来の買い圧力(買い戻し)が強い状態。

ポイント2:信用倍率が「1倍割れ」は株価上昇のサイン?見方の注意点

「信用買い残÷信用売り残」で計算されるのが信用倍率です。買い残と売り残のバランスを示し、1倍を下回ると売り残が優勢であることを意味します。

一般的に、倍率が低いほど将来の買い戻し需要への期待から株価に追い風とされます。ただし、人気株は倍率が高いまま上昇を続けることも多いため、この指標だけで安易に判断するのは危険です。

ポイント3:「日々公表銘柄」に指定されたら過熱のサイン!取引は慎重に

信用取引が急増し、過熱感のある銘柄は「日々公表銘柄」に指定されます。これは取引所が投資家に注意を促すための措置で、通常は週1回の信用残公表が毎日行われるようになります。

この指定が相場の短期的な天井や底を示す転換点となることも多いため、指定された銘柄の取引はより一層慎重に行うべきサインと捉えましょう。

ポイント4:貸借銘柄:制度信用で空売りできる銘柄の区分

「貸借銘柄」とは、制度信用取引で「空売り(信用売り)」が可能な銘柄のことです。すべての銘柄が空売りできるわけではなく、この区分に指定されていない銘柄(非貸借銘柄)は、制度信用では信用買いしかできません。空売りをしたい場合は、その銘柄が貸借銘柄かどうかを事前に確認することが重要です。

よくある失敗事例:初心者が陥りがちな3つの罠と回避法

最後に、信用取引で初心者から中級者の方が陥りやすい失敗パターンと、その対策を解説します。

失敗1:フルレバレッジで取引し、わずかな値下がりで追証になる

信用枠を最大限まで使い切ってしまうと、少し株価が逆行しただけですぐに追証が発生しがちです。また、含み損を抱えたままポジションを持ち続けると、日々の金利負担も重なり、損失が膨らんでいきます。現物取引の感覚で「塩漬け」にする戦略は、信用取引では通用しないと心得ましょう。

この失敗を避けるには、レバレッジを常に控えめに設定し、万が一に備えて余力を残しておくことが重要です。また、「この価格まで下がったら損切りする」というラインを事前に決め、それを厳守するルールを徹底してください。

失敗2:損失を取り返そうと「ナンピン買い」で傷口を広げる

株価が下落した際に損失を取り返そうと、さらに資金を追加して同じ銘柄を買い増す「ナンピン買い」や「二階建て」は、最も危険な行為の一つです。

もし株価が下げ止まらない場合、雪だるま式に維持率が悪化し、「追証の連鎖」に陥ってしまいます。損失を取り返すどころか、より深刻な事態を招きかねません。

対策として、信用取引での安易なナンピン買いは絶対に避けましょう。一つの銘柄に固執せず、分散投資を心がけるなど、冷静な資金管理が求められます。

失敗3:「逆日歩」などのコストを見落とし、想定外の損失を出す

信用売り(空売り)が特定の銘柄に集中すると、「逆日歩」という追加コストが発生することがあります。これを知らずに空売りを続けると、利益が大きく削られたり、思わぬ損失につながったりします。

こうした失敗は、信用取引の仕組みやルールを十分に理解しないまま取引を始めてしまうことが原因です。取引を始める前には、金利や貸株料だけでなく、逆日歩の発生状況や配当の権利日などを事前に確認する習慣をつけましょう。

この記事のまとめ

信用取引は、資金効率を高められる一方で、現物取引にはない制度やコストの影響を強く受けます。制度信用と一般信用の特徴や条件を正しく理解し、買方金利・貸株料・逆日歩・配当落調整金などのコストを事前に把握することが不可欠です。また、維持率の低下による追証や強制決済、二階建て取引による過大リスクは避け、信用残や倍率、貸借銘柄などの指標で市場動向を確認しながら運用することが重要です。目的を明確にした活用と、損切りやポジション管理の徹底が損失回避の鍵になります。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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信用取引

信用取引とは、証券会社からお金や株式を借りて行う株の売買のことをいいます。通常の取引では、自分の持っているお金の範囲内でしか株を買えませんが、信用取引を使うと、証券会社に一定の担保(保証金)を差し入れることで、元手の数倍までの取引が可能になります。 これにより、うまくいけば短期間で大きな利益を得ることができますが、その反面、損失も同じように拡大する可能性があるため、リスクも高くなります。信用取引では、株を「買う」だけでなく、持っていない株を「売る(空売り)」こともできるため、相場が下がる局面でも利益を狙うことが可能です。初心者にとっては魅力的に映るかもしれませんが、資金管理や相場の見通しに自信がない段階では慎重に扱うべき上級者向けの取引手法です。

