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新窓販国債とは?最新金利と個人向け国債との違い・買い方を解説
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執筆者:
公開:
2026.09.11
更新:
2026.09.11
預金より有利な運用先を探すなかで、新窓販国債に関心を持つ人が増えています。ただし、国債だからといって、いつでも元本割れしないとは限りません。この記事では、新窓販国債の仕組みや最新金利、個人向け国債との違い、購入方法や税金までを具体的に解説します。
目次
新窓販国債は誰でも買える国債
新窓販国債とは、国が発行する利付国債を、証券会社・銀行・郵便局などの金融機関の窓口を通じて購入できるようにした国債です。個人だけでなく、法人やマンション管理組合などの団体も購入できます。
- 満期は2年・5年・10年の3種類で、いずれも固定金利です。利子は半年ごとに受け取れ、満期を迎えると額面金額で償還されます。一方で、満期前に売却する場合は市場価格での売却となるため、売却益が出る場合もあれば、売却損が出る場合もあります。
購入単位は最低5万円から5万円単位で、1回の申込みにつき3億円まで購入可能です。
中身は市場で取引される利付国債
新窓販国債の中身は、機関投資家が市場で売買している利付国債と同じ商品性です。利付国債とは、保有中に定期的な利子を受け取り、満期に額面金額が戻る、債券の最も基本的な形を指します。
新窓販国債の利子は年2回、半年ごとに支払われます。たとえば10年満期を購入した場合、10年間で合計20回の利子を受け取り、満期日に額面金額の償還を受ける流れです。
なお、新窓販国債を含む国債はペーパーレスの「振替国債」として発行されるため、紙の債券は存在しません。金融機関に開設した国債の口座で電子的に管理され、保有額は取引残高報告書などで確認できます。
2007年に始まった窓口販売方式
新窓販国債の「新窓販」とは、2007年(平成19年)10月の郵政民営化に合わせて導入された「新型窓口販売方式」の略称です。それまで郵便局だけに認められていた募集取扱方式による国債販売を、他の民間金融機関にも広げた仕組みを指します。
この方式の特徴は、募集期間中であれば全国どの取扱金融機関でも、財務省が決めた同一の条件・価格で購入できる点です。金融機関ごとに価格を比較する手間がなく、初めて債券を買う人にも分かりやすい仕組みといえます。
満期は2年・5年・10年の3種類
新窓販国債の満期(年限)は2年・5年・10年の3種類で、いずれも毎月発行される固定金利型です。固定金利とは、購入時に決まった利率が満期まで変わらない仕組みを指します。
| 年限 | 金利タイプ | 向いている資金のイメージ |
|---|---|---|
| 2年 | 固定金利 | 使い道が決まっている短期の待機資金 |
| 5年 | 固定金利 | 中期でじっくり増やしたい資金 |
| 10年 | 固定金利 | 長期の安定した利子収入を得たい資金 |
運用期間の選択肢が3つあるため、資金を使う時期に合わせて年限を選べます。特に2年満期は個人向け国債にはない年限で、短期運用のニーズに応えられる点が特徴です。
最新の新窓販国債の金利は10年で年2.7%
2026年9月募集分の新窓販国債の金利は、2年が年1.7%、10年が年2.7%(いずれも表面利率)です。5年は原稿執筆時点で発表前のため、公表後に更新します。
日本銀行の利上げを背景に国債金利は上昇傾向にあり、預金金利と比較しても注目度が高まっています。ここでは、財務省が公表している最新の発行条件を確認します。
9月募集分の金利一覧
2026年9月募集分の発行条件は以下のとおりです。
| 項目 | 2年固定 | 5年固定 | 10年固定 |
|---|---|---|---|
| 表面利率(年) | 1.7%(税引後 1.354645%) | 2.2%(税引後 1.753070%) | 2.7%(税引後 2.151495%) |
| 応募者利回り(年) | 1.672%(税引後 1.327%) | 2.171%(税引後 1.725%) | 2.943%(税引後 2.385%) |
| 募集価格(額面100円につき) | 100円05銭 | 100円12銭 | 98円16銭(アンダーパー) |
