国民年金保険料を追納すると節税になると聞きましたが、本当ですか?
国民年金保険料を追納すると節税になると聞きましたが、本当ですか?
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2025/10/23 09:14
男性
30代
学生時代に国民年金の「学生納付特例制度」を利用していましたが、最近「追納すると節税になる」と聞きました。追納をすると所得控除が受けられるとのことですが、実際にどの程度の節税効果があるのか、また追納しない場合とどちらが得なのかを知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
学生納付特例期間を追納すると、支払った保険料の全額がその年の社会保険料控除として所得から差し引かれます。つまり、所得税と住民税の合計税率分だけ節税効果があり、実際の負担はその分軽くなります。たとえば、課税所得が330万円を超える人で所得税23%、住民税10%なら合計33%の軽減率となり、10万円を追納すれば約3万3千円の税負担が減る計算です。追納分は確定申告または年末調整で控除できます。
追納をすると、老齢基礎年金の受取額も将来増加します。国民年金は原則480か月の納付で満額となる仕組みなので、1か月追納すると満額の1/480分、年額で約1,700円程度年金が増えます。1年分(12か月)追納すれば年間で約2万円の増額です。追納しなければその分の受給額は永続的に減ったままとなるため、老後の年金水準を確実に上げる方法といえます。
節税と年金増額の両方を合わせて考えると、追納は多くの人にとって有利な選択肢です。特に所得が高く限界税率が20〜33%程度の人ほど節税効果が大きくなります。例えば月額17,510円(2025年度)の保険料を2年分(約42万円)追納した場合、限界税率33%なら約14万円、20%なら約8万円の節税になります。
一方で、追納には注意点もあります。学生納付特例分は10年以内であれば追納可能ですが、3年度目以降は経過年数に応じて加算金が上乗せされます。そのため、できるだけ早い追納が有利です。期限を過ぎると、その期間は受給資格にはカウントされるものの、年金額には反映されません。また、追納資金を別の投資に回せばより高いリターンを得られる可能性もありますが、年金は元本保証かつ終身受給のため、長期的にみれば「確実なリターン」に近い性質があります。
総じて、追納は税負担を軽減しつつ老後の年金額を増やす堅実な方法です。税率が高い人や、老後の安定収入を確実に確保したい人には特に有効です。追納額・税率・加算金をもとに具体的な損得を試算し、早めに手続きを進めるとよいでしょう。
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学生納付特例制度
学生納付特例制度とは、20歳以上の学生が国民年金の保険料を納めることが経済的に難しい場合に、申請することで在学中の保険料納付が猶予される制度です。この制度を利用すると、納付していない期間も年金の受給資格期間としてカウントされるため、将来の年金受給に不利にならず、卒業後に収入を得てから追納することも可能です。 対象となるのは、大学・大学院・短大・専門学校・高等専門学校などに在学している学生で、一定の所得以下であることが条件です。資産運用やライフプランの面では、学生時代から年金制度に関わる意識を持ち、将来の備えとして制度のしくみを理解しておくことが大切です。
保険料納付猶予制度
保険料納付猶予制度とは、国民年金の加入者が経済的な理由で保険料を納めるのが難しい場合に、一定の条件を満たせばその支払いを一定期間「猶予」できる制度です。特に20歳以上50歳未満の人が対象で、所得が一定以下であるなどの基準があります。 この制度を利用すると、その期間中の未納が将来の年金受給資格に悪影響を及ぼさず、後から追納することで将来の年金額に反映させることも可能です。学生向けの「学生納付特例制度」とは別で、社会人でも対象となる点が特徴です。資産運用やライフプラン設計の観点では、将来の年金を確保しながら、目先の生活を支える柔軟な制度として理解しておくと役立ちます。
追納
追納とは、過去に国民年金保険料の免除や納付猶予を受けた期間について、後からさかのぼって保険料を納めることをいいます。この制度を利用することで、将来受け取る老齢基礎年金の受給額を増やすことができ、年金の受給資格期間にも有利に働きます。 ただし、追納できるのは原則として免除・猶予を受けた期間に限られ、単なる未納期間には適用されません。また、追納には期限があり、原則として免除・猶予された年度の翌年度から起算して10年以内となっています。 追納することで本来の保険料負担に戻る形になりますが、2年以上前の期間については加算金が上乗せされることがあります。経済的に余裕があるときに計画的に追納を行うことで、将来の年金額をしっかり確保することができます。
所得控除
所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。
社会保険料控除
社会保険料控除とは、健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険などの社会保険料を支払った場合に、その金額を所得から差し引くことができる所得控除の一種です。これは、納税者の生活を守る公的制度に協力しているという前提で、税負担を軽くするための仕組みです。 本人が支払った分だけでなく、配偶者や親族の保険料を本人が負担している場合にも控除の対象になります。会社員であれば給与から自動的に天引きされた社会保険料も対象となっており、年末調整や確定申告の際に自動的に反映されるケースが多いです。税額を計算する際の重要な調整要素となるため、税制の基本知識として知っておくと役立ちます。
加算金
加算金とは、金融商品や保険商品などで、通常の利息や配当などに上乗せされる追加的な金銭のことを指します。主に定期預金や債券、保険契約などで、一定の条件を満たした場合に支払われることがあります。例えば、特定の期間まで解約しなかった場合や、特定のキャンペーン中に契約をした場合などに、通常より高い利率が適用されることがあります。投資家にとっては、利回りを高めるための一つの要素となりますが、加算金が適用される条件をよく確認しないと、思ったよりも受け取れないケースもあるため注意が必要です。