現物取引

現物取引とは、株式や通貨、商品などの資産を実際に「現物」として売買する取引のことです。たとえば株式の現物取引では、お金を支払って株を買い、買った人はその株式を保有します。反対に、売る場合は自分が保有している株を市場で売却します。 取引が成立すると、実際に資産の移転が行われるため、証券口座に株式が入ったり、売却によって現金が戻ってきたりします。これに対して、後日精算を行う「信用取引」や「先物取引」とは異なり、すぐに資産とお金の交換が完了するのが特徴です。投資初心者にとっては、リスク管理がしやすく、仕組みもシンプルであるため、最初に取り組みやすい取引方法といえます。

レバレッジ

レバレッジとは、借入金や証拠金取引など外部資金を活用して自己資本以上の投資規模を実現する手法です。利益の拡大が期待できる一方、市場の下落や金利の変動で損失が膨らみやすく、追加証拠金(追証)が必要になる場合やロスカットが発生するリスクも高まります。 また、借入金利や手数料などのコストが利益を圧迫する可能性があるため、ポジション管理やヘッジ手法を含めたリスク管理が不可欠です。レバレッジによる損益変動幅が大きくなることで精神的な負担も増えやすい点にも注意が必要です。最終的には、投資目的やリスク許容度を考慮し、適切なレバレッジ水準を設定することで、資産運用の効率を高めつつリスクを抑えることが重要となります。

空売り

空売りとは、信用取引の1つで、株を借りて行う取引手法のこと。借りた株式を売却し、売却額より低い価格で買い戻すことにより利益を狙う手法である。 現物取引とは異なり、株価の下落局面で利益を狙うことができる。他にもすでに所有している現物株式のリスクヘッジになる点もメリットとして挙げられる。 デメリットとしては株価の上昇幅には上限がないことから損失が無限に膨らむ可能性がある、手数料をはじめとした費用がかかる点が挙げられる。

回転売買

回転売買とは、証券会社や担当者が投資家の利益よりも自社の手数料収入を優先して、必要以上に頻繁な売買を繰り返す行為のことを指します。一般的に、売買をするたびに投資家は手数料を支払うことになるため、取引回数が多くなるほど手数料負担が増えます。 その結果、資産の運用成果が悪くなったり、無駄なリスクを負う可能性があります。投資初心者は「頻繁に売買している=うまく運用されている」と感じてしまうことがありますが、実際にはこのような回転売買が行われている可能性があるため注意が必要です。証券会社に任せて運用している場合でも、定期的に取引履歴を確認し、不審な売買がないかチェックすることが大切です。

信用買い

信用買いとは、証券会社からお金を借りて株式を購入する取引のことです。自分の資金だけではなく、証券会社に預けた保証金(担保)をもとに、数倍の金額の取引ができるため、手元資金が少なくても大きな取引が可能になります。このような仕組みは「レバレッジ効果」と呼ばれ、利益が出た場合は効率よく増やすことができますが、その反面、損失が出ると自己資金以上の損失が発生するリスクもあります。 信用買いを行う際は、返済期限が決められており、原則として6ヶ月以内に売却して借りた資金を返さなければなりません。初心者の方にとっては、仕組みをしっかり理解してから活用することが重要です。

信用売り

信用売りとは、証券会社から株式を借りて先に売り、その後で株価が下がったタイミングで買い戻して返却する取引のことです。株価が下がるとその差額が利益になるため、「株価が下がることで利益を得る」ことができる仕組みです。たとえば、1株1,000円の株を借りて売り、株価が800円になったときに買い戻せば、差額の200円が利益となります。 信用売りも信用取引の一種なので、証券会社に保証金を預ける必要があり、返済期限も原則6ヶ月以内です。また、株価が思ったように下がらず上昇してしまった場合、損失が大きくなりやすく、理論上は損失が無限に膨らむ可能性があるため、十分な注意とリスク管理が必要です。特に初心者は、この仕組みをよく理解したうえで利用することが大切です。

