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墓じまいとは?費用・手続きの流れからトラブル対策まで徹底解説

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墓じまいとは?費用・手続きの流れからトラブル対策まで徹底解説

墓じまいとは?費用・手続きの流れからトラブル対策まで徹底解説

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執筆者:

公開:

2025.08.15

更新:

2026.08.10

先祖代々のお墓が遠方にあり、墓参りや管理が難しい、将来お墓を継ぐ人がいないといった事情から、「墓じまい」を考える人が増えています。ただし、墓石を撤去するだけで済むものではなく、遺骨の移転先を決め、行政手続きや寺院・親族との調整も必要です。進め方を誤ると費用や人間関係のトラブルにつながることもあります。この記事では、墓じまいの意味や費用相場、手続き、供養先、補助金、注意すべきトラブルまで具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、墓じまいと改葬の違いや、墓石の撤去から遺骨の移転、新しい供養先への納骨までの流れを体系的に理解できます。さらに、必要な費用や行政手続き、補助金、永代供養などの選択肢、親族や寺院との調整ポイントも把握できます。自分の家庭で墓じまいを行うべきかを具体的に検討し、必要な場合には、誰に相談し、何から準備を始めればよいか判断できるようになります。

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目次

墓じまいとは?意味と「改葬」との違い

墓じまいと改葬の違い

改葬件数は約10年で2倍に増加している

墓じまいを検討する理由の1位は「お墓が遠方にあること」

墓じまいのメリット・デメリット

墓じまいの3つのメリット

墓じまいの3つのデメリット

墓じまいの費用相場と内訳

実態調査では「31万〜70万円」が最多

費用の内訳は大きく4つ

費用は誰が負担する?

永代供養を選ぶときの3つのチェックポイント

墓じまいに補助金は出る?自治体の支援制度

補助金の例:群馬県太田市は墓石撤去費用を上限20万円助成

都立霊園には「施設変更制度」がある

補助金がない場合は資金計画でカバーする

墓じまいの手続き8ステップ

改葬許可申請に必要な書類

墓じまい後の供養先5つ|永代供養が主流に

永代供養を選ぶときの3つのチェックポイント

墓じまいでよくあるトラブルと対策

親族から反対される

高額な離檀料を請求される

撤去工事で追加費用を請求される

手続きの不備で納骨できない

墓じまいは相続・終活の一部として考える

お墓の維持費は「見えない固定費」

お墓を継ぐ人(祭祀承継者)と相続人は同じとは限らない

お墓は相続税がかからない「祭祀財産」

実家じまい・相続手続きとあわせて計画する

墓じまいとは?意味と「改葬」との違い

墓じまいとは、今あるお墓から遺骨を取り出し、墓石を解体・撤去して、区画を墓地の管理者に返還する一連の手続きを指します。取り出した遺骨は永代供養墓や納骨堂など、新しい供養先に移すのが一般的です。

単にお墓を壊すのではなく、「遺骨の行き先を決めたうえで、お墓を閉じて次の供養の形に引き継ぐこと」が墓じまいの本質です。

墓じまいと改葬の違い

改葬(かいそう)とは、埋葬されている遺骨を別のお墓や納骨堂に移すことを指す法律上の用語です。いわば「お墓の引っ越し」であり、「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」第5条に基づいて市区町村長の許可を受ける必要があります。

一方の墓じまいは、遺骨の引っ越し(改葬)に加えて、墓石の撤去や区画の返還までを含む幅広い言葉です。遺骨を移す場合、墓じまいの手続きの中に改葬許可の取得が含まれる、という関係になります。

出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」

改葬件数は約10年で2倍に増加している

墓じまいを選ぶ人は、統計上も明確に増えています。厚生労働省「衛生行政報告例」によると、全国の改葬件数は平成25年度の88,397件から令和5年度には166,886件へ増加しました。最新の令和6年度は176,105件と過去最多を更新し、約10年で2倍の水準となっています。

  1. 背景には、少子高齢化によるお墓の承継者不足や、子ども世代が都市部へ移り住み実家のお墓が遠方になった、といった社会構造の変化があります。誰もお参りしないまま放置される「無縁墓」を避けるため、元気なうちに自分で墓じまいを済ませる人も増えました。

