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雑所得とは?該当する収入・税率と、確定申告が必要になる基準を解説
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公開:
2026.10.26
更新:
2026.10.26
副業やフリマアプリ、ポイ活、暗号資産などで給与以外の収入を得ると、「雑所得に当たるのか」「確定申告が必要なのか」と迷うことがあります。所得区分や課税方法を誤って理解すると、申告漏れや税額の計算ミスにつながるため注意が必要です。この記事では、雑所得の定義や具体例、一時所得・事業所得との違い、税率、確定申告の基準から申告時の注意点までを具体的に解説します。
雑所得とは?まずは該当する収入を確認
雑所得とは、所得税法が定める10種類の所得のうち、ほかの9種類のどれにも当てはまらない所得です。副業の原稿料、年金、暗号資産の利益など、性質の異なる収入がまとめて含まれます。
まずは下の表で、自分の収入がどの所得区分に当たるかを確認してください。
| 収入の例 | 所得区分 | 補足 |
|---|---|---|
| 会社の給料・パート代 | 給与所得 | 雇用契約に基づく収入 |
| 副業の原稿料・講演料・小規模なアフィリエイト | 雑所得(業務) | 事業規模なら事業所得 |
| 国民年金・厚生年金・iDeCoの年金受取 | 雑所得(公的年金等) | 公的年金等控除が使える |
| 個人年金保険の年金 | 雑所得(その他) | 保険料負担者=受取人の場合 |
| 外貨預金の為替差益 | 雑所得(その他) | 利息は利子所得 |
| FX・先物取引の利益 | 雑所得(申告分離課税) | 国内の登録業者との取引など |
| 暗号資産の売却益 | 雑所得(その他) | 令和8年分は総合課税 |
| ソーシャルレンディングの分配金 | 雑所得 | 源泉徴収されている場合が多い |
| 株式・投資信託の売却益 | 譲渡所得 | 雑所得ではない |
| 懸賞金・ふるさと納税の返礼品 | 一時所得 | 最大50万円の特別控除あり |
| 不用品のフリマ売却 | 原則非課税 | 高額な貴金属などは例外 |
雑所得は他の9種類に当てはまらない所得
雑所得は「どの所得にも分類できない所得の受け皿」です。所得税は所得の性質ごとに計算ルールを定めており、どの区分にも入らない所得を最後に雑所得として扱います。
10種類の所得区分は次のとおりです。
| 所得区分 | 主な例 |
|---|---|
| 利子所得 | 預貯金・公社債の利子、公社債投資信託の分配金 |
| 配当所得 | 株式の配当、株式投資信託の普通分配金 |
| 不動産所得 | 家賃収入 |
| 事業所得 | 個人事業の売上から生じる所得 |
| 給与所得 | 給料、賞与 |
| 退職所得 | 退職金 |
| 山林所得 | 5年超保有した山林の売却 |
| 譲渡所得 | 株式や不動産の売却益 |
| 一時所得 | 懸賞金、満期保険金 |
| 雑所得 | 上記のいずれにも当てはまらない所得 |
雑所得に該当するかは「何に当てはまらないか」で判断するため、他の区分との違いを知ることが大切です。
公的年金等・業務・その他の3区分
雑所得は、さらに「公的年金等」「業務に係るもの」「その他」の3つに分かれます。区分によって所得の計算方法や書類の保存ルールが異なるためです。
| 区分 | 代表例 | 所得の計算方法 |
|---|---|---|
| 公的年金等 | 国民年金、厚生年金、企業年金、iDeCoの年金受取 | 収入金額 − 公的年金等控除額 |
| 業務に係るもの | 副業の原稿料・講演料、シェアリングエコノミーの収入 | 総収入金額 − 必要経費 |
| その他 | 個人年金保険、外貨預金の為替差益、暗号資産の利益 | 総収入金額 − 必要経費 |
この3区分は「所得の種類」の分け方です。これとは別に、税金の計算方法として「総合課税」「申告分離課税」「源泉分離課税」という「課税方式」があります。たとえば、FXの利益は「その他の雑所得」でありながら、課税方式は申告分離課税です。
副業・フリマ・ポイ活はすべて雑所得になる?