| 償還金額(額面100円につき) | 100円 | 100円 | 100円 |
| 発行日 | 2026年10月9日 | 2026年10月13日 | 2026年10月9日 |
| 利払日 | 毎年3月1日・9月1日 | 毎年6月20日・12月20日 | 毎年6月20日・12月20日 |
※表面利率は受け取る利子の率、応募者利回りは購入価格を踏まえた実質的な利回りの目安です。募集価格が額面100円を上回る場合、表面利率より応募者利回りが低くなることがあります。
たとえば2年債は募集価格が100円05銭と額面を上回るため、表面利率の年1.7%に対し、応募者利回りは年1.672%とやや低くなります。反対に10年債は募集価格が額面100円につき98円16銭と額面を下回るため、応募者利回り(年2.943%)は表面利率(年2.7%)を上回ります。募集価格が額面より高いか低いかで、応募者利回りは表面利率より低くも高くもなる点を押さえておきましょう。
表面利率に関しては、こちらのFAQも参考にしてみてください。
出典:財務省「新型窓口販売方式による2年利付国債(第486回)の発行条件等」
金利はこの1年で上昇傾向
新窓販国債の金利は、日銀の利上げを背景に上昇傾向が続いています。実際に10年債の表面利率は、2026年6月募集分の年2.4%から9月募集分は年2.7%へと、1か月で0.3%上昇しました。
背景には、日本銀行の金融政策と長期金利の上昇があります。2025年以降の利上げにより、国債利回りにも上昇圧力がかかり、新たに発行される固定利付国債の利率にも反映されやすい環境となっています。
金利上昇局面では、後から発行される国債の方が高い利率になる傾向がある一方、すでに保有している固定金利債券の時価は下がります。
出典:財務省「国債金利情報」
金利は市場実勢で財務省が決定
新窓販国債の利率や募集価格は、市場実勢を勘案して財務省が銘柄ごとに決定します。具体的には、直近の入札で発行された利付国債に準じた条件が設定される仕組みです。
たとえば2026年9月募集分の新窓販国債10年には、9月1日に入札が行われた10年利付国債(第383回・表面利率年2.7%)と同じ銘柄が使われています。市場で決まった金利水準がほぼそのまま反映されるため、その時々の金利環境をダイレクトに受け取れる商品といえます。
なお、各年限の金利は募集開始日の2営業日前に公表される予定です。正確な公表スケジュールは、財務省の発行スケジュールページで確認できます。
新窓販国債の4つのメリット
新窓販国債のメリットは、次の4つに整理できます。
新窓販国債のメリット
- 市場金利を反映した利回りで購入できる
- 2年満期で短期運用できる
- 法人や団体も購入できる
- 満期前でも市場で売却できる
いずれも個人向け国債や預金にはない特徴です。それぞれ、どのような人にとっての利点なのかを含めて解説します。
市場金利を反映した利回り
新窓販国債は、発行ごとに市場実勢を踏まえて利率や募集価格が決まります。そのため、同じ時期の個人向け国債より利回りが高く見える場面があります。
- 実際に2026年9月募集分を比較すると、新窓販国債10年の表面利率は年2.7%(募集価格が額面を下回るため応募者利回りは年2.943%)、個人向け国債の変動10年の初回適用利率は年1.95%でした。同じ「10年」でも、金利タイプや中途換金ルールが異なるため単純比較はできませんが、市場金利をより直接的に反映するのは新窓販国債です。
ただし、新窓販国債は中途売却時に市場価格で売却するため、金利上昇時には元本割れする可能性があります。利回りだけで判断するのではなく、「満期まで保有できるか」「途中で使う可能性があるか」をセットで確認しましょう。
国債の利回りの決まり方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
2年満期で短期運用できる
新窓販国債には、個人向け国債にはない2年満期があります。個人向け国債の最短年限は3年のため、「2年後に使う予定の資金」を国債で運用したい場合は新窓販国債が選択肢です。
- たとえば「2年後の子どもの入学金」「2年後に予定している住宅リフォーム費用」のように、使う時期が決まっている資金が該当します。実際に使う時期まで固定金利で運用しながら、満期には額面で償還を受けられます。
短期とはいえ債券である以上、満期前に売却すれば売却損が出る可能性はあります。資金を使う時期と満期を合わせることが、2年債を活用するうえでの基本です。
