
メットライフ生命とは?特徴や取扱商品、向いている人の特徴などを徹底解説
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公開:
2025.09.22
更新:
2025.09.22
メットライフ生命保険株式会社は、1973年に営業を開始した日本初の外資系生命保険会社です。北米最大の生命保険グループであるメットライフの日本法人として、約50年にわたり日本の保険市場で事業を展開しています。
「健康」にこだわる保険会社として知られ、非喫煙者向けの割引制度や外貨建て商品をはじめとした特色ある商品ラインナップが特徴です。一方で、保険料の高さや商品の複雑さへの指摘もあり、加入を検討する際は慎重な判断が必要です。
本記事では、メットライフ生命の会社概要や取扱商品の特徴、メリット・デメリットを中立的に解説します。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むと、メットライフ生命の強みと留意点を短時間で把握できます。保有契約件数や保険会社としての健全性を確認しつつ、非喫煙者割引や外貨建・変額商品の活用場面、逆に保険料が高めで為替のブレに弱いケースも理解できます。自分の健康状態や家計、リスク許容度に照らして、合うかどうかの判断軸が明確になります。
メットライフ生命の基本情報
メットライフ生命は、アメリカの保険グループ「メットライフ」の日本法人として設立された外資系生命保険会社です。日本での保険事業は1973年から開始されており、約50年の実績があります。
会社概要と設立経緯
メットライフ生命保険株式会社の設立は1972年12月11日で、翌1973年2月1日から営業を開始しました。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | メットライフ生命保険株式会社 |
設立 | 1972年12月11日 |
営業開始 | 1973年2月1日 |
同社は、もともと「アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー(アリコ)」の日本支店として事業を開始しました。2010年にアメリカのメットライフがアリコを買収したため、2011年に「メットライフアリコ」、2014年に現在の「メットライフ生命」へと社名を変更しています。
この変遷により、アリコ時代から継続して契約している方も多く、長年にわたって日本の保険市場に根ざした事業展開を行っています。
企業規模と財務状況
メットライフ生命の財務健全性は非常に高く評価されています。ソルベンシー・マージン比率(支払余力比率)は2025年6月末時点で718.2%と、監督当局が求める200%を大幅に上回っています。
指標 | 数値 | 時点 |
---|---|---|
ソルベンシー・マージン比率 | 718.2%% | 2025年6月末 |
S&P格付け | AA- | 2025年6月現在 |
この比率は、保険会社が予期しない損失に対してどれだけの支払能力を持っているかを示す重要な指標です。コロナウイルスや大規模災害などの想定外のリスクが発生しても、十分な支払能力を有していると判断できます。
また、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社から保険財務力格付け「AA-」を取得しており、「保険会社が保険契約債務を履行する能力は非常に高い」との評価を受けています。これは最上位のAAAに次ぐ高い格付けです。
また、責任準備金(将来の保険金支払いに備えた積立金)も適切に積み立てられており、契約者への保険金支払いに問題が生じる可能性は極めて低いと判断できます。金融庁の検査においても、特段の指摘を受けておらず、健全な経営が維持されています。
親会社メットライフ
親会社であるメットライフ(MetLife, Inc.)は、1863年にニューヨークで設立された「National Union Life and Limb Insurance Company」を起源とする、アメリカ最大の生命保険会社です。
項目 | 詳細 |
---|---|
創業 | 1863年 |
本社 | ニューヨーク市マンハッタン(メットライフビル) |
上場 | ニューヨーク証券取引所 |
事業展開 | 世界約50ヵ国 |
顧客数 | 約9,000万人 |
地位 | 北米最大の生命保険会社 |
世界約50ヵ国で事業を展開し、約9,000万人の顧客に保険・年金・投資商品を提供しています。日本事業は同社の重要な収益源のひとつであり、アジア全体の収益の多くに貢献していると決算資料で言及されています。
この強固な親会社の財務基盤により、メットライフ生命の安定性と継続性が支えられているのです。
