国民健康保険料はいくら?計算の仕組み・年収別早見表と手続き・減免まで徹底解説

国民健康保険料はいくら?計算の仕組み・年収別早見表と手続き・減免まで徹底解説
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公開:
2025.12.04
更新:
2026.01.16
退職や転職、扶養から外れるなどで国民健康保険(国保)に切り替わると、保険料が「思ったより高い」と感じるケースは少なくありません。理由を知らないまま放置すると、手続き遅れや二重払い、軽減・減免の取りこぼしにつながるおそれがあります。この記事では、国保の保険料が決まる仕組みを前提に、月額・年額の目安、社会保険との比較、切り替え手続き、負担を下げる制度までを整理して解説します。
サクッとわかる!簡単要約
国保の保険料が「所得・世帯・自治体差」でどう決まり、なぜ高くなりやすいのかを体系的に理解できるようになります。年収別・属性別の目安と計算の考え方を踏まえ、自分の条件で概算を持てるため、社会保険との比較や切り替え判断を根拠付きで進められます。さらに、軽減・減免や社会保険料控除を確認し、支払い負担の最適化に向けて具体的に動けるようになります。
目次
国民健康保険とは?対象者と基本的な仕組み
日本の公的医療保険制度の仕組みと、その中で国民健康保険がどのような役割を担っているのかを解説します。会社員が加入する社会保険との違いや、加入対象となる具体的なケース、国保特有の「世帯単位」という考え方など、基礎的な知識を整理して、自分自身が加入対象になるかどうかを確認しましょう。
対象者・加入条件|会社員以外は原則加入必須
日本の公的医療保険制度では、国内に住所のある人は必ず何らかの保険に加入しなければならない「国民皆保険」の仕組みをとっています。
会社員であれば勤務先の健康保険(社会保険)に加入しますが、勤務先の被用者保険(健康保険組合や協会けんぽ等)に入らない人が加入するのが国民健康保険(国保)です。具体的には以下の人が対象となります。
国民健康保険に加入する人
- 自営業者やフリーランス
- 退職して次の就職まで無職の期間がある人
- パート・アルバイトなどで勤務先の健康保険加入要件を満たさない人
- 75歳未満の年金生活者
なお、特定の業種(医師、建設業、文芸美術など)に従事している場合、「国民健康保険組合」という同業種で組織された組合運営の国保に加入するケースもあります。
社会保険との違い|扶養がなく世帯単位で加入
国民健康保険の最大の特徴は、会社員の社会保険と違って「扶養」という概念がないことです。
社会保険では扶養家族の保険料はかかりませんが、国保では家族全員がそれぞれ被保険者となり、人数分の保険料が発生します。支払いは世帯主がまとめて行う仕組みですが、この構造の違いが家計負担に大きく影響します。
一方で、医療機関での窓口負担割合は原則3割(義務教育就学前は2割、70~74歳は2割または3割)であり、これは社会保険と同じです。「会社員でなくても同等の医療を受けられる」という安心感は変わりませんが、保険料や手当の面では異なるルールが適用されます。
これまでの説明を踏まえ、国保と社会保険の主な違いを整理します。
国民健康保険と社会保険の違いは以下Q&Aでも説明しています。
運営主体の違い:健保組合等か市区町村か
会社員の健康保険は「全国健康保険協会(協会けんぽ)」や「健康保険組合」が運営しますが、国民健康保険は「市区町村(または国保組合)」が運営します。
加入対象者の違い:会社員か自営業・無職か
会社員や公務員は社会保険に加入し、それ以外の自営業・フリーランス・無職等の人は国保に加入します。
保険料負担の違い:会社負担と扶養の有無
社会保険は会社と本人で折半しますが、国保は全額自己負担です。また、社会保険は扶養家族分がかかりませんが、国保は家族の人数に応じて保険料が増加します。
給付内容の違い:傷病・出産手当金の有無
医療費の自己負担割合や高額療養費制度は共通ですが、社会保険にある「傷病手当金(休業補償)」や「出産手当金」は、国保には原則としてありません。
- こうした違いから、病気やケガで働けなくなった時の所得補償を重視するなら社会保険が有利であり、保険料の安さを重視するなら(家族構成にもよりますが)扶養に入るのが有利と言えます。働き方によって選択肢が限られる場合もありますが、両者の違いを理解しておくことは重要です。
国民健康保険料の決まりは?仕組みを解説
国民健康保険料は、地域や世帯構成、前年の所得によって金額が大きく異なります。「なぜこんなに高いのか」「どうやって計算されているのか」という疑問に対し、保険料を構成する要素や計算の仕組み、そして会社員の社会保険と比較して割高に感じやすい構造的な理由を詳しく解説します。
計算方法|所得割・均等割など4つの構成要素