法人や団体も購入できる
新窓販国債は、個人に限定された個人向け国債と異なり、法人やマンション管理組合などの団体でも購入できます。財務省も、資産運用をしたい法人やマンション管理組合を利用者の例として挙げています。
法人・団体にとっての活用場面は、預金だけに置いておくのが不安な余裕資金の運用先です。預金保険制度で保護されるのは1金融機関あたり元本1,000万円とその利息までのため、それを超える資金の置き場所として、国が発行する国債が候補になります。
なお、2026年12月募集分・2027年1月発行分からは個人向け国債の販売対象が一部の法人等にも拡大され、商品名は「個人向け国債プラス」に変更される予定です。
出典:財務省「個人向け国債の法人等への販売対象拡大について」
満期前でも市場で売却できる
新窓販国債は、満期前でも金融機関を通じて市場で売却できます。個人向け国債のように「発行後1年は原則中途換金できない」という制限がないため、流動性がある点はメリットです。
ただし、売却価格はその時点の市場価格で決まります。市場金利が上昇している局面では債券価格が下がり、購入価格を下回る価格でしか売却できないことがあります。反対に、金利が低下している局面では売却益が出る可能性もあるでしょう。
- 財務省も、新窓販国債は市場でいつでも売却が可能としつつ、売却益・売却損が発生することを明記しています。個人向け国債のような国の買取りによる中途換金制度はないため、「確実に額面で戻る換金手段」ではない点は押さえておきましょう。
新窓販国債の4つのデメリット
新窓販国債のデメリットは、次の4つです。
新窓販国債のデメリット
- 中途売却で元本割れの可能性がある
- 購入は最低5万円から
- 変動金利型は選べない
- 預金保険の対象ではない
なかでも中途売却時の元本割れは、安全志向の方にとって最も重要な注意点です。仕組みから丁寧に確認していきます。
中途売却で元本割れの可能性
新窓販国債は、満期前に売却すると元本割れする可能性があります。売却価格が市場の債券価格で決まるためです。
- 債券価格と金利には、シーソーのような関係があります。市場金利が上昇すると、低い利率の既存債券の魅力が相対的に下がるため、債券価格は下落します。反対に市場金利が低下すると、債券価格は上昇する関係です。
重要なのは、満期まで保有すれば市場価格に関係なく額面金額で償還される点です。元本割れが起こり得るのは、あくまで満期前に売却した場合に限られます。過度に不安になる必要はありませんが、途中で使う可能性がある資金には向かないことを理解しておきましょう。
国債が元本割れするケースに関しては、こちらのFAQも参考にしてみてください。
購入は最低5万円から
新窓販国債の購入単位は最低5万円からで、以降5万円単位です。1万円から購入できる個人向け国債と比べると、購入のハードルはやや高くなります。
たとえば「まずは数万円だけ国債を試してみたい」という場合、新窓販国債では5万円が最低ラインです。より少額から始めたい方には、1万円から購入できる個人向け国債という選択肢があります。
一方、上限は1回の申込みあたり3億円と大きく、まとまった資金の運用にも対応可能です。少額で試したいのか、まとまった資金を運用したいのかによって、向き不向きが分かれます。
変動金利型は選べない
新窓販国債は2年・5年・10年のすべてが固定金利型で、変動金利型はありません。購入後に市場金利が上昇しても、受け取る利子の利率は変わらない点がデメリットになり得ます。
- 利上げ局面では、この「機会損失」が意識されやすくなります。たとえば固定金利の10年債を購入した直後に金利がさらに上がった場合、より高い利率の新発債を買えたはずだった、という状況が起こり得るためです。
金利上昇の恩恵を受けたい場合は、半年ごとに適用利率が見直される個人向け国債の変動10年が対の選択肢になります。
預金保険の対象ではない
新窓販国債は預金ではないため、銀行預金のような預金保険制度の対象ではありません。元本や利子の支払いは発行体である国が責任を持って行いますが、満期前に市場で売却する場合は、価格変動により損失が出る可能性があります。
また、証券会社で保有する場合、顧客資産は原則として分別管理されます。分別管理とは、証券会社が顧客の資産と自社の資産を厳格に分けて管理する、法律上の義務です。証券会社が破綻し、分別管理が適切でなかったために顧客資産の返還ができない場合には、日本投資者保護基金による1人あたり1,000万円を上限とした補償の対象となり得ます。
