出生後休業支援給付金とは?対象者や受け取る条件、いくらもらえるのかをわかりやすく解説

出生後休業支援給付金とは?対象者や受け取る条件、いくらもらえるのかをわかりやすく解説
難易度:
執筆者:
公開:
2026.01.29
更新:
2026.01.29
2025年4月に始まった出生後休業支援給付金は、子の出生直後の一定期間に育休を取る家庭の収入減を補う制度です。原則として両親が14日以上の育休を取得するなど要件があり、理解不足だと受給漏れや申請遅れ、振込の遅延につながりかねません。この記事では、対象者・支給要件、計算方法、申請手順から入金時期までを具体的に解説します。
サクッとわかる!簡単要約
読後には、出生後休業支援給付金について、「誰が・いつ・どんな条件で対象になるか」と「申請で何を準備し、どの流れで受け取るか」を、自分の状況に当てはめて判断できる状態をなれます。あわせて、受給額の考え方と家計への反映方法(休業期間の取り方・手取り見込み・注意点)まで整理できるため、出産後の収入変動を前提にした家計設計と職場調整の方針を立てやすくなります。
出生後休業支援給付金とは
2025年4月から始まった出生後休業支援給付金は、子どもの出生直後に育児休業を取得する労働者を対象とした新しい給付制度です。従来の育児休業給付に上乗せする形で支給され、育休中の収入減を軽減できます。
育休給付に「上乗せ」される制度
出生後休業支援給付金は、育児休業給付金とは別に支給される「上乗せ」の給付金です。育児休業給付金だけでは休業前賃金の67%にとどまる支給率を、この給付金と合わせて80%まで引き上げられます。
社会保険料の免除も考慮すると、実質的に休業前の手取り収入とほぼ同水準を維持できる仕組みとなっています。
出産直後は、母親の身体が回復途中であり、新生児のケアも24時間体制で必要な時期です。産後うつのリスクが高まるのも出産後3か月程度までとされており、父親の育休取得によるサポートが重要になります。
支給率と対象日数の全体像
出生後休業支援給付金の支給額は「賃金日額×支給率13%×対象日数」で計算されます。育児休業給付金(支給率67%)と合わせると、合計80%の給付を受けられる設計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給率 | 13%(育児休業給付金67%と合わせて80%) |
| 対象日数の上限 | 最大28日分 |
| 支給時期 | 子の出生後8週間以内の育児休業期間 |
対象となる日数には上限があり、父親・母親ともに最大28日分までです。上限を超えた日数分は、この給付金の対象外となります。
「手取り10割相当」は何を指すか
「手取り10割相当」という表現は、給付金の支給率だけでなく社会保険料の免除を含めた金額を指しています。育児休業中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されるため、その分を加味すると手取りベースで休業前とほぼ同水準になるという意味です。
ただし、この「10割」はあくまで一定の条件を満たした場合の目安であり、すべての人に当てはまるわけではありません。
たとえば休業前の賃金水準、取得する育休の日数、配偶者の育休取得状況などによって実際の受給額は変わります。また、賃金日額には上限が設けられており、高収入の方は給付額が頭打ちになる場合もあります。
出生後休業支援給付金の対象者
出生後休業支援給付金を受け取るには、雇用保険に加入している労働者であることに加え、休業日数・対象期間・配偶者の育休取得状況といった複数の要件を満たす必要があります。「自分は対象になるのか」を判断するために、まずは基本的な条件を順番に確認していきましょう。
対象の前提:雇用保険に入っている労働者
出生後休業支援給付金は雇用保険制度の一部として支給されるため、対象となるのは雇用保険の被保険者に限られます。正社員だけでなく、一定の要件を満たすパート・アルバイト・契約社員なども被保険者に該当すれば対象となります。
なお、自営業者やフリーランス、会社役員など雇用保険の適用対象外となる働き方をしている方は、この給付金を受け取れません。
休業日数・期間・申請の要件
対象者かどうかを判断するうえで、最初に押さえるべきポイントは以下の3つです。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 休業日数 | 14日以上の育児休業を取得すること |
| 対象期間 | 子の出生後8週間以内に取得した育児休業であること |
| 申請の前提 | 育児休業給付金の受給資格を満たしていること |