国民健康保険の保険料(自治体によっては保険税)は、各市区町村が定める計算式に基づいて算出されます。
保険料は大きく分けて「医療給付分(医療費)」「後期高齢者支援分(高齢者医療の支援)」「介護分(40歳以上のみ)」の3つの区分で構成されており、それぞれについて以下の要素を組み合わせて計算します。
国民健康保険料の決まり方については以下Q&Aでも説明しています。
所得割
前年の所得に応じて課される金額です。前年の総所得金額等から基礎控除を差し引いた「賦課標準額(課税所得)」に、自治体が定める料率をかけて計算します。所得が高い人ほど負担が大きくなる部分です。
均等割
世帯の加入者数に応じて一律に課される金額です。所得に関係なく、加入者1人あたり定額で計算されます。「一人あたりいくら」という基本料金のような性質を持ちます。
平等割(世帯割)
1世帯あたり定額で課される金額です。加入人数や所得にかかわらず、1世帯につきいくらと設定されます。現在は所得割と均等割を中心とする自治体が多いですが、この平等割や、固定資産税額に応じた資産割を採用している自治体もあります。
これら3区分(医療・支援・介護)ごとに、所得割や均等割などを算出し、それらを合算したものが年間の決定保険料となります。なお、介護分は40歳から64歳の方のみに含まれ、40歳未満の方や65歳以上の方(介護保険料として別途徴収)にはかかりません。
地域差と上限|住む場所で保険料が違う理由
国民健康保険料は全国一律ではなく、お住まいの市区町村によって大きく異なります。これは、保険料率や計算方式(平等割の有無など)を各自治体が独自に設定しているためです。
地域によって差が出る主な理由は、その地域の医療費水準や、国保財政の状況が異なることにあります。高齢化が進んで医療費がかかる地域や、加入者の平均所得が低い地域では、財政を維持するために保険料率を高めに設定せざるを得ない場合があります。
- また、保険料には「賦課限度額(これ以上は請求されない上限額)」が設けられていますが、この上限額や料率は毎年のように見直されています。引っ越しをすると、同じ年収や家族構成であっても保険料が上がったり下がったりする可能性があることを知っておきましょう。
年収と世帯人数でわかる国民健康保険料の目安一覧
あなたの年収や家族構成で国民健康保険料がいくらになるのか、具体的な金額の目安を知りたい方に向けて試算を行いました。ここでは東京都世田谷区の料率をモデルケースとして計算しています。国民健康保険は前年の所得に基づいて決まるため、退職後や独立後の資金計画を立てる際の参考にしてください。
実際の保険料は自治体によって計算式が異なりますが、目安として以下の条件で試算を行いました。令和6年度(2024年度)の東京都世田谷区の料率に基づき、収入は給与所得のみ、加入者全員が40歳未満で介護保険料の対象外であると仮定しています。
年収100万円から1200万円までの保険料早見表
東京都世田谷区の料率をもとに試算した年間保険料の一例です。年収が上がるほど、また加入人数が増えるほど負担額は大きくなりますが、一定の金額を超えると賦課限度額(上限)に達し、それ以上の負担増はなくなります。
| 年収(給与収入) | 加入者1人(本人のみ) | 加入者2人世帯 | 加入者3人世帯 | 加入者4人世帯 | 加入者5人世帯 |
|---|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 約6.6万円 | 約12.0万円 | 約16.0万円 | 約20.0万円 | 約24.0万円 |
| 200万円 | 約15.7万円 | 約22.0万円 | 約27.0万円 | 約32.0万円 | 約37.0万円 |
| 300万円 | 約22.9万円 | 約29.3万円 | 約35.8万円 | 約42.1万円 | 約48.6万円 |
| 400万円 | 約30.6万円 | 約37.0万円 | 約43.5万円 | 約49.9万円 | 約56.3万円 |
| 500万円 | 約39.0万円 | 約45.4万円 | 約51.8万円 | 約58.2万円 | 約64.6万円 |
| 600万円 | 約47.3万円 | 約53.7万円 | 約60.1万円 | 約66.5万円 | 約72.9万円 |
| 700万円 | 約56.0万円 | 約62.4万円 | 約68.8万円 | 約75.2万円 | 約81.6万円 |
| 800万円 | 約65.0万円 | 約71.4万円 | 約77.8万円 | 約84.2万円 | 約87.0万円(上限) |
| 900万円 | 約75.0万円 | 約81.4万円 | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) |