ただし、国債価格の下落や中途売却による損失を投資者保護基金が補償するわけではありません。「預金とは保護の仕組みが異なる」と正しく理解しておきましょう。
個人向け国債との違いは5つ
新窓販国債と個人向け国債の主な違いは、購入対象・年限・金利タイプ・購入単位・中途換金ルールの5つです。とりわけ重要なのは、中途換金時に元本割れがあり得るかどうかの違いになります。
まずは比較表で全体像を確認しましょう。
| 比較項目 | 新窓販国債 | 個人向け国債 |
|---|---|---|
| 購入対象 | 個人・法人・団体 | 個人のみ |
| 2027年以降の変更 | 継続 | 一部法人等にも対象拡大予定 |
| 年限 | 2年・5年・10年 | 3年・5年・10年 |
| 金利タイプ | すべて固定金利 | 変動10年・固定5年・固定3年 |
| 購入単位 | 5万円から5万円単位 | 1万円から1万円単位 |
| 購入限度額 | 1申込みあたり3億円 | 上限なし |
| 中途換金 | 市場価格で売却 | 発行後1年経過後、国が額面で買取り |
| 中途換金時の元本割れ | あり得る | 原則なし |
| 最低金利保証 | なし | 年0.05%の最低金利保証あり |
| 向いている人 | 満期保有できる人、法人・団体、2年運用したい人 | 元本割れを避けたい個人、少額から始めたい人 |
途中で使う可能性がある個人資金なら、元本割れしにくい個人向け国債が選びやすいです。一方、満期まで保有できる資金、2年で運用したい資金、法人・団体の余裕資金であれば、新窓販国債も選択肢になります。
金利タイプの違い
新窓販国債は全年限が固定金利である一方、個人向け国債には半年ごとに適用利率が見直される「変動10年」があります。この違いは、金利環境の見方によって有利不利が変わるポイントです。
- 金利上昇局面では、利率が市場に合わせて上がっていく変動10年が有利になり得ます。実際に個人向け国債の変動10年は、2026年9月募集分で初回適用利率が年1.95%と、利上げを反映して上昇してきました。
反対に、固定金利型は購入時点で満期までの利子収入が確定します。「これ以上の金利上昇は限定的」と考えるなら固定型、「まだ金利は上がる」と考えるなら変動型、という判断軸で整理できます。
購入単位と対象者の違い
購入単位は、新窓販国債が5万円から5万円単位(1申込み3億円まで)、個人向け国債が1万円から1万円単位(上限なし)です。少額から始めたい方には個人向け国債の方が入りやすいでしょう。
購入対象者の違いはより明確です。新窓販国債は個人・法人・団体のいずれも購入できますが、個人向け国債は現在のところ個人しか購入できません。
このため、マンション管理組合の修繕積立金や、法人の余裕資金を国債で運用したい場合、現時点での選択肢は新窓販国債になります。2027年1月発行分からは個人向け国債の販売対象も一部の法人等に広がる予定のため、法人・団体の方は制度変更の動向もあわせて確認しましょう。
中途換金ルールの違い
中途換金の仕組みは、両者の最も決定的な違いです。新窓販国債は市場での時価売却、個人向け国債は国が額面で買い取る中途換金制度、という違いがあります。
個人向け国債は、発行後1年を経過すれば、いつでも国の買取りによって額面で中途換金できます。ただし、中途換金時には直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれ、発行後1年間は原則として中途換金できません。
- 一方、新窓販国債にはこのような国の買取制度がなく、換金手段は市場での売却のみです。売却価格はその時々の市場価格になるため、タイミングによっては元本割れが生じます。急な資金需要が想定される方は、この違いを最優先で確認してください。
元本割れリスクの有無
元本割れリスクの有無を整理すると、次のようになります。
元本割れリスクの比較
- 新窓販国債::期保有なら額面償還。中途売却では元本割れがあり得る
- 個人向け国債:満期保有はもちろん、中途換金でも額面で換金され、元本割れは原則なし