この3つの条件をすべて満たしていれば、次に配偶者要件の確認へ進みます。休業日数は「通算」でカウントされるため、分割取得した場合でも合計14日以上あれば要件を満たせます。
育児休業給付金の受給資格とは、原則として育休開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があることを指します。出産や傷病などで引き続き30日以上賃金を受けられなかった期間がある場合は、最大4年まで遡って計算できる緩和措置もあります。
配偶者が満たすべき要件
出生後休業支援給付金の大きな特徴は、原則として夫婦ともに育児休業を取得することが要件となっている点です。これは、子どもの出生直後という大切な時期に両親がそろって育児に関われるよう促す制度設計になっています。
具体的には、本人が14日以上の育休を取得するだけでなく、配偶者も14日以上の育休を取得している必要があります。共働き世帯で夫婦どちらも雇用保険に加入しており、それぞれが育休を取るケースが典型的な対象パターンといえます。
配偶者が育休を取得しているかどうかの確認は、申請時に配偶者の勤務先から発行される書類などで行われます。事前に夫婦で育休の日程を共有し、お互いの取得計画を確認しておくとスムーズに進められます。
なお、配偶者が産後休業中・配偶者が自営業者やフリーランス・配偶者が無業者の場合、場合は本人の育休取得のみで要件を満たします。
配偶者要件の例外:ひとり親・配偶者が育休を取れないケース
配偶者がいない、または配偶者が育休を取得できない事情がある場合でも、例外として給付金を受けられる場合があります。「夫婦で育休を取らないと対象外」と決めつけず、自分の状況が例外に該当するか確認してみてください。
例外に該当しやすい主な事情は以下のとおりです。
- ひとり親である(配偶者がいない)
- 配偶者が自営業・フリーランスで雇用保険に加入していない
- 配偶者が専業主婦(主夫)である
- 配偶者の勤務先に育児休業制度がない
- 配偶者が病気やけがで就業できない状態にある
これらに該当する場合は、本人が14日以上の育休を取得していれば給付対象となる可能性があります。例外規定の適用には所定の確認書類が必要になるため、早めに勤務先の担当者へ事情を伝え、必要な手続きを相談しておくと安心です。
対象期間はいつからいつまでか
出生後休業支援給付金の対象となるのは、子の出生日から8週間(56日)以内に取得した育児休業です。この期間内に14日以上の育休を取得していれば、給付の対象に含まれます。
ただし、母親と父親では対象期間の考え方に違いがある点に注意が必要です。
| 対象者 | 対象期間の考え方 |
|---|---|
| 母親 | 産後休業(出産翌日から8週間)の後に取得する育休が対象。産後休業期間そのものは育休ではないため給付対象外 |
| 父親 | 出生日から8週間以内の育休が対象。産後パパ育休(出生時育児休業)も含まれる |
たとえば父親が「産後パパ育休」を2週間、その後に通常の育児休業を2週間取得した場合、合計4週間(28日)が対象日数としてカウントされます。
育休の開始日・終了日をカレンダーに書き出し、出生日から56日目がいつになるか確認しておくと、対象日数の計算がしやすくなります。
支給額の計算方法
出生後休業支援給付金の支給額は「賃金日額×対象日数×支給率13%」という計算式で算出されます。計算式自体はシンプルですが、賃金日額の出し方や対象日数の数え方にはルールがあるため、順を追って確認していきましょう。
ここでは計算に必要な情報の集め方から、月給別のシミュレーションまで解説します。
計算式まとめ:賃金日額×対象日数×支給率で決まる
出生後休業支援給付金の計算式は以下のとおりです。

それぞれの用語の意味を整理しておきましょう。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 賃金日額 | 育休開始前6か月間の賃金総額を180で割った1日あたりの賃金 |
| 対象日数 | 出生後8週間以内に取得した育休日数(上限28日) |
| 支給率 | 13%(育児休業給付金67%と合わせて計80%になる設計) |
この給付金は育児休業給付金に上乗せされるものなので、実際に受け取る金額は「育児休業給付金+出生後休業支援給付金」の合計となります。
賃金日額の出し方:直近賃金から求める手順
賃金日額を計算するには、育休開始前6か月間に支払われた賃金の総額が必要です。以下の手順で求められます。
【計算手順】
- 育休開始日の直前6か月分の給与明細を用意する
- 各月の「総支給額」を確認する(税金や社会保険料が引かれる前の金額)
- 6か月分の総支給額を合計する