副業・フリマ・ポイ活の収入が、すべて雑所得になるわけではありません。収入を得た契約の形や、取引の目的によって所得区分が変わります。
- 副業の場合、アルバイトのように雇用契約に基づく収入は給与所得です。業務委託で受け取る原稿料やデザイン料は雑所得になり、規模や継続性によっては事業所得に該当します。
フリマアプリで家具や衣類などの不用品を売った場合は、原則として非課税です。これを「生活用動産(日常生活に使う家財)の譲渡」と呼びます。ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画骨董などは、譲渡所得として課税対象です。また、転売目的で仕入れた商品を継続して売る場合は、雑所得や事業所得になります。
ポイントは、取得した状況によって扱いが3つに分かれます。
| ポイントの種類 | 税務上の扱い |
|---|---|
| 買い物の際に付与され、値引きとして使うポイント | 原則として課税対象外 |
| キャンペーンや懸賞で得たポイント | 一時所得 |
| 業務として継続的に獲得するポイント | 雑所得(または事業所得) |
出典:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
出典:国税庁「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」
雑所得と一時所得・事業所得の違い
雑所得かどうかは、一時所得・事業所得と比べると判断しやすくなります。3つとも給与以外の収入に関わるため、混同されやすい区分です。
所得区分は、収入の性質や契約内容、活動の実態から判断します。事業として営んでいても、不動産の貸付けによる収入は原則として不動産所得になるなど、事業規模だけでは区分を決められません。主な確認ポイントは次のとおりです。
| 収入の性質・活動の実態 | 主な所得区分 |
|---|---|
| 雇用契約に基づく給料や賃金 | 給与所得 |
| 預貯金の利息、株式の配当、不動産の賃料など | 利子所得・配当所得・不動産所得など |
| 副業の原稿料や業務委託報酬など | 活動の実態に応じて事業所得または雑所得 |
| 営利目的の継続的な行為によらず、労務や資産譲渡の対価でもない一時的な収入 | 一時所得 |
| 他の9種類の所得のいずれにも該当しない収入から生じる所得 | 雑所得 |
なお、生活に通常必要な家財の売却など、非課税になる収入もあります。
一時所得との違いは収入の性質で判断
一時所得と雑所得は、「継続性」と「対価性」の2つの軸で見分けます。一時所得は、営利を目的とする継続的な行為から生じたものではありません。労務や資産譲渡の対価としての性質も持たない、一時的な所得に限られます。
判定に迷いやすい収入の例は次のとおりです。
| 収入 | 原則の区分 | 補足 |
|---|---|---|
| 懸賞・クイズの賞金 | 一時所得 | 偶発的な収入 |
| ふるさと納税の返礼品 | 一時所得 | 返礼品の価額が収入 |
| 競馬の払戻金 | 一時所得 | 大量・継続的な購入は雑所得とされた判例あり |
| 生命保険の一時金(満期) | 一時所得 | 保険料負担者=受取人の場合 |
競馬の払戻金は通常は一時所得です。ただし、ソフトを使った網羅的な馬券購入を継続した事案では、最高裁(平成27年3月10日判決)が雑所得と判断しました。
- 一時所得には最大50万円の特別控除があり、さらに課税対象は2分の1になります。たとえば懸賞金80万円を受け取った場合、総所得に算入するのは「(80万円−50万円)×1/2=15万円」です。同じ80万円が雑所得なら、必要経費がなければ80万円全額が課税対象になります。
一時所得にかかる税金については、こちらの記事でも解説しています。あわせてご覧ください。
事業所得との違いは活動の実態で判断
副業が事業所得か雑所得かは、収入額だけでは決まりません。社会通念上「事業」といえるかを、規模・継続性・営利性・帳簿書類の保存状況などから総合的に判断します。
国税庁は令和4年10月の通達改正で、事業所得と業務に係る雑所得を区分する際の考え方を示しました。基本となるのは、その活動が社会通念上「事業」といえるかどうかです。帳簿書類の記録・保存も重要な判断材料ですが、保存していれば必ず事業所得になるわけではありません。
- たとえば、収入が僅少な場合や、例年赤字で赤字を解消する取組を行っていない場合は、帳簿書類を保存していても個別の判断が必要です。一方、帳簿書類の保存がない場合は原則として業務に係る雑所得となりますが、収入が300万円を超え、事業所得と認められる事実がある場合は例外とされています。
なお、「300万円」という数字は書類保存義務の基準としても使われるため、混同しないよう注意が必要です。前々年の業務に係る雑所得の収入が300万円を超える人には、請求書や領収書などの保存義務が生じます。1,000万円を超える場合は、確定申告書に収支内訳書を添付しなければなりません。
事業所得と雑所得の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 事業所得 | 雑所得(業務) |
|---|---|---|
| 赤字を給与などと相殺(損益通算) | できる | できない |
| 青色申告特別控除 | 使える | 使えない |
| 純損失の繰越控除(青色申告) | 3年間 | なし |
青色申告特別控除は令和8年分で最大65万円です。令和9年分以後は、要件を満たすと最大75万円に引き上げられ、現行の55万円控除はe-Taxでの申告を要件に65万円へ移行します。
出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)」
個人年金保険は受取方法と保険料負担者で変わる
個人年金保険は、受取方法だけでなく、保険料を負担した人と受取人の関係によっても課税が変わります。保険料負担者と受取人が同じ場合、年金形式で受け取ると原則として雑所得、一時金で受け取ると原則として一時所得になります。
保険料負担者と受取人が異なる場合は、年金を受け取る権利が贈与税や相続税の対象となることがあります。その後に受け取る年金は、非課税部分と課税部分に分けて雑所得を計算するため、所得税がかかる場合もあります。
| 保険料負担者と受取人 | 受取方法 | 主な課税関係 |
|---|---|---|
| 同じ | 年金形式 | 原則として雑所得(その他) |
| 同じ | 一時金 | 原則として一時所得 |
| 異なる | 年金形式 | 年金受給権が贈与税・相続税の対象となる場合があり、その後の年金にも所得税の課税部分が生じることがある |
| 異なる | 一時金 | 契約内容や受取経緯に応じて贈与税・相続税などを判断 |
保険料負担者と受取人が同じ場合、年金形式で受け取る雑所得は「その年の年金額 − その年金に対応する払込保険料」で計算します。受取方法を選べる商品では、受取前に税負担を確認しておきましょう。
個人年金保険の特徴やメリットについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
出典:国税庁「No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金」
資産運用で生じる雑所得と課税方式の一覧
資産運用の利益には、雑所得になるものと、譲渡所得や配当所得になるものが混在しています。商品によって課税方式が異なり、税引き後の手取りに差が出るため、投資家にとって重要な論点です。
| 商品 | 利益の種類 | 所得区分 | 課税方式 | 特定口座で申告不要にできるか |
|---|---|---|---|---|
| 外貨預金 | 利息 | 利子所得 | 源泉分離課税(20.315%) | 源泉徴収で完結 |
| 外貨預金 | 為替差益 | 雑所得 | 総合課税 | できない |
