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退職金の積立制度にはどのようなものがありますか?

退職金の積立制度にはどのようなものがありますか?

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2025/09/29 09:07


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退職金制度には会社独自の制度だけでなく、中小企業退職金共済や確定拠出年金など国の制度もあると聞きました。どのような選択肢があり、それぞれどんな特徴があるのかを具体的に教えていただきたいです。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

退職金の積立には会社が用意する制度と個人が用意する制度の二つがあり、それぞれに特徴と選び方があります。会社側では退職一時金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、中退共といった仕組みがあり、個人では小規模企業共済やiDeCoがあります。選ぶ際には誰が掛金を負担するのか、誰が運用リスクを負うのか、どのように受け取るのか、税制上のメリットがどうなるのかを整理すると分かりやすくなります。

退職一時金は会社規程に基づき一時金を支給するシンプルな仕組みで、受取時は退職所得として控除が使えるため税制面で有利です。確定給付企業年金は将来の受取額を会社が約束する制度で従業員にとって安心感がありますが、会社側の財務負担は大きくなります。企業型確定拠出年金は会社が拠出した資金を従業員自身が運用するため、成果は個人の運用次第で決まり、掛金は非課税である一方、運用リスクは加入者が負います。中退共は中小企業向けに国が運営する共済制度で、掛金は全額損金にでき、転職しても通算される利便性があります。

個人が準備する方法では、小規模企業共済は自営業者や会社役員が自分の退職金を積み立てる仕組みで、掛金は全額所得控除の対象となります。iDeCoは個人が拠出して自ら運用する制度で、運用益が非課税になり、掛金も所得控除が受けられます。どちらも原則60歳まで引き出せないため、老後資産形成に特化しています。

受け取り方法にも注意が必要です。一時金として受け取れば退職所得控除が使えるため実効税率は低くなりやすく、年金として受け取れば公的年金等控除が適用されます。同じ年に複数の退職一時金を受け取ると課税上通算されることがあるため、受取時期を調整することも重要です。

中小企業が制度を導入する場合はまず中退共を土台とし、必要に応じて企業型確定拠出年金や退職一時金を組み合わせるのが実務的です。個人であれば小規模企業共済とiDeCoの併用が王道です。最終的には会社の資金繰りや個人のライフプランを踏まえて、安定性と柔軟性をどのように両立させるかが選択の基準となります。

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退職一時金

退職一時金とは、従業員が会社を退職する際に一括で支給される退職金のことを指します。これは、勤続年数や退職時の給与、役職などに応じて計算され、長年の勤務に対する報酬や慰労の意味合いがあります。企業によっては退職年金制度と併用している場合もありますが、退職一時金は一度にまとまった金額を受け取れるため、老後資金や住宅ローンの返済、投資の原資などとして使われることが多いです。資産運用の観点では、この一時金をどのように管理し、活用するかが老後の生活設計に大きな影響を与えるため、受け取ったあとの運用プランをしっかり考えることが重要です。また、税制上は「退職所得」として扱われ、優遇措置を受けられる場合があります。

確定給付企業年金 (DB)

確定給付型企業年金(DB)とは、企業が従業員の退職後に受け取る年金額を保証する企業年金制度です。あらかじめ決められた給付額が支払われるため、従業員にとっては将来の見通しが立てやすいのが特徴です。DBには規約型と基金型の2種類があります。規約型は、企業が生命保険会社や信託銀行などの受託機関と契約し、受託機関が年金資産の管理や給付を行う仕組みです。基金型は、企業が企業年金基金を設立し、その基金が資産を運用し、従業員に年金を給付する仕組みです。確定拠出年金(DC)との大きな違いは、DBでは企業が運用リスクを負担する点であり、運用成績にかかわらず従業員は決まった額の年金を受け取ることができます。一方、DCでは従業員自身が運用を行い、将来受け取る年金額は運用成績によって変動します。DBのメリットとして、従業員は退職後の給付額が確定しているため安心感があることが挙げられます。また、企業にとっては従業員の定着率向上につながる点も利点となります。しかし、企業側には年金資産の運用成績が悪化した場合に追加の負担が発生するリスクがあるため、財務的な影響を考慮する必要があります。

企業型確定拠出年金 (企業型DC)

「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。

中退共(中小企業退職金共済制度)

中退共とは、中小企業の従業員に退職金を支給するための共済制度です。企業が毎月掛金を支払い、従業員が退職する際に積み立てられた退職金が支給されます。国の助成金もあり、企業負担を軽減しながら従業員の退職後の生活を支えます。

小規模企業共済

小規模企業共済とは、中小企業の経営者や役員、個人事業主の方のための退職金制度です。「小規模企業」という文言が含まれているとおり、一定の要件を満たす中小企業や個人事業主が対象です。 小規模企業共済制度は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が運営している「小規模企業共済法」という法令に基づいた共済制度です。 掛金は全額所得控除され、加入者は事業資金の借入れも可能です。 加入資格は、従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主や会社役員などです。ただし、兼業で会社員をしているなど、給与所得を得ている場合は加入資格がないため注意が必要です。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

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