- 合計額を180日で割る
たとえば、直近6か月の総支給額が合計180万円だった場合、賃金日額は「180万円÷180日=1万円」となります。
注意点として、賃金日額には上限と下限が設けられています。2025年4月時点の上限額は日額16,110円です。月給に換算すると約46万円を超える方は、実際の賃金ではなく上限額で計算されます。
また、残業代や各種手当は賃金に含まれますが、賞与(ボーナス)は含まれません。自分の給与に含まれる項目の扱いが不明な場合は、勤務先の人事担当に確認しておくと確実です。
対象日数の上限と数え方:最大何日分が増えるか
出生後休業支援給付金の対象日数には上限があり、最大28日分までです。28日を超えて育休を取得しても、超過分はこの給付金の対象にはなりません。
対象日数の数え方で押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- 出生日から8週間(56日)以内に取得した育休が対象
- 産後パパ育休と通常の育児休業を合算してカウントできる
- 分割取得した場合も通算で計算される
- 土日祝日も含めた暦日でカウントする
たとえば、産後パパ育休を2週間(14日)、その後に通常の育休を3週間(21日)取得した場合、合計35日のうち28日分が給付対象となります。残りの7日分は育児休業給付金のみの支給です。
育休を何日取得するか検討する際には、この28日という上限を意識しておくと、給付額を最大化する計画を立てやすくなります。
月給別シミュレーション:受取額の目安を3パターンで確認
実際の受給額をイメージしやすいよう、月給別に3つのパターンでシミュレーションしてみます。いずれも対象日数を上限の28日として計算しています。
【パターン1:月給20万円の場合】
- 賃金日額:20万円×6か月÷180日=約6,667円
- 出生後休業支援給付金:6,667円×28日×13%=約24,267円
- 育児休業給付金(参考):6,667円×28日×67%=約125,070円
- 合計:約149,337円
【パターン2:月給30万円の場合】
- 賃金日額:30万円×6か月÷180日=1万円
- 出生後休業支援給付金:1万円×28日×13%=36,400円
- 育児休業給付金(参考):1万円×28日×67%=187,600円
- 合計:224,000円
【パターン3:月給40万円の場合】
- 賃金日額:40万円×6か月÷180日=約13,333円
- 出生後休業支援給付金:13,333円×28日×13%=約48,533円
- 育児休業給付金(参考):13,333円×28日×67%=約250,138円
- 合計:約298,671円
上記はあくまで目安であり、実際の支給額は個人の賃金状況や取得日数によって変わります。
出生後休業支援給付金はいつ振り込まれるか:入金までのタイムライン)
出生後休業支援給付金は、育休を取得すればすぐに振り込まれるわけではありません。会社による申請手続き、ハローワークでの審査、支給決定を経て初めて入金されます。
育休中は給与が止まるため、入金までのタイムラグを把握しておかないと家計が苦しくなる可能性があります。ここでは入金までの流れと目安、遅れやすいケース、確認方法を順に解説します。
入金までの流れ:休業取得→申請→審査→支給決定→振込
出生後休業支援給付金が振り込まれるまでには、いくつかの工程を経る必要があります。全体の流れを把握しておくと、どの段階で待ちが発生しているか判断しやすくなります。
| 工程 | 担当 | 内容 |
|---|---|---|
| 1. 育休取得 | 本人 | 出生後8週間以内に14日以上の育休を取得する |
| 2. 申請書類の準備 | 本人・会社 | 必要書類を揃え、会社が申請書を作成する |
| 3. ハローワークへ申請 | 会社 | 会社が管轄のハローワークに書類を提出する |
| 4. 審査 | ハローワーク | 書類内容と支給要件を確認する |
| 5. 支給決定 | ハローワーク | 審査完了後、支給決定通知が届く |
| 6. 振込 | ハローワーク | 指定口座に給付金が入金される |
入金時期に最も影響するのは「会社がいつ申請するか」です。育休終了後にまとめて申請する会社もあれば、育休開始後に速やかに申請する会社もあります。
本人ができる対策としては、育休に入る前に会社へ「いつ申請してもらえるか」を確認しておくことが挙げられます。必要書類を早めに提出し、申請が滞らないよう協力する姿勢も大切です。
育児休業給付金の入金サイクルを理解しておくと、生活設計を考えやすくなります。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
