投資の知恵袋
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認知症になると相続対策ができなくなると聞きましたが、本当ですか?
回答済み
1
2026/07/14 15:24
男性
50代
認知症になると、相続対策や生前贈与、遺言書の作成などができなくなると聞きましたが、本当でしょうか。判断能力が低下した場合、どの時点から手続きが制限されるのか、また事前にどのような対策をしておくべきか知りたいです。
回答をひとことでまとめると...
認知症は診断名ではなく意思能力の有無で相続対策の可否が決まります。能力低下前に遺言・贈与・任意後見・家族信託を整えることが重要です。
佐々木 辰
38歳
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
認知症になると相続対策が必ずできなくなるわけではありません。重要なのは、認知症の診断名ではなく、贈与・遺言・不動産売却などの内容を理解し、自分の意思で判断できる「意思能力」があるかどうかです。
意思能力が不十分な状態で行った生前贈与や契約、遺言書の作成は、後から無効とされる可能性があります。特に金融機関の手続きや不動産の売却では、本人確認や意思確認が厳格に行われるため、判断能力の低下が見られると実務上手続きが進めにくくなります。
そのため、相続対策は判断能力が十分なうちに進めることが基本です。具体的には、公正証書遺言の作成、生前贈与の計画、財産整理、任意後見契約、家族信託などが選択肢になります。
認知症対策では、「発症後にどうするか」よりも「元気なうちに意思を形にしておく」ことが重要です。家族間のトラブルや資産凍結を防ぐためにも、早めに専門家へ相談し、財産管理と相続方針を整理しておくと安心です。
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関連する専門用語
認知症
認知症とは、記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出る状態を指します。加齢に伴って発症することが多く、アルツハイマー型や血管性などいくつかの種類があります。資産運用の観点では、本人が判断能力を失う可能性を考慮し、早めに信託や後見制度の利用を検討することが大切です。認知症が進行すると財産管理や契約行為が難しくなるため、家族や専門家が支援できる仕組みを整えておくことで、資産を守り安心して生活を続けることが可能になります。
生前贈与
生前贈与とは、本人が亡くなる前に、自分の財産を家族や親族などに贈り与えることを指します。たとえば、子どもや孫に現金や不動産などを自分の意思で生きているうちに渡す行為がこれにあたります。生前贈与を活用することで、相続時に財産が一度に多額に移転するのを防ぎ、相続税の負担を軽減する効果が期待できます。ただし、贈与にも贈与税がかかるため、贈与額やタイミング、誰に贈るかによって課税額が大きく変わることがあります。また、一定の条件を満たせば非課税になる特例制度もあるため、計画的に行うことが重要です。資産運用や相続対策として、生前贈与は家族に財産を無理なく引き継がせるための有効な手段のひとつです。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人が本人の意思に基づいて作成する遺言書で、遺言の中でも最も法的な信頼性と実効性が高い形式とされています。作成にあたっては、公証役場にて遺言者が口頭で内容を伝え、それを公証人が文書にまとめ、証人2名の立会いのもとで公正証書として正式に成立します。 この方式の最大の特徴は、家庭裁判所による検認手続きが不要である点です。つまり、相続開始後すぐに法的に効力を持つため、遺族による手続きがスムーズに進むという実務上の大きな利点があります。また、公証人による作成と原本保管によって、遺言の紛失や改ざん、内容不備といったリスクも大幅に軽減されます。 一方で、公正証書遺言の作成には一定の準備が必要です。財産の内容を証明する資料(不動産登記簿謄本や預金通帳の写しなど)や、相続人・受遺者の戸籍情報などが求められます。また、証人2名の同席も必須であり、これには利害関係のない成人が必要とされます。公証役場で証人を紹介してもらえるケースもありますが、費用が別途発生することもあります。 費用面では、遺言に記載する財産の価額に応じた公証人手数料がかかりますが、将来のトラブル回避や手続きの簡素化といったメリットを考えれば、特に財産規模が大きい場合や、遺産分割に不安がある家庭では非常に有効な手段と言えるでしょう。 資産運用や相続対策において、公正証書遺言は重要な役割を果たします。特定の資産を特定の人に確実に引き継がせたい場合や、相続人間の争いを未然に防ぎたい場合には、公正証書遺言を活用することで、遺言者の意思を明確かつ安全に残すことができます。
任意後見
任意後見とは、自分の判断能力が低下する将来に備えて、あらかじめ信頼できる人を後見人として選び、公正証書で契約を結んでおく制度のことをいいます。これは「元気なうち」に本人の意思で準備できる後見制度であり、判断能力が実際に低下したときに、家庭裁判所の監督のもとで任意後見人が正式に活動を開始します。 任意後見人は、本人の財産管理や生活支援などを本人の希望に沿って行うことができるため、自分らしい生活を維持するための手段として注目されています。法定後見と違い、自分で「誰に、何を任せるか」を決めておける点が特徴です。高齢化や認知症のリスクが高まる中で、資産や生活の管理を将来にわたって安心して託すための、重要な準備の一つです。初心者にとっても、「自分の老後を自分で選ぶ」ための有効な制度として知っておく価値があります。
家族信託
家族信託は、委託者が信頼できる家族を受託者として選び、財産の管理・処分・収益の使途などを契約で定める民事信託の一形態です。実務では、公正証書によって信託契約を締結し、現金や不動産、株式などを信託財産として受託者名義に移転します。もっとも、名義が移転しても財産から生じる利益を受け取る権利(受益権)は、委託者本人や指定された家族が保有します。 この仕組みの特徴は、将来、認知症などにより判断能力が低下した場合でも、財産が一律に凍結されることなく、あらかじめ定めた目的に沿って管理・支出を継続できる点にあります。生活費や医療費、介護費用などの支払いを想定した設計が可能であり、成年後見制度とは異なるアプローチで財産管理を行える場合があります。また、相続発生後は信託財産そのものではなく受益権が相続対象となるため、遺産分割の範囲や手続きを整理しやすくなるケースもあります。 一方で、家族信託は相続税を直接減らす制度ではなく、相続や遺言を不要にする仕組みでもありません。税負担や法的効果は、基本的に現行の相続・税務ルールに基づいて判断されます。家族信託はあくまで、生前から財産の管理主体や使途を柔軟に設計するための枠組みであり、節税や相続対策そのものを目的とする制度ではない点には注意が必要です。 活用時には、一定の手続きとコストが発生します。不動産を信託財産に含める場合には信託登記が必要となり、登録免許税や司法書士報酬、公証人手数料などが生じます。また、受託者には、信託口座の管理、収支状況の記録・報告、信託財産と個人財産の分別管理といった継続的な事務負担が伴います。税務上、信託契約の締結時に原則として贈与税は課されませんが、信託財産を売却した際の譲渡所得税や、信託終了時の相続税は通常どおり発生します。 そのため、家族信託は単独で評価するのではなく、成年後見制度や遺言、遺言信託などの代替手段と比較しながら、資産の種類や家族構成、将来の管理負担を踏まえて検討することが重要とされています。家族にとっての実務的な負担と得られる効果のバランスを見極めることが、制度活用の前提となります。