「危ない」という噂の真相
「メットライフ生命は危ない」といわれることがある理由は、誤解に基づいています。第一に、アリコジャパンからメットライフアリコ、そしてメットライフ生命への社名変更が比較的短期間で行われたため、経営の不安定性を懸念する声があります。
しかし、これらの変更は親会社の買収に伴う統一ブランド化であり、事業の継続性に問題はありません。むしろ、世界最大級の保険グループの一員となり、経営基盤はより強固になったと評価できます。
また、外資系保険会社全般への漠然とした不安が、根拠のない噂として広まっている側面もあります。
メットライフ生命の主要商品
メットライフ生命では、医療保険から死亡保険、変額保険まで幅広い商品ラインナップを展開しています。特に外貨建て商品や健康状態に応じた割引制度が充実しており、他社にはない特色ある保険商品が多数用意されています。
同社の商品は大きく分けて7つのカテゴリーに分類されます。それぞれの商品には独自の特徴があり、加入者のライフステージや保障ニーズに応じて選択できる仕組みとなっています。
死亡保険(生命保険)
商品名 | 種類 | 主な特徴 | 割引制度 |
---|---|---|---|
スーパー割引定期保険 | 定期保険 | ・非喫煙者・健康体割引あり ・最大約54%保険料割引 ・10年・20年満了または歳満了 | 非喫煙者+血圧・BMI基準内 |
収入保障保険 マイディアレスト | 収入保障保険 | ・年金形式で保険金受取 ・保険期間経過とともに受取総額減少 ・確定保証期間あり | 健康状態による割引あり |
終身保険 ずっとスマイル | 引受基準緩和型終身保険 | ・持病がある方向け ・一生涯保障 ・解約返戻金あり | - |
死亡保険では「スーパー割引定期保険」が主力商品となっています。この商品の最大の特徴は、健康状態や喫煙歴に応じた保険料割引制度です。非喫煙者かつ血圧・BMI値が基準内の方は、標準的な保険料から最大約54%の割引を受けられます。
終身保険では、死亡保障を一生涯確保できる商品を提供しています。解約返戻金の積立機能もあり、老後資金の準備としても活用可能です。収入保障保険は、被保険者が死亡した場合に遺族が年金形式で保険金を受け取れる仕組みとなっています。
保険料の支払方法も柔軟で、月払い・半年払い・年払いから選択できます。また、保険金額の設定も500万円から最大1億円まで幅広く対応しており、加入者の収入や家族構成に応じた設計が可能です。
終身保険に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
変額保険
商品名 | 種類 | 主な特徴 | 運用選択肢 |
---|---|---|---|
ライフインベスト アドバンス | 変額保険(有期型) | ・契約後10年間保障抑制 ・効率的資産形成期待 ・4つのプランから選択 | 13種類の特別勘定から選択 |
ライフインベスト | 変額保険(終身型) | ・一生涯の保障 ・運用実績に応じた保険金額 ・特別勘定変更可能 | 13種類の特別勘定から選択 |
ライフインベスト プラス | 変額保険(三大疾病保障付) | ・基本保障に三大疾病保障追加 ・生前給付可能 ・治療費準備にも活用 | 13種類の特別勘定から選択 |
変額保険の主力商品は「ライフインベストアドバンス」です。この商品は、死亡保障と資産形成を両立できる画期的な保険として注目されています。契約後10年間の保障額を抑制するため、効率的な資産形成が期待できる設計となっています。
運用に関しては、13種類の特別勘定(投資ファンド)から選択可能です。株式型、債券型、バランス型など、リスクとリターンの異なるファンドが用意されており、加入者の投資方針に応じて自由に組み合わせられます。運用途中でのファンド変更も可能です。
「ライフインベストプラス」では、基本保障に三大疾病保障を付加できます。がん・急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態になった場合、保険金の一部を生前給付として受け取れるため、治療費の準備にも活用できます。
なお、メットライフ生命の「ライフインベスト」に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
ドル建て保険
商品名 | 種類 | 主な特徴 | 通貨・特則 |
---|---|---|---|
USドル建終身保険 ドルスマート | 外貨建終身保険 | ・ドル建ての一生涯保障 ・高い運用利率期待 ・相続対策にも活用可能 | USドル建て 年金移行特約付加可 |
USドル建終身保険 ドルスマート S | 外貨建終身保険 | ・定期引出金特則付加可能 ・毎年一定額引出し可能 ・年金的活用も可能 | USドル建て 定期引出金特則あり |
