今年支払った火災保険料について、年末調整で申告する必要はありますか?
今年支払った火災保険料について、年末調整で申告する必要はありますか?
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2025/12/01 17:02
男性
30代
今年支払った火災保険料について、年末調整で申告する必要はありますか?火災保険料について記載する欄がないので、迷っています。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
今年支払った火災保険料は、年末調整・確定申告のどちらでも申告する必要はありません。火災保険そのものは所得控除の対象外であり、控除欄が存在しないのは正しい取り扱いです。
ただし、火災保険に地震保険を付けている場合は例外があります。火災部分は控除できませんが、地震保険部分のみ「地震保険料控除」の対象です。所得税では最大5万円、住民税では最大2万5,000円まで控除されます。保険会社から届く「地震保険料控除証明書」に記載された金額を、年末調整の保険料控除申告書へ転記します。
また、2006年(平成18年)以前に契約した長期の損害保険(旧長期火災保険)を継続している場合は、経過措置として「旧長期損害保険料控除」が適用できることがあります。控除額は支払額の一部(上限1万5,000円)で、地震保険と合わせた所得税控除の上限は5万円です。該当するかは控除証明書で確認が必要です。
一方、自宅ではなく賃貸用物件に掛けた火災保険料は、所得控除ではなく「不動産所得の必要経費」として扱います。確定申告で経費計上することで課税所得を減らせます。自宅兼賃貸の場合は、面積など合理的な方法で按分します。
まとめると、自宅の火災保険料は控除対象外で申告不要です。地震保険に加入している場合はその部分だけ控除、旧長期契約は経過措置の対象か要確認、賃貸物件は必要経費として確定申告で処理します。
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必要経費とは、収入を得るために直接かかった費用のことを指し、確定申告などで所得から差し引くことができる支出です。たとえば、フリーランスや自営業者が事業を行う際に使った交通費、通信費、仕入れ代、人件費、事務所の家賃などが該当します。 これらは税務上、所得を正しく計算するために必要な項目とされており、収入から必要経費を差し引いた残りが「課税所得」となります。必要経費として認められるには、「収入を得るために必要だった」という合理的な理由があり、領収書や記録で裏付けられることが求められます。 正しく計上することで税負担を適正化でき、節税にもつながるため、特に個人事業主や副業をしている人にとっては重要な考え方です。
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