リースバックでよくあるトラブル事例があれば、教えてください。
リースバックでよくあるトラブル事例があれば、教えてください。
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2025/10/21 09:06
男性
60代
リースバックは自宅を売却しても住み続けられる便利な仕組みと聞きますが、実際に利用した人の中にはトラブルもあると聞きます。どのようなトラブルが起こりやすいのか、安心して利用するために注意すべきポイントも教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
リースバックで起きやすいトラブルの多くは、売買契約・賃貸契約・特約条件の三つが複雑に絡み合っていることに起因します。特に、価格や賃料、買戻し条件、契約期間の扱いなどが曖昧なまま契約すると、後に生活に大きな影響を及ぼす問題へと発展します。
まず多いのが賃料や更新条件に関するトラブルです。初年度は宣伝通りの家賃でも、更新時に大幅に値上げされたり、更新料や保証会社の再審査費用が追加されたりすることがあります。契約書に「市場変動時は見直し可能」などの条項があると、貸主が自由に改定できる場合もあり、借主の想定と異なる負担が生じます。
次に多いのが買戻し条件の誤解です。広告で「買戻し可能」と書かれていても、実際には「滞納がないこと」「一定期間内に手続き完了」「再査定額に上乗せ金が必要」などの条件があり、実現が難しいことがあります。また、相場下落や物件の瑕疵発覚で再査定額が下がり、資金的に買戻しが不可能になるケースも少なくありません。
原状回復や修繕を巡る費用負担もよく問題になります。売却後は借主になるため、故障や劣化が起きた際の修繕をどちらが負担するか明確でないと、トラブルに発展します。契約に「現状有姿」「退去時クリーニング費用は借主負担」などの特約がある場合、思わぬ高額請求を受けることがあります。
定期借家契約の場合、期間満了で自動的に退去となる点にも注意が必要です。契約の仕組みを理解しておらず、「更新できると思っていた」と考えていたものの、突然の退去を求められることもあります。
勧誘や広告表示の誇張にも注意が必要です。「ずっと住める」「家賃は変わらない」といった説明が、実際は条件付きであったという事例が多く見られます。契約書や重要事項説明を十分に理解しないまま契約すると、後悔することになります。
こうしたトラブルを防ぐには、賃料や買戻し条件、契約期間、修繕負担、税金、保険など、すべての条件を文書で明確にしておくことが大切です。
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