年金収入と年金所得にはどんな違いがありますか?
年金収入と年金所得にはどんな違いがありますか?
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2025/10/03 09:04
男性
60代
年金について調べていると「年金収入」と「年金所得」という似たような言葉を見かけて混乱しています。両者は同じ意味だと思っていたのですが、実際には扱いが異なるようです。どんな違いがあるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
年金収入と年金所得は似た言葉ですが、税金の計算上は大きな違いがあります。結論から言えば、年金収入は実際に支給される総額を指し、年金所得はそこから公的年金等控除や必要経費を差し引いた課税対象となる金額を指します。つまり収入が「売上」にあたり、所得が「利益」にあたるイメージです。
税金は年金収入ではなく年金所得を基準に計算されます。同じ収入でも控除額の違いによって課税額は大きく変わります。そのため、確定申告が必要かどうかや、所得税・住民税の負担額は年金所得で判断される点が重要です。また、公的年金等の収入が400万円以下で、かつその他の所得が20万円以下なら原則として申告は不要ですが、医療費控除などを使う場合には申告した方が有利になることもあります。
さらに、年金の源泉徴収で毎月税金が差し引かれることがありますが、それはあくまで暫定的な処理です。最終的な税額は年末調整や確定申告で年金所得を基に決まります。特に2025年以降は基礎控除の見直しにより、源泉徴収の基準額が変わり、手取り額や年末の精算額に影響する可能性があります。
公的年金の計算は、まず総支給額である年金収入を確認し、そこから公的年金等控除を差し引いて年金所得を算出します。その後、他の所得と合算し、基礎控除や社会保険料控除などを差し引いて課税所得を出し、最終的な税額を決定します。一方、民間の個人年金は公的年金等には含まれず、支給額から払込保険料に相当する部分を引いた差額を所得として計算します。
まとめると、年金収入は家計の実際の入金額の把握に役立ち、年金所得は税負担の有無や軽減策を判断する上で欠かせません。両者を正しく区別することで、安心して老後の生活設計や確定申告を進めることができます。
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公的年金等控除
公的年金等控除とは、年金を受け取っている人の所得税や住民税を計算する際に、年金収入から一定額を差し引ける控除制度です。これにより課税対象となる金額が減り、税負担を軽減できます。 対象となるのは、国民年金・厚生年金・共済年金などの「公的年金」に限られます。これらは所得税法上の「公的年金等」に分類され、控除の対象となります。 一方で、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC、個人年金保険などは、たとえ年金形式で受け取ったとしても税法上は「公的年金等」に該当せず、公的年金等控除の対象外です。これらは「雑所得(その他)」として課税されます。 控除額は受給者の年齢と年金収入の額に応じて異なり、特に65歳以上の高齢者には手厚い控除が設けられています。 | 年齢 | 公的年金等の収入額 | 控除額 | | --- | --- | --- | | 65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 | | | 130万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 37.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 78.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | | 65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 | | | 330万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 27.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 68.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | たとえば、65歳以上で年金収入が250万円であれば、110万円の控除が適用され、課税対象となる所得は140万円に圧縮されます。
基礎控除
基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。
課税所得
課税所得とは、個人や法人が一定期間内に得た収入から、法律に基づいて認められた各種控除や必要経費を差し引いた後の金額を指します。この金額に対して所得税や法人税などの税率が適用され、実際に納税すべき税額が計算されます。課税所得の計算方法は国や地域によって異なるため、具体的な控除項目や税率もそれに応じて変わります。 課税所得を計算する際には、まず総収入から非課税所得を除外します。その後、必要経費や特定の控除(例えば、標準控除、医療費控除、教育費控除など)を適用して課税対象となる所得を求めます。これにより、公正かつ実情に即した税額を算出し、納税者が収入に見合った税金を支払うことが可能となります。 課税所得の正確な把握と計算は、個人や企業の税務管理において非常に重要です。税法の変更に応じて控除額や計算方法が更新されることが多いため、適切な税務知識を持つこと、または専門の税理士などの助けを借りることが望ましいです。これにより、適切な税金の納付を確実に行い、法的な問題を避けることができます。
源泉徴収
源泉徴収とは、給与や報酬、利子、配当などの支払いを受ける人に代わって、支払者があらかじめ所得税を差し引き、税務署に納付する制度です。特に給与所得者の場合、会社が毎月の給与から所得税を控除し、年末調整で過不足を精算します。 この制度の目的は、税金の徴収を確実に行い、納税者の負担を軽減することです。例えば、会社員は確定申告を行わずに納税が完了するケースが多くなります。ただし、個人事業主や一定の副収入がある人は、源泉徴収された金額を基に確定申告が必要になることがあります。 また、配当金や利子の源泉徴収税率は原則20.315%(所得税15.315%+住民税5%)ですが、金融商品によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。