| FX・CFD(国内登録業者) | 売買益・スワップ | 雑所得 | 申告分離課税(20.315%) | できない |
| 暗号資産 | 売却益・交換益など | 雑所得 | 総合課税(令和8年分) | できない |
| ソーシャルレンディング | 分配金 | 雑所得 | 総合課税 | できない |
| 上場株式 | 売却益 | 譲渡所得 | 申告分離課税(20.315%) | できる |
| 上場株式・株式投資信託 | 配当・普通分配金 | 配当所得 | 源泉徴収のみで完結も可 | できる |
| 外貨建てMMF | 売却益(為替差益を含む) | 譲渡所得 | 申告分離課税(20.315%) | できる |
出典:国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」
出典:国税庁「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」
出典:国税庁「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」
出典:国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
外貨預金は利息と為替差益で所得区分が異なる
外貨預金は、利息と為替差益で所得区分が分かれます。利息は利子所得として源泉徴収で課税が完結しますが、為替差益は雑所得として総合課税の対象になります。
為替差益とは、預け入れ時より円安になったときに生じる差額です。たとえば1ドル=140円で1万ドルを預け、1ドル=155円で円に戻すと、15万円が為替差益となります。
同じ外国通貨のまま別の外貨預金へ預け替える場合、為替差損益は認識しない扱いです。一方で、外貨を他の資産の購入などに充てた場合は課税関係が生じ得ます。取引ごとの判断が必要です。
- また、為替予約付きで満期の円換算額が確定している外貨預金は「金融類似商品」と呼ばれます。この場合は、為替差益も含めて20.315%の源泉分離課税となり、確定申告の対象外です。
なお、外貨預金についてはこちらの記事でも解説しています。
出典:国税庁「外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い」
FX・CFD・先物は対象取引なら申告分離課税
FX・CFD・先物取引の利益は、一定の要件を満たす取引であれば20.315%の申告分離課税になります。他の所得と切り離して一律の税率で計算するため、給与が高い人ほど総合課税より有利になりやすい仕組みです。
申告分離課税の対象となるのは、主に次の取引です。
申告分離課税の対象となる取引
- 国内の金融商品取引業者(金融庁に登録された業者)を相手とするFX・CFDなどの店頭デリバティブ取引
- 取引所で行う先物・オプション取引
一方、金融庁に登録していない海外業者との取引は、この特例の対象になりません。総合課税の雑所得として扱われます。
出典:国税庁「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」
出典:国税庁「No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例」
暗号資産は売却・交換・決済時の利益に注意
暗号資産(仮想通貨)の利益は、令和8年分では総合課税の雑所得です。円に換金した時だけでなく、暗号資産同士の交換や買い物での決済でも利益が確定し、課税されます。
課税対象となる主な場面は次のとおりです。
| 取引 | 所得の計算 |
|---|---|
| 暗号資産を売却して円に換える | 売却額 − 取得価額 |
| 暗号資産で別の暗号資産を購入 | 交換時の時価 − 取得価額 |
| 暗号資産で商品を購入 | 支払時の時価 − 取得価額 |
| マイニング・ステーキングで取得 | 取得時の時価が収入 |
取得価額は、移動平均法または総平均法で計算します。移動平均法は購入のたびに平均単価を計算し直す方法で、総平均法は1年間の購入総額から平均単価を出す方法です。
令和8年分の暗号資産の損失は、給与などの他の所得と相殺できません。翌年以降への繰越控除も認められていないため、この点にも注意が必要です。
- 2026年3月31日に、特定暗号資産の譲渡等に対する申告分離課税の骨格を定めた改正所得税法が公布されました。前提となる金融商品取引法・資金決済法の改正法も、2026年7月15日に成立しています。
適用開始は「改正金商法の施行日の属する年の翌年1月1日以後の譲渡等」です。2027年中に施行されれば2028年1月1日から適用される見込みです。
暗号資産に対する税金に関しては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)」
ソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディングは契約形態を確認
ソーシャルレンディングの分配金は、原則として雑所得(総合課税)です。多くのサービスは「匿名組合」という契約形態をとり、出資者が受け取る分配金は雑所得に区分されます。
- 分配金からは所得税と復興特別所得税(20.42%)が源泉徴収されますが、住民税は徴収されていません。そのため、源泉徴収済みでも確定申告や住民税の申告が必要になる場合があります。所得が少ない人は、確定申告で源泉徴収税額の一部が還付されることもあります。
不動産クラウドファンディングは、契約形態や収益の内容によって所得区分が異なります。個人が通常の資産運用として出資する匿名組合型の利益分配は、原則として雑所得です。
一方、任意組合型では、組合が行う取引の性質に応じて所得区分を判断します。不動産の賃貸による収益は原則として不動産所得ですが、売却による収益は譲渡所得や事業所得などに該当する場合があります。申込前に契約書や税務に関する案内を確認し、判断が難しい場合は税理士に相談してください。
ソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディングの仕組みについて知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
出典:国税庁「商法上の匿名組合契約に係る課税の取扱い(所得税基本通達の改正について)」
株式・投資信託・外貨建てMMFとの違い
個人が通常の資産運用で得る株式や投資信託の売却益は、原則として譲渡所得です。株式の配当や株式投資信託の普通分配金は配当所得ですが、外貨建てMMFなどの公社債投資信託の分配金は利子所得に区分されます。
また、株式投資信託の分配金のうち、元本の払い戻しに当たる元本払戻金(特別分配金)は非課税です。分配金という名称だけで判断せず、商品の種類と支払内容を確認しましょう。
株式などは「特定口座(源泉徴収あり)」を選べば、確定申告を不要にできます。証券会社が税金を計算し、源泉徴収で納税まで済ませてくれる仕組みです。雑所得となるFXや暗号資産には、この仕組みがありません。
- 外貨建てMMFは、2016年以降「特定公社債等」として扱われています。為替差益を含む売却益は譲渡所得(申告分離課税20.315%)となり、特定口座で管理できます。同じ為替差益でも、外貨預金(総合課税)とは課税方式が異なる点を覚えておきましょう。
投資収益に対する課税ルールは、こちらの記事でもまとめています。あわせて参考にしてみてください。
出典:国税庁「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して外貨建MMFに投資した場合の為替差損益の取扱い」
出典:国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
出典:国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」
雑所得の金額はどう計算する?