外貨建保険の代表商品は「USドル建終身保険ドルスマート」です。保険料をドルで支払い、保険金もドルで受け取る仕組みとなっており、円建て商品よりも高い運用利率が期待できます。現在の超低金利環境下では、特に注目度の高い商品です。
定期引出金特則を付加すれば、契約後一定期間経過後から毎年一定額を引き出せます。これにより、年金のような定期収入を確保しながら、死亡保障も維持できる仕組みとなっています。引出金は非課税枠を活用できるため、税制面でのメリットも期待できます。
ただし、為替変動リスクには注意が必要です。円高が進行した場合、円換算での保険金額や解約返戻金が目減りする可能性があります。為替手数料(1ドルあたり50銭程度)も発生するため、長期的な視点での加入検討が重要です。
外貨建て保険の特徴に関しては、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
医療保険
商品名 | 種類 | 主な特徴 |
---|---|---|
マイ フレキシィ | 終身医療保険 | ・入院給付金3つの型から選択可能 ・ガンを含む三疾病保障選択可 ・健康サポート特約付加可能 |
マイ フレキシィ ゴールド | 引受基準緩和型医療保険 | ・持病がある方向け ・簡単告知で加入可能 ・三疾病保障選択可 |
メットライフ生命の医療保険の代表商品は「FlexiS(フレキシィS)」です。この商品の最大の特徴は、カスタマイズ性の高さにあります。入院給付金については、入院日数連動型・短期入院一時金型・入院一時金型の3つから選択可能です。
告知項目は3つだけと非常にシンプルで、医師の診査は不要です。これにより、忙しい方でも比較的簡単に加入手続きを進められます。女性専用の医療保険も用意されており、女性特有の病気に対する保障が手厚く設計されています。
また、先進医療特約や三大疾病一時金特約など、充実した特約を付加できる点も魅力です。入院の短期化が進む現在の医療環境に対応し、通院治療や日帰り手術にもしっかりと対応しています。
医療保険に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
がん保険
商品名 | 種類 | 主な特徴 | 注意事項 |
---|---|---|---|
ガン保険 ガードネクスト | ガン保険 | ・様々なガン治療に対応 ・治療継続中の給付 ・先進医療特約付加可能 | 3ヵ月間の不てん補期間あり |
ガン保険では「ガードネクスト」が主力商品です。この商品の特徴は、ガン治療が続く限り継続的に給付金を受け取れる点にあります。入院・手術だけでなく、外来での抗がん剤治療や放射線治療にも対応しており、現代のガン治療の実態に即した保障内容となっています。
先進医療特約では、重粒子線治療や陽子線治療などの高額な先進医療にも対応しています。技術料相当額を通算2,000万円まで保障し、治療を受けた場合の一時金も支給されます。これにより、経済的な心配をせずに最新の治療を受けられます。
注意点として、契約から3ヵ月間の不てん補期間(保障されない期間)があります。この期間中にガンと診断されても給付金は支払われないため、加入タイミングには注意が必要です。また、上皮内新生物は保障対象外となる場合があります。
がん保険について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
個人年金保険
商品名 | 種類 | 主な特徴 | 受取方法 |
---|---|---|---|
外貨建個人年金保険 | 外貨建年金保険 | ・外貨での運用 ・円建てより高い運用利率期待 ・老後資金準備に最適 | 確定年金・終身年金・一括受取から選択 |
米ドル建ての個人年金保険では、円建て商品では実現困難な運用利率での資産形成が期待できます。老後資金の準備として、公的年金の補完的な役割を果たします。
年金の受取方法は、確定年金・保証期間付終身年金・終身年金から選択可能です。ライフスタイルや健康状態に応じて、最適な受取方法を選択できます。また、年金開始前に一括で受け取る一括受取も選択可能です。
ただし、外貨建て商品については為替リスクを十分に理解したうえでの加入が重要です。
個人年金保険のメリットとデメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
持病のある方のための保険
商品名 | 種類 | 主な特徴 | 告知・審査 |
---|---|---|---|
マイ フレキシィ ゴールド | 引受基準緩和型医療保険 | ・持病がある方でも加入可能 ・告知項目簡素化 ・三疾病保障選択可 | 3項目の簡単告知のみ |
終身保険 ずっとスマイル | 引受基準緩和型終身保険 | ・持病がある方でも加入可能 ・一生涯の死亡保障 ・解約返戻金あり | 簡単告知のみ |