| 1000万円 | 約85.0万円 | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) |
| 1100万円 | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) |
| 1200万円 | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) | 約87.0万円(上限) |
※金額は概算であり、実際の徴収額とは異なる場合があります。また、賦課限度額(上限)に達した場合はその金額で頭打ちとなります。
たとえば年収200万円で加入者1人の場合、年間保険料は約15.7万円ですが、年収500万円で加入者4人(夫婦+子2人)では年間約58万円にもなります。会社員時代は給与天引きで気づきにくい保険料ですが、国保では全額自己負担となるため、特に扶養家族が多い世帯では負担が倍増する感覚になるでしょう。
収入がない場合でも均等割などの最低負担が発生する仕組み
会社員の社会保険とは異なり、国民健康保険には「収入ゼロなら保険料も0円」というルールはありません。所得がまったくない場合でも、加入者一人ひとりに課される均等割や世帯ごとの平等割といった基本料金が必ず発生するため、最低でも年間数万円程度の負担が必要です。
上記の表で年収100万円の場合、年間約6.6万円の保険料となっていますが、所得が一定以下の世帯については、均等割・平等割を7割・5割・2割減額する軽減措置があります。自治体の判定により軽減が適用されれば、表の金額よりも安くなる可能性があります。詳細は後述の軽減制度の項目で解説します。
国民健康保険が「高い」と感じやすい5つの理由
国民健康保険(国保)は、自営業者やフリーランス、退職者などが加入する公的医療保険です。会社員が加入する健康保険とは異なり、保険料を全額自己負担しなければなりません。
なぜ国保の保険料は高いと感じやすいのでしょうか。その背景には、会社員の健康保険とはまったく異なる5つの仕組みがあります。
会社による半額負担がない
会社員の社会保険(健康保険)は、保険料の半分を勤務先が負担する「労使折半」という仕組みです。給与明細に記載されている保険料は、実は半額分に過ぎません。
一方、国民健康保険には会社負担がないため、全額を自分で支払う必要があります。退職して国保に切り替えると、単純計算で保険料の請求額が倍近くになったように感じるのはこのためです。
40歳から64歳までの人は、医療保険料に加えて「介護保険料(介護分)」を支払う義務があります。これは会社員でも同じですが、国民健康保険料と同じく介護保険料も全額負担となるため、「高い」と感じるかもしれません。
前年の所得で決まる
国保の保険料で最も大きな割合を占めるのが「所得割」です。これは前年1月から12月までの所得をもとに算出されます。
退職後に国保へ加入した場合、在職中の高い所得が計算基準となります。収入がゼロになっているにもかかわらず、現役時代の年収をベースに保険料が決まるため、想像以上の負担を感じる方が多いのです。
- 具体的には、前年の総所得金額から住民税基礎控除の43万円のみを差し引いた金額に、自治体が定める所得割率をかけて計算されます。ここで注意すべきは、配偶者控除や社会保険料控除、医療費控除などは一切適用されないという点です。確定申告で控除を受けていても、国保の計算では反映されません。
退職直後の1年目は特に厳しくなります。例えば、年収500万円で退職した方が翌年度に支払う保険料は、世帯構成や自治体にもよりますが、年間40万円を超えることも珍しくありません。
世帯単位でかかる
会社員の健康保険には「扶養」という制度があり、配偶者や子どもは追加の保険料なしで保険に入れます。しかし、国保には扶養という概念が存在しません。世帯に加入者が増えれば、その分だけ保険料も増加する仕組みになっています。
国保の保険料は、おもに次の要素で構成されています。
| 種類 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 所得割 | 前年所得に一定の料率をかけて算出 | 所得が高いほど増える |
| 均等割 | 加入者1人あたりの定額 | 人数分だけ加算 |
| 平等割 | 世帯ごとの定額 | 採用していない自治体もある |
| 資産割 | 固定資産税額に応じて算出 | 廃止が進んでいる |
均等割は1人あたり年間3万円から5万円程度が相場です(自治体により異なります)。4人家族であれば、所得に関係なく12万円から20万円程度が上乗せされる計算になります。
夫婦と子ども2人の世帯が国保に加入する場合、健康保険の任意継続と比べて年間で数十万円の差が出ることもあります。扶養する家族が多いほど、この差は広がっていきます。
自治体で料率が違う(同じ年収でも差が出る)