雑所得の金額は、入金額そのものではありません。「収入 − 必要経費」または「収入 − 公的年金等控除額」で計算した後の金額です。税率の判断や申告要否の判定には、この「所得」の金額を使います。
業務・その他の雑所得は収入から必要経費を引く
業務・その他の雑所得は、「総収入金額 − 必要経費」で計算します。収入と所得を混同すると、申告が必要かどうかを誤って判断しかねません。
たとえば、副業で原稿料50万円を得て、パソコンの購入費や資料代などの経費が20万円かかったとします。この場合の雑所得は30万円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 総収入金額(原稿料) | 50万円 |
| 必要経費 | 20万円 |
| 雑所得の金額 | 30万円 |
「収入50万円」と「所得50万円」では、税額も申告要否も変わります。
必要経費になる支出と家事按分の考え方
必要経費に計上できるのは、その収入を得るために直接必要な支出です。支出の名称で決まるのではなく、収入との関連性があるかどうかが判断の基準になります。
副業で経費になり得る支出の例は次のとおりです。
| 支出 | 経費になる条件の例 |
|---|---|
| 通信費・インターネット料金 | 副業で使う部分 |
| 書籍・セミナー代 | 副業の業務内容に関係するもの |
| パソコン・ソフトウェア | 副業で使用するもの(10万円以上は原則減価償却) |
| 交通費 | 取材や打合せなど業務のための移動 |
| 暗号資産の取引手数料 | 取引に直接かかった手数料 |
プライベートと共用する支出は、「家事按分」で業務に使った割合だけを経費にします。たとえば通信費の6割を副業で使うなら、その6割部分が経費です。按分の割合は、使用時間や面積など合理的な基準で説明できるようにしておきましょう。
領収書が出ない支出は、出金伝票に日付・支払先・金額・内容を記録して保存します。
公的年金等は公的年金等控除を使う
公的年金等の雑所得は、「収入金額 − 公的年金等控除額」で計算します。必要経費ではなく、年齢と収入に応じて決まる控除額を差し引く仕組みです。
65歳以上で、公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合、控除額は次のとおりです。
| 公的年金等の収入金額 | 公的年金等控除額 |
|---|---|
| 330万円以下 | 110万円 |
| 330万円超 410万円以下 | 収入 × 25% + 27万5千円 |
| 410万円超 770万円以下 | 収入 × 15% + 68万5千円 |
| 770万円超 1,000万円以下 | 収入 × 5% + 145万5千円 |
| 1,000万円超 | 195万5千円 |
65歳未満の場合、最低控除額は60万円です。個人年金保険は公的年金等に含まれず、この控除は使えません。
なお、年金に対する税金や最終的な手取り額については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
雑所得の税率と税金の計算方法
雑所得にかかる税金は、課税方式によって計算方法が変わります。原則は「総合課税」ですが、一定のFX・先物取引は「申告分離課税」で計算するためです。
| 課税方式 | 対象 | 税率 |
|---|---|---|
| 総合課税 | 副業、年金、為替差益、暗号資産など | 所得税5〜45% + 住民税10% |
| 申告分離課税 | 一定のFX・CFD・先物・オプション | 一律20.315% |
| 源泉分離課税 | 為替予約付き外貨預金など一部の金融類似商品 | 一律20.315%(申告不要) |
総合課税は他の所得と合算して税率が決まる
総合課税の雑所得は、給与所得などと合算したうえで税率が決まります。所得税は、課税所得が大きいほど高い税率が適用される「超過累進税率」を採用しているためです。
課税所得とは、所得の合計から基礎控除や社会保険料控除などの「所得控除」を差し引いた金額のことです。所得税の速算表を以下に示します。
| 課税所得 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円〜194万9,000円 | 5% | 0円 |
| 195万円〜329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
| 900万円〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万円〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
所得税額は「課税所得 × 税率 − 控除額」で求めます。高い税率が適用されるのは、区分の境目を超えた部分だけです。課税所得が195万円を1円超えても、所得全体に10%がかかるわけではありません。
- 所得税には、所得税額の2.1%の復興特別所得税が加算されます。令和9年以後は防衛特別所得税(1%)が創設され、復興特別所得税は1.1%に引き下げられるため、合計税率2.1%は変わりません。
住民税の所得割は、一律10%です。最高税率は所得税45% × 1.021と住民税10%を合わせた約55.945%になります。
出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)」
一定のFX・先物取引等は20.315%の申告分離課税
申告分離課税の対象となるFX・先物取引等の利益は、他の所得と合算せずに一律20.315%で課税されます。内訳は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です。