メットライフ生命では、持病や既往症がある方でも加入しやすい引受基準緩和型保険を提供しています。従来の保険では加入が困難だった糖尿病や高血圧などの慢性疾患をお持ちの方でも、告知項目を簡素化し加入のハードルを下げています。
告知項目は通常の保険と比べて大幅に簡素化されており、3~5項目程度の告知で加入可能です。医師の診査も不要で、書面での告知のみで手続きを進められます。ただし、保険料は通常の保険よりも割高に設定されています。
既往症の再発や悪化についても、加入から一定期間(通常1年)経過後は保障対象となります。ただし、契約前からの症状については保障されない場合があるため、告知内容については正確に記載する必要があります。
メットライフ生命の特徴と強み
メットライフ生命の最大の特徴は、「健康」にこだわる企業姿勢と外資系ならではの革新的な商品開発力です。非喫煙者向けの割引制度を業界に先駆けて導入し、健康な方ほど有利な保険料設定を実現しています。
また、グローバル基準のリスク管理体制や多様な販売チャネルの展開により、顧客のニーズに応じた柔軟なサービス提供を行っています。
「健康」にこだわる企業姿勢
メットライフ生命は「健康」を軸とした保険会社として知られており、非喫煙者や健康状態の良い方に対する優遇制度が充実しています。スーパー割引定期保険では、非喫煙者かつ血圧・BMI値が基準内の方は最大約54%の保険料割引を受けられます。
この背景には、健康な方のリスクが低いという保険の原理原則があります。喫煙者と非喫煙者では死亡率や病気のリスクが大きく異なるため、リスクに応じた公平な保険料設定を行っているのです。
さらに、健康増進を支援する取り組みとして、契約者向けの健康関連サービスやセカンドオピニオンサービスも提供しています。単に保険金を支払うだけでなく、病気の予防や早期発見にも力を入れているのが特徴です。
日本市場での独自性
メットライフ生命は50年間の日本市場での事業実績により、日本人特有のニーズや文化に対応した商品・サービスを提供しています。外資系でありながら、日本の法律や税制に完全対応した商品設計を行っているのが特徴です。
また、自社の営業職員による対面販売に加え、代理店や金融機関での取り扱い、インターネット販売など、多様な販売チャネルを展開しています。顧客の好みや利便性に応じて最適な加入方法を選択できる点も、同社の強みといえるでしょう。
メットライフ生命が向いている人
メットライフ生命は、健康状態に自信があり、外貨建て商品や変額保険などの運用性商品に興味がある方に特におすすめです。非喫煙者割引制度が充実しているため、健康なライフスタイルを送っている方ほど保険料面でのメリットを享受できます。
また、外資系保険会社ならではの革新的な商品設計や充実した保障内容を重視する方、長期的な資産形成と保障を両立したい方にも適しています。保険料よりも保障の質や運用性を重視する方には、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
非喫煙者で健康に自信がある人
メットライフ生命の最大のメリットを享受できるのは、非喫煙者で健康状態が良好な方です。スーパー割引定期保険では、非喫煙者かつ血圧・BMI値が基準内の方は最大約54%の保険料割引を受けられるため、大幅な保険料節約が可能です。
健康診断で良好な結果を維持している方、定期的に運動習慣がある方、生活習慣病のリスクが低い方は、この割引制度を最大限に活用できます。特に若い世代で健康状態に自信がある方は、他社との保険料差が大きく出る傾向があります。
外貨建て商品に興味がある人
現在の日本の超低金利環境では、円建て商品だけでは十分な運用益を期待できません。しかし、米ドル建て商品なら相対的に高い金利水準での運用が期待でき、長期的な資産形成に有利です。
為替変動リスクを理解し、ドル資産での分散投資を検討している方には最適です。また、海外旅行や海外赴任の可能性がある方、子どもの海外留学資金を準備したい方にとって、ドル建て商品は実用的な選択肢となります。
資産形成と保障を両立したい人
変額保険による資産形成に関心がある方も対象となります。「ライフインベストアドバンス」なら、13種類の投資ファンドから選択でき、株式や債券への分散投資を通じて、インフレに負けない資産形成が可能です。
保険と投資を一体化したい方、複数の金融商品を管理する手間を省きたい方には理想的な商品といえます。特に投資経験があり、リスクを理解したうえで効率的な資産形成を目指す方に適しています。
変額保険のメリットやデメリットは、こちらの記事でも解説しています。
メットライフ生命が向いていない人