初回入金の目安:いつ頃届くか
初回の入金時期は、申請のタイミングと審査状況によって変わりますが、目安としては育休開始から2〜3か月後になるケースが多いです。
入金が遅くなりやすい主な要因は以下のとおりです。
- 会社の申請が育休終了後にまとめて行われる場合
- 年度初めや大型連休前後で申請が集中している時期
- 書類に不備があり差し戻しが発生した場合
育休開始直後は給与も給付金も入らない「収入ゼロ」の期間が発生しやすいため、あらかじめ1〜2か月分の生活費を手元に確保しておくと安心です。
貯蓄が心もとない場合は、育休開始前にボーナスの使い道を調整したり、固定費を見直したりして備えておくことをおすすめします。
入金時期についてさらに詳しく知りたい方は、こちらのQ&Aもあわせてご覧ください。
振込が遅れる主な原因
給付金の振込が予想より遅れる場合、原因は大きく3つに分けられます。いずれも事前の対策で防げるものが多いため、確認しておきましょう。
原因1:会社の申請が遅れている
会社側の事務処理が滞っていると、ハローワークへの申請自体が遅れます。担当者が多忙な時期や、育休取得者が社内で初めてのケースだと手続きに時間がかかりやすい傾向にあります。
原因2:書類の不備・記入漏れ
口座情報の誤り、署名漏れ、添付書類の不足などがあると、ハローワークから差し戻しが発生します。修正して再提出するまでの間、審査がストップしてしまいます。
原因3:配偶者要件の確認に時間がかかる
配偶者の育休取得状況を証明する書類が必要な場合、配偶者側の勤務先からの書類発行に時間がかかるケースもあります。
対策としては、育休に入る前に会社へ「申請予定日」と「必要書類の一覧」を確認し、提出前に記入漏れがないかダブルチェックすることが有効です。配偶者の書類が必要な場合は、早めに手配を依頼しておきましょう。
入金状況の確認方法:どこに聞くか
振込が遅れていると感じたら、まずは社内の人事・総務担当に確認するのが基本です。問い合わせる際は、以下の点を聞いてみてください。
会社に確認すること
- 申請書類はすでにハローワークへ提出済みか
- 提出した日付はいつか
- ハローワークから差し戻しや追加書類の依頼が来ていないか
会社での確認で解決しない場合は、管轄のハローワークに直接問い合わせることも可能です。その際は以下の情報を手元に用意しておくとスムーズに進みます。
ハローワークに問い合わせる際の準備物
- 雇用保険被保険者番号(給与明細や雇用保険被保険者証に記載)
- 育休の開始日・終了日
- 会社が申請した日付(わかれば)
- 届いている通知書や書類の控え
入金状況は本人でも確認できるため、遠慮せずに問い合わせて大丈夫です。早めに状況を把握しておけば、万が一差し戻しがあっても迅速に対応できます。
出生後休業支援給付金の申請方法
出生後休業支援給付金の申請は、原則として勤務先の会社を通じて行います。本人が直接ハローワークへ出向く必要はありませんが、会社に正確な情報を伝え、必要書類を漏れなく提出することが求められます。
ここでは、会社への伝達事項、本人が準備する書類、会社側の役割、そして申請期限について順番に解説します。
申請の基本:原則は会社経由で行う
出生後休業支援給付金は、育児休業給付金と同様に会社がハローワークへ申請手続きを行うのが原則です。これは雇用保険の給付申請が事業主経由で行われる仕組みになっているためです。
申請の全体フローは以下のとおりです。
| 順序 | 担当 | やること |
|---|---|---|
| 1 | 本人 | 育休の日程・取得形態を会社に伝える |
| 2 | 本人 | 必要書類(口座情報・出生届など)を会社に提出する |
| 3 | 会社 | 申請書類一式を作成する |
| 4 | 会社 | 管轄のハローワークへ申請書類を提出する |
| 5 | ハローワーク | 審査・支給決定・振込を行う |
本人の役割は「情報提供」と「書類提出」が中心です。会社任せにせず、自分からも進捗を確認する姿勢を持っておくと、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
申請前に会社へ伝えること
会社がスムーズに申請手続きを進められるよう、育休に入る前に以下の情報を正確に伝えておきましょう。
会社に伝えるべき情報
- 育休の開始日と終了予定日
- 産後パパ育休を利用するかどうか
- 分割取得する場合はその日程
- 配偶者の育休取得状況(取得予定日・日数)
- 配偶者がいない、または育休を取れない事情がある場合はその旨
