海外不動産投資でも節税は可能ですか?
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2025/01/20 18:50
男性
30代
海外不動産投資を行った場合、国内と同じように損益通算や減価償却を活用して節税することは可能なのでしょうか。また、その際の注意点についても教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
海外不動産でも建物部分の減価償却を計上すれば、その物件から得る海外不動産所得の課税標準を圧縮できます。たとえば年間家賃収入200万円に維持費等50万円、減価償却費100万円を充てれば、課税対象は50万円にまで下がります。ただし令和3年度税制改正後は、海外不動産所得が赤字になっても国内所得との損益通算も繰越控除もできません。つまり「赤字を作って日本の税負担を減らす」旧来の節税スキームは完全に封じられ、黒字経営が前提となりました。
さらに、現地で課される所得税・固定資産税や登記費用、管理料など日本と異なるコスト構造を理解していないと、想定外の税負担が生じます。外国税額控除で現地税を差し引く場合も、円換算した日本側の課税所得が小さくなれば控除枠も縮小するため、必ずしも全額控除できるとは限りません。決算時や売却時の為替レート次第で円建て損益が大きく振れることも、節税効果を目減りさせる要因です。
したがって、海外不動産で節税効果を確実に享受するには、①黒字化を前提とした収支計画、②現地税制・為替リスク・外国税額控除の三点を網羅した試算、③日本と現地の税務専門家によるダブルチェックが欠かせません。購入前に出口まで想定したキャッシュフローを作成し、法令順守とリスク管理を徹底しましょう。
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経費計上
経費計上は、事業や投資活動に関連する支出を収益から差し引き、課税所得を減らす処理です。減価償却費や修繕費などが含まれ、適切な計上が節税に直結します。
資産価値
資産価値とは、不動産や株式などの資産が持つ市場価格や将来的な収益性を示す評価額を指します。投資の判断基準として重要な要素です。
課税所得
課税所得とは、個人や法人が一定期間内に得た収入から、法律に基づいて認められた各種控除や必要経費を差し引いた後の金額を指します。この金額に対して所得税や法人税などの税率が適用され、実際に納税すべき税額が計算されます。課税所得の計算方法は国や地域によって異なるため、具体的な控除項目や税率もそれに応じて変わります。 課税所得を計算する際には、まず総収入から非課税所得を除外します。その後、必要経費や特定の控除(例えば、標準控除、医療費控除、教育費控除など)を適用して課税対象となる所得を求めます。これにより、公正かつ実情に即した税額を算出し、納税者が収入に見合った税金を支払うことが可能となります。 課税所得の正確な把握と計算は、個人や企業の税務管理において非常に重要です。税法の変更に応じて控除額や計算方法が更新されることが多いため、適切な税務知識を持つこと、または専門の税理士などの助けを借りることが望ましいです。これにより、適切な税金の納付を確実に行い、法的な問題を避けることができます。
減価償却
減価償却とは、固定資産の購入価格をその使用可能年数にわたって経済的に分配する会計処理の方法です。企業が機械や建物、車両などの固定資産を購入した際に、これらの資産は使用することで徐々に価値を失います。減価償却を行うことで、資産のコストをその寿命にわたって費用として計上し、その結果として企業の財務報告が実態に即したものになることを目指します。 減価償却には様々な方法がありますが、一般的なものに直線法、定率法、数字和法があります。直線法はもっとも単純で、資産の耐用年数にわたって均等に費用を計上します。定率法は残存価値を基に毎年一定の割合で費用を計上し、数字和法では耐用年数の初年度に最も多くの費用を計上し、年数が経過するにつれてその額を減らしていきます。 減価償却は税務上も重要で、企業は減価償却費を経費として計上することで課税所得を減少させることができます。このため、適切な減価償却方法の選択と計算は、企業の税負担の管理にも直接関連しています。
損益通算
投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。