給与が高く、限界税率が20%を超える人にとっては、総合課税より税負担が軽くなります。限界税率とは、所得が1円増えたときにその部分に適用される税率のことです。一方、課税所得が少ない人は、総合課税の方が税負担が軽くなる場合もあります。
出典:国税庁「No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例」
雑所得が増えたときの税負担を試算
ここでは、税額の決まり方を3つのケースで確認します。いずれも令和8年分を前提とし、住民税の細かな調整は省いた概算です。
ケース1:副業収入から所得と税額を求める
前提は、給与収入500万円、社会保険料75万円、その他の所得控除なしの会社員です。副業の収入が80万円、経費が30万円だった場合を考えます。
| 項目 | 副業なし | 副業あり |
|---|---|---|
| 給与所得(500万円 − 給与所得控除144万円) | 356万円 | 356万円 |
| 雑所得(80万円 − 30万円) | ― | 50万円 |
| 社会保険料控除 | 75万円 | 75万円 |
| 基礎控除 | 104万円 | 104万円 |
| 課税所得 | 177万円 | 227万円 |
| 所得税(復興特別所得税込み) | 約9.0万円 | 約13.2万円 |
令和8年分の基礎控除は、合計所得金額489万円以下なら104万円です。副業による所得税の増加は約4.2万円、住民税の増加は約5万円となります。合計すると約9.2万円で、雑所得50万円に対する実質的な負担率は約18%です。
ケース2:同じ所得額でも課税所得によって税額が変わる
暗号資産や為替差益などで総合課税の雑所得が100万円増えた場合を比べます。所得控除の額は変わらないものと仮定します。
| 元の課税所得 | 所得税の増加(復興特別所得税込み) | 住民税の増加 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 150万円 | 約7.9万円 | 10万円 | 約17.9万円 |
| 1,000万円 | 約33.7万円 | 10万円 | 約43.7万円 |
同じ100万円の利益でも、税負担には約2.4倍の差が生じる計算です。実際には、合計所得金額が増えると基礎控除が減り、負担がさらに増える場合もあります。
ケース3:総合課税と申告分離課税を比較する
申告分離課税の対象となるFXで100万円の所得が生じ、その全額が課税対象となる場合、税額は約20.3万円です。以下の比較では、所得控除の未使用分や繰越損失、税額控除などによる影響を考慮していません。
また、総合課税と申告分離課税は、納税者が有利な方を自由に選べるものではありません。取引の種類や要件によって、適用される課税方式が決まります。
| 利益100万円の課税方式 | 課税所得150万円の人 | 課税所得1,000万円の人 |
|---|---|---|
| 総合課税(暗号資産など) | 約17.9万円 | 約43.7万円 |
| 申告分離課税(FXなど) | 約20.3万円 | 約20.3万円 |
課税所得が低い人は、総合課税の方が負担が軽い場合があります。一方、高所得者ほど申告分離課税の有利さが大きくなります。暗号資産の分離課税化も、所得水準によって恩恵の大きさが変わる改正といえるでしょう。
雑所得はいくらから確定申告が必要?
雑所得の確定申告が必要になる基準は、「いくら」と一律には決まりません。給与を受け取っているか、年金を受け取っているかなど、収入の状況によって判断基準が異なるためです。
| 収入の状況 | 確定申告が必要になる主な目安 |
|---|---|
| 会社員(年末調整あり) | 給与・退職所得以外の所得の合計が20万円超 |
| 年金受給者 | 申告不要制度の条件を満たさない場合 |
| 給与・年金のない人 | 所得の合計が所得控除の合計を超え、税額が生じる場合 |
会社員は給与以外の所得20万円が判断の目安
会社員は、給与所得と退職所得以外の所得の合計が年20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。いわゆる「20万円ルール」ですが、次の条件をすべて満たす人が対象になります。
確定申告が必要な人の条件
- 給与の収入金額が2,000万円以下
- 給与を1か所から受け取り、その全部が源泉徴収されている(年末調整を受けている)
- 副業所得が20万円を超える
20万円は収入ではなく、経費を差し引いた後の「所得」で判断します。複数の副収入がある場合は、合計で判定しなければなりません。
たとえば、外貨預金の為替差益が15万円、副業の雑所得が10万円なら、合計25万円で申告が必要です。外貨預金を円に戻して為替差益が30万円出た場合も、それだけで20万円を超えます。
確定申告の要否については、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
年金受給者は400万円・20万円などの条件を確認
年金受給者には、「確定申告不要制度」があります。次の条件をすべて満たす場合、所得税の確定申告は不要です。
確定申告が不要な年金受給者
- 公的年金等の収入金額の合計が400万円以下
- その公的年金等の全部が源泉徴収の対象
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
400万円は「所得」ではなく「収入」で判定します。一方、個人年金保険や投資の利益などの所得が20万円を超えると、制度の対象外となります。
給与・公的年金等がない人は所得と控除から判断
給与や公的年金等がない人は、所得の合計が所得控除の合計を超えて所得税額が生じる場合に申告が必要です。学生や専業主婦(夫)という属性ではなく、所得の金額で判断します。