反対売買

反対売買とは、信用取引や先物取引、FXなどで新規に建てたポジションを決済するために行う、反対方向の取引のことを指します。たとえば、株式を信用買いした場合は「売ること」、信用売りをした場合は「買い戻すこと」が反対売買にあたります。 この取引によって建玉(たてぎょく)が解消され、損益が確定します。反対売買は、利益確定や損切り、ポジションの整理などの目的で行われ、投資戦略の実行に欠かせない基本的な動作です。特に信用取引では、現物取引と異なり「必ず反対売買を行って決済する」ことが前提となっているため、この概念をしっかり理解しておくことが重要です。

現引き

現引きとは、信用買いで購入した株式を、証券会社から借りたお金でなく、自分の資金で支払って正式に自分のものとする手続きのことです。信用買いをした段階では、株は一時的に保有している状態ですが、実際には証券会社から借りたお金で買っているため、返済期限があります。 現引きを行うことで、その株を現物として保有することができ、返済義務もなくなります。たとえば、株価が下がっても長期的に保有したいと思ったときや、配当や株主優待を受け取りたいときに現引きをすることがあります。ただし、現引きには購入代金全額を用意する必要があるため、手元資金とのバランスを考えて判断することが重要です。

現渡し

現渡しとは、信用売りによって借りていた株式を、自分が保有する現物株で返済する手続きのことです。信用売りを行うと、証券会社から株を借りて市場で売却し、後にその株を買い戻して返却するのが通常ですが、買い戻さずに自分の保有する株式をそのまま返すこともできます。それが現渡しです。 たとえば、もともと現物で同じ株を保有していて、その株を信用売りと同じ銘柄・株数分持っていれば、それを使って返済できます。この方法を使うことで、株価変動による買い戻しのタイミングを気にすることなく、返済が完了します。ただし、現物株を手放すことになるため、長期保有を前提にしていた場合は注意が必要です。

制度信用

制度信用とは、証券取引所が定めたルールに基づいて行われる信用取引の一種で、証券金融会社が関与する公的な取引制度のことです。信用取引とは、証券会社からお金や株を借りて株式の売買を行う取引ですが、制度信用では、取引の期間や金利、保証金の基準などがあらかじめ統一されており、一般の投資家が利用しやすい仕組みになっています。 主に上場企業の中から「貸借銘柄」として指定された株式が対象で、空売りも可能です。取引期間は原則6か月以内と決まっており、これを超えると強制的に反対売買が行われる場合があります。制度が整っている分、一定の安全性がありますが、逆日歩などの追加費用が発生することもあるため、注意が必要です。

一般信用

一般信用とは、証券会社が独自に定めた条件で提供する信用取引のことで、制度信用と異なり、取引期間や金利、貸株の有無などを証券会社ごとに自由に設定できるのが特徴です。制度信用と比べると柔軟性が高く、取引期間が無期限に設定されていることもあります。 一般信用では、空売りの対象となる銘柄も証券会社ごとに異なり、貸借銘柄でない株も空売りできる場合があります。優待クロス取引やつなぎ売りなどの戦略にもよく使われるため、使い方を理解することで投資の幅が広がります。ただし、金利や貸株料、品貸料などのコストは証券会社によって異なるため、事前にしっかりと確認することが大切です。

買方金利

買方金利とは、信用取引で株式を買う際に、証券会社から資金を借りて購入する場合に発生する金利のことです。つまり、自分の資金だけでは足りないときに証券会社からお金を借りて株を買うと、その借りた金額に対して利息がかかります。 その利息が「買方金利」と呼ばれます。金利は証券会社や取引の種類(制度信用・一般信用)によって異なりますが、信用取引を継続する期間が長くなるほど支払う金利も増えるため、コストとしてしっかり把握しておく必要があります。信用取引のメリットだけでなく、こうしたコストにも注意を払うことが、賢い資産運用につながります。

貸株料

貸株料とは、自分が保有している株式を証券会社などを通じて他の投資家に貸し出したときに受け取ることができる報酬のことです。貸し出した株は、主に空売りを行う投資家に使われることが多く、株主である自分はその見返りとして一定の料率に基づいた貸株料を受け取ります。 株を持っているだけでは得られない「インカムゲイン」の一種であり、株価の値上がり益や配当とは別に利益を得られる手段のひとつです。ただし、貸株中は株主としての権利(例:議決権や株主優待)を失う可能性があるため、利用する際は条件やリスクをよく確認することが大切です。

品貸料(しながしりょう)