なお、「元本保証」という言葉には注意が必要です。預金の場合はいつ解約しても元本が守られますが、新窓販国債で額面が約束されるのは満期まで保有した場合に限られます。同じ「国債だから安心」というイメージでも、途中でお金に戻すときの扱いはまったく異なると理解しておきましょう。
個人向け国債の特徴は、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。
国債の選び方は資金の使い道で決まる
新窓販国債と個人向け国債の選び方は、利回りの高さだけでは決まりません。最も重要なのは、その資金を満期まで使わずに置いておけるかどうかです。
判断軸は次の3つに絞られます。
国債選びの判断基準
- 満期まで保有できるか
- 元本割れをどの程度避けたいか
- 固定金利と変動金利のどちらを選びたいか
満期まで保有できる資金であれば、新窓販国債は固定金利で利子収入を確定できる選択肢になります。一方、途中で使う可能性がある資金や、元本割れをできるだけ避けたい資金であれば、個人向け国債の方が向いているでしょう。
新窓販国債が向いている人
新窓販国債が向いているのは、次のような人です。
新窓販国債が向いている人
- 満期まで使う予定のない余裕資金がある人
- 2年程度の短期で国債運用をしたい人
- 法人・マンション管理組合などの団体
- 市場金利を反映した固定金利を今のうちに確定させたい人
- 5万円単位・最大3億円のまとまった資金を運用したい人
共通するのは、「途中でお金に戻す必要がない」という前提です。満期まで保有すれば額面で償還されますが、国債である以上、日本国の信用リスクは残ります。また、満期前に売却する場合は市場価格での売却となるため、元本割れする可能性があります。
個人向け国債が向いている人
個人向け国債が向いているのは、次のような人です。
個人向け国債が向いている人
- 中途換金する可能性があり、元本割れを避けたい人
- 1万円から少額で国債を始めたい人
- 金利上昇の恩恵を受けたい人(変動10年)
- 金利がどれだけ下がっても年0.05%の最低金利保証がほしい人
個人向け国債は、発行後1年経過すれば国の買取りにより額面で中途換金できるため、途中で使う可能性がある資金に向いています。どちらか一方が常に優れているわけではなく、資金の性質によって使い分けるのが基本です。
金利上昇局面の買い方
日銀の利上げが続く局面では、「もう少し待てばもっと高い金利で買えるのでは」という迷いが生じます。金利の天井を正確に当てることは専門家でも困難なため、時間を分散して購入するのが現実的な対処法です。
具体的には、次のような方法が考えられます。
金利上昇局面での買い方
- 購入予定額を数回に分け、数か月ごとに買う(時間分散)
- 固定金利の新窓販国債と、変動金利の個人向け国債変動10年を併用する
- 短めの年限(2年)で様子を見て、満期資金で改めて金利水準を判断する
新窓販国債は毎月発行され、金利も毎月見直されます。一度にすべての資金を投じるのではなく、金利動向を確かめながら段階的に購入することで、高値づかみならぬ「低金利づかみ」のリスクを和らげられます。
なお、長期金利の上昇が私たちの生活に与える影響については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
満期を分散するラダー運用
まとまった資金を運用するなら、2年・5年・10年を組み合わせて満期をずらす「ラダー運用」も有効な戦略です。ラダー(はしご)のように満期を段階的に並べることから、この名前が付いています。
たとえば600万円を「2年:200万円、5年:200万円、10年:200万円」と3本に分けて購入したとします。すると2年後、5年後、10年後にそれぞれ資金が額面で戻り、その時点の金利水準で再投資するか、生活資金に充てるかを選べる仕組みです。
ラダー運用には、次の2つの利点があります。
ラダー運用のメリット
- 定期的に満期資金が戻るため、中途売却に頼らず流動性を確保しやすい
- 満期ごとに再投資するため、その時々の金利を平均的に取り込める
満期分散によって「全額を低い金利で固定してしまうリスク」と「中途売却による元本割れリスク」の両方を抑えられるため、金利の先行きが読みにくい局面に適した方法です。
他の債券と比較して選ぶ
新窓販国債を検討する際は、債券投資全体の選択肢のなかでの位置づけも押さえておきましょう。円建てで安全性を重視するのか、利回りを追求するのかによって、適した債券は変わります。
| 商品 | 主なメリット | 主なリスク | 向いている資金 |