出典:厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例(政府統計の総合窓口)」

墓じまいを検討する理由の1位は「お墓が遠方にあること」

お墓関連サービス大手の株式会社鎌倉新書が2026年1月に実施した調査では、改葬・墓じまいを検討した理由の1位は「お墓が遠方にあること」で52.0%でした。2位は「お墓の継承者がいないこと」の44.1%です。

金銭的な負担よりも、「物理的にお参りできない」「継ぐ人がいない」という構造的な事情が墓じまいの主な動機になっていることがわかります。

出典:鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」

墓じまいのメリット・デメリット

墓じまいには、管理負担の解消といった大きなメリットがある一方、まとまった費用や親族との調整といった注意点もあります。決断する前に、両面を整理しておきましょう。

墓じまいの3つのメリット

墓じまいの主なメリットは、「管理負担の解消」「無縁墓の回避」「次世代の負担軽減」の3つです。それぞれ順に解説します。

お墓の管理負担から解放される

墓じまいの最も大きなメリットは、お墓の維持にかかる負担がなくなることです。お墓を持ち続ける限り、年間管理料の支払いに加えて、掃除や草むしりのための墓参りが必要になります。

特にお墓が遠方にある場合、お参りのたびに交通費や移動時間の負担が発生します。鎌倉新書の2026年調査でも、墓じまいを検討した理由の1位は「お墓が遠方にあること」(52.0%)でした。墓じまいによって、こうした金銭面・体力面の負担をまとめて解消できます。

出典:鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」

無縁墓になるのを防げる

継ぐ人がいないまま放置されたお墓は、無縁墓(無縁墳墓)として扱われ、最終的に管理者の手で撤去・改葬される可能性があります。実際に、令和6年度には無縁墳墓等の改葬が全国で3,006件行われました。

  1. 無縁墓になると、遺骨は合祀墓などに移され、遺族が行き先を選ぶことはできません。自分の意思で供養の形を決められるうちに整理できることは、墓じまいの大きな利点といえるでしょう。

出典:厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例(政府統計の総合窓口)」

子どもや孫の負担を減らせる

墓じまいを済ませておけば、管理料や維持の手間、将来の墓じまい費用そのものを次世代に引き継がずに済みます。「お墓をどうするか」という悩みは、先送りするほど判断する人の負担が重くなる問題です。

鎌倉新書の調査でも、改葬先として承継を前提としない供養形態を選んだ人は約8割にのぼりました。親世代が元気なうちに方針を決めておくことは、家族への実質的な贈り物になります。

墓じまいの3つのデメリット

一方でデメリットは、「初期費用」「親族トラブル」「合祀の不可逆性」の3つに集約されます。事前に把握して対策を立てておきましょう。

まとまった初期費用がかかる

墓じまいには、墓石の撤去工事費や閉眼供養のお布施、新しい供養先の契約費用など、総額で数十万円規模の支出が伴います。実態調査では「31万〜70万円」かかった人が最多の31.3%で、151万円以上かかったケースも14.0%ありました。

将来の維持費がなくなることを考えれば長期的には合理的な支出ですが、一時的な負担は小さくありません。

出典:鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」

親族間のトラブルになりやすい

お墓は祭祀承継者だけのものではなく、親族全体の心のよりどころでもあります。先祖代々のお墓への思い入れは人それぞれのため、一部の判断だけで進めると感情的な対立に発展しかねません。

「相談なく墓じまいされた」という事後報告が、トラブルの典型パターンです。検討の初期段階からお墓に関わる親族全員に声をかけ、費用分担も含めて合意を得てから進めることが何よりの予防策になります。

合祀すると遺骨を取り戻せない

合祀(ごうし)とは、骨壺から遺骨を取り出し、他の人の遺骨と一緒に埋葬する方法です。費用を抑えられる反面、一度合祀すると特定の遺骨だけを取り出すことは二度とできません。

後から「やはり分骨したい」「別のお墓に移したい」と思っても取り返しがつかないため、慎重な判断が求められます。将来の可能性を残したい場合は、一定期間個別に安置されるタイプの永代供養墓や納骨堂を選ぶとよいでしょう

