会社員をしながら不動産収入を得ています。年末調整で、収入の申告は必要ですか?
会社員をしながら不動産収入を得ています。年末調整で、収入の申告は必要ですか?
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2025/12/01 17:02
男性
60代
会社員として給与を受け取りつつ賃貸収入があります。年末調整で不動産収入を申告すべきか、それとも確定申告で合算すればよいのか、教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
不動産収入は会社の年末調整では扱われません。年末調整はあくまで給与所得だけを対象とした仕組みであり、賃貸収入などの不動産所得がある会社員は、翌年の確定申告で給与と不動産所得を合算して申告する必要があります。
例外として、年末調整済みの給与が1か所のみで、給与以外の所得が合計20万円以下であれば、所得税の確定申告を省略できる特例があります。ただし、この場合でも住民税の申告は原則必要です。また、医療費控除やふるさと納税の控除を受けたい人は、20万円以下でも確定申告をしたほうが有利になるケースがあります。
不動産所得が20万円を超える場合、赤字を給与と相殺したい場合、青色申告の特典を利用したい場合は確定申告が必須です。青色申告では最大65万円の特別控除や損失繰越などのメリットがありますが、帳簿付けや期限内の届出が求められます。
不動産所得の計算では、家賃や共益費などの収入から、固定資産税・修繕費・管理委託料・減価償却費・火災保険料・建物部分の借入利息などを必要経費として差し引きます。土地部分の利息は経費にならない点には注意が必要です。自宅兼用物件の光熱費や通信費は、業務使用分を合理的に按分して計上します。
確定申告の期間は原則2月16日〜3月15日で、e-Taxを使えば自宅から申告できます。還付申告は翌年1月から可能です。20万円以下の特例で所得税申告を省略する場合でも、住民税の申告を忘れると課税誤りの原因になるため注意が必要です。
要するに、不動産収入がある会社員は年末調整では完結せず、原則として確定申告が必要です。特例はあるものの、控除活用や税務の正確性を考えると、確定申告を行うほうが安心で有利なことが多いといえます。
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年末調整
年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税の額を、年末に雇用主が計算し直して精算する手続きのことです。通常、毎月の給与からあらかじめ見込みで所得税が源泉徴収されていますが、年末に実際の収入や各種控除(配偶者控除、扶養控除、保険料控除など)を反映させて正確な税額を算出し、過不足を調整します。 税金を払いすぎていた場合には還付され、足りなかった場合は追加で徴収されることがあります。年末調整によって、多くの給与所得者は確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっており、手間の軽減と課税の公平性を両立させる重要な制度です。ただし、自営業者や副業収入がある人、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人などは、年末調整だけでは対応できず、別途確定申告が必要になります。
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不動産所得とは、アパートやマンション、駐車場、土地などの不動産を人に貸すことで得られる収入のことをいいます。たとえば、持っているマンションの一室を他の人に貸して家賃を受け取ると、その家賃収入が不動産所得になります。ただし、収入から固定資産税や修繕費、管理費などの必要経費を差し引いた後の利益部分が実際の「所得」として計算されます。この不動産所得は、確定申告の際に他の所得と合わせて税金の対象になりますので、正しく計算して申告することが大切です。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
20万円ルール
20万円ルールとは、給与所得者が副業や投資などで得た所得が年間で20万円以下の場合には、確定申告をしなくてもよいとされる税務上の取り扱いのことを指します。 これは、会社員などが本業の給与所得以外に小さな副収入を得るケースが増えていることを踏まえ、少額の所得について申告義務を免除する仕組みです。ただし、住民税の申告は必要になる場合があり、また医療費控除など他の理由で確定申告を行う場合には、この副収入も合わせて申告しなければなりません。投資初心者にとっては、「副業や投資の利益が少額なら確定申告が不要になる特例」と理解するとわかりやすいでしょう。
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青色申告は、個人事業主や不動産所得者、小規模事業者などが利用できる税務申告制度の一つで、一定の要件を満たすことで税務上のさまざまな特典を受けられる仕組みです。 具体的には、正確な帳簿を作成し、確定申告書を青色申告として提出することで、最大65万円の控除(複式簿記の場合)や、赤字を最長3年間繰り越して翌年以降の所得と相殺できる制度などが利用可能です。また、家族への給与を必要経費として計上できる「青色事業専従者給与」も特徴の一つです。 青色申告を始めるには、税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。正確な記帳が求められるため、帳簿管理が重要ですが、節税効果が高く、多くの事業主に活用されています。
必要経費
必要経費とは、収入を得るために直接かかった費用のことを指し、確定申告などで所得から差し引くことができる支出です。たとえば、フリーランスや自営業者が事業を行う際に使った交通費、通信費、仕入れ代、人件費、事務所の家賃などが該当します。 これらは税務上、所得を正しく計算するために必要な項目とされており、収入から必要経費を差し引いた残りが「課税所得」となります。必要経費として認められるには、「収入を得るために必要だった」という合理的な理由があり、領収書や記録で裏付けられることが求められます。 正しく計上することで税負担を適正化でき、節税にもつながるため、特に個人事業主や副業をしている人にとっては重要な考え方です。




