50歳で始めるならiDeCoとNISAどっちがいいでしょうか?
50歳で始めるならiDeCoとNISAどっちがいいでしょうか?
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2025/10/02 09:08
男性
50代
50歳から資産運用を始めるにあたり、iDeCoとNISAのどちらを優先すべきか迷っています。定年までの期間が限られているため、節税効果や老後資金の準備効率を重視したい一方、いざとなった時の流動性も気になります。初心者でも分かるように、それぞれの特徴やメリット・デメリット、50歳から始める際の注意点を教えていただけますか。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
50歳から資産運用を始めるなら、iDeCoとNISAはどちらも活用するのが理想です。ただし優先順位は目的によって変わります。すぐに使う可能性のある資金なら流動性の高いNISAを、60歳まで引き出さないと割り切れる資金なら所得控除で税負担を軽くできるiDeCoを優先するとよいでしょう。多くの場合はNISAのつみたて投資枠、次にiDeCo、最後にNISAの成長投資枠という順で埋めていくと使いやすくなります。
iDeCoは掛金が全額所得控除になり、毎年の税金を確実に減らせるのが強みです。受け取りは原則60歳以降で、受け取り方によって退職所得控除や公的年金等控除の対象となります。一方で途中解約や引き出しができない点が最大の制約です。
新NISAはいつでも引き出せ、運用益が非課税になるのがメリットです。年間360万円、生涯1,800万円までの枠があり、売却すると枠が翌年以降に復活する仕組みも使いやすいポイントです。資金に使い道があるかどうかでNISAとiDeCoのバランスを取ることが大切です。
実際に50歳から始めるなら、生活防衛資金を現預金で確保したうえで、まずNISAのつみたて投資枠で低コストの国際分散投信を積立。次にiDeCoで税制優遇を受けながら老後資金を積み立て、さらに余力があればNISAの成長投資枠で追加投資を検討する流れが現実的です。
また、iDeCoは加入年数によって60歳から65歳まで受け取り開始年齢が変わります。2026年以降はiDeCoと退職金を10年以内に連続して受け取ると退職所得控除が不利になるため、受け取り方やタイミングを早めに設計することも重要です。拠出上限は職業や企業年金の有無によって違うので、勤務先の制度を確認したうえで計画を立てましょう。
つまり、50歳からは使う可能性がある資金をNISAに、60歳まで動かさない資金をiDeCoに回すという考え方が基本です。このバランスを意識すれば、節税と流動性を両立させながら老後資金を効率的に準備できます。
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iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
所得控除
所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。
流動性
流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。
退職所得控除
退職所得控除とは、退職金を受け取る際に税金を軽くしてくれる制度です。長く働いた人ほど、退職金のうち税金がかからない金額が大きくなり、結果として納める税金が少なくなります。この制度は、長年の勤続に対する国からの優遇措置として設けられています。 控除額は勤続年数によって決まり、たとえば勤続年数が20年以下の場合は1年あたり40万円、20年を超える部分については1年あたり70万円が控除されます。最低でも80万円は控除される仕組みです。たとえば、30年間勤めた場合、最初の20年で800万円(20年×40万円)、残りの10年で700万円(10年×70万円)、合計で1,500万円が控除されます。この金額以下の退職金であれば、原則として税金がかかりません。 さらに、退職所得控除を差し引いた後の金額についても、全額が課税対象になるわけではありません。実際には、その半分の金額が所得とみなされて、そこに所得税や住民税がかかるため、税負担がさらに抑えられる仕組みになっています。 ただし、この退職所得控除の制度は、将来的に変更される可能性もあります。税制は社会情勢や政策の方向性に応じて見直されることがあるため、現在の内容が今後も続くとは限りません。退職金の受け取り方や老後の資産設計を考える際には、最新の制度を確認することが大切です。
公的年金等控除
公的年金等控除とは、年金を受け取っている人の所得税や住民税を計算する際に、年金収入から一定額を差し引ける控除制度です。これにより課税対象となる金額が減り、税負担を軽減できます。 対象となるのは、国民年金・厚生年金・共済年金などの「公的年金」に限られます。これらは所得税法上の「公的年金等」に分類され、控除の対象となります。 一方で、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC、個人年金保険などは、たとえ年金形式で受け取ったとしても税法上は「公的年金等」に該当せず、公的年金等控除の対象外です。これらは「雑所得(その他)」として課税されます。 控除額は受給者の年齢と年金収入の額に応じて異なり、特に65歳以上の高齢者には手厚い控除が設けられています。 | 年齢 | 公的年金等の収入額 | 控除額 | | --- | --- | --- | | 65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 | | | 130万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 37.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 78.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | | 65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 | | | 330万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 27.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 68.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | たとえば、65歳以上で年金収入が250万円であれば、110万円の控除が適用され、課税対象となる所得は140万円に圧縮されます。