墓じまいの費用相場と内訳

墓じまいの費用は、お墓の大きさや立地、新しい供養先の選び方によって大きく変わりますが、総額の目安は30万〜150万円程度です。実態調査のデータと4つの費用内訳を順に見ていきましょう。

実態調査では「31万〜70万円」が最多

鎌倉新書の2026年調査によると、墓じまいにかかった費用は「31万〜70万円」が31.3%で最も多く、「30万円以下」の16.8%と合わせると約48%が70万円以下で完了しています。一方で「151万円以上」かかった人も14.0%おり、条件による差が大きいことがうかがえます。

出典:鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」

費用の内訳は大きく4つ

墓じまいの費用は、次の4つに分解して考えると見積もりの妥当性を判断しやすくなります。

費用項目金額の目安内容
墓石の解体・撤去工事費1平方メートルあたり10万円前後〜墓石の解体、基礎の撤去、区画の整地。重機が入れない立地では割増になることがあります。
閉眼供養のお布施・離檀料閉眼供養3万〜10万円、離檀料3万〜20万円程度閉眼供養(へいがんくよう)は墓石から魂を抜く法要。離檀料(りだんりょう)は檀家をやめる際に寺院へ渡すお布施です。
行政手続きの費用数百円〜千円程度改葬許可証の交付手数料など。自治体により無料の場合もあります。
新しい供養先の費用5万〜300万円程度合葬墓なら10万〜30万円、一般墓を新たに建てると100万〜300万円と、選択によって最も差が出る項目です。
墓じまいの費用内訳

出典:石長「墓じまいの費用相場と自治体補助金ガイド」

総額を左右する最大の要因は、新しい供養先の選び方です。撤去工事費は削りにくいため、供養先の種類と費用感を早い段階で比較しておきましょう。

費用は誰が負担する?

墓じまいの費用を負担する義務が法律で定められているわけではありませんが、実務上はお墓を承継した人(祭祀承継者)が中心になって負担するケースが多く見られます。祭祀承継者とは、民法第897条に基づいてお墓や仏壇などを受け継ぐ人のことです。

ただし、一人で全額を抱え込む必要はありません。お墓は親族共通の問題であるため、兄弟姉妹やいとこも含めて分担を話し合うことをおすすめします。費用の分担について事前に合意しておくと、親族トラブルの予防にもつながるでしょう。

出典:e-Gov法令検索「民法」

永代供養を選ぶときの3つのチェックポイント

主流である永代供養を選ぶ場合は、「個別安置の期間」「合祀後の扱い」「費用の総額」の3点を契約前に必ず確認しましょう。それぞれ解説します。

個別安置の期間はいつまでか

永代供養墓の多くは、最初から合祀されるのではなく、「17回忌まで」「33回忌まで」など一定期間は骨壺のまま個別に安置し、その後合祀に移行するプランを採用しています。「永代」という言葉の印象から「ずっと個別に供養してもらえる」と誤解すると、後悔につながりかねません。

  1. 契約前に、個別安置が何年間続くのか、期間の延長はできるのか、延長する場合の追加費用はいくらかを確認してください。パンフレットだけで判断せず、契約書の該当条項まで目を通しておくと安心です。

合祀後の遺骨の扱いに納得できるか

合祀後は、他の人の遺骨と一緒になるため、特定の遺骨だけを取り出すことはできません。この不可逆性を家族全員が理解し、納得しているかが最も重要な確認ポイントです。

将来、分骨や再改葬の可能性が少しでもあるなら、最初から合祀するタイプは避け、個別安置型の永代供養墓や納骨堂を選ぶ方が安全です。「費用の安さ」だけで合祀型を選ぶ前に、親族の中に異論がないかをもう一度確かめてください。

費用は総額でいくらかかるか

永代供養の費用は、広告に大きく書かれた永代供養料だけでは完結しないことがあります。納骨手数料や墓誌への刻字料、生前契約の場合の年会費など、付帯費用が加わるケースがあるためです。