品貸料(しながしりょう)とは、信用取引において空売りを行うために株を借りた投資家が、その株の貸し手に対して支払う追加の費用のことです。通常の貸株料とは異なり、特定の株式が市場で不足していて借りにくい状態になっているときに、その希少性を反映して発生する特別な料率です。 つまり、人気が高く空売りの需要が集中する銘柄では、株を借りるためにより高いコストがかかることがあります。証券会社が日々設定し、状況によって大きく変動することがあるため、空売りを行う投資家にとっては注意が必要なコストです。

逆日歩(ぎゃくひぶ)

逆日歩(ぎゃくひぶ)とは、信用取引における「空売り(信用売り)」を行う際に、証券会社などの貸株元から株式を借りるための追加的な費用のことです。正式には「品貸料(しながしりょう)」と呼ばれます。信用売りが多く、貸株の需要が供給を上回ると、株式を借りるためのコストが発生し、これが逆日歩として空売りを行っている投資家に課されます。 逆日歩は毎日変動する可能性があり、銘柄によっては非常に高額になることもあるため、空売りを行う際のリスク要因として特に注目されます。また、逆日歩が発生している銘柄は、信用売り残が多い=投資家の弱気が集まっているとも読み取れるため、踏み上げ(ショートスクイーズ)による急騰の前兆とされることもあります。 短期売買や信用取引を活用する資産運用において、逆日歩はコスト管理とリスク管理の両面で重要な概念です。

配当落調整金

配当落調整金とは、信用取引で空売りを行った投資家が、株主に支払われる配当と同等の金額を、株の貸し手に対して支払う必要があるお金のことです。通常、配当金は株を保有している投資家だけが受け取るものですが、空売りをしている場合、その株を誰かから借りて売っている状態なので、配当の権利日をまたぐと、本来配当を受け取るはずだった貸し手に対して「配当相当額」を支払うことになります。 この支払いが「配当落調整金」です。実際には証券会社が手続きを行い、空売りをしていた側から自動的に差し引かれます。配当分がコストとなるため、配当時期に空売りをする際は、この支払いの影響をしっかり考慮する必要があります。

委託保証金維持率

委託保証金維持率とは、信用取引を行う際に必要な保証金(担保)のうち、最低限維持しておくべき割合のことを指します。投資家が信用取引で株を買ったり売ったりする際には、証券会社に一定額の保証金を預ける必要がありますが、この割合が下がりすぎると、証券会社から追加の保証金(追証)を求められる可能性があります。 通常は20%〜30%程度が最低基準とされており、保有している株の値下がりなどで維持率が下がるとリスクが高まります。投資家としては、自分の信用取引のポジションが安全圏にあるかを確認するために、この維持率を常にチェックしておくことが重要です。

マージンコール(追証/追加証拠金)

マージンコール(Margin Call) は、信用取引や CFD、FX のように証拠金でレバレッジをかける取引において、維持証拠金率(口座資産 ÷ 必要証拠金 × 100)が証券会社の基準を下回った際に送られる追加入金の要請です。日本では「追証(おいしょう)」「追加証拠金」とも呼ばれます。 たとえば借入金が 80 万円の状態で保有資産の評価額が 70 万円に下落すると維持率は 88 %となり、基準 100 %を割り込むためマージンコールが発生します。投資家はふつう 1〜3 営業日以内に不足額を入金するかポジションを減らして対応する必要があり、応じなければロスカット(強制決済)によって損失が確定します。 FX のように即時ロスカットが適用される商品もあり、詳細な条件は証券会社ごとに異なります。追証リスクを抑えるには、必要証拠金のおよそ 1.5~2 倍の余裕資金を常に預けておくことが基本です。あらかじめストップロスを設定して下落幅を限定し、相場急変時にアプリやメールのアラートで即座に状況を確認して対処すると、予期せぬマージンコールを大幅に減らせます。

強制決済

強制決済とは、信用取引で建てたポジションに対して、投資家が定められたルールを守らなかった場合や、保有資産の価値が急激に下がった場合などに、証券会社が投資家に代わって自動的に取引を終了させることを指します。たとえば、委託保証金維持率が証券会社の定める最低水準を下回った場合、追加の保証金(追証)を入金しなければなりませんが、それに応じなかった場合には、証券会社がリスク回避のために強制的に建玉を反対売買して決済します。 これにより、それ以上の損失拡大を防ぐことが目的です。投資家自身の判断とは無関係に行われるため、事前にリスクを想定して、証拠金やポジションの管理を怠らないことが重要です。

損切り(ロスカット)