メットライフ生命は優れた特徴を持つ保険会社ですが、すべての方に適しているわけではありません。保険料の安さを最優先に考える方や、シンプルでわかりやすい保険商品を求める方には、他の選択肢の方が適している場合があります。
特に、外貨建て商品が中心の商品構成となっているため、為替リスクを避けたい方や円建て商品のみを希望する方には向いていません。また、対面営業が中心の販売スタイルのため、インターネットで全て完結したい方にも不向きといえるでしょう。
保険料を抑えたい人
メットライフ生命のデメリットは、保険料の高さです。外資系保険会社特有の充実した保障内容の反面、ネット専業の生命保険会社と比較すると保険料は割高に設定されています。同じ保障内容でも、他社より20~30%程度高くなる場合があります。
例えば、30歳男性の定期保険(保険金額1,000万円・10年間)を比較した場合、ネット生保では月額1,000円台で加入できる商品もありますが、メットライフ生命では2,000円を超えるケースが多く見られます。家計に占める保険料負担を最小限に抑えたい方には不向きです。
コストパフォーマンスを重視する方は、ネット専業生保や都道府県民共済などの共済制度を検討することをおすすめします。これらの選択肢なら、基本的な保障を低コストで確保できます。
なお、都道府県民共済に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
シンプルな保険を求める人
メットライフ生命の商品は、多機能で高性能な反面、仕組みが複雑になりがちです。変額保険では13種類の投資ファンドから選択する必要があり、外貨建て商品では為替変動や市場価格調整などの専門知識が求められます。
保険の役割は「万一の際の保障」と割り切って考える方にとって、これらの複雑な仕組みは不要な要素となります。「保険は保険、投資は投資」として分けて考えたい方は、掛け捨ての定期保険や終身保険といったシンプルな商品の方が適しています。
また、特約の選択肢が多すぎて迷ってしまう方も少なくありません。医療保険だけでも入院給付金の受取方法が3種類あり、さらに各種特約を組み合わせると非常に複雑になります。わかりやすさを重視する方は、保障内容がパッケージ化された他社商品を検討しましょう。
対面営業が苦手な人
メットライフ生命の販売チャネルは、営業職員による対面販売が中心となっています。約4,100名のコンサルタント社員が全国で活動しており、積極的な営業アプローチを行っています。このような営業スタイルが苦手な方には不向きです。
インターネットでの申込みに対応している商品もありますが、種類は限定的です。多くの商品では対面での説明や手続きが必要となるため、忙しくて時間が取れない方や、自分のペースで検討したい方には不便に感じられるでしょう。
ネット完結での保険加入を希望する方は、ネット専業生保を検討することをおすすめします。これらの会社なら、商品選択から申込み、契約後の手続きまで、すべてインターネット上で完結できます。
メットライフ生命へ加入する前の注意点
メットライフ生命への加入を検討する際は、まず保険料負担を十分に検討する必要があります。外資系保険会社の商品は一般的に保険料が高めに設定されており、同社も例外ではありません。月々の保険料が家計に与える影響を慎重に計算しましょう。
外貨建て商品を検討する場合は、為替リスクの理解が不可欠です。円高が進行した場合、円換算での保険金額や解約返戻金が目減りする可能性があります。また、為替手数料(1ドルあたり50銭程度)も継続的に発生するため、長期的なコストとして考慮が必要です。
他社商品との比較検討も重要なプロセスです。保険料だけでなく、保障内容、特約の充実度、会社の信頼性などを総合的に比較しましょう。複数の保険会社から見積もりを取得し、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも有効です。
この記事のまとめ
メットライフ生命は、健康状態に自信があり外貨建て商品に興味がある方には魅力的な選択肢です。50年の日本市場での実績と財務健全性が示すように、安全性は十分に確保されています。
一方で、保険料の高さや商品の複雑さというデメリットもあります。保険選びにおいて最も重要なのは、あなたのライフプランと保険に求める役割を明確にしたうえで、総合的に判断することです。単一の保険会社だけでなく、複数社を比較検討することをおすすめします。
また、特定の保険会社に属さない専門家から、専門的なアドバイスを受けることも有意義です。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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非喫煙者割引
