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除斥(じょせき)期間で救済不能になった典型事例は?

除斥(じょせき)期間で救済不能になった典型事例は?

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2025/05/28 14:13


男性

60代

question

権利が消える前に動けばよいと分かっていても、情報が遅れて入り泣き寝入りとなる例が多いと聞きます。投資詐欺、信託の不正流用、相続隠匿などで除斥期間が経過し回収不能になった具体的なパターンを知り、どこで判断を誤ったのか学びたいです。どのような事例があるのでしょうか?


回答

佐々木 辰

38

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

除斥期間の経過で救済不能となった典型事例は大きく三つあります。第一に、バブル期に販売されたリゾート会員権投資です。1989年に契約し、「高利回り運用」と称した虚偽報告を信じて配当停止後も放置した結果、2013年に詐欺が発覚した時点では損害賠償請求権の除斥期間(二十年)が満了し、回収の道が閉ざされました。第二に、2000年代初頭に設定した家族信託で、受託者の長男が信託不動産を私的担保に供したケースです。母親が2024年に帳簿改ざんを見抜いたものの、行為から二十年を経過しており、信託責任追及も詐害取消権も行使できませんでした。第三に、2009年に死亡した父の遺産で、長女が預金を横領した事実を弟が2021年に把握したケースです。遺留分侵害額請求権は「相続開始から十年」で消滅するため、裁判所は請求を棄却しました。

これらに共通する失敗は、①定期的な帳簿・残高確認を怠ったこと、②異変を感じても速やかに専門家へ相談しなかったこと、③証拠保全を後回しにしたことです。違和感を覚えた段階で調査と証拠収集を始め、法定期限を逆算して行動計画を立てることが、泣き寝入りを避ける唯一の対策となります。

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相続財産の名義変更トラブルと除斥(じょせき)期間は?

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関連する専門用語

除斥期間

除斥期間とは、ある権利が成立してから一定の期間が過ぎると、たとえその権利を行使しようとしなくても自動的に消滅してしまう期間のことです。似たような概念に「時効」がありますが、除斥期間は時効のように「主張しないと消えない」のではなく、期間が過ぎれば当然に効力がなくなるという点で大きく異なります。たとえば、不法行為による損害賠償請求権は、発生から20年が経過すると除斥期間により行使できなくなります。この制度は、いつまでも不確定な権利関係が残ることを防ぎ、法律上の安定性や公平性を保つために設けられています。資産運用や相続の分野でも、請求権の有効性を確認するうえで知っておくべき重要な考え方です。

損害賠償請求

損害賠償請求とは、他人の行為によって自分が損害を受けたときに、その損害を金銭などで補償するよう相手に求める法的な手続きのことをいいます。たとえば、交通事故でけがを負った場合や、契約違反で経済的損失を受けた場合などに、「その損害を補ってほしい」として行う請求がこれにあたります。 損害には、実際にかかった費用(治療費や修理費など)だけでなく、精神的な苦痛や逸失利益なども含まれることがあります。請求が認められるためには、相手に過失や故意があったこと、損害が現実に発生したこと、その損害と行為との因果関係があることなど、いくつかの条件が必要になります。資産運用の文脈では、金融商品や契約において不当な取り扱いや説明不足があった場合、投資家が損害賠償請求を行うこともあります。初心者にとっても、自分の権利を守る手段として理解しておく価値のある基本的な法律用語です。

家族信託

家族信託は、委託者が信頼できる家族を受託者として選び、財産の管理・処分・収益の使途などを契約で定める民事信託の一形態です。実務では、公正証書によって信託契約を締結し、現金や不動産、株式などを信託財産として受託者名義に移転します。もっとも、名義が移転しても財産から生じる利益を受け取る権利(受益権)は、委託者本人や指定された家族が保有します。 この仕組みの特徴は、将来、認知症などにより判断能力が低下した場合でも、財産が一律に凍結されることなく、あらかじめ定めた目的に沿って管理・支出を継続できる点にあります。生活費や医療費、介護費用などの支払いを想定した設計が可能であり、成年後見制度とは異なるアプローチで財産管理を行える場合があります。また、相続発生後は信託財産そのものではなく受益権が相続対象となるため、遺産分割の範囲や手続きを整理しやすくなるケースもあります。 一方で、家族信託は相続税を直接減らす制度ではなく、相続や遺言を不要にする仕組みでもありません。税負担や法的効果は、基本的に現行の相続・税務ルールに基づいて判断されます。家族信託はあくまで、生前から財産の管理主体や使途を柔軟に設計するための枠組みであり、節税や相続対策そのものを目的とする制度ではない点には注意が必要です。 活用時には、一定の手続きとコストが発生します。不動産を信託財産に含める場合には信託登記が必要となり、登録免許税や司法書士報酬、公証人手数料などが生じます。また、受託者には、信託口座の管理、収支状況の記録・報告、信託財産と個人財産の分別管理といった継続的な事務負担が伴います。税務上、信託契約の締結時に原則として贈与税は課されませんが、信託財産を売却した際の譲渡所得税や、信託終了時の相続税は通常どおり発生します。 そのため、家族信託は単独で評価するのではなく、成年後見制度や遺言、遺言信託などの代替手段と比較しながら、資産の種類や家族構成、将来の管理負担を踏まえて検討することが重要とされています。家族にとっての実務的な負担と得られる効果のバランスを見極めることが、制度活用の前提となります。

受託者

受託者とは、信託契約に基づいて、委託者から託された財産を管理・運用する人や法人のことを指します。信託の目的や契約内容に従い、受益者の利益を最優先に考えて資産を扱う責任があり、この責任は「受託者責任」と呼ばれます。受託者には、高い倫理観と専門的な知識が求められるのが特徴です。 たとえば、親が子どもの将来の教育資金として自分の資産を信託した場合、受託者はその資産を信託の目的に沿って安全かつ効果的に管理・運用する義務を負います。自分の資産とは明確に分けて管理する「分別管理義務」もあり、不適切な流用は許されません。 信託において受託者は、実際に財産を動かす実務の中心的な役割を担うため、信頼関係が非常に重要です。誰を受託者に選ぶかは、信託設計の成否を左右する大きなポイントであり、専門家や信託会社の活用も選択肢となります。

詐害行為取消権

詐害行為取消権とは、債務者が自分の財産をわざと第三者に譲渡したり減らしたりして、債権者からの取り立てを免れようとする行為(詐害行為)に対して、債権者がその行為を取り消すことができる権利のことをいいます。たとえば、借金を抱えた人が、返済を免れるために自宅を家族名義に無償で移してしまうようなケースが該当します。 このような行為が認められてしまうと、債権者が正当に回収できるはずの財産がなくなってしまうため、法律では不公平を防ぐために「詐害行為取消権」という救済措置が用意されています。取消しが認められると、その財産は「なかったこと」として扱われ、債権者が回収できる状態に戻されます。これは債権者が自分の権利を守るための強力な法的手段であり、資産の不正な移転や隠匿を防ぐために重要な役割を果たします。初心者にとっても、債務や相続などで財産の移転が関係する場面では、知っておくと役立つ法律上の概念です。

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