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未支給年金はいくらもらえる?対象者・請求方法・相続時の扱いを解説
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執筆者:
公開:
2026.10.13
更新:
2026.10.13
親や配偶者が亡くなった後の年金手続きでは、「未支給年金」という言葉に戸惑う方も少なくありません。未支給年金は、亡くなった方が受け取るはずだった年金であり、相続財産とは異なる扱いになる点に注意が必要です。この記事では、未支給年金とは何か、誰がいくら受け取れるのか、請求方法や税金、相続との関係まで具体的に解説します。
目次
未支給年金とは亡くなった方の年金を遺族が受け取る制度
未支給年金とは、亡くなった年金受給者が受け取るはずだったのに、まだ受け取れていなかった年金を、生計を同じくしていた遺族が代わりに受け取る制度です。亡くなった月分までの年金が対象となり、その方と生計を同じくしていた遺族が受け取れます。相続財産とは別のルールで支給される点が、この制度の大きな特徴です。
未支給年金は遺族固有の権利として支給される
未支給年金は、相続財産ではなく「遺族固有の権利」として支給される給付です。亡くなった方の財産を引き継ぐ相続とは、法律上まったく別の仕組みになっています。
- この位置づけが重要なのは、相続放棄をした場合の扱いに違いが出るためです。相続財産であれば放棄すると受け取れませんが、未支給年金は遺族の固有財産とされるため、相続放棄をしても受け取れます。
国税庁も、未支給年金の請求権について最高裁判決(平成7年11月7日)でその相続性が否定されていると示しています。つまり、未支給年金は亡くなった方から受け継ぐ財産ではなく、遺族が自分自身の権利として請求するお金にあたります。
受給権は遺族が「自己の名」で請求できる
未支給年金は、亡くなった方の代理としてではなく、遺族が「自己の名」で請求する給付です。これは、亡くなった方の権利を代わりに行使するのではなく、遺族自身に与えられた独立した権利という意味になります。
- 未支給年金を請求できる遺族は、死亡した受給権者の代理ではなく、自己の権利として請求が可能です。そのため、亡くなった方が生前に年金の請求手続きをしていなかった場合でも、遺族は自分の名で手続きを進められます。
未支給年金は生計同一の遺族が順位順に受け取る
未支給年金を受け取れるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた一定の遺族に限られます。最も順位の高い方が受け取り、誰でも受け取れるわけではない点に注意が必要です。
受給できる遺族には7つの優先順位がある
未支給年金を受け取れる遺族には、法律で定められた順位があります。先順位の方がいる場合、後順位の方は受け取れません。この範囲は年金機能強化法に基づき、平成26年4月から3親等内の親族へ拡大されました。順位は次のとおりです。
| 順位 | 受け取れる遺族 |
|---|---|
| 1 | 配偶者(事実婚を含む) |
| 2 | 子 |
| 3 | 父母 |
| 4 | 孫 |
| 5 | 祖父母 |
| 6 | 兄弟姉妹 |
| 7 | 上記以外の3親等内の親族 |
3親等内の親族とは、曾孫、曾祖父母、甥・姪、おじ・おばなどが該当します。同順位の方が2名以上いる場合は、そのうち1名が代表して請求します。
同居していれば原則として生計同一が認められる
受給の核心となる要件が「生計を同じくしていたこと」です。亡くなった方と同居していた場合、原則として生計同一と認められます。
- これは、未支給年金が亡くなった方の収入に頼っていた遺族の生活を守る目的の制度だからです。同じ家計で暮らしていた事実があれば、生活面のつながりが明確に確認できます。同居の場合でも、住民票などで関係を確認するための書類が求められます。
別居でも経済的なつながりがあれば対象になる
別居していた場合でも、経済的なつながりを証明できれば未支給年金を受け取れます。同居していないという理由だけで、対象から外れるわけではありません。
判断のポイントは、生活費や療養費などの経済的な援助があったかどうかです。別居の場合は、生活費や療養費等の経済的な援助が行われていたなどの事実関係が求められます。
- たとえば、定期的な仕送りの送金記録などが証拠になり得ます。別居していた子が申請する場合は、相続人としてではなく、生計同一の親族として申請します。
未支給年金は年金額の1〜3カ月分が受け取れる