損切り(ロスカット)とは、投資で保有している資産の価格が下がり、これ以上損失を広げないために、その資産をあえて売却して損失を確定させる行為のことをいいます。多くの投資家は、含み損の状態で損を確定させることに心理的な抵抗を感じますが、損切りをしないまま価格がさらに下がると、より大きな損失につながる可能性があります。そのため、あらかじめ損失の許容範囲を決めておき、一定の価格に達したら機械的に売る「ルールとしての損切り」が資産を守る手段として重要です。また、FXや信用取引では、証拠金維持のために強制的にロスカットが行われることもあります。損切りは投資のリスク管理の基本のひとつです。

二階建て

二階建てとは、現物取引で購入した株式を担保にして、さらに信用取引で同じ銘柄や別の銘柄を追加で購入する投資手法のことです。たとえば、まず現物で株を買い、その株を担保として証券会社に預け、信用買いを使ってさらに株を買うという構造です。このように、保有資産をもとに追加の取引を行うことで、資金効率を高め、大きなリターンを狙うことができます。 しかしその一方で、相場が下落した場合には損失が現物分と信用分の両方で膨らむため、リスクも非常に高くなります。特に株価が急落した場合には、保証金の不足により「追証(おいしょう)」が発生することもあり、資金繰りが厳しくなる可能性があります。初心者には難易度が高く、慎重な判断とリスク管理が求められる投資スタイルです。

デイトレード

デイトレードとは、株式や為替などの金融商品を1日のうちに売買して利益を得ようとする投資手法のことをいいます。朝に買った銘柄をその日のうちに売るなど、取引をその日の間に完結させるのが特徴です。 値動きの小さな差を狙って頻繁に売買を行うため、相場の変化にすばやく対応できる判断力や経験が求められます。長期的な成長を狙う投資とは異なり、短期間での利益を目指すため、リスクも高くなりがちです。そのため、初心者の方には注意が必要で、まずは相場の仕組みをよく理解したうえで取り組むことが大切です。

つなぎ売り

つなぎ売りとは、株価の下落による損失を一時的に防ぐために、保有している株と同じ銘柄を信用取引で空売りすることを指します。たとえば、今後株価が下がるかもしれないと感じているが、すぐには保有株を売りたくない場合に、同じ銘柄を空売りすることで、株価が下がったときの損失を打ち消すことができます。 つまり、価格変動によるリスクを抑える「保険」のような役割を果たす手法です。この方法は主に短期的なリスク回避や、株主優待を目的とした優待クロス取引にも使われることがあります。正しく使えば有効な手段ですが、取引手数料や貸株料などのコストも発生するため、事前の計算と理解が必要です。

ヘッジ

ヘッジとは、価格変動や為替変動などのリスク(不確実性)から資産を守るために、あらかじめ対策を講じることを意味します。資産運用の分野では、将来起こりうる損失を緩和または回避するために、別の取引や金融商品を利用してリスクを相殺する行為を指します。 たとえば、外貨建て資産を保有している場合、円高が進むとその価値が目減りするリスクがあります。このとき、為替予約や為替先物といったヘッジ手段を使えば、円高による損失を一定程度防ぐことができます。また、株式市場の下落に備えて、先物取引やプットオプションを利用することも、価格下落に対するヘッジになります。 ヘッジは、利益を狙うための手段というよりも、損失を限定し、安定した運用成果を得るためのリスク管理策として使われます。完全にリスクをゼロにすることはできませんが、価格変動による影響を抑えたい場合には非常に有効です。ただし、ヘッジにはコストがかかることも多く、その効果と費用のバランスをよく見極めて判断することが重要です。

優待クロス取引

優待クロス取引とは、株主優待をリスクを抑えて受け取るために行う取引手法のことです。具体的には、株主優待の権利が確定する前に、現物株を買うと同時に同じ銘柄を信用取引で空売りすることで、株価の変動によるリスクを相殺しつつ、優待の権利だけを取得する方法です。 この取引を行うことで、株価の上下に影響されずに株主優待だけを手に入れることができます。ただし、信用取引にかかる手数料や貸株料、品貸料などのコストが発生するため、利益が小さくなったり損失になることもあるので注意が必要です。制度やタイミングをよく理解したうえで行うことが大切です。