国保は市区町村が運営しており、保険料の計算方法や料率は自治体ごとに異なります。厚生労働省の調査によると、都道府県間で最大1.5倍から1.7倍の格差があり、市区町村単位では3倍以上の開きがあるケースも確認されています。
この格差が生まれる背景には、いくつかの要因があります。まず、自治体ごとに医療費の水準が異なります。高齢者が多い地域や医療機関が充実している地域では、医療費がかさむ傾向にあり、それが保険料に反映されやすくなります。
- また、所得割・均等割・平等割・資産割をどう組み合わせるかは自治体の判断に委ねられています。2方式(所得割+均等割)を採用する自治体もあれば、3方式や4方式を維持しているところもあります。
年齢・医療制度区分で増える場合がある
国保の保険料は、年齢によって負担が変わるタイミングがあります。特に40歳以上の方は注意が必要です。
40歳から64歳の方は「介護納付金分」が加算されます。これは介護保険の第2号被保険者として、介護保険料を国保と一緒に徴収される仕組みです。所得や自治体にもよりますが、年間で数万円から十数万円が上乗せされるケースもあります。
65歳になると、介護保険料は国保とは別に市区町村から直接徴収されるようになります。国保の保険料からは介護分がなくなりますが、介護保険料として別途支払いが発生するため、トータルの負担感はあまり変わらないかもしれません。
国民健康保険料が安くなる可能性は?減免・軽減制度まとめ
国民健康保険料が高くて支払いが難しい場合、所得や事情に応じて保険料を安くする「軽減」や「減免」の制度を利用できる可能性があります。これらは大きく分けて、法律で決まっている「法定軽減」と、自治体が独自に行う「申請減免」の2種類です。適用される条件や手続き方法を知り、負担を減らせるか確認しましょう。
失業・退職時|会社都合・自己都合による軽減措置
倒産や解雇、雇い止めなど、会社都合(非自発的)な理由で失業した方には、保険料負担を大幅に抑える特例措置が用意されています。退職後の保険料は高額になりがちですが、この制度を使えば在職中と同程度、あるいはそれ以下に抑えられる可能性があります。
前年所得を30%とみなす「非自発的失業者」の特例
リストラや倒産などで職を失った場合、国民健康保険料の計算において、前年の給与所得を「30%」とみなして算定する軽減措置があります。
例えば、前年の給与所得が300万円だった場合、計算上は90万円として扱われるため、所得割額が大幅に安くなります。適用期間は、離職日の翌日が属する月から翌年度末まで(最大で約2年間)と長く、生活再建の大きな助けになります。
対象者と申請手続き
対象となるのは、ハローワークで発行される「雇用保険受給資格者証」の離職理由コードが「11,12,21,22,31,32」などに該当する「特定受給資格者」または「特定理由離職者」です。
この軽減措置を受けるには、市区町村の国保窓口への届け出が必須です(一部自治体を除く)。ハローワークで手続きをした後、離職票や受給資格者証を持って忘れずに役所で申請してください。なお、自己都合退職(正当な理由のないもの)の場合はこの特例の対象外ですが、後述する条例減免の対象になる可能性はあります。
所得基準|非課税世帯などの自動軽減(7・5・2割)
所得が一定以下の世帯に対しては、保険料のうち「均等割」と「平等割」を減額する法定軽減制度があります。これは特例軽減とは異なり、申請書の提出は原則不要で、役所が保有する所得情報に基づいて自動的に適用されます。
7割・5割・2割の段階的な軽減措置
世帯の所得水準に応じて、均等割額と平等割額が「7割」「5割」「2割」のいずれかの割合で減額されます。
判定基準は世帯の加入者数によって異なりますが、例えば「世帯の総所得金額(年金所得等も含む)が基礎控除額(43万円)以下」であれば7割軽減が適用されます。年収が少ない世帯では、この措置によって保険料が大幅に安くなり、ほぼ均等割のみの負担で済むケースもあります。
軽減を受けるには「所得申告」が必須
この制度の注意点は、軽減判定が「住民税の申告状況」に基づいていることです。収入がない(非課税)だからといって申告をしていないと、役所は所得状況を把握できず、軽減措置を適用できません。「収入が変わらないのに保険料が上がった」というケースの多くは、申告漏れが原因です。無収入であっても、毎年必ず住民税の申告(所得申告)を行いましょう。
世帯全体の所得で判定される点に注意
軽減判定には、国保に加入していない世帯主(擬制世帯主)の所得も合算されます。
例えば、子ども2人が国保に加入していても、世帯主である親が会社の健康保険に入っていて高収入である場合、世帯全体としては「低所得」とみなされず、子どもたちの軽減措置は受けられません。あくまで「世帯単位」での判定になることを覚えておいてください。
子育て世帯への未就学児軽減