伝えるタイミングは、育休開始の1か月前までが目安です。法律上、育休の申し出は原則1か月前までに行う必要があり、会社側もその情報をもとに申請準備を進めます。
特に配偶者の育休状況は給付要件に直結するため、夫婦で日程を確定させてから会社へ共有するようにしてください。情報の伝達が遅れると、申請手続き全体が後ろ倒しになり、入金も遅れやすくなります。
本人が準備する書類:口座情報・本人確認・出生確認など
本人が用意する書類は、大きく「最低限必要なもの」と「状況によって追加で必要なもの」に分かれます。
最低限必要な書類
- 振込先口座の情報(銀行名・支店名・口座番号・口座名義)
- マイナンバーがわかる書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
- 出生を確認できる書類(母子手帳のコピー、出生届受理証明書など)
状況により追加で必要な書類
- 配偶者の育休取得を証明する書類(配偶者の勤務先が発行)
- 配偶者がいない、または育休を取れない事情を示す書類
- 届出の届出等情報についての確認書(初回申請時)
書類不備で多いのは、口座名義と届出の氏名が一致していないケース、署名や押印の漏れ、添付書類の不足などです。提出前にチェックリストを作成し、ひとつずつ確認してから会社へ渡すと安心です。
会社が準備・提出する書類:申請書類一式と添付書類の考え方
会社側が担当する書類作成・提出の領域を理解しておくと、何を依頼すればよいかが明確になります。
会社が作成・提出する主な書類
- 育児休業給付金支給申請書
- 出生後休業支援給付金の支給申請に関する書類
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 賃金台帳、出勤簿などの添付書類
本人としては、会社に対して以下の点を確認・依頼しておくとスムーズです。
- 申請書類の控えをもらえるか
- いつ頃ハローワークへ提出する予定か
- 差し戻しがあった場合の連絡方法
申請後に届く「支給決定通知書」は本人宛に届くこともあれば、会社経由で届くこともあります。届いたら内容を確認し、支給額や振込予定日に誤りがないかチェックしてください。
申請手続きの詳細や必要書類についてさらに知りたい方は、こちらのQ&Aもあわせてご確認ください
よくある勘違いとつまずきポイント:不支給・遅延を防ぐためのコツ
出生後休業支援給付金は要件が細かく、制度への理解が不十分だと「もらえると思っていたのに対象外だった」「申請が通らなかった」といった事態が起こりえます。ここでは、受給者がつまずきやすいポイントをQ&A形式で整理します。
事前に注意点を把握しておけば、不支給や振込遅延のリスクを減らせます。自分の状況に当てはまるものがないか確認してみてください。
育休中に働いたらどうなる?
育児休業中に一時的に働くことは制度上認められていますが、就業日数や就業時間によっては給付金が減額、または不支給になる可能性があります。
育児休業給付金では、1支給単位期間(通常1か月)あたりの就業日数が10日以下、かつ就業時間が80時間以下であれば、原則として給付金は全額支給されます。ただし、10日を超えても80時間以下であれば支給対象となるケースもあります。
休業中に賃金が出る場合:減額・調整の可能性と確認項目
育休中に会社から賃金が支払われる場合、給付金が減額または不支給となることがあります。これは給付金と賃金の合計が休業前賃金の一定割合を超えないよう調整される仕組みがあるためです。
具体的には、育休中に支払われた賃金が休業開始時賃金日額の13%を超えると、超えた分だけ給付金が減額されます。さらに80%を超えると、その支給単位期間は不支給となります。
| 支払われた賃金の割合 | 給付への影響 |
|---|---|
| 13%以下 | 全額支給 |
| 13%超〜80%以下 | 超えた分だけ減額 |
| 80%超 | 不支給 |
減額の対象になりやすい賃金には以下のようなものがあります。
- 育休中も支給される手当(住宅手当、家族手当など)
- 一時的な就業に対する賃金
- 賞与のうち育休期間に対応する部分
自社の就業規則や賃金規程を確認し、育休中にどの手当が支給されるか把握しておくと安心です。
産後パパ育休とどう違う:制度の役割分担と併用イメージ
「出生後休業支援給付金」と「産後パパ育休(出生時育児休業)」は名称が似ているため混同しやすいですが、それぞれ別の制度です。役割の違いを整理しておきましょう。
| 項目 | 産後パパ育休 | 出生後休業支援給付金 |
|---|---|---|
| 制度の種類 | 休業制度(働き方の枠組み) | 給付制度(お金の支給) |
| 対象者 | 主に父親 | 父親・母親の両方 |
