65歳以上の遺族年金の金額は平均いくらか早見表などりますか?受給金額の目安を知りたいです。
65歳以上の遺族年金の金額は平均いくらか早見表などりますか?受給金額の目安を知りたいです。
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2025/10/22 09:04
男性
60代
高齢になったときに遺族年金がどの程度もらえるのか、生活の見通しを立てるために知りたいです。特に65歳以上の場合、どのくらいの平均金額になるのか、また厚生年金や国民年金のどちらかで違いがあるのかも気になります。老後の生活費の計画を立てるうえで参考にしたいので、一般的な目安を教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
65歳以上で配偶者が受け取る主な遺族年金は「遺族厚生年金」であり、その平均支給額は月額およそ8.1万円です(令和5年度末時点)。
ただし、これは全年齢を含む平均値であり、65歳以上だけに限定した統計はありません。実際の金額は、亡くなった方の収入水準(標準報酬月額)や加入期間によって大きく異なります。
遺族厚生年金=亡くなった方の老齢厚生年金(報酬比例部分)× 3/4で計算されます。
報酬比例に応じた金額の早見表が以下のとおりです。
| 亡くなった方の報酬比例【年額】 | 遺族厚生【年額】 | 遺族厚生【月額】 |
|---|---|---|
| 600,000円 | 450,000円 | 37,500円 |
| 800,000円 | 600,000円 | 50,000円 |
| 1,000,000円 | 750,000円 | 62,500円 |
| 1,200,000円 | 900,000円 | 75,000円 |
| 1,500,000円 | 1,125,000円 | 93,750円 |
| 2,000,000円 | 1,500,000円 | 125,000円 |
65歳以降は、自分の老齢年金との併給調整が行われます。自分の老齢基礎年金と老齢厚生年金は満額受け取れますが、遺族厚生年金は自分の老齢厚生年金より少ない場合に、その差額分のみが支給されます。
<65歳以上の受給パターン早見表>
| ご自身の状況 | 配偶者の状況 | 最終的に受け取る厚生年金部分 | 受給合計のイメージ |
|---|---|---|---|
| 老齢基礎あり/老齢厚生なし | 遺族厚生あり | 遺族厚生年金を満額支給 | 老齢基礎+遺族厚生 |
| 老齢基礎あり/老齢厚生あり | 遺族厚生≦自分の老齢厚生 | 遺族厚生は全額停止(自分の老齢厚生のみ) | 老齢基礎+自分の老齢厚生 |
| 老齢基礎あり/老齢厚生あり | 遺族厚生>自分の老齢厚生 | 遺族厚生−自分の老齢厚生=差額のみ支給 | 老齢基礎+(自分の老齢厚生+差額)=遺族厚生と同額 |
自分の老齢厚生年金のほうが多い場合は、遺族厚生年金が支給停止になります。このため、実際に家計に入る遺族分の金額は、平均の8万円よりも低くなるケースが多くあります。
たとえば、標準報酬月額35万円で40年加入していた場合、遺族厚生年金は年額約69万円(月額約5.8万円)です。標準報酬月額40万円の場合は年額約79万円(月額約6.6万円)程度が目安です。加入期間や賞与の扱い、再評価率などによっても金額は前後します。
一方で、国民年金の「遺族基礎年金」は月額約8.6万円ですが、これは18歳未満の子がいる配偶者または子が対象であり、子のいない妻は対象外です。さらに、40歳以上65歳未満の妻に支給される「中高齢寡婦加算」も65歳到達時に終了します。したがって、65歳以上では主に遺族厚生年金のみが支給されることになります。
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遺族厚生年金
遺族厚生年金とは、厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に、その遺族に支給される公的年金のことです。対象となるのは、主に配偶者(特に一定年齢以上の妻)、子ども、父母、孫、祖父母などで、生計を同じくしていたことが条件とされます。 遺族基礎年金が子どもがいる世帯を中心に支給されるのに対し、遺族厚生年金は子どもがいなくても一定の条件を満たせば支給されるため、対象範囲がやや広いのが特徴です。支給額は、亡くなった人の厚生年金の納付記録や報酬額に基づいて計算されるため、個人差があります。また、遺族基礎年金と併用して受け取れる場合もあり、特に現役世代の死亡リスクに備える重要な保障制度のひとつとされています。家計の柱を失ったときに、遺族の生活を長期にわたって支える仕組みです。
遺族基礎年金
遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人が亡くなったときに、その人に生計を維持されていた一定の家族(主に子どもがいる配偶者や子ども自身)に支給される年金です。これは公的年金制度のひとつで、生活保障を目的としており、主に子育て世帯を対象にしています。たとえば、夫が亡くなり、子どもを育てる妻がいる場合、その妻に遺族基礎年金が支給されます。受給の条件には、亡くなった人が保険料を一定期間納付していたことや、受け取る側に対象となる子どもがいることなどが含まれます。支給額は定額で、子どもの人数に応じた加算もあります。子どもが一定年齢に達すると支給は終了します。家計を支える人を失ったときに、遺族の生活を一定期間支援する大切な制度です。
老齢年金
老齢年金とは、一定の年齢に達した人が、現役時代に納めた年金保険料に基づいて受け取ることができる公的年金のことをいいます。基本的には、日本の年金制度における「老後の生活を支えるための給付」であり、国民年金から支給される老齢基礎年金と、厚生年金から支給される老齢厚生年金の2つがあります。 国民年金に加入していたすべての人が対象となるのが老齢基礎年金で、会社員や公務員など厚生年金に加入していた人は、基礎年金に加えて老齢厚生年金も受け取ることができます。原則として65歳から支給されますが、繰上げや繰下げ制度を利用することで、受け取り開始年齢を60歳から75歳まで調整することも可能です。老齢年金は、長年の働きと保険料の積み重ねに対して支払われる、生活設計の中心となる制度です。
併給調整
併給調整とは、複数の公的給付(たとえば年金や手当など)を同時に受け取ることができる場合に、内容が重複していたり、性質が似ていたりすることから、一定の制限や調整が行われる仕組みのことを指します。 たとえば、公的年金制度において、遺族年金と老齢年金の両方を受け取る権利がある場合でも、そのまま全額を同時に受け取れるわけではなく、一方の一部が減額されるなどの調整が行われます。これは、同じ趣旨の給付を重ねて受け取ることによる不公平を防ぐために設けられており、給付のバランスや財源の公平性を保つことを目的としています。資産運用や老後設計においては、この併給調整の存在を事前に理解しておくことが重要です。
標準報酬月額
標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)とは、日本の社会保険制度において、健康保険や厚生年金保険の保険料や給付額を計算する基準となる月額報酬のことを指します。これは、従業員の給与や賃金を基にして決定されますが、月ごとの変動を考慮して一定の範囲に分類されます。 <計算対象の例> 基本給、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金または現物で支給されるもの
中高齢寡婦加算
中高齢寡婦加算とは、遺族厚生年金を受け取る妻が40歳から64歳までの中高年齢層であり、子どもがいない、または子どもがすでに支給対象外となっている場合に、遺族厚生年金に上乗せして支給される加算金のことです。これは、配偶者の死後、急に収入を失った中高年の女性が、老齢年金を受け取れる年齢になるまでの生活を支える目的で設けられています。 特に子育てが終わった後の女性が対象となりやすく、再就職が難しい年齢層であることから、生活の安定を支援する制度として重要です。なお、65歳になると老齢年金の受給が始まるため、この加算は終了します。中高齢寡婦加算は、遺族年金制度の中でも特定の生活状況に配慮した制度であり、遺族厚生年金の理解を深めるうえでも欠かせない要素です。