比較検討の際は、「納骨までに支払う総額」と「契約後も継続して発生する費用」を分けて見積もりを取りましょう。複数の施設で同じ条件の総額を並べて比較すると、実質的な費用差が正確に見えてきます。

墓じまいに補助金は出る?自治体の支援制度

墓じまいに全国共通で使える補助金制度はなく、助成を行っているのは一部の自治体に限られます。主に公営墓地の無縁墓対策として、区画の返還を促す目的で設けられているものです。お墓のある自治体や霊園の窓口に、制度の有無を確認することから始めましょう。

補助金の例:群馬県太田市は墓石撤去費用を上限20万円助成

群馬県太田市では、市営の八王子山公園墓地を対象に、墓地返還時の墓石撤去費用を助成しています。助成額は、祭祀費用を除く墓石撤去費用の実費または20万円のいずれか低い方です。返還届の提出と撤去工事の完了、管理料の滞納がないことが条件とされています。

このほかにも、公営墓地の返還者向けに撤去費の一部を助成する自治体があります。ただし予算枠に達し次第終了する場合があるため、必ず事前に自治体へ確認してください。

出典:太田市「八王子山公園墓地」

都立霊園には「施設変更制度」がある

東京都の都立霊園では、お墓を継ぐ人がいなくなる一般埋蔵施設等の使用者を対象に、現在の墓所を返還して遺骨を合葬埋蔵施設に移せる「施設変更制度」を設けています。募集は年3回行われており、現在使用中の霊園窓口で相談できます。

補助金という形ではありませんが、都立霊園の利用者にとっては遺骨の行き先と墓所の返還をまとめて解決できる有力な選択肢です。

出典:東京都公園協会「都立霊園公式サイト よくあるご質問」

補助金がない場合は資金計画でカバーする

お住まいの自治体に制度がない場合は、墓じまいをライフプラン上の支出として計画的に準備することが現実的な対策になります。数十万円規模の支出であるため、退職金や老後資金の使い道の一つとして、時期と予算をあらかじめ決めておくと安心です。

費用を親世代と子世代で分担する場合も、「いつ・誰が・いくら」を早めに決めておくことで、資金面の不安を小さくできます。

退職金や老後資金に関しては、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。

墓じまいの手続き8ステップ

墓じまいは、親族の合意形成から新しい供養先への納骨まで、おおむね8つのステップで進みます。全体像を先に把握しておくと、抜け漏れなく進められるでしょう。標準的な期間は、話し合いの開始から納骨まで数カ月から1年程度です。

墓じまい・改葬を進める8つのステップ

  1. 親族と話し合い、合意を得る:お墓に関わる親族全員に目的と費用分担を説明し、了承を得ます。最も時間をかけるべきステップです。
  2. 墓地の管理者(寺院・霊園)に相談する:檀家となっている寺院には、報告ではなく「相談」の形で早めに意向を伝えます。
  3. 新しい供養先を決めて契約する:永代供養墓や納骨堂などと契約し、「受入証明書(永代供養許可証など)」を受け取ります。
  4. 石材店を選び、見積もりを取る:指定石材店の有無を管理者に確認したうえで、撤去工事を依頼します。
  5. 市区町村で改葬許可申請を行う:今のお墓がある市区町村に、改葬許可申請書と必要書類を提出し「改葬許可証」の交付を受けます。
  6. 閉眼供養を行い、遺骨を取り出す:僧侶に閉眼供養(魂抜き)を依頼し、石材店が遺骨を取り出します。
  7. 墓石を撤去し、区画を返還する:更地に戻して墓地管理者へ返還します。
  8. 新しい供養先へ納骨する:改葬許可証を提出して納骨し、必要に応じて開眼供養を行います。

改葬許可申請に必要な書類

ステップ5の改葬許可申請では、一般に次の3点が必要です。書式や運用は自治体で異なるため、事前にホームページや窓口で確認してください。

書類発行元内容
改葬許可申請書今のお墓がある市区町村遺骨1体ごとに必要とする自治体が多いです。
埋葬(埋蔵)証明書今の墓地の管理者その墓地に遺骨が埋蔵されていることの証明です。
受入証明書新しい供養先遺骨の受け入れ先が決まっていることの証明です。
改葬許可申請に必要な書類