| 期間 | 出生後8週間以内に最大4週間 | 父(または養子の場合)は原則8週間、母(産後休業あり)は原則16週間まで |
| 分割 | 2回まで分割取得可能 | ー |
産後パパ育休は「いつ・どのように休むか」を定めた休業制度であり、出生後休業支援給付金は「休んだ期間に対していくら支給されるか」を定めた給付制度です。
父親が産後パパ育休を取得した場合、その期間も出生後休業支援給付金の対象となります。つまり、産後パパ育休を取得しつつ、育児休業給付金と出生後休業支援給付金の両方を受け取れる仕組みです。
どの制度をどう組み合わせるか迷った場合は、まず「いつからいつまで休むか」を決め、その期間に対応する給付を確認する順番で考えましょう。
夫婦の休み方で損しない:14日要件を満たす設計の考え方
出生後休業支援給付金を受け取るには、原則として本人だけでなく配偶者も14日以上の育休を取得する必要があります。この要件を見落としていると、本人が育休を取っても給付対象外になってしまいます。
夫婦で要件を満たすためのチェックポイントは以下のとおりです。
確認ステップ
- 夫婦それぞれの育休取得予定日を書き出す
- 出生後8週間以内に14日以上取得できているか確認する
- 配偶者が雇用保険に加入しているか確認する
- 要件を満たしていれば、それぞれの会社へ日程を共有する
たとえば、父親が産後パパ育休を2週間取得し、母親が産後休業の後に育休を取得するケースでは、母親の育休開始日が出生後8週間を超えていると母親側の14日要件を満たせない場合があります。
また、配偶者が専業主婦(主夫)や自営業の場合は例外規定が適用されるため、14日要件は本人のみで判断されます。自分たちがどのパターンに該当するか、早めに確認しておきましょう。
要件を満たさないまま申請すると不支給になるだけでなく、後から日程を変更するのも難しくなります。育休の日程は夫婦で相談のうえ、要件を満たす形で確定させてから会社へ届け出ることが大切です。
申請前の最終チェックリスト
申請前に確認しておくべき項目を整理します。チェックリスト形式でまとめているため、自分の状況に当てはめながらひとつずつ確認してみてください。
不明点が残る場合は、早めに会社の人事担当やハローワークへ相談しておくと安心です。
対象判定の最終確認:日数・期間・配偶者要件をチェック
まずは自分が給付対象に該当するか、以下の項目で最終確認しましょう。
対象判定チェックリスト
- 雇用保険に加入している
- 育休開始前2年間に12か月以上の被保険者期間がある
- 出生後8週間以内に14日以上の育休を取得する予定である
- 配偶者も14日以上の育休を取得する(または例外に該当する)
すべて「はい」であれば、給付対象となる可能性が高いです。「いいえ」や不明な項目がある場合は、会社の人事担当に確認してください。
特に配偶者要件は見落としやすいポイントです。配偶者がいない場合や、配偶者が雇用保険に加入していない場合は例外規定が適用されるため、該当する事情があれば会社へ伝えておきましょう。
会社に渡すもの・確認すること:提出物とスケジュールの最終確認
申請をスムーズに進めるため、会社への提出物と確認事項を最終チェックしましょう。
| 区分 | 項目 | 補足・例 |
|---|---|---|
| 会社に提出するもの | 振込先口座の情報 | 給付金の振込先 |
| 会社に提出するもの | マイナンバーがわかる書類 | マイナンバーカード/通知カード+本人確認書類など |
| 会社に提出するもの | 出生を確認できる書類 | 母子手帳のコピーなど |
| 会社に提出するもの | 配偶者の育休取得証明書 | 必要な場合のみ |
| 会社に提出するもの | 例外事由に該当する場合の証明書類 | 例外に当たるケースのみ |
| 会社に確認すること | ハローワークへの申請予定日はいつか | 申請スケジュール確認 |
| 会社に確認すること | 申請書類の控えをもらえるか | 控え(コピー)の受領可否 |
| 会社に確認すること | 差し戻しがあった場合の連絡方法 | 連絡手段(電話・メール等) |
| 会社に確認すること | 不明点があった場合の社内担当者 | 担当部署・担当者名 |
提出物は記入漏れや添付忘れがないか、提出前に再度確認してください。口座名義と届出氏名の不一致、署名・押印の漏れは差し戻しの原因になりやすいポイントです。
雇用保険制度には、出生後休業支援給付金をはじめ、就業を継続するためのさまざまな給付金があります。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
育児休業中によくあるお金の悩み