2022年度から、子育て世帯の負担軽減策として、未就学児(小学校入学前の子ども)にかかる均等割額を一律で「半額」にする制度が始まっています。上記の7・5・2割軽減が適用される世帯では、軽減後の額からさらに半額となるため、子どもの保険料負担は大きく抑えられています。
個別事情|障害・ひとり親・無職等の減免相談
法定軽減の対象でなくても、災害や病気、その他の事情で生活が著しく苦しくなった場合、自治体独自の条例に基づいて保険料が減免されることがあります。諦めずに窓口へ相談することで、解決の糸口が見つかるかもしれません。
災害や急激な収入減少による減免(条例減免)
震災や風水害で被災した場合や、主たる生計維持者が死亡・重度障害を負った場合、あるいは事業の廃業や失業で収入が激減した場合などに、保険料の全部または一部が免除される制度です。
減免の基準は自治体によって異なりますが、新型コロナウイルス流行時に実施されたような緊急的な措置だけでなく、個別の事情に応じた制度を持っている自治体は多くあります。
支払いが困難な場合の分納相談
減免の要件に当てはまらない場合でも、支払いが困難であれば「分割納付(分納)」の相談に応じてもらえることが一般的です。
何も連絡せずに滞納を続けると、延滞金が発生したり、財産の差し押さえなどの法的措置を取られたりするリスクがあります。支払いが厳しいと感じたら、督促状が届くのを待つのではなく、早めに役所の窓口で「払う意思はあるが、一括では難しい」と相談してください。
申請方法|必要書類と認められやすいケース
減免制度を利用するには、自動適用の法定軽減を除き、原則として自分から申請する必要があります。申請期限を過ぎると受け付けてもらえないこともあるため、早めの行動が大切です。必要な書類を準備して窓口へ行きましょう。
申請に必要な書類の例
必要書類は申請する減免の内容によって異なりますが、一般的には以下の書類が求められます。
減免申請の必要書類
- 国民健康保険税(料)減免申請書(窓口にあります)
- 本人確認書類およびマイナンバー確認書類
- 失業の場合:雇用保険受給資格者証、離職票、解雇通知書など
- 収入減少の場合:給与明細、源泉徴収票、確定申告書の控え、廃業届など
- 災害の場合:り災証明書
- その他:医師の診断書、障害者手帳など
どのような書類が必要かは自治体や個別の事情によりますので、まずは電話や窓口で「保険料の支払いが厳しいので相談したい」と問い合わせてみることをおすすめします。
国民健康保険料の上限額は5年連続で値上げの予定
2025年度、国民健康保険料の年間上限額が106万円から109万円へ3万円引き上げられ、4年連続の改定となりました。 2026年度からはさらに1万円引き上げられ、介護保険料も含めた新たな上限額は現行の109万円から110万円となる予定です。
毎年のように保険料が引き上げられる背景には、高齢化による医療費増大と、制度維持のための財源確保という構造的課題があります。今回の改定は高所得者層に負担を求めることで、中低所得者層の保険料率上昇を抑制する狙いがあり、社会保険の応能負担原則に沿った措置と言えます。
- しかし、今後も「現役世代が減り、高齢者が増え続ける」構造が続く以上、さらなる引き上げは避けられないでしょう。
国民健康保険で必要な手続き
国民健康保険は、会社員の社会保険とは異なり、加入や脱退の際に自分自身で市区町村の窓口へ届け出る必要があります。退職して会社を離れた時や、就職して新しい保険に入った時など、ライフスタイルの変化に合わせて必要な手続きを解説します。期限や必要書類を事前に確認し、スムーズに進めましょう。
加入手続き|必要なものと窓口での流れ
会社を退職した時や扶養から外れた時、または他の市区町村から転入した際は、事由発生日から14日以内に国民健康保険への加入手続きが必要です。手続きが遅れると医療費が全額自己負担になるリスクがあります。ここでは、窓口での具体的な手続きの流れと、申請に必要な書類について詳しく解説します。
加入手続きに必要な書類と持ち物
加入手続きは、居住地の市区町村役所(国保担当窓口)で行います。一部自治体ではオンライン申請も始まっていますが、窓口での提出が一般的です。主な必要書類は以下の通りです。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
- マイナンバーがわかる書類(世帯主および加入者全員分)
- 健康保険資格喪失証明書
- 印鑑(認印 ※署名で可とする自治体もあり)
- その他(転入時の転出証明書、外国籍の方の在留カード、出産時は母子手帳など)
特に重要な「資格喪失証明書」
会社を退職して国保に入る場合、前の職場の健康保険を脱退したことを証明する「資格喪失証明書」が必須です。これは勤務先や健康保険組合が発行するもので、退職後速やかに受け取る必要があります。会社側には発行義務がありますが、手元に届くのが遅れると国保の加入手続きも遅れてしまうため、退職時にいつ受け取れるか確認しておくと安心です。