なお、改葬許可を受けずに遺骨を移すことは墓埋法違反にあたります。手続きを省略せず、必ず許可証の交付を受けてから遺骨を動かしましょう。

墓じまい後の供養先5つ|永代供養が主流に

墓じまい後の遺骨の行き先として、現在最も選ばれているのは永代供養です。永代供養とは、寺院や霊園が遺族に代わって遺骨の管理・供養を続けてくれる仕組みを指します。鎌倉新書の2026年調査では、改葬先として「永代供養(合祀・合葬)」を選んだ人が43.2%と最多でした。

ここでは、代表的な5つの供養先の特徴と費用感を紹介します。

供養先費用の目安特徴・注意点
永代供養墓(合祀墓・合葬墓)10万〜30万円程度費用が最も抑えられる一方、合祀後は遺骨を取り出せません。
樹木葬平均71.7万円樹木や草花を墓標とする形式。継承不要のプランが中心です。
納骨堂平均81.5万円屋内型で天候を問わずお参りできます。都市部に多く交通の便が良い施設が目立ちます。
海洋散骨5万〜50万円程度遺骨を粉末化して海にまく方法。実施海域のルールや自治体の条例の確認が必要です。
手元供養数千円〜数十万円自宅で骨壺やミニ仏壇に安置する方法。自宅の庭に埋めることは墓埋法で禁止されています。
代表的な5つの供養先

出典:鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」石長「墓じまいの費用相場と自治体補助金ガイド」

永代供養を選ぶときの3つのチェックポイント

主流である永代供養を選ぶ場合は、次の3点を契約前に確認しましょう。

永代供養を選ぶ前に確認したい3つのポイント

  1. 個別安置の期間:「17回忌まで」「33回忌まで」など一定期間は個別に安置し、その後合祀に移行するプランが多くあります。いつから合祀されるのかを必ず確認してください。
  2. 合祀後の扱い:合祀後は遺骨を取り出せません。将来、分骨や再改葬の可能性が少しでもあるなら、個別安置型や納骨堂を選ぶ方が安全です。
  3. 費用の総額:永代供養料のほかに、納骨手数料や刻字料、年会費がかかる場合があります。初期費用だけでなく総額で比較しましょう。

永代供養は「一度契約すれば管理を任せられる」点が大きな魅力ですが、契約内容は霊園や寺院ごとに大きく異なります。特に注意したいのが、個別安置から合祀へ移るタイミングです。合祀は他の方のご遺骨と一緒に埋葬する方法のため、一度移行すると個別に取り出すことができません。

「まだ子や孫の意向が固まっていない」「将来的に故郷のお墓へ戻す可能性がある」といった場合は、合祀までの期間が長いプランや、納骨堂のような個別安置型を選んでおくと安心です。

  1. 見学や問い合わせの際には、初期費用・追加費用・維持費をそれぞれ書き出し、総額で比較検討することをおすすめします。

墓じまいでよくあるトラブルと対策

墓じまいのトラブルは、「親族」「寺院」「業者」の3方向で起こりやすいといえます。いずれも事前のコミュニケーションと書面の確認で大部分を防げるため、典型的なパターンと対策を知っておきましょう。

親族から反対される

最も多いのが、事後報告によって親族との関係がこじれるケースです。お墓は祭祀承継者だけのものではなく、親族全体の心のよりどころでもあります。

対策としては、検討の初期段階から関係者全員に相談し、「なぜ墓じまいが必要か」を費用や距離などの具体的な事実とともに共有することが有効です。反対する人がいる場合は、合祀ではなく遺骨を取り出せる納骨堂を選ぶなど、折衷案を用意すると合意しやすくなります。

高額な離檀料を請求される

離檀料をめぐるトラブルは、国民生活センターも注意を呼びかけています。同センターの「見守り新鮮情報」では、墓じまいを寺院に申し出た80歳代の女性が300万円ほどの離檀料を要求され、困惑した事例が紹介されました。