非喫煙者割引とは、生命保険や医療保険などの加入時に、たばこを吸わない人が保険料の割引を受けられる制度のことです。喫煙習慣があると、がんや心疾患などの重大な病気のリスクが高まるとされており、保険会社はその分の医療費や保険金の支払いリスクを考慮します。 そのため、リスクの低い非喫煙者には保険料を安く設定することで、公平性を保つとともに健康意識を促す役割もあります。割引を受けるには一定期間以上の禁煙が必要で、加入時に申告と検査が求められることがあります。
外貨建て保険
外貨建て保険とは、保険料の支払いや保険金の受け取りなどが、日本円ではなく米ドルや豪ドルなどの外貨で行われる保険商品のことをいいます。主に終身保険や年金保険の形で提供されており、日本国内の低金利環境に対する対策として注目されることがあります。 外貨建て保険の魅力は、円建ての保険よりも高い利回りが期待できる点ですが、その反面、為替レートの変動によって実際に受け取る金額が目減りするリスクもあります。また、為替手数料や解約時のコストがかかることもあるため、加入する際には仕組みをしっかり理解し、自分の資産運用方針やリスク許容度に合っているかを見極めることが大切です。特に長期で保有する場合には、為替動向や国際情勢にも一定の関心を持つ必要があります。
為替リスク
為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。
ソルベンシー・マージン比率
ソルベンシー・マージン比率とは、保険会社がどれだけ予想外のリスクに耐えられるかを示す指標のことです。たとえば、大地震や大事故のような予測できない大きな支払いが必要になった場合に、その保険会社がしっかりと対応できるかどうかを判断するために使われます。 この比率が高ければ高いほど、経営の安定性があり、万が一のときでも契約者に対する保険金の支払い能力があると見なされます。保険会社の健全性をチェックする上でとても重要な数字です。
変額保険
変額保険とは、死亡保障を持ちながら、保険料の一部を投資に回すことで、将来受け取る保険金や解約返戻金の金額が運用成績によって変動する保険商品です。 保険会社が提供する複数の投資先から自分で選んで運用することができるため、運用がうまくいけば受け取る金額が増える可能性があります。 ただし、運用がうまくいかなかった場合は、受け取る金額が減ることもあります。保障と資産運用の両方を兼ね備えた商品ですが、元本保証がない点には注意が必要です。投資初心者の方には、仕組みを十分に理解したうえで加入することが大切です。
収入保障保険
収入保障保険とは、契約者が死亡または高度障害になった場合に、遺された家族が毎月一定額の保険金を受け取れる生命保険の一種です保険金は一括ではなく、年金のように月々の定額支給という形で受け取るため、日々の生活費や教育費など、継続的な支出に備えるのに適した保険です。 この保険の特徴は、契約期間が経過するごとに受け取れる総額(=支給期間)が短くなるため、保険料が比較的割安に設定されていることです。必要な保障額を効率よく確保できることから、特に子育て中の家庭や、一家の収入を支える人に万が一があった場合のリスクに備えたい方に人気があります。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、健康状態に不安がある人や持病のある人でも加入しやすいように、通常の保険よりも加入時の審査基準(引受基準)を緩やかにした保険のことです。一般の保険では健康状態に関する詳しい質問や診査が必要ですが、このタイプでは「過去〇年以内に入院したことがありますか?」など、限定的な質問だけで加入できるケースが多くあります。 ただし、保険料は通常の保険よりも割高に設定されることが一般的で、契約から一定期間(例:1~2年)は保障内容が制限される「免責期間」が設けられることもあります。持病や高齢によって通常の保険に加入できなかった人にとっては、貴重な保障手段となります。加入のハードルは低い一方で、保障内容や費用のバランスをよく理解することが大切です。
特別勘定
特別勘定とは、主に保険会社が提供する変額保険や年金商品などで使われる仕組みで、契約者から預かったお金を、会社の他の資産とは分けて管理するための専用の勘定のことです。 この仕組みにより、運用による損益は契約者に直接反映され、保険会社の経営状況とは切り離して資産が守られる仕組みになっています。 たとえば、変額保険では、特別勘定の中で株式や債券などの資産を運用し、その運用結果によって将来受け取る金額が変動します。初心者にとっては、特別勘定は「自分のお金がどのように運用されているかが見える透明な箱」とイメージすると理解しやすいです。
責任準備金