やめる・変わる時|脱退・住所変更の手順
就職して会社の健康保険(社会保険)に入った場合や、家族の扶養に入った場合は、国民健康保険を脱退する手続きが必要です。国保は自動的には解約されないため、新しい保険証が届き次第、速やかに届け出ましょう。ここでは脱退が必要な主なケースと、住所変更時などの対応について整理します。
就職して職場の健康保険に加入した場合
新しい勤務先の健康保険証(または資格取得証明書)を持参して届け出ます。社会保険の資格取得日の翌日が、国保の資格喪失日となります。会社に入ったからといって役所が自動で国保をやめてくれるわけではないので、二重払いを防ぐためにも忘れずに手続きをしてください。
家族の扶養に入った場合
配偶者などの扶養家族になった場合も脱退手続きが必要です。扶養認定されたことがわかる書類(新しい保険証や扶養認定通知書など)を持参しましょう。
他の市区町村へ転出する場合
引っ越し前の市区町村で転出届を出す際に、あわせて国保の脱退手続きも行います。転入先の市区町村では、改めて加入手続きが必要です。なお、同じ市区町村内での転居(住所変更)の場合は、住所変更の届け出とともに保険証の書き換え(住所情報の更新)を行います。
75歳になり後期高齢者医療制度へ移行する場合
75歳の誕生日を迎えると、自動的に国民健康保険から「後期高齢者医療制度」へ移行します。この場合、脱退の届け出は原則不要です。誕生日の前日で国保の資格はなくなり、誕生日当日から後期高齢者医療の被保険者となります。新しい保険証は誕生日までに郵送で届きます。
加入者が死亡した場合
加入者が亡くなられた場合、その翌日に資格喪失となります。ご家族が死亡届を提出する際に、国保の脱退手続きもあわせて行います。後日、申請により葬祭費(多くの自治体で5万円程度)が支給されます。
任意継続との関係
退職後に会社の健康保険を「任意継続」する場合は、国保への加入手続きは不要です。退職時に国保にするか任意継続にするかを比較検討し、任意継続を選んだ場合は、その期間が終了するまで国保の手続きは行いません。
働き方が変わったら、公的医療保険制度の切り替え手続きを忘れずに行いましょう。社会保険と国民健康保険を切り替える場合については、以下の記事で詳しく解説しています。
期限切れの対処法|14日を過ぎたらどうなる?
届け出は「事由発生から14日以内」が原則ですが、万が一遅れてしまった場合でも手続き自体は可能です。しかし、遅れた期間の医療費負担や保険料の遡及請求など、金銭的なデメリットが発生します。ここでは期限を過ぎてしまった場合の影響と、短期間の未加入期間についての考え方を解説します。
医療費がいったん全額自己負担になる
手続きが遅れている間に病気やケガをして医療機関にかかった場合、保険証がないため医療費を全額(10割)自己負担しなければなりません。後から手続きをすれば払い戻しを受けられますが、一時的に高額な出費が必要になります。
保険料は遡って請求される
「手続きが遅れれば、その分の保険料が浮く」ということはありません。保険料は加入すべき時(退職日の翌日など)まで遡って計算され、まとめて請求されます。数か月分を一気に支払うことになり家計への負担が大きくなるため、やはり早めの手続きが賢明です。
短期間でも未加入期間を作らない
転職の合間で「次の就職まで半月しかないから手続きしなくていいか」と考える方もいますが、おすすめできません。公的医療保険は空白期間を作らないのが原則です。わずか数日の未加入期間でも、その間に事故や急病があれば全額自己負担のリスクを負います。リスク管理として、短期間であっても加入手続きを行うことを推奨します。
完了後の流れ|保険証と納付書の到着時期
手続きが完了した後、保険証や納税通知書がいつ手元に届くのかは気になるところです。現在はマイナンバーカードとの一体化も進んでおり、従来の保険証との扱いの違いも理解しておく必要があります。ここでは保険証の交付タイミングと、保険料の支払いスケジュール、納付方法について解説します。
保険証の発行とマイナンバーカード
2024年秋以降、従来の健康保険証は廃止され、マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組み(マイナ保険証)へ移行が進んでいます。新規加入時には、原則として紙の保険証は発行されず、マイナンバーカードを利用することになります。カードを持っていない方などには、代わりに「資格確認書」が交付されます。
保険料の通知と支払い開始時期