離檀料はあくまでお布施であり、支払いを義務付ける法律はありません。金額に納得できない場合は、その場で応じずに寺院と話し合うことが基本です。解決が難しいときは、お住まいの消費生活センター(消費者ホットライン188)や、弁護士・行政書士などの専門家に相談してください。

出典:山形県「墓じまい 離壇料に関するトラブルに注意」

出典:国民生活センター「墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)」

撤去工事で追加費用を請求される

「見積もりより工事代金が大幅に増えた」というトラブルも起こりがちです。原因の多くは、重機が入れない立地での手作業や、想定外の基礎の深さなど、現地確認の不足にあります。

必ず現地立ち会いのうえで見積もりを取り、「追加費用が発生する条件」を書面で確認しておきましょう。可能であれば複数社の見積もりを比較することで、相場から外れた請求を避けられます。

手続きの不備で納骨できない

改葬許可証を取らずに遺骨を移してしまい、新しい供養先で納骨を断られるケースもあります。遺骨1体ごとに許可が必要な自治体が多いため、先祖代々のお墓では埋蔵されている遺骨の数と名前の確認が重要です。

古いお墓では、誰の遺骨が何体あるか記録が残っていないこともあります。その場合は墓地の管理者や本籍地の戸籍をたどって確認し、不明な点は市区町村の窓口に相談しながら進めましょう。

墓じまいは相続・終活の一部として考える

墓じまいは単発のイベントではなく、相続・終活を含む家計の長期設計の一部として考えましょう。お墓は「維持コストが発生し続ける資産」であり、誰がどう引き継ぐかというお金の問題と切り離せないからです。

お墓の維持費は「見えない固定費」

お墓を持ち続ける限り、年間管理料の支払いは続きます。遠方であれば、お参りのたびに交通費や宿泊費もかかる点も無視できません。1年単位では小さな金額でも、10年、30年と積み上がれば、墓じまいの一時費用に匹敵する規模になり得ます。

「今の維持費を今後何年払い続けるのか」を試算し、墓じまいの費用と比較してみると、感情論だけでは見えなかった判断材料が得られます。家計の固定費を見直す感覚で、お墓のコストも一度書き出してみてください。

お墓を継ぐ人(祭祀承継者)と相続人は同じとは限らない

墓じまいの話し合いを進めるうえで意外と知られていないのが、お墓を継ぐ人と財産を相続する人は、法律上別のルールで決まるという点です。祭祀財産の承継は民法第897条に定められており、預貯金や不動産のように相続人全員で分け合う対象にはなりません。

祭祀承継者は、①亡くなった人の指定、②指定がなければその地域や家の慣習、③それでも決まらなければ家庭裁判所の審判、という順序で決まります。このため、相続人ではない親族がお墓を継ぐことも、逆に相続放棄をした人が祭祀承継者になることも可能です。

墓じまいの費用分担や承継の話し合いを円滑に進めるには、「誰が相続人になる見込みの人(推定相続人)で、誰がお墓を継ぐのか」をあらかじめ整理しておくことが欠かせません。関係者の範囲が明確になれば、声をかけるべき相手が定まり、後から「聞いていない」と言われるトラブルも防げます。

推定相続人に関しては、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。

出典:e-Gov法令検索「民法」

お墓は相続税がかからない「祭祀財産」

お墓や仏壇などは「祭祀財産」と呼ばれ、通常の相続財産とは別の扱いを受けます。国税庁によると、墓地や墓石、仏壇、仏具などは相続税のかからない非課税財産です。

一方で注意したいのは、墓地や仏壇の購入代金の未払い分は、相続税の計算で債務として差し引けない点です。非課税財産に関する債務は、債務控除の対象外とされています。

つまり、お墓関連の費用は「生前に、本人の資金で払い終えておく」ことが税務上も整理しやすい形といえます。墓じまいや新しい供養先の契約を元気なうちに済ませておけば、相続人は手続きにも費用にも悩まずに済むでしょう。

なお、相続税の控除や計算方法についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

出典:国税庁「No.4108 相続税がかからない財産」

出典:国税庁「No.4126 相続財産から控除できる債務」

実家じまい・相続手続きとあわせて計画する

墓じまいが話題になるタイミングは、親の相続や実家の処分と重なることが少なくありません。相続した不動産の名義変更には期限があり、お墓の承継や墓じまいの費用分担も同じ親族間の話し合いで決まっていきます。