- 令和8年分の所得税では、居住者の合計所得金額が489万円以下の場合、基礎控除は104万円です。そのため、総合課税の雑所得のみで、その金額が104万円以下であれば、基礎控除を差し引くことで所得税はかかりません。この改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用されます。
家族の扶養に入っている人は、世帯単位での影響にも注意が必要です。令和8年分から、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件は62万円に引き上げられました。配偶者控除や扶養控除などの判定に使う合計所得金額も、それぞれ4万円引き上げられています。雑所得が増えてこの基準を超えると、扶養者の税負担が増える場合があります。
20万円以下でも住民税申告が必要になる場合がある
20万円ルールは所得税だけの特例です。住民税には同じ仕組みがないため、所得税の申告が不要でも、市区町村へ住民税の申告をする必要があります。
住民税の申告は、原則として翌年3月15日までに住所地の市区町村へ行います。確定申告をした場合は、その情報が市区町村に送られるため、別途の住民税申告は不要です。
なお、住民税の控除額は所得税と同じではありません。個人住民税については、令和8年度税制改正で基礎控除の改正は行われていません。所得税がかからない人でも、住民税がかかる場合があります。
出典:総務省「個人住民税」
出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)」
医療費控除などで申告する場合は少額の所得も含める
医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などで確定申告をするときは、20万円以下の雑所得も申告に含めます。20万円ルールは「申告しなくてよい」特例であり、申告する場合は全所得を記載するのが原則だからです。
たとえば、医療費控除で還付を受けたい会社員に雑所得が15万円あると、その15万円も合算します。還付額が想定より少なくなったり、追加で納税が必要になったりする場合があります。申告前に、還付と追加納税のどちらになるか試算しておくと安心です。
医療費控除やふるさと納税の仕組みについては、こちらの記事をご覧ください。
雑所得の確定申告の進め方と必要書類
雑所得の確定申告は、「資料集め→集計→申告書の作成→提出・納付」の4段階で進めます。所得税の確定申告期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。
取引履歴・支払調書・経費の資料を集める
最初に、収入と経費を証明する資料を収入源ごとに集めます。
| 収入源 | 主な準備資料 |
|---|---|
| 副業 | 報酬の入金記録、支払調書(発行される場合)、経費の領収書 |
| 公的年金 | 公的年金等の源泉徴収票 |
| 個人年金保険 | 保険会社から届く支払調書・支払通知 |
| 外貨預金 | 取引明細(預入・払出時のレート) |
| FX・先物 | 年間損益報告書 |
| 暗号資産 | 取引所の年間取引報告書、全取引履歴 |
| ソーシャルレンディング | 分配金の明細、源泉徴収の記録 |
給与所得がある人は、給与の源泉徴収票も用意してください。あわせて、適用を受ける所得控除などの証明書類をそろえます。マイナンバーカードを使ってe-Taxで申告する場合は、カードと必要な暗証番号も準備しておきましょう。
所得と源泉徴収税額を集計する
資料がそろったら、区分ごとに所得と源泉徴収された税額を集計します。入金額だけを合計すると、源泉徴収分や経費が漏れて所得を誤って計算してしまうためです。
- たとえば、原稿料10万円から源泉徴収10.21%が差し引かれると、入金額は89,790円です。この場合、収入金額として計上するのは差し引かれる前の10万円になります。差し引かれた10,210円は、源泉徴収税額として申告書に記入します。
暗号資産は、取引所が複数あると計算が複雑です。国税庁の「暗号資産の計算書」や、損益計算ツールを活用すると効率的です。
出典:国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」
出典:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)」
申告書に入力して提出・納付する
申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。画面の案内に沿って入力すると、税額や必要な付表が自動で計算されます。雑所得は「公的年金等」「業務」「その他」の欄に分けて入力し、FX・先物は専用の計算明細書を使用する仕組みです。
提出は、e-Tax(電子申告)、郵送、税務署への持参のいずれかです。スマートフォンとマイナンバーカードがあれば、自宅からe-Taxで提出できます。納付期限は原則3月15日で、振替納税を選ぶと引落日が4月下旬ごろになります。
申告書第二表には、給与・公的年金等以外の所得に係る住民税について、徴収方法を選ぶ欄があります。副業の雑所得などについて「自分で納付」を選ぶと、その所得に対応する住民税を普通徴収で納める扱いが基本です。
- ただし、所得や控除の状況、自治体の取扱いによっては、希望どおりに分けられない場合があります。また、この選択によって副業が勤務先に知られないことを保証できるわけではありません。取扱いに不明点があれば、住所地の市区町村に確認してください。
申告漏れに気づいた場合の対応
申告漏れに気づいたら、税務署から連絡が来る前に、できるだけ早く申告し直すことが大切です。自主的に申告すると、ペナルティが軽くなるためです。
| 状況 | 手続き | 主なペナルティ |
|---|---|---|
| 期限内に申告しなかった | 期限後申告 | 無申告加算税(原則15%、税額に応じて20%・30%) |