国民健康保険料の決定通知書は、通常6月頃に届きます(年度の途中で加入した場合は、手続きの翌月頃)。支払いは「1年分を一括」ではなく、一般的に6月から翌年3月までの10回分割などで納めます。会社員のような給与天引きではないため、送られてくる納付書や口座振替を使って、自分で納期限までに支払う必要があります。払い忘れを防ぐためにも、口座振替の登録をしておくと便利です。
自治体サイト等で正確な金額を試算する方法
ここで紹介した金額はあくまで目安であり、お住まいの地域や年度によって数万円単位で差が出ることがあります。より正確な金額を知りたい場合は、各自治体の公式サイトや、源泉徴収票の数値を入力して計算できるオンラインのシミュレーションツールを活用しましょう。「〇〇市 国民健康保険料 試算」などで検索すると、ご自身の状況に合わせた計算が可能です。
あわせて知りたい関連制度|高額療養費と税控除
国民健康保険には、高額な医療費負担を抑える仕組みや、支払った保険料で税金を安くできる制度があります。これらを活用して家計を守りましょう。一方で、保険料を滞納した場合の深刻なリスクについても正しく理解しておくことが重要です。
医療費が高額な時|高額療養費と限度額適用認定証
公的保険には、医療費が高額になっても負担を一定額に抑える「自己負担限度額」があります。また、出産や死亡時に受け取れる給付金も用意されています。
高額療養費制度については以下記事で詳しく解説しています。
高額療養費制度と限度額適用認定証
1か月の医療費自己負担額が年齢や所得に応じた上限(一般的に約8~9万円)を超えた場合、申請により超過分が払い戻されます。
また、事前に「限度額適用認定証」を取得して窓口で提示すれば、支払いを上限額までに抑えられます(マイナ保険証対応の医療機関なら認定証なしでも適用可)。一時的な立替払いが不要になるため、入院時などは事前の手続きがおすすめです。
出産育児一時金と葬祭費
加入者が出産すると、原則50万円の「出産育児一時金」が支給されます。「直接支払制度」を使えば国保から病院へ直接支払われるため、多額の現金を用意する必要がありません。
また、加入者が亡くなった際は、葬儀を行った人に「葬祭費(3万~7万円程度)」が支給されます。いずれも申請が必要ですので忘れずに手続きしましょう。
出産育児一時金については以下記事で詳しく解説しています。
傷病手当金・出産手当金はない点に注意
会社員の社会保険と大きく異なるのが、病気やケガで休んだ際の「傷病手当金」や、産休中の「出産手当金」がない点です。働けない期間の収入減少は国保ではカバーされないため、貯蓄や民間の医療保険などで自ら備える必要があります。
傷病手当金については以下記事で詳しく解説しています。
税金の控除|年末調整・確定申告での申告方法
支払った国民健康保険料は、全額が「社会保険料控除」として所得から差し引かれます。正しく申告することで、所得税や住民税の負担を軽減できます。
全額が所得控除の対象になる
1月1日から12月31日までに納付した保険料の総額(家族分を支払った場合も含む)が控除対象です。支払額が多いほど課税所得が減り、節税効果が高まります。
申告時のポイントと証明書
年末調整や確定申告の際、社会保険料控除の欄に支払総額を記入します。国民年金と異なり「控除証明書」の添付は不要ですが、金額を正確に把握するため、領収書や納付済のお知らせ等は手元に用意しておきましょう。
支払いが厳しい時|滞納のリスクと相談窓口
保険料の滞納を放置すると、税金と同様に厳しい処分が課されます。どのようなペナルティがあるかを知り、困った時は早めに行動することが大切です。
医療費が全額自己負担になるリスク
滞納が続くと督促状が届き、延滞金が加算されます。さらに放置すると保険証が返還され、「被保険者資格証明書」が交付される場合があります。これになると医療機関での窓口負担がいったん「10割(全額)」となり、経済的負担が激増します。
財産の差押え処分
催告に応じないと、最終的には財産調査が行われ、預貯金や給与、不動産などが差し押さえられます。これは裁判所の判決なしに自治体の権限で執行されるため、生活や社会的信用に大きな影響を及ぼします。
放置せず早めに相談を
払えない事情がある場合は、滞納する前に必ず市区町村の窓口へ相談してください。失業や病気などの事情があれば、分割納付(分納)や減免が認められる可能性があります。役所は「放置する人」には厳しいですが、「相談する人」には柔軟に対応してくれます。
国民健康保険と国民年金の違い
よく混同されますが、「国民健康保険(医療)」と「国民年金(老後資金)」は別の制度です。会社員を退職すると、健康保険だけでなく年金も「厚生年金」から「国民年金」への切り替えが必要です。
国民年金保険料は月額1万6,980円(令和6年度)の定額で、原則自己負担となります。会社を辞めてフリーランスや無職になる場合は、医療保険と年金の両方で手続きと支払いが発生することを覚えておきましょう。なお、失業等で収入が少ない場合には、申請により保険料の免除や納付猶予を受けられる制度もあります。
