扶養家族を扶養から外す場合にはどんな手続きが必要ですか?
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2025/09/04 09:09
男性
50代
健康保険や税制に関しては扶養の範囲に入れるかどうかで負担額が大きく変わると聞きました。そこでお伺いしたいのですが、子どもが就職したり、配偶者が一定以上の収入を得たりして扶養の条件を外れる場合、会社や税務署、または健康保険組合などにどのような手続きが必要になるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
扶養から外れる場合には、まず「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つの側面で手続きが必要になります。両者は制度が異なるため、別々に確認して進めることが重要です。
税法上の扶養(扶養控除)については、年末調整や確定申告で扶養控除を受けている場合に変更が必要です。子どもが就職して一定額以上の所得を得た場合、その年から扶養控除は受けられません。勤務先に「扶養控除等申告書」の修正・提出を求められることがあります。手続きを怠ると、翌年に修正や追徴課税が発生する可能性があるため注意が必要です。
社会保険上の扶養(健康保険・厚生年金)では、扶養家族が就職して社会保険に加入する場合や、収入が基準を超えた場合に手続きが必要です。具体的には、勤務先を通じて「健康保険被扶養者異動届」を提出します。その際には、就職先の健康保険証の写しや給与明細など収入を確認できる書類が必要となる場合があります。また、扶養から外れることで健康保険証を返却しなければならないこともあります。
手続きのタイミングは、扶養から外れる事実が発生した時点、つまり就職日や収入超過が確定した時点で速やかに行う必要があります。放置すると、健康保険の資格や税務上の控除が不正確になり、後から返還や追徴を求められるリスクがあります。
したがって、扶養から外れる場合は、まず勤務先の総務担当者に相談しながら「健康保険被扶養者異動届」と「扶養控除等申告書」を中心に必要書類を整えましょう。期限や必要書類は勤務先や健康保険組合によって異なることがあるため、必ず事前に確認することが大切です。
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税法上の扶養
税法上の扶養とは、家族などを経済的に支えている人が、税金の計算においてその家族を「扶養している」と申告することで、所得控除を受けられる仕組みのことです。実際の生活費を支援している場合でも、税法上で一定の条件を満たしていないと「扶養」として認められない場合があります。 たとえば、子どもや配偶者、親などの年間所得が一定以下であることや、生計が同じであることなどが条件です。扶養控除が適用されると、所得税や住民税が軽減され、手取り収入が増えることになります。資産運用においては、こうした税制優遇を理解し、家族全体での節税や収支バランスを考えることが、効率的な家計管理につながります。
扶養控除
扶養控除とは、所得税や住民税を計算する際に、扶養している家族がいる場合にその人数や年齢に応じて課税対象となる所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。これにより、税金の負担が軽くなります。対象となるのは、16歳以上の子どもや親などで、生計を共にしており、年間の所得が一定額以下であることが条件です。 子どもが16歳未満の場合は扶養控除の対象にはなりませんが、別途「児童手当」などの支援があります。控除額は扶養親族の年齢や学生かどうかなどによって異なり、たとえば「特定扶養親族(19歳以上23歳未満の子ども)」はより大きな控除額が認められています。税負担を軽減し、家族を支える世帯への配慮を目的とした制度です。
年末調整
年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税の額を、年末に雇用主が計算し直して精算する手続きのことです。通常、毎月の給与からあらかじめ見込みで所得税が源泉徴収されていますが、年末に実際の収入や各種控除(配偶者控除、扶養控除、保険料控除など)を反映させて正確な税額を算出し、過不足を調整します。 税金を払いすぎていた場合には還付され、足りなかった場合は追加で徴収されることがあります。年末調整によって、多くの給与所得者は確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっており、手間の軽減と課税の公平性を両立させる重要な制度です。ただし、自営業者や副業収入がある人、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人などは、年末調整だけでは対応できず、別途確定申告が必要になります。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
被扶養者異動届
被扶養者異動届とは、健康保険における扶養家族の状況に変化があったときに提出する届け出書類です。たとえば、扶養していた家族が就職して収入を得るようになった場合や、結婚や死亡などで扶養関係がなくなった場合に必要になります。また、新たに扶養家族を追加する場合にも、この異動届を使うことがあります。 この届け出をすることで、健康保険の管理機関が正確な加入者情報を把握でき、適正な保険給付の運用が可能になります。提出を忘れると、不要な保険給付を受けてしまい、後から返還を求められることもあるため、変化があったときは速やかに提出することが大切です。
追徴課税
追徴課税とは、納税者が申告漏れや誤りによって本来納めるべき税額よりも少なく納税していた場合、税務署が追加で課す税金のことです。過少申告加算税、無申告加算税、重加算税など、状況に応じた種類があります。