信用残

信用残とは、信用取引によって投資家が現在保有している未決済の建玉の合計数量や金額のことを指します。具体的には、「買い残」と「売り残」に分けられ、それぞれ信用買いと信用売りによって建てられた建玉の残高を示しています。 たとえば、ある銘柄について信用買いの建玉が多い場合は「買い残が多い」と表現され、これはその銘柄に対する強気な見方が多いことを意味します。一方で、信用売りの建玉が多い場合は「売り残が多い」とされ、弱気な見方が広がっていると読み取れます。 信用残の増減は、相場の需給や投資家心理を反映する指標として使われることが多く、株価の今後の動きを予測するための参考材料になります。ただし、必ずしも逆張りや順張りの判断に直結するわけではないため、他の指標と併用して活用することが大切です。

信用倍率

信用倍率とは、信用取引における「信用買い残(信用買いで保有されている株数)」と「信用売り残(信用売りで保有されている株数)」の比率を表す指標で、通常「信用買い残 ÷ 信用売り残」で計算されます。この倍率を見ることで、その銘柄に対して投資家が強気(買いが多い)なのか、弱気(売りが多い)なのかを判断する目安になります。 たとえば、信用倍率が5倍であれば、信用買い残が売り残の5倍あるということで、買いポジションに偏っていることを示します。信用倍率が高すぎると、株価が下落した際に投げ売り(ロスカット)につながりやすく、逆に信用倍率が低い、もしくは1倍未満(売りが多い)であれば、踏み上げによる急騰の可能性もあります。信用倍率は投資家の需給バランスや相場の過熱感・悲観度を読み取るためのテクニカル指標の一つとして、資産運用や短期売買において重視されます。

日々公表銘柄

日々公表銘柄とは、空売りの残高が増加し、特に信用取引の需給が偏っていると証券取引所が判断した銘柄で、空売りの状況などが毎日公表される対象になっている株式のことです。 通常、空売り残高などの情報は週1回程度しか開示されませんが、日々公表銘柄に指定されると、空売りの残高が毎営業日ごとに公表されるため、市場関係者にとって注目度が高い状態にあることを意味します。 この指定は、過度な空売りによる価格の歪みや市場の混乱を抑えることを目的としています。指定されると、空売りを行う際に追加の制限やコスト(例:逆日歩の発生リスクなど)が増す可能性があるため、空売りを検討している投資家は注意が必要です。

貸借銘柄

貸借銘柄とは、制度信用取引において「買い」だけでなく「売り」(空売り)も可能な株式のことを指します。日本取引所グループや証券金融会社によって選定されており、信用取引の対象として安定性や流動性があると判断された銘柄に限られます。 投資家は貸借銘柄を利用することで、証券会社から株を借りて空売りを行うことができます。一方、制度信用取引に対応していない銘柄は「非貸借銘柄」と呼ばれ、空売りはできません。貸借銘柄に指定されているかどうかは、信用取引の戦略を立てるうえで非常に重要な情報であり、特に優待クロス取引やつなぎ売りを行う際には、必ず確認すべきポイントです。

ナンピン

ナンピンとは、すでに保有している資産の価格が下がったときに、追加で同じ銘柄を買い増すことで、平均購入単価を下げようとする投資手法のことをいいます。たとえば、1株1,000円で買った株が800円に下がったときにもう1株買うと、平均購入価格は900円になります。 これにより、価格が少し戻るだけでも損失を回収しやすくなるメリットがありますが、一方で下落が続くと損失がさらに膨らむリスクもあるため注意が必要です。ナンピンは資金に余裕があり、冷静にリスクを判断できる中・上級者向けの戦略とされることが多く、初心者が無計画に行うと損失拡大につながることがあります。適切な資金管理とリスク管理が欠かせない投資行動です。

塩漬け

塩漬けとは、株式や投資信託などに投資した後、価格が大きく下落し、損失が膨らんでしまったことで、売却する判断ができずに長期間そのまま保有し続けている状態を指します。本来、投資は値上がり益や分配金を得ることを目的としますが、含み損が大きくなると、売却によって損失が確定することへの心理的抵抗から、「いずれ値を戻すかもしれない」という期待のもとで手放せなくなることがあります。 塩漬けになった資産は、実質的に運用の自由度を失っており、他の有望な投資機会に資金を振り向けることができなくなるため、「機会損失」の原因にもなります。さらに、損切り(損失を受け入れて早期に見切る判断)ができない状態が続くことで、投資全体のパフォーマンスを長期的に押し下げる要因となる場合もあります。 塩漬けを防ぐためには、感情に左右されず、事前にリスク許容度を見極めたうえで売却基準を設け、定期的にポートフォリオの見直しを行うことが重要です。また、値下がりの背景や回復可能性を冷静に分析し、戦略的な損切りを選択することも、長期的な資産形成には欠かせない判断となります。

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