|---|---|---|---|
| 新窓販国債 | 円建て・国が発行・固定金利 | 中途売却時の価格変動 | 満期まで置ける円資金 |
| 個人向け国債 | 中途換金時も元本割れしにくい | 利回りが低めになる場合 | 途中で使う可能性がある個人資金 |
| 米国債 | 利回りが高い場合がある | 為替リスク | 外貨建てリスクを許容できる資金 |
| 社債 | 国債より高利回りの場合がある | 発行体の信用リスク | 利回りを重視する一部資金 |
| 既発債 | 残存期間を選びやすい | 価格・スプレッドの理解が必要 | 債券に慣れた投資家向け |
米国債との違いは為替リスク
新窓販国債と米国債の違いは、為替リスクの有無です。米国債は米ドル建てのため、利回りが高くても、円高が進めば円ベースでの受取額が目減りする可能性があります。
一方、新窓販国債は円建てのため、為替変動の影響を受けません。日本円で使う予定の資金を、為替リスクなしで運用したい場合に適しています。
- 高い利回りを求めて米国債を選ぶ場合は、為替リスクを理解し、資産の一部にとどめるのが基本です。円資金の土台は円建ての国債で固め、余力の範囲で外貨建てを検討する、という順序で考えましょう。
社債との違いは信用リスク
社債は企業が発行する債券で、国債より高い利回りが期待できる場合があります。その代わり、発行体である企業の信用リスク(倒産などで元利金が支払われないリスク)を負う点が国債との違いです。
- 国債は国が元利金の支払いを行うため、日本国内の円建て債券のなかでは最も信用力が高い部類に入ります。安全性を最優先する資金は国債、信用リスクを理解したうえで利回りを上乗せしたい資金は社債、という使い分けが基本です。
社債を選ぶ際は、格付け(信用力の評価)や発行体の財務状況の確認が欠かせません。利回りの高さは、それだけリスクの対価が乗っている証拠と捉えましょう。
既発債は市場価格で購入
新窓販国債が「新しく発行される国債」を募集価格で買う仕組みであるのに対し、すでに市場で流通している国債(既発債)を証券会社で購入する方法もあります。
既発債のメリットは、残存期間(満期までの残り期間)や利率の選択肢が豊富な点です。「あと3年で満期を迎える国債がほしい」といった細かいニーズに応えられます。
一方で、購入価格はその時々の市場価格になり、価格には手数料に相当するスプレッド(売値と買値の差)が含まれるのが一般的です。価格の妥当性を自分で判断する必要があるため、どちらかといえば債券取引に慣れた投資家向けの選択肢といえます。
新窓販国債の買い方4ステップ
新窓販国債は、証券会社・銀行・郵便局(ゆうちょ銀行)などの取扱金融機関で購入できます。金融機関によって取扱年限、ネット申込の可否、口座管理手数料の有無が異なる場合があるため、事前の確認が大切です。
購入までの流れは、次の4ステップです。
新窓販国債の買い方
- 取扱金融機関を確認する
- 国債口座または証券口座を開設する
- 募集期間と発行条件を確認する
- 募集期間内に申込む
国債専用の口座を開設する
初めて国債を購入する場合は、取扱金融機関で国債専用の口座(証券会社の場合は証券口座)を開設する必要があります。購入時に必要なものは、購入代金、預金通帳、印鑑などです。
口座開設には、金融機関によって数日かかる場合があります。また、口座の開設や維持に手数料がかかる金融機関もあるため、コストの有無は事前に確認しましょう。
募集期間は毎月おおむね月末までのため、「買いたい月の募集に間に合わなかった」とならないよう、口座開設は余裕をもって進めるのがおすすめです。
募集期間内に申込む
口座を開設したら、毎月の募集期間内に窓口やインターネットで申し込みます。
申込み後は、金融機関の案内に従って購入代金を支払います。なお、発行日と利払日の関係によっては、初回の利子に経過利子の調整が入る場合があるため、受取利子の計算方法は購入時に確認しておくと安心です。
金利は各年限とも募集開始日の2営業日前に公表されます。最新の募集スケジュールと金利は、財務省の発行スケジュールページで確認しましょう。
税金は利子・売却益とも20.315%
新窓販国債の税金は、利子・売却益(譲渡益)・償還差益のいずれも税率20.315%です。国債は税法上「特定公社債」に分類され、上場株式などと同じグループで課税されます。