育休中は収入が減る一方で、赤ちゃんを迎える準備や日々の消耗品など支出は増えがちです。ここでは、育休中の家庭が抱えやすいお金の悩みと対処法を紹介します。
いつお金が入るのか分からず、家計が不安になる
育休中は給与が止まり、給付金の入金も「休業開始後すぐ」ではありません。会社の申請タイミングや書類確認、ハローワークでの審査を経て振り込まれるため、初回入金までに1〜2か月以上かかることも珍しくありません。
入金の遅れによる家計への影響を防ぐには、育休開始前の準備が重要です。
- 育休開始前に「会社がいつ申請するか」を確認する
- 必要書類に不備がないかチェックしてから提出する
- 生活費は初回入金まで1〜2か月分を目安に確保しておく
- 入金が遅れている場合は、まず会社に申請状況を確認する
出生後休業支援給付金だけでなく、出産育児一時金も知っておくべき制度です。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
実際いくらもらえるのか計算できず、手取りの見通しが立たない
給付金の合計でどの程度収入を補えるかが分からないと、貯蓄の取り崩し量や支出の調整判断ができません。漠然とした不安を抱えたまま育休に入ると、必要以上に節約してストレスを溜めたり、逆に使いすぎて後から困ったりする原因になります。
出生後休業支援給付金は「賃金日額×対象日数×13%」で計算できるため、まずは直近の給与明細から賃金日額の目安を出し、対象日数と掛け合わせて概算してみましょう。
見通しを立てるコツ
- 正確な金額を最初から当てにいくより、概算でレンジを把握する
- 育児休業給付金と出生後休業支援給付金の合計で考える
- 「育休のどの月が最も家計が厳しいか」を特定する
- 赤字になりそうな期間があれば、先に手当てを検討する
家族が増えることで支出も増える
赤ちゃんが生まれると、オムツ・ミルク・おしりふきといった消耗品が毎月発生します。加えて、肌着や寝具、ベビーカー、チャイルドシートなどの大型購入も重なりがちです。
通院や健診の交通費、日中の室温管理による光熱費の上昇など、生活の細部でも支出が増えていきます。
支出を抑えるポイント
- 「毎月かかる消耗品」と「一度だけの大型出費」を分けて予算化する
- 消耗品は月額の上限を決め、まとめ買いのタイミングを固定する
- 大型出費は購入優先度を付け、レンタルや中古品の活用も検討する
- 自治体の出産・育児関連の助成制度を確認する
- 勤務先の福利厚生(出産祝い金・育児補助など)も忘れずにチェックする
すべてを新品で揃える必要はありません。使用期間が短いベビー用品はレンタルや譲り受けを活用し、本当に必要なものに予算を集中させると、出費を抑えながら必要なものを揃えられます。
この記事のまとめ
この記事では、出生後休業支援給付金の対象者・支給要件を確認し、賃金日額と支給率を使った受取額の目安、申請方法と必要書類、いつ振り込まれるかの流れを整理しました。次は、育休取得日数と配偶者の休業状況、会社の申請スケジュールを早めに確認し、不足書類を準備しましょう。入金までの資金繰りも立てておき、キャッシュフロー表を作成し、育児休業中の生活設計を考えてみてください。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
関連記事
関連する専門用語
出生後休業支援給付金
出生後休業支援給付金とは、主に父親が子どもが生まれた後に一定期間育児のために休業を取った場合、その期間の収入減少を補う目的で支給される給付金です。いわゆる「産後パパ育休」(出生時育児休業)と呼ばれる制度の利用を後押しするために設けられた新しい支援制度で、雇用保険に加入している労働者が対象です。 通常の育児休業給付金とは異なり、子どもの出生直後という限られたタイミングで取得した休業に対して支給され、柔軟な取得(分割や短期取得)ができるのが特徴です。支給額は休業前の賃金の一定割合で、育児と仕事の両立を促進し、特に男性の育児参加を進めるために制度化されました。申請は勤務先とハローワークを通じて行われ、手続きや取得時期をあらかじめ計画することが重要です。
育児休業