| 申告した税額が少なかった | 修正申告 | 過少申告加算税(原則10%) |
| 納付が遅れた | 納付 | 延滞税 |
税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告した場合、無申告加算税は原則として5%になります。また、所得の隠ぺいや仮装があると、過少申告加算税に代えて原則35%、無申告加算税に代えて原則40%の重加算税が課される場合があります。過去にも無申告や隠ぺい・仮装があった場合などには、さらに加重されることがあります。
延滞税は、原則として法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて課されます。適用される割合は年によって異なり、令和8年中は、納期限までの期間および納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その後が年9.1%です。
期限後申告や修正申告では、延滞税の計算に用いる「法定納期限」と「納期限」が異なる場合があります。また、令和8年分の所得税を翌年以降に納める際は、実際の延滞期間に対応する年の割合を確認してください。
投資で雑所得が生じるときに注意したいこと
投資で雑所得が生じる場合、税率だけでなく「損失の扱い」と「納税資金」まで考える必要があります。利益と損失で相殺できる範囲が限られ、翌年の納税資金が不足するケースも多いためです。
赤字を他の利益と相殺できる範囲は限られる
雑所得の損失は、給与所得など他の所得と相殺(損益通算)できません。損益通算が認められるのは、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の損失に限られます。
課税方式ごとの相殺の可否は次のとおりです。
| 損失の種類 | 総合課税の雑所得と相殺 | 給与などと相殺 | 翌年以降への繰越 |
|---|---|---|---|
| 暗号資産の損失(令和8年分) | できる | できない | できない |
| 外貨預金の為替差損 | できる | できない | できない |
| FX・先物の損失(申告分離) | できない | できない | 3年間できる |
| 上場株式の譲渡損失 | できない | できない | 3年間できる |
総合課税の雑所得同士であれば、同じ年の中で相殺できます。たとえば、暗号資産で30万円の損失、副業で50万円の雑所得があれば、雑所得の合計は20万円です。一方、FXの損失は暗号資産の利益と相殺できません。
損益通算の仕組みについては、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
出典:国税庁「No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」
一定のFX・先物の損失繰越には継続した申告が必要
申告分離課税のFX・先物取引で生じた損失は、翌年以後3年間繰り越せます。翌年以降のFX・先物の利益と相殺でき、税負担を減らせる仕組みです。
- この繰越控除を受けるには、損失が出た年に確定申告をしなければなりません。その後も、取引がない年を含めて毎年連続して申告する必要があります。1年でも申告が途切れると、繰り越した損失は使えなくなります。
損失の年は「税金がかからないから申告しない」と考えがちですが、翌年以降の節税機会を失う点に注意してください。
出典:国税庁「No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」
利益確定後は納税資金を確保する
利益を確定したら、その年のうちに納税資金を確保しておくことが重要です。確定申告で追加の納税が必要になる場合、所得税等は原則として翌年3月15日までに納めます。一方、住民税は原則として翌年6月以降に、給与天引きや自治体からの通知に基づいて納めます。
- 収入によっては所得税等が源泉徴収されている場合もありますが、それだけで納税が完結するとは限りません。利益をすべて再投資せず、所得税と住民税の追加負担を見込んで資金を取り分けておきましょう。
特に暗号資産で注意したいのが、暗号資産同士の交換です。円を受け取らないまま利益が確定するため、手元資金がないのに税金だけが発生します。翌年に相場が下落すると、保有資産を売っても納税額に届かない事態もあり得ます。
利益確定のたびに概算の税額を計算し、別口座に取り分けておくと安心です。
税引き後の収益とリスクを合わせて比較する
投資商品は、利益の大きさだけでなく「税引き後のリターン」とリスクを合わせて比較することが大切です。同じ利益でも課税方式で手取りが変わる点は、前章の試算で確認したとおりです。
たとえば、為替の値動きを狙うなら、外貨預金(為替差益は総合課税)と外貨建てMMF(申告分離課税)で税引き後の結果が変わります。高所得者ほど、この差が大きくなるでしょう。
さらに、非課税制度を使える投資との比較も欠かせません。
| 制度・商品 | 運用益の課税 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| NISA | 非課税 | 株式・投資信託が対象で、暗号資産・FXは対象外 |
| iDeCo | 運用中は非課税 | 掛金が全額所得控除になるが、原則60歳まで引き出せない |
| 暗号資産・FXなど | 雑所得として課税 | 課税方式によって実効税率が変わる |
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象です。受取時に年金形式を選ぶと、公的年金等の雑所得として公的年金等控除が使えます。税負担を抑えながら資産を増やすには、課税される投資と非課税制度の役割分担を考えることが重要です。
雑所得の判断・申告・資産運用は誰に相談する?
