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小規模企業共済は危ないと聞きました。どんなデメリットや注意点がありますか?

小規模企業共済は危ないと聞きました。どんなデメリットや注意点がありますか?

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2025/09/29 09:07


男性

40代

question

小規模企業共済は節税効果があるとよく聞きますが、一方で「元本割れの可能性がある」「途中解約に不利」などのデメリットも耳にします。具体的にどのような点に注意すべきなのか、また加入を検討する際に気をつけるべきポイントを教えていただけますか。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

小規模企業共済は、節税をしながら将来の退職金を準備できる有効な制度ですが、短期解約に非常に不利であり、途中で解約すると元本割れする可能性があります。特に1年未満での解約は給付が一切なく、20年未満でも自己都合解約では元本割れしやすいため、長期での利用が前提になります。

また、受け取り方によって税負担が大きく変わる点にも注意が必要です。廃業や退任などで受け取れば退職所得扱いとなり有利ですが、任意解約の場合は一時所得扱いとなり、課税額が大きくなるケースがあります。分割で受け取れば雑所得扱いになり、退職所得控除が使えないため、税制上の不利につながることもあります。

さらに、掛金に対して元本保証はなく、運用環境に応じて利回りが変動する仕組みです。インフレへの対応もないため、長期で考えると実質的な価値が目減りするリスクがあります。掛金の上限もあるため、高額な退職金を全額この制度だけでまかなうことは難しく、他の制度と組み合わせて設計する必要があります。

資格や役員構成の変更、事業承継の際には加入資格が変わることがあり、その場合は任意解約扱いになる恐れがあります。これにより想定外の税負担が発生する可能性があるため、人事や登記のタイミングを含めて出口設計を考えておくことが重要です。また、貸付制度もありますが、あくまで借入であり返済や利息が伴うため、将来の受取額が減る点は理解しておくべきです。

この制度が向いているのは、長期で安定して事業を続けられ、退職や廃業といった退職所得扱いの受け取り方を前提にできる人です。一方で、数年以内に事業や身分が変わる可能性が高い人や、流動性を重視して資金をすぐに使う必要がある人には不向きです。

結局のところ、小規模企業共済は出口の設計がすべてです。いつ、どんな理由で、どう受け取るかを事前に考えておくことで、節税と退職金準備の効果を最大化できます。資金繰りや他の制度との組み合わせも含めて、長期戦略として利用するのが安全な使い方です。

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小規模企業共済

小規模企業共済とは、中小企業の経営者や役員、個人事業主の方のための退職金制度です。「小規模企業」という文言が含まれているとおり、一定の要件を満たす中小企業や個人事業主が対象です。 小規模企業共済制度は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が運営している「小規模企業共済法」という法令に基づいた共済制度です。 掛金は全額所得控除され、加入者は事業資金の借入れも可能です。 加入資格は、従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主や会社役員などです。ただし、兼業で会社員をしているなど、給与所得を得ている場合は加入資格がないため注意が必要です。

元本割れ

元本割れとは、投資で使ったお金、つまり元本(がんぽん)よりも、最終的に戻ってきた金額が少なくなることをいいます。たとえば、100万円で投資信託を購入したのに、解約時に戻ってきたのが90万円だった場合、この差額10万円が損失であり、「元本割れした」という状態です。 特に、価格が変動する商品、たとえば株式や投資信託、債券などでは、将来の価格や分配金が保証されているわけではないため、元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」と考える方にとっては、このリスクを正しく理解することがとても重要です。金融商品を選ぶときには、利回りだけでなく元本割れの可能性も十分に考慮しましょう。

退職所得控除

退職所得控除とは、退職金を受け取る際に税金を軽くしてくれる制度です。長く働いた人ほど、退職金のうち税金がかからない金額が大きくなり、結果として納める税金が少なくなります。この制度は、長年の勤続に対する国からの優遇措置として設けられています。 控除額は勤続年数によって決まり、たとえば勤続年数が20年以下の場合は1年あたり40万円、20年を超える部分については1年あたり70万円が控除されます。最低でも80万円は控除される仕組みです。たとえば、30年間勤めた場合、最初の20年で800万円(20年×40万円)、残りの10年で700万円(10年×70万円)、合計で1,500万円が控除されます。この金額以下の退職金であれば、原則として税金がかかりません。 さらに、退職所得控除を差し引いた後の金額についても、全額が課税対象になるわけではありません。実際には、その半分の金額が所得とみなされて、そこに所得税や住民税がかかるため、税負担がさらに抑えられる仕組みになっています。 ただし、この退職所得控除の制度は、将来的に変更される可能性もあります。税制は社会情勢や政策の方向性に応じて見直されることがあるため、現在の内容が今後も続くとは限りません。退職金の受け取り方や老後の資産設計を考える際には、最新の制度を確認することが大切です。

一時所得

一時所得とは、継続的な収入ではなく、偶発的または一時的に得た所得のことを指す。例えば、懸賞の賞金、生命保険の満期返戻金、競馬の払戻金などが該当する。50万円の特別控除が適用され、課税対象額は控除後の金額の1/2となる。

雑所得

雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法において定められた10種類の所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得を指します。具体的には、公的年金や副業による収入、仮想通貨の売却益、FXの利益、非営業用貸金の利子などが該当します。 経費を差し引いた金額が課税対象となり、総合課税の対象となります。また、雑所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。

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