未支給年金として受け取れるのは、亡くなった月分までのうち、まだ本人に支払われていない年金です。すでに年金を受給していた方が亡くなった場合は、死亡月や直前の支給状況に応じて1〜3カ月分が目安になります。
- ただし、生前に年金請求をしていなかった場合や、過去分の年金が未請求だった場合などは、受け取れる月数が異なることがあります。金額を確認する際は、年金証書や直近の振込額、支給対象月を確認しましょう。
金額は年金月額に未支給の月数を掛けて計算する
未支給年金の金額は、「年金月額 × 未支給となっている月数」で計算できます。年金は後払いのため、亡くなった時点では必ず受け取っていない月分が残るからです。
たとえば月額12万円の方が亡くなり、2カ月分が未支給なら24万円となります。手元の通帳があれば、1回の振込額の2分の1に未支給の月数を掛けた額が目安です。
年金は亡くなった月の分まで受け取れますが、日割り計算は行われません。1日に亡くなっても、1カ月分が支給されます。
年金は偶数月15日に前2カ月分が支払われる
未支給年金が生じる前提として、公的年金が後払いである点を押さえておく必要があります。年金は偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日に、前月までの分が支給される仕組みです。
- 具体的には、2月15日に前年12月分と1月分、4月15日に2月分と3月分という形で、2カ月分ずつまとめて振り込まれます。15日が金融機関の休業日にあたる場合は、その直前の営業日に支払われます。この時間差があるため、いつ亡くなっても必ず未受給の期間が発生します。
死亡月により1〜3カ月分に分かれる
未支給となる月数は、亡くなった月が奇数月か偶数月か、そして偶数月のどのタイミングかによって決まります。下表のとおり整理できます。
| 亡くなった時期 | 未支給の月数の目安 |
|---|---|
| 奇数月に亡くなった場合 | 2カ月分 |
| 偶数月の支給日前に亡くなった場合 | 3カ月分 |
| 偶数月の支給日以後に亡くなった場合 | 1カ月分 |
この月数の違いは、直前の振込日をすでに通過しているかどうかで生まれます。奇数月に亡くなった場合は当月と前月の2カ月分、偶数月の支給日前に亡くなった場合は当月・前月・前々月の3カ月分、偶数月の支給日後に亡くなった場合は当月分の1カ月分が未支給になるのが一般的です。
未支給年金がいくら受け取れるのかどうかは、こちらのFAQも参考にしてみてください。
未支給年金は相続財産に含まれず相続税もかからない
未支給年金は相続財産には含まれず、相続税の課税対象にもなりません。亡くなった方の財産を引き継ぐのではなく、遺族が自分の権利として受け取る給付だからです。公的年金の未支給年金は、原則として相続税の課税対象になりません。ただし税金と完全に無関係というわけではない点に注意が必要です。
遺族固有の権利のため相続税の対象外
未支給年金が相続財産に含まれない理由は、法律上、遺族が自己の固有の権利として請求するものだからです。亡くなった方が持っていた財産を相続するのとは、法的な性質が異なります。
そのため、相続放棄をした方でも未支給年金は受け取れます。相続財産ではないため、放棄の対象に含まれないからです。
受け取った遺族の一時所得として扱われる
相続税はかからない一方で、受け取った未支給年金は所得税の対象になります。受け取った遺族側の所得とみなされるためです。
税法上の区分は「一時所得」です。一時所得とは、営利目的の継続的行為から生じた所得以外の、一時的な性質を持つ所得を指します。一時所得には50万円の特別控除があり、ほかの一時所得と合算して50万円を超える場合は確定申告が必要です。
なお、一時所得に関してはこちらの記事でも解説しています。あわせて参考にしてみてください。
申告が必要かは一時所得50万円が目安
多くの場合、未支給年金を受け取っても確定申告は不要です。一時所得には特別控除が設けられているからです。
- 判断の目安は、その年の一時所得の合計が50万円を超えるかどうかです。一時所得の合計額が50万円以下であれば確定申告は不要とされていますが、他の一時所得がある場合などは扱いが変わります。
生命保険の満期金など、ほかにも一時所得にあたる収入がある年は注意しましょう。判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認することをおすすめします。
確定申告が必要なケースについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
請求は死亡届と兼用の請求書を提出して行う