雑所得の悩みは、内容によって相談先が異なります。申告の要否や手続きは税務署、個別の税務判断や申告代行は税理士、運用方針はFP・IFAが適任です。
相談内容別の相談先比較
| 相談先 | 得意な相談内容 | 費用 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 税務署(電話相談センター) | 申告の要否、申告書の書き方 | 無料 | 節税や運用のアドバイスは受けられない |
| 市区町村 | 住民税の申告・納付 | 無料 | 所得税の相談は対象外 |
| 税理士 | 所得区分の判断、損益計算、申告代行、節税 | 有料(事務所ごとに異なる) | 見積もりの確認が必要 |
| FP・IFA | 資産配分、商品選び、家計全体の設計 | 無料〜有料 | 個別の税務判断はできない |
税理士報酬は自由化されており、事務所や依頼内容で金額が大きく変わります。複数の事務所から見積もりを取ると比較しやすいでしょう。
FP・IFAのうち税理士資格のない人は、個別具体的な税務相談や申告書作成を行えません。これは税理士法により、税理士の独占業務とされているためです。無償であっても同様です。税金の一般的な仕組みを踏まえた運用設計はFP・IFA、個別の税務判断は税理士という役割分担が基本になります。
こんなときはこの相談先
実際の悩みに当てはめると、相談先は次のように整理できます。
| 悩み | 適した相談先 |
|---|---|
| 副業の所得が20万円を超えたか判断したい | 税務署 |
| 住民税の申告方法がわからない | 市区町村 |
| 暗号資産を複数の取引所で売買し、損益計算が複雑 | 税理士 |
| 過去の申告漏れを修正したい | 税理士 |
| 税負担を踏まえて、保有商品の配分や今後の運用方針を見直したい | FP・IFA |
「外貨預金とFXのどちらで為替リスクを取るべきか」「NISAとiDeCoをどう組み合わせるか」などは、運用設計の相談です。税引き後のリターンを踏まえて資産全体を見直したい場合は、IFAへの無料相談を活用するのも一つの方法でしょう。税務判断が必要な部分は、税理士と連携して進めると安心です。
この記事のまとめ
この記事では、雑所得の定義や該当する収入、一時所得・事業所得との違い、税率と税額の計算方法、確定申告が必要になる基準について解説しました。雑所得は収入の種類や課税方式によって扱いが異なり、所得税の申告が不要でも住民税の申告が必要になる場合があります。まずは自分の収入と必要経費を整理して所得額を確認し、申告の要否を判断しましょう。判断や計算が難しい場合は、税務署や税理士など適切な相談先を活用することも有効です。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
関連する専門用語
雑所得
雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法において定められた10種類の所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得を指します。具体的には、公的年金や副業による収入、仮想通貨の売却益、FXの利益、非営業用貸金の利子などが該当します。 経費を差し引いた金額が課税対象となり、総合課税の対象となります。また、雑所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。
必要経費
必要経費とは、収入を得るために直接かかった費用のことを指し、確定申告などで所得から差し引くことができる支出です。たとえば、フリーランスや自営業者が事業を行う際に使った交通費、通信費、仕入れ代、人件費、事務所の家賃などが該当します。 これらは税務上、所得を正しく計算するために必要な項目とされており、収入から必要経費を差し引いた残りが「課税所得」となります。必要経費として認められるには、「収入を得るために必要だった」という合理的な理由があり、領収書や記録で裏付けられることが求められます。 正しく計上することで税負担を適正化でき、節税にもつながるため、特に個人事業主や副業をしている人にとっては重要な考え方です。
家事按分
家事按分とは、個人事業主やフリーランスが事業と私生活の両方で使っている支出を、事業に使った割合と私的な利用の割合に分けることを指します。たとえば、自宅の一部を仕事場として使っている場合、家賃や光熱費、通信費などはすべてを経費にできませんが、仕事で使った分だけを合理的に按分して経費として計上することができます。 このように、家事按分は事業に関係する支出を正しく経費化するための重要な考え方です。按分割合は、使用面積や使用時間、利用頻度など、客観的な基準に基づいて決める必要があります。また、税務署に説明できるように記録を残しておくことも大切です。正しく家事按分を行うことで、節税につながるだけでなく、経費の信頼性を高めることにもつながります。
一時所得
一時所得とは、継続的な収入ではなく、偶発的または一時的に得た所得のことを指す。例えば、懸賞の賞金、生命保険の満期返戻金、競馬の払戻金などが該当する。50万円の特別控除が適用され、課税対象額は控除後の金額の1/2となる。
事業所得
事業所得とは、個人が営む事業から得られる所得のことで、主に農業、漁業、製造業、販売業、サービス業、フリーランスなどの継続的な事業活動によって生じる利益を指します。売上から必要経費を差し引いた残りが事業所得となり、確定申告を通じて所得税の計算に反映されます。事業所得は、給与所得や不動産所得と並ぶ所得区分のひとつで、青色申告や白色申告といった制度を活用することで、税金の計算上有利になる場合があります。 特に青色申告では、複式簿記による記帳や帳簿の保存を条件に、青色申告特別控除や赤字の繰越控除などの優遇が受けられるため、税務上のメリットが大きいといえます。
利子所得
利子所得とは、銀行預金や債券などから得られる利息収入を指す所得区分の一つです。たとえば、定期預金の利息、国債や社債の利払い、公社債投資信託の収益分配金などが該当します。 日本では、国内で得た利子所得には原則として20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかり、金融機関があらかじめ差し引く「源泉分離課税」の方式が採られています。このため、通常は確定申告の必要がなく、利息は「手取り」で口座に入金されます。 一方、海外の銀行預金や外国債券の利息などは、国内で源泉徴収されない場合が多く、原則として「申告分離課税」により確定申告が必要となります。また、外国で課税された場合には、外国税額控除などを通じて二重課税の調整が可能です。 非課税制度としては、以下のような選択肢があります。 NISA(少額投資非課税制度):NISA口座内で保有する対象債券や債券ETF、公社債投資信託から得られる利子や分配金は非課税となります(ただし対象商品は限定されます)。 マル優(少額貯蓄非課税制度):障害者や高齢者等に限定されますが、預貯金の利子を元本350万円まで非課税にできる制度もあります。 なお、利子所得は元本の価格変動リスクが小さく、定期的なキャッシュフローを生む点で安定収入源となりますが、一方で損益通算や損失繰越ができない、インフレに弱いといったデメリットもあります。 利子所得はシンプルな金融収益でありながら、課税方式や制度の選択によって手取り額に大きな差が出る場合もあるため、正確な知識を持つことが資産運用において重要です。







