iDeCoを受け取るとき、退職所得控除は適用されますか?
iDeCoを受け取るとき、退職所得控除は適用されますか?
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2025/11/12 09:12
男性
60代
iDeCoの受け取り時に、退職金と同じように退職所得控除を使えるのでしょうか?一時金で受け取る場合と年金として受け取る場合では、扱いが異なりますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
iDeCoの受け取り方によって、課税の扱いが大きく変わります。一時金として受け取る場合は「退職所得」となり、退職所得控除が適用され、控除後の金額の半分だけに税金がかかるため、有利です。控除額は加入年数に応じて増え、長期加入ほど税負担が軽くなります。
一方、年金として分割で受け取る場合は「雑所得(公的年金等)」として扱われ、他の年金と合算して課税されます。この場合は公的年金等控除が適用され、年齢や収入額に応じて控除額が変わります。
どちらが得かは、退職金の有無や他の年金との受取時期によって異なります。同じ年に複数の退職一時金を受け取ると控除枠が重なってしまうため、年をずらすなどの受取設計が重要です。また、障害給付は非課税、死亡一時金は相続税の対象など、受け取り目的でも扱いが変わります。
iDeCoの最適な受け取り方は人それぞれ異なり、税負担やライフプラン全体を見据えたシミュレーションが欠かせません。受取時期の分散や控除を最大限活かす方法は、専門家に相談して慎重に決めましょう。投資のコンシェルジュの無料相談で、税制・控除・受取設計を含めた最適プランを一緒に考えてみませんか。
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iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
退職所得控除
退職所得控除とは、退職金を受け取る際に税金を軽くしてくれる制度です。長く働いた人ほど、退職金のうち税金がかからない金額が大きくなり、結果として納める税金が少なくなります。この制度は、長年の勤続に対する国からの優遇措置として設けられています。 控除額は勤続年数によって決まり、たとえば勤続年数が20年以下の場合は1年あたり40万円、20年を超える部分については1年あたり70万円が控除されます。最低でも80万円は控除される仕組みです。たとえば、30年間勤めた場合、最初の20年で800万円(20年×40万円)、残りの10年で700万円(10年×70万円)、合計で1,500万円が控除されます。この金額以下の退職金であれば、原則として税金がかかりません。 さらに、退職所得控除を差し引いた後の金額についても、全額が課税対象になるわけではありません。実際には、その半分の金額が所得とみなされて、そこに所得税や住民税がかかるため、税負担がさらに抑えられる仕組みになっています。 ただし、この退職所得控除の制度は、将来的に変更される可能性もあります。税制は社会情勢や政策の方向性に応じて見直されることがあるため、現在の内容が今後も続くとは限りません。退職金の受け取り方や老後の資産設計を考える際には、最新の制度を確認することが大切です。
退職所得
退職所得とは、会社などを退職した際に受け取る退職金に対して発生する所得のことを指します。これは給与所得とは区別され、税法上、特別な扱いがされています。退職金は、長年の勤労に対する労いの意味を持つため、課税される際には「退職所得控除」という優遇措置が設けられています。 さらに、退職所得として課税される金額は、通常の給与よりも軽い税率が適用される「1/2課税」という制度があり、これによって税負担が軽減されます。役員が受け取る退職金についても原則として退職所得となりますが、形式的に退職して実態が伴わない場合や、過大とみなされる金額については税務上認められないこともあります。 資産運用や老後の生活設計において、退職金がどのように課税されるのかを知っておくことは、手取り額を見積もる上で非常に重要です。
雑所得
雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法において定められた10種類の所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得を指します。具体的には、公的年金や副業による収入、仮想通貨の売却益、FXの利益、非営業用貸金の利子などが該当します。 経費を差し引いた金額が課税対象となり、総合課税の対象となります。また、雑所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。
公的年金等控除
公的年金等控除とは、年金を受け取っている人の所得税や住民税を計算する際に、年金収入から一定額を差し引ける控除制度です。これにより課税対象となる金額が減り、税負担を軽減できます。 対象となるのは、国民年金・厚生年金・共済年金などの「公的年金」に限られます。これらは所得税法上の「公的年金等」に分類され、控除の対象となります。 一方で、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC、個人年金保険などは、たとえ年金形式で受け取ったとしても税法上は「公的年金等」に該当せず、公的年金等控除の対象外です。これらは「雑所得(その他)」として課税されます。 控除額は受給者の年齢と年金収入の額に応じて異なり、特に65歳以上の高齢者には手厚い控除が設けられています。 | 年齢 | 公的年金等の収入額 | 控除額 | | --- | --- | --- | | 65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 | | | 130万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 37.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 78.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | | 65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 | | | 330万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 27.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 68.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | たとえば、65歳以上で年金収入が250万円であれば、110万円の控除が適用され、課税対象となる所得は140万円に圧縮されます。
障害給付金
障害給付金とは、病気やけがにより一定の障害状態になった場合に、生命保険や年金制度から支払われるお金のことです。この給付金は、働けなくなったり、日常生活に支障が出たりするような状態になったときに、経済的な負担を軽減することを目的としています。民間の保険では「障害状態」の定義が契約ごとに異なり、所定の条件を満たした場合に一時金や年金形式で支給されます。また、公的制度では「障害年金」として国民年金や厚生年金から支給される仕組みがあり、民間の障害給付金と併用できる場合もあります。受け取るためには、医師の診断書や所定の手続きが必要です。将来の予期せぬリスクに備えるうえで、障害給付金は重要な保障の一つです。