未支給年金は、死亡の届出と同じ用紙で請求できます。「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を提出することで、死亡の手続きと未支給年金の請求がまとめてできます。請求しなければ支給されないため、忘れずに手続きしましょう。
出典:日本年金機構「『年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書』のご提出について」
年金事務所などへ届け出て手続きする
請求の窓口は、年金事務所または街角の年金相談センターです。死亡を知らせる届出と未支給年金の請求を、一度の手続きでまとめて進められます。
まず、亡くなった方のマイナンバーが日本年金機構に収録されている場合、死亡届そのものは原則として省略できます。ただし未支給年金の請求は別に必要です。請求書は両面で印刷し、1枚目を提出します。提出方法は郵送のほか、予約のうえでの対面相談、e-Govを使った電子申請にも対応しています。
出典:日本年金機構「亡くなった方の未支給年金を受け取れるとき」
請求書・戸籍・住民票などを準備する
請求には、請求書とあわせていくつかの添付書類が必要です。請求書は日本年金機構の公式サイトからダウンロードできます。主な書類は次のとおりです。
請求時の必要書類
- 年金受給権者死亡届(報告書)兼未支給年金・未支払給付金請求書
- 亡くなった方の年金証書
- 請求者のマイナンバー確認書類
- 亡くなった方と請求者の続柄を確認できる戸籍謄本など
- 亡くなった方の住民票の除票
- 請求者の世帯全員の住民票の写し
- 受取口座が確認できる通帳やキャッシュカードなど
戸籍謄本や住民票は、亡くなった日より後に交付されたものが必要です。亡くなった方と請求者の住所が異なる場合は、生計同一関係に関する申立書も提出します。マイナンバーを記入することで、一部の書類を省略できる場合があります。
出典:日本年金機構「亡くなった方の未支給年金を受け取れるとき」
共済年金は提出先が変わる
注意したいのが、年金の種類によって提出先が異なる点です。国民年金・厚生年金は年金事務所が窓口ですが、共済年金では別の機関になる場合があります。
たとえば故人が地方公務員共済組合のみに加入していた場合などは、提出先が共済組合となるケースがあります。自分のケースで迷うときは、ねんきんダイヤルや年金事務所に事前に確認すると確実です。
請求期限は5年以内で過ぎると受け取れない
未支給年金の請求には期限があり、原則として5年以内です。未支給年金を受ける権利は、5年を経過したときは時効によって消滅します。期限を過ぎると、本来受け取れるはずだったお金が受け取れなくなるため、早めの手続きが欠かせません。
時効は亡くなった翌月から5年
未支給年金を受ける権利は、原則として5年で時効により消滅します。起算日は、亡くなった方の年金の支払日の翌月の初日です。
死亡月の翌月から単純に5年と考えるのではなく、対象となる年金の支払日を基準に判断する必要があります。期限を誤ると、本来受け取れるはずだった未支給年金を受け取れなくなるおそれがあるため、早めに年金事務所へ確認しましょう。
- 5年という期間は長く感じられますが、ほかの相続手続きに追われるうちに過ぎてしまうケースも少なくありません。やむを得ない事情がある場合は、書面で申し立てを行うことで時効成立を一時的に止められる場合もあります。
書類収集に時間がかかるため早めに動くとよい
請求期限に余裕があっても、手続きには早めに着手することをおすすめします。戸籍謄本や住民票などの書類をそろえるのに、想定以上の時間がかかることがあるからです。
特に、複数の市区町村にまたがって戸籍を取り寄せる必要がある場合、収集だけで数週間を要することもあります。手続きを後回しにすると、書類の準備が間に合わず、結果として受給機会を失うおそれもあります。亡くなった後は、年金証書や戸籍などを早めに確認して動き出しましょう。
申請しないと受け取れない年金は、ほかにもあります。詳しくはこちらのFAQも参考にしてみてください。
振込までは請求から5〜6カ月が目安
未支給年金は、請求してすぐに振り込まれるわけではありません。受け取れるのは請求から約5〜6カ月後が目安です。受給が決まっても実際の入金まで時間がかかる前提を、あらかじめ知っておくと安心です。
決定通知書のあとに振り込まれる
請求から振込までは、いくつかの段階を経て進みます。請求書を提出してすぐに入金されるのではなく、審査と通知をはさむ流れです。
- 未支給年金は、請求書を提出したあと、続柄や生計同一関係、未支給額などの審査を経て支給可否が決まります。支給が決定されると通知書が届き、受け取れる金額を確認できます。要件に該当しない場合は、不該当の通知が送られます。