この記事のまとめ
この記事では、国保の保険料がいくらになるかを「決定要因(所得・世帯・自治体)」から整理し、年収別・ケース別の見通し、社会保険との比較、切り替え時の注意点、軽減・減免や控除までを一連で確認しました。次は、お住まいの自治体の料率・上限と前年所得を照らし、試算と手続き期限(加入・脱退)をチェックしましょう。判断に迷う場合は、投資のコンシェルジュの無料相談で個別に確認するのも有効です。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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関連する専門用語
国民健康保険
国民健康保険とは、自営業者やフリーランス、退職して会社の健康保険を脱退した人、年金生活者などが加入する公的医療保険制度です。日本ではすべての国民が何らかの健康保険に加入する「国民皆保険制度」が採用されており、会社員や公務員が加入する「被用者保険」に対して、それ以外の人が加入するのがこの国民健康保険です。 市区町村が運営主体となっており、加入・脱退の手続きや保険料の納付、医療費の給付などは、住民票のある自治体で行います。保険料は前年の所得や世帯の構成に応じて決まり、原則として医療機関では医療費の3割を自己負担すれば診療を受けられます。病気やけが、出産などの際に医療費の支援を受けるための基本的な仕組みであり、フリーランスや非正規労働者にとっては重要な生活保障となる制度です。
社会保険
社会保険とは、国民の生活を支えるために設けられた公的な保険制度の総称で、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険などが含まれます。労働者や事業主が保険料を負担し、病気や高齢による収入減少、失業時の経済的支援を受けることができます。社会全体でリスクを分担し、生活の安定を図る仕組みです。 また、社会保険は万が一の備えとして機能し、資産運用においては「公的保障の不足分をどのように補うか」を考える前提となる存在です。
国民皆保険制度
国民皆保険制度とは、日本に住むすべての人が、公的な医療保険に必ず加入しなければならないという仕組みです。この制度のおかげで、誰でも収入や職業に関係なく、病気やけがをしたときに医療サービスを受けることができます。たとえば、病院での診察や治療にかかる費用の多くは保険でカバーされ、自己負担は原則として3割程度に抑えられています。 これは、安心して暮らすための社会的なセーフティネットであり、健康が損なわれたときでも経済的な負担を最小限に抑える役割を果たしています。資産運用を考える上でも、万が一の医療費がある程度予測できるという点で、家計管理における大切な前提のひとつとなります。
扶養
扶養とは、主に家族の生活を経済的に支えることを指し、税金や社会保険の制度においては特定の条件を満たした家族を「扶養親族」として扱う仕組みをいいます。税制上の扶養に該当すると、扶養する人の所得から一定額が控除され、結果として支払う税金が少なくなります。また健康保険における扶養では、収入の少ない配偶者や子ども、親などを被扶養者として登録することで、その人の医療費が保険でカバーされます。
被扶養者
被扶養者とは、健康保険に加入している人(被保険者)に生活の面で養われていて、自分では保険料を払う必要がない家族のことを指します。 一般的には、配偶者、子ども、親などが該当しますが、その人の年収が一定額以下であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。たとえば、専業主婦(または主夫)や収入の少ない学生の子どもなどが典型的な例です。 被扶養者は、自分で健康保険に加入していなくても、扶養している被保険者の健康保険を通じて医療を受けることができ、医療費の一部負担で済みます。 この仕組みによって、家族全体の保険料負担が軽減されるメリットがあります。ただし、就職などで収入が増えた場合には扶養から外れ、自分自身で保険に加入する必要があります。
労使折半
労使折半とは、社会保険料などの負担を、労働者(労)と雇用主(使)が半分ずつ分担する仕組みのことを指します。たとえば、健康保険や厚生年金保険などでは、毎月発生する保険料の総額を、労働者と企業がそれぞれ同じ割合で支払っています。 この制度により、労働者が高額な保険料を一人で負担せずに済み、企業側も従業員の福利厚生を支える形になります。資産運用の観点では、将来受け取る年金や医療保障などの基盤となるため、長期的な生活設計やリスク管理に関わる重要な仕組みです。投資初心者にとっては、「保険料を会社と一緒に半分ずつ出し合って、将来の安心を支える制度」と考えると理解しやすいでしょう。