個人と法人では扱いが異なるため、ここでは個人が保有する場合を中心に整理します。
利子は源泉徴収で申告不要
個人が受け取る新窓販国債の利子には、原則として20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)の税金がかかり、支払時に源泉徴収されます。源泉徴収のみで納税が完了するため、通常は確定申告が不要です。
確定申告する場合は、申告分離課税(他の所得と分けて税額を計算する方式)の対象になります。申告分離課税を選ぶと、上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能になるケースがあり、状況によっては税負担を軽くできます。
なお、法人が受け取る利子については、地方税を除いた15.315%分の税金が差し引かれるなど、個人とは扱いが異なります。また、障害者手帳をお持ちの方や遺族基礎年金を受給されている方などは、マル優(少額貯蓄非課税制度)を利用できる場合があるため、該当する方は金融機関に確認しましょう。
出典:国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」
売却損は損益通算できる
中途売却や償還によって譲渡益・償還差益が生じた場合は、「上場株式等の譲渡所得等」として20.315%の申告分離課税の対象になります。特定口座(源泉徴収あり)を利用していれば、証券会社が損益計算と納税を代行するため、原則として確定申告は不要です。
反対に売却損が出た場合は、一定の条件のもとで上場株式や投資信託の譲渡益・配当等と損益通算できます。損益通算とは、利益と損失を相殺して課税対象額を減らす仕組みです。
さらに、その年に控除しきれなかった損失は、確定申告により翌年以降3年間繰り越せます。繰越控除を使うには損失が出た年から毎年連続で確定申告が必要になるため、売却損が出た年は申告を忘れないようにしましょう。
出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
出典:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
2027年の制度変更に注意
2027年(令和9年)1月発行分から、個人向け国債の販売対象が一部の法人等にも拡大され、商品名が「個人向け国債プラス」に変更される予定です。
個人向け国債プラスとは
個人向け国債プラスとは、2026年(令和8年)12月募集分・2027年(令和9年)1月発行分から予定されている、個人向け国債の新しい商品名です。販売対象が「個人のみ」から「個人および一部の法人等」に拡大されることに伴い、名称が変更されます。
対象に加わるのは、非営利法人や非上場法人等とされています。マンション管理組合などの団体資金でも、制度変更後は新窓販国債と個人向け国債プラスを比較しやすくなる見込みです。一方で、商品ラインナップ(変動10年・固定5年・固定3年)や基本的な商品性に変更はなく、個人投資家にとっての比較軸は今までと大きく変わりません。
出典:財務省「個人向け国債の法人等への販売対象拡大について」
新窓販国債への影響
制度変更後、法人・団体にとっては「新窓販国債」と「個人向け国債プラス」の両方が選択肢になる見込みです。これまで新窓販国債の独自メリットだった「法人・団体でも買える」という点が、相対的に変化する可能性があります。
たとえばマンション管理組合の修繕積立金であれば、中途換金でも元本割れしにくい個人向け国債プラスと、市場金利を反映した固定金利の新窓販国債を、資金の使い道に応じて比較することになるでしょう。
判断の軸は個人の場合と同じで、「満期まで保有できるか」「途中で使う可能性があるか」です。法人・団体の資金運用担当の方は、2026年12月の募集開始に向けて、取引金融機関の対応状況も含めて情報収集を進めておくと安心です。
この記事のまとめ
この記事では、新窓販国債の特徴や最新金利、個人向け国債との違い、中途売却時の元本割れリスク、買い方や税金について整理しました。新窓販国債は、満期まで保有できる資金であれば有力な選択肢になりますが、途中で使う可能性がある資金には注意が必要です。購入前に資金の使い道と運用期間を確認し、必要に応じて金融機関や専門家に相談しましょう。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。