提出から受け取りまでの目安はおおむね3カ月ですが、添付書類の不足や追加確認がある場合は、通常より時間がかかることがあります。
書類審査に時間がかかるため遅れても異常ではない
振込まで時間がかかるのは、書類の審査に手間を要するためです。決して手続きが滞っているわけではなく、通常の流れの範囲内です。
審査では、提出された戸籍謄本や住民票をもとに、続柄や生計同一の関係などが確認されます。審査の過程で、添付した書類以外の書類が必要となる場合もあります。そのため、請求から数カ月待っても入金されないからといって、不安に感じる必要はありません。受取までには一定の期間がかかるものと理解しておきましょう。
私的年金は請求先が異なり税の扱いにも注意が必要
公的年金だけでなく、企業年金や個人年金などの私的年金にも未支給分が発生する場合があります。ただし請求先や税金の扱いが公的年金と異なるため、別に確認しておきましょう。
公的年金と私的年金の主な違いを整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 公的年金(国民年金・厚生年金) | 企業年金 | 個人年金保険 |
|---|---|---|---|
| 請求・問い合わせ先 | 年金事務所・街角の年金相談センター | 企業年金基金・企業年金連合会 | 契約先の生命保険会社 |
| 受け取る人 | 生計同一の遺族(順位順) | 制度ごとに定めた遺族 | 後継年金受取人・法定相続人など |
| 死亡月までの未支給分 | 相続税の課税対象外 | 相続税の課税対象外 | 保険料負担者により課税が変わる |
| 死亡翌月以降の分 | ― | 保証期間分は課税対象になる | 年金受給権として相続税の対象 |
| 請求期限 | 5年以内 | 5年以内 | 保険会社の規定による |
企業年金の場合、請求先は企業年金基金や企業年金連合会です。企業年金連合会の年金は亡くなった月の分まで支払われ、未支給の年金があれば、対象の遺族が請求して受け取れます。
- 個人年金保険の場合は、契約している生命保険会社が請求の窓口になります。確定年金や保証期間付の年金では、年金受取期間中に被保険者が死亡すると、残りの期間に対応する年金または一時金を受け取れます。受け取る人については、受取人と被保険者が同一人の場合は死亡時未支払年金受取人へ、別人の場合は年金受取人の法定相続人へ支払われます。
税金の扱いも公的年金とは異なります。公的年金と企業年金の死亡月までの未収分は相続税の課税対象になりませんが、死亡の翌月以降を対象にした私的年金の未収分は相続税の課税対象になります。
個人年金保険では、死亡した人が保険料の負担者だった場合、取得した年金受給権は相続により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。判断に迷うときは、加入先の窓口や税理士に確認すると確実です。
生命保険金と税金の関係については、こちらの記事でも解説しています。あわせて参考にしてみてください。
未支給年金に関する留意点
未支給年金で間違えやすいのが、死亡届と請求は別という点と、複数の対象者がいる場合の扱いです。マイナンバー収録で死亡届が省略できる場合でも、未支給年金の請求手続きは別途必要です。仕組みを正しく理解しておきましょう。
死亡届を出しても自動では振り込まれない
死亡届の提出と未支給年金の請求は、別の手続きです。日本年金機構に故人のマイナンバーが収録されている場合、原則として死亡届の提出は不要ですが、未支給年金の請求は別に必要です。「届出さえ出せば自動で振り込まれる」という誤解には注意しましょう。
受給するのは原則として最上位の1人
複数の対象者がいても、相続のように全員で分け合う形ではありません。優先順位が高い親族だけが請求でき、ほかの順位の親族は請求できません。同順位の方が2名以上いる場合は、そのうち1名が代表して請求します。
この記事のまとめ
この記事では、未支給年金の基本的な意味から、受給できる遺族の順位、生計同一の判断、受取額の考え方、相続・税金上の扱い、請求方法や振込時期までを整理しました。未支給年金は自動で振り込まれるものではなく、対象となる遺族が請求手続きを行う必要があります。身近な人が亡くなった後は、年金証書や戸籍・住民票などを早めに確認し、不明点があれば年金事務所などの窓口に相談しましょう。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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