育児休業とは、労働者が子を養育するために、一定期間、就労義務を免除される制度上の休業を指します。 この用語は、出産や子の養育に伴う働き方を整理する場面で登場します。雇用を継続したまま仕事を離れるという点に特徴があり、退職や長期休職とは異なる位置づけとして扱われます。就業規則や人事制度、社会保険や給付制度を確認する文脈で用いられ、「仕事と育児の関係を制度としてどう切り分けるか」を考える際の前提語となります。 誤解されやすい点として、育児休業が「会社を休ませてもらう好意的な措置」や「給与が支払われる休暇」と理解されることがあります。しかし、育児休業は個々の企業判断に委ねられた福利厚生ではなく、制度として位置づけられた権利性を持つ休業です。また、休業中の収入は賃金の継続ではなく、別制度による給付と結びついて整理されます。この違いを理解しないと、賃金・給付・雇用関係の整理を誤りやすくなります。 また、「育児休業を取る=働いていない期間」と単純に捉えられることもありますが、制度上は雇用関係が継続している点が重要です。社会保険や勤続年数、復職を前提とした扱いなどは、この前提の上で設計されています。休業という言葉の印象だけで理解すると、退職や無職と同一視してしまい、制度の射程を誤る可能性があります。 育児休業は、育児という私的行為を理由に、就労義務を一時的に停止することを社会制度として認めた枠組みです。この用語に触れたときは、「休むこと」そのものではなく、「雇用を維持したまま役割を切り替える制度」である点に着目して捉えることが、制度理解の出発点になります。
育児休業給付金
育児休業給付金とは、赤ちゃんが生まれたあとに育児のために仕事を休む人に対して、雇用保険から支給されるお金のことです。この制度は、子どもが1歳になるまで(一定条件を満たせば最長2歳まで)育児に専念できるよう、収入を一部補うことを目的としています。対象となるのは雇用保険に加入していて、一定期間働いていた労働者で、男女問わず利用できます。 支給額は、休業前の給与の67%(一定期間以降は50%)で、会社から給与が出ていないことが条件となります。出産手当金が終わったあとに引き続き申請されるケースが多く、家計を支える大切な制度の一つです。手続きは会社を通して行うのが一般的です。
産後パパ育休
産後パパ育休とは、子どもが生まれてから8週間以内の期間に、父親が取得できる特別な育児休業制度のことです。正式名称は「出生時育児休業」ですが、より親しみやすい呼び方として「産後パパ育休」と広く使われています。2022年の法改正によって導入されたこの制度は、従来の育児休業とは別に取得できるため、より柔軟に育児に関わることができます。最大で4週間まで取得でき、2回に分けて休むことも可能です。これにより、出産直後の母親の負担を軽減し、父親が積極的に育児参加できる環境が整えられています。経済的にも「出生時育児休業給付金」が支給されるため、収入面での不安もある程度軽減されます。
支給率
支給率とは、制度や給付の仕組みにおいて、基準となる金額に対して、実際に支給される割合を示す制度上の比率を指します。 この用語は、社会保険給付、助成金や補助金、休業給付、医療や介護に関する制度など、金額が「一定割合で支給される」設計になっている場面で用いられます。いくら支給されるかを判断する際、支給限度額や基準額と並んで、計算の前提として登場する概念です。 支給率が重要になるのは、「対象になった=その金額がそのまま支給される」と誤解されやすいためです。実際には、多くの制度で支給額は基準となる金額の一部にとどまり、その割合を決めているのが支給率です。この構造を理解していないと、制度利用後に想定していた金額との差が生じやすくなります。 誤解されやすい点として、支給率は常に同じ割合で固定されているという思い込みがあります。制度によっては、期間や状況の変化に応じて支給率が異なる設計が取られており、「どの段階の支給率なのか」を区別せずに理解すると、判断を誤る原因になります。支給率は単独で意味を持つのではなく、適用される条件や時点と結びついて初めて意味を持ちます。 また、支給率が高いことは必ずしも受取額が大きいことを意味しません。基準となる金額自体が限定されていたり、支給限度額が設けられていたりする場合、支給率だけを見て制度の手厚さを判断すると、実態を見誤ることがあります。 支給率という用語を正しく捉えることは、制度の「補填の度合い」を冷静に理解するための基礎になります。金額の多寡ではなく、どの範囲をどの程度カバーする制度なのかを読み解く視点として、この用語は判断の起点となります。
賃金日額
賃金日額は、失業手当を計算する際の基準となるもので、退職前の給与をもとに一日あたりの賃金を算出した金額のことです。過去の一定期間に受け取った給与総額を日数で割ることで求められ、その人が普段どれくらいの収入を得ていたかを示す指標として扱われます。この金額が高いほど受け取れる失業手当も増える傾向があるため、制度を理解する上でとても重要な要素です。 資産運用の観点では、収入の水準を把握することは家計管理や将来の投資計画を立てる際に不可欠であり、賃金日額は収入の実態を客観的に見直す機会を与えてくれる概念といえます。