ばらばらに対応すると話し合いが何度も必要になるため、相続手続き・実家の扱い・お墓の3点はセットで整理するのが効率的です。エンディングノートや遺言書に、お墓の希望と費用の原資を書き残しておくことも、家族への大切な引き継ぎになります。

この記事のまとめ

この記事では、墓じまいとは何をするものなのか、改葬との違い、必要な費用や手続き、墓じまい後の供養先、補助金、親族・寺院とのトラブル対策まで整理しました。墓じまいは単に墓石を撤去するだけではなく、遺骨の行き先や家族の意向、将来の管理負担まで含めて考える必要があります。まずは現在のお墓の管理状況や承継者の有無を確認し、親族と今後の方針を話し合いましょう。そのうえで墓地の管理者や新しい供養先に相談し、費用と手続きの全体像を確認してから進めることが大切です。

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墓埋法とは、「墓地、埋葬等に関する法律」の略称で、日本における埋葬や火葬、改葬、墓地の管理などに関する基本的なルールを定めた法律です。1948年に制定され、遺体や遺骨の適正な取り扱いと公衆衛生の確保を目的としています。 この法律により、埋葬や火葬は市区町村の許可が必要であり、墓地の設置・管理も都道府県知事の許可を受けた場所に限られます。また、遺骨を別の墓所や納骨施設へ移す改葬には「改葬許可証」が必要です。墓じまいや永代供養といった現代的な供養形態にも密接に関連しており、相続や資産整理の際にも重要な法的枠組みとなります。

改葬

改葬とは、すでに埋葬または納骨されている遺骨を、別の墓地や納骨施設へ移すことを指します。墓地の移転や墓じまい、永代供養への切り替えなどが理由となることが多く、遺骨を動かす際には市区町村から「改葬許可証」を取得する必要があります。 改葬には、親族間の合意形成、現在の墓地管理者と新しい受け入れ先の承諾、行政手続きなど複数のステップが伴います。墓埋法によって適正な手続きが定められており、無許可での改葬は認められていません。資産管理や相続の一環として、将来の維持管理負担を軽減する目的で行われることもあります。

無縁墓

無縁墓とは、継承者や縁故者がいなくなり、供養や管理を行う人がいない墓のことです。管理料の未納や長期間の放置により、墓地管理者が連絡を取れない状態が続くと無縁墓と判断されます。 墓埋法では、一定期間の公告と手続きを経て、無縁墓は改葬され、遺骨は共同墓や永代供養墓などに移されます。少子高齢化や都市部への人口集中に伴い、無縁墓は増加傾向にあり、将来の墓じまいや相続の課題としても注目されています。資産管理や終活の一環として、無縁墓化を防ぐための事前対応が重要です。

承継者

承継者とは、財産や権利、義務、地位などを前任者から引き継ぐ人のことです。相続においては、被相続人の遺産を受け継ぐ相続人を指し、不動産や金融資産だけでなく、負債や契約上の義務を引き継ぐ場合もあります。 墓地やお墓の場合、承継者は使用権や維持管理の責任を負い、無縁墓化を防ぐ重要な役割を担います。承継者は、遺言や法律の定めによって決まることが多く、承継の対象や範囲は資産の種類や契約内容によって異なります。資産運用や終活の場面では、承継者を事前に明確にしておくことで、相続や管理に関するトラブルを防ぎやすくなります。

永代供養

永代供養とは、寺院や霊園などが遺族や承継者に代わって、長期間または期限を定めずに遺骨の管理と供養を行うことです。少子高齢化や後継者不在、遠隔地在住などの理由でお墓の維持が難しい場合に選ばれることが多く、納骨堂や合同墓、樹木葬などさまざまな形態があります。 永代供養では、契約時に一括費用を支払うことが一般的で、以後の管理費は不要な場合が多いです。墓埋法の規定に基づき適正に管理され、無縁墓化を防ぐ役割も果たします。資産整理や終活において、将来の供養負担を軽減する選択肢として広く利用されています。

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