責任準備金とは、保険会社が将来の保険金や給付金の支払いに備えて積み立てておくお金のことです。保険契約者が保険に加入した時点で、保険会社はその契約に基づいて将来一定の金額を支払う義務を負うため、それに対応できるように事前に資金を準備しておく必要があります。これは、保険会社の健全性を保ち、契約者が安心して保険に加入し続けられるようにするための重要な仕組みです。資産運用の観点から見ると、責任準備金は保険会社が長期的に運用して増やす対象でもあり、その運用成績が保険商品の配当や将来の支払いに影響することがあります。ですので、保険に関心がある人や加入を検討している人は、この言葉の意味を理解しておくと安心です。
ファイナンシャル・プランナー(FP)
ファイナンシャル・プランナーとは、お金に関する幅広い知識を持ち、個人や家庭のライフプランに応じた資金計画や資産運用、保険、税金、年金、相続などについてアドバイスを行う専門家のことです。略して「FP(エフピー)」と呼ばれることもあります。例えば、子どもの教育資金や老後の生活費をどのように準備するか、住宅ローンをどう組むべきか、保険は見直すべきかといった具体的な悩みに対して、相談者の状況に合ったプランを提案してくれます。国家資格や民間資格を持つファイナンシャル・プランナーが存在し、中立的な立場でアドバイスをしてくれる点が信頼されています。投資や家計管理に自信がない方にとって、人生の重要なお金の意思決定をサポートしてくれる心強い存在です。
為替手数料
為替手数料とは、日本円を米ドルやユーロなどの外国通貨に両替する際にかかる手数料のことです。これは、銀行や証券会社などの金融機関が設定しており、為替レートに一定の上乗せをする形で反映されます。たとえば、実際の市場の為替レートが1ドル=150円でも、手数料が1円加わると、151円で1ドルを買うことになります。この差額が為替手数料です。 外貨預金や外貨建ての投資商品を購入する場合、また海外旅行で両替する際などに発生します。金融機関ごとに手数料が異なるため、取引前に比較することが大切です。また、為替手数料は小さなコストに見えても、取引回数が多くなると運用成績に大きな影響を与えることがあるため、注意が必要です。
S&P500指数
S&P500指数とは、アメリカの代表的な株価指数の一つで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出しています。米国を代表する主要企業500社の株価をもとに構成されており、テクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広い業種が含まれるのが特徴です。 この指数は、米国株式市場全体の動向を示す指標として世界中の投資家に注目されており、投資信託やETF(上場投資信託)のベンチマークとしても広く活用されています。「アメリカ経済の健康状態を測る体温計」とも言われる、非常に重要な指標です。
格付け(信用格付け)
格付け(信用格付け)とは、取引をする際に参考にされる基準の一つで、取引の相手側の信用度を確認するために支払い能力や財務状況、安全性などを総合的にランク付けしたものである。アルファベットや数字で表されるのが一般的である。 (例)格付投資情報センター(https://www.r-i.co.jp/index.html) による発行体格付の定義 AAA:信用力は最も高く、多くの優れた要素がある。 AA:信用力は極めて高く、優れた要素がある。 A:信用力は高く、部分的に優れた要素がある。 BBB:信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。 BB:信用力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある。 B:信用力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある。 CCC:発行体の金融債務が不履行に陥る懸念が強い。 CC:発行体の金融債務が不履行に陥っているか、その懸念が極めて強い。 C:発行体のすべての金融債務が不履行に陥っているとR&Iが判断する格付。
不てん補期間
不てん補期間とは、保険契約を結んでから一定の期間中に発生した損害や事象に対して、保険金が支払われない期間のことを指します。たとえば、医療保険やがん保険では、契約してすぐに病気が見つかっても、すぐには保険金が出ないことがあります。 これは、保険加入直後にすでに症状があった場合や、加入後すぐに保険金を請求することを防ぐための仕組みです。投資型保険商品においても、不てん補期間が設定されていることがあるため、保険商品を選ぶ際には、この期間がどれくらいあるのかを必ず確認することが大切です。 初心者の方は、保険は加入すればすぐにすべてが補償されると思いがちですが、不てん補期間があることを知っておくと、トラブルを避けることができます。