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老後に向けて、終身年金を用意する方法を教えてください。

老後に向けて、終身年金を用意する方法を教えてください。

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2025/11/05 09:26

iDeCo個人年金公的年金
iDeCo個人年金公的年金

男性

30代

question

老後の生活費を安定させるために、生涯受け取れる年金(終身年金)を用意する具体的な方法を知りたいです。iDeCoや個人年金保険、企業年金の活用の違い、受取開始時期や積立額の目安、受取方法の選び方まで、初心者向けに教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

老後の生活費を安定させるには、公的年金だけでなく、自分で生涯受け取れる「終身年金」を準備することが大切です。まずは、老後の生活費から公的年金の受取見込み額を引き、毎月の不足額を把握します。例えば生活費28万円に対し年金20万円なら8万円の不足。このうち食費や住居費などの固定費部分は、終身で受け取れる年金で補うのが理想です。

終身年金を用意する主な方法は、iDeCo、企業年金、個人年金保険の3つです。iDeCoは掛金が全額所得控除、運用益も非課税と税制優遇が大きく、60〜75歳で年金・一時金・併用から受け取れます。企業年金には、運用成果で給付額が変わる確定拠出型(DC)と、企業が給付を保証する確定給付型(DB)があり、勤務先の制度を最大限活用するのが基本です。個人年金保険は自分で積み立てる民間保険で、条件を満たすと所得控除を受けられ、終身タイプを選べば生涯受取が可能です。

積立額は不足分と残りの働く年数から逆算し、まず税優遇の大きい企業型DCやiDeCoの枠を使い、足りない分を個人年金保険やNISAで補うのが合理的です。受取開始は退職金や再雇用の有無に合わせて60〜75歳で設計し、長生きに備えるなら65歳以降に遅らせる方法も有効です。固定費は年金方式、住宅修繕など一時的支出は一時金で備えると、老後も安心して暮らせる終身キャッシュフローを確保できます。

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確定拠出年金(DC)

確定拠出年金(DC)は、毎月いくら掛金を拠出するかをあらかじめ決め、その掛金を自分で運用して増やし、将来の受取額が運用成績によって変わる年金制度です。会社が導入する企業型と、自分で加入する個人型(iDeCo)の二つがあり、掛金は所得控除の対象になるため節税効果があります。 運用対象は投資信託や定期預金などから選べ、運用益も非課税で再投資される仕組みです。60歳以降に年金や一時金として受け取れますが、途中で自由に引き出せない点に注意が必要です。老後資金を自ら準備し、運用の成果を自分の年金額として受け取る「自助努力型」の代表的な制度となっています。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

終身年金

終身年金とは、一度受給が始まると、契約者が生きている限り年金が支給され続けるタイプの年金です。主に民間の年金保険や国民年金基金、企業年金などで採用される形式で、老後の長生きリスクに備えるための仕組みとして重視されています。たとえば、90歳まで生きた場合でも、支給は一生涯続くため、資金が尽きる心配が少なくなります。支給額は契約時に決められており、途中で変更されることは通常ありません。 資産運用の視点からは、定期的な安定収入を確保する手段として終身年金は非常に有効であり、特に退職後の生活費の柱として設計する際に重宝されます。ただし、早期に亡くなった場合は支払った保険料よりも受け取る年金総額が少なくなることもあるため、遺族保障とのバランスも検討が必要です。

企業型確定拠出年金 (企業型DC)

「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。

確定給付企業年金 (DB)

確定給付型企業年金(DB)とは、企業が従業員の退職後に受け取る年金額を保証する企業年金制度です。あらかじめ決められた給付額が支払われるため、従業員にとっては将来の見通しが立てやすいのが特徴です。DBには規約型と基金型の2種類があります。規約型は、企業が生命保険会社や信託銀行などの受託機関と契約し、受託機関が年金資産の管理や給付を行う仕組みです。基金型は、企業が企業年金基金を設立し、その基金が資産を運用し、従業員に年金を給付する仕組みです。確定拠出年金(DC)との大きな違いは、DBでは企業が運用リスクを負担する点であり、運用成績にかかわらず従業員は決まった額の年金を受け取ることができます。一方、DCでは従業員自身が運用を行い、将来受け取る年金額は運用成績によって変動します。DBのメリットとして、従業員は退職後の給付額が確定しているため安心感があることが挙げられます。また、企業にとっては従業員の定着率向上につながる点も利点となります。しかし、企業側には年金資産の運用成績が悪化した場合に追加の負担が発生するリスクがあるため、財務的な影響を考慮する必要があります。

個人年金保